業種別ガイド

葬儀社のAI電話対応|24時間受付の備え

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

葬儀社のAI電話対応|24時間受付の備え(AI-SNS.IO Call ブログ)

葬儀社の電話は、昼も夜も関係なくかかってきます。病院や施設で家族を亡くしたばかりの人から「これからどうすればよいのか」という電話が、夜中や明け方に入ります。同じ番号に、葬儀の日時を確認したい参列者、供花を出したい取引先、事前の相談をしたい人、法要の相談をしたい遺族からの電話も入ります。

葬儀社の電話の中で、何よりも大切なのは、亡くなった直後の家族からの最初の電話です。悲しみと混乱の中でかけてくる電話に、機械的な案内で長く待たせたり、番号の選び方を何度も説明したりすれば、家族の心に深い傷を残します。一方で、式の準備や式の進行の最中は、スタッフが電話に出られない時間もあります。少ない人数で夜間の当番を回している葬儀社も多いでしょう。

この記事では、葬儀社の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。ただし、葬儀社では「何を自動化しないか」を先に決めることが、ほかの業種以上に大切です。よくある課題と問い合わせの分類、夜間や式の最中の受け方、設計の例、スタッフへの引き継ぎ、遺族の情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。亡くなった直後の連絡は必ずスタッフが直接受けること、葬儀の内容や費用の説明、日程の決定はスタッフが行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。

[[TOC]]

葬儀社の電話対応で起きがちな課題

亡くなった直後の電話は待たせられない

病院で家族が亡くなると、病院から、ご遺体を早めに移してほしいと伝えられることがあります。家族は、葬儀社に電話をかけ、迎えに来てもらう必要があります。この電話は、夜中でも明け方でもかかってきます。電話がつながらなければ、家族はほかの葬儀社を探すしかなく、混乱の中でさらに負担を背負うことになります。葬儀社にとっても、最も大切な電話を逃すことになります。

式の最中は電話に出られない

通夜や告別式の最中、スタッフは式の進行、参列者の案内、遺族の手伝いに追われています。式場で電話が鳴っても、出ることはできません。少ない人数の葬儀社では、式の担当と電話の担当を分けることが難しく、式の時間に電話が取れなくなります。

参列者からの問い合わせが多い

訃報を聞いた人からは、「通夜は何時からか」「式場の場所はどこか」「香典や供花を受け付けているか」という問い合わせが入ります。こうした問い合わせは、同じ内容の繰り返しになりがちです。ただし、葬儀の日時や場所を誰にでも伝えてよいとは限りません。家族葬のように、身内だけで行う葬儀もあります。遺族の意向を確認しないまま答えることはできません。

費用の問い合わせへの答え方

事前の相談の電話では、「費用はいくらかかるか」という質問がよく出ます。葬儀の費用は、形式、規模、式場、料理や返礼品などで大きく変わり、電話で一言で答えられるものではありません。電話で簡単な金額だけを伝えると、後で実際の見積もりとの違いがトラブルになります。

夜間の当番の負担

夜間の電話を、当番のスタッフが携帯電話で受けている葬儀社もあります。夜中に鳴る電話の中には、急ぎではない問い合わせや、営業の電話も混ざります。急ぎの電話とそうでない電話を分けられないと、当番のスタッフの負担が大きくなります。

よくある問い合わせの分類

葬儀社にかかってくる電話を、急ぎの度合いと、誰が対応するかで分けてみます。

亡くなった直後の連絡、準備中の遺族、参列者の問い合わせ、供花の注文、事前の相談、葬儀の後の相談の比較
図1:葬儀社の電話の分類

亡くなった直後の連絡と、ご遺体の搬送の依頼

家族や病院、施設からの、亡くなったことの連絡と、迎えの依頼です。最も急ぎます。どの時間でも、スタッフに直接つながるようにします。自動の案内は、最初の短いあいさつだけにとどめ、番号を選ばせることもしません。この電話を受けられる体制を整えることが、電話の設計の出発点です。

葬儀の準備中の遺族からの連絡

打ち合わせの内容の変更、追加の注文、参列者の人数の変更など、葬儀の準備を進めている遺族からの連絡です。急ぐものが多く、担当のスタッフに届けます。担当が式の最中で出られないときは、ほかのスタッフが受けるか、ボイスメールで用件を受けて担当が確かめます。

参列者からの問い合わせ

葬儀の日時、場所、香典や供花の受け付けについての問い合わせです。遺族が公開してよいと決めた内容だけを、スタッフが答えます。自動の案内で葬儀の日時や場所を流すかどうかは、遺族の意向を確認したうえで決めます。

供花・弔電・供物の注文

取引先や知人からの、供花や供物の注文です。注文を受けられるか、締め切りはいつか、名札の書き方はどうするかを、担当のスタッフが確かめて受けます。

事前の相談

自分や家族の葬儀について、前もって相談したいという電話です。急ぐものではありませんが、相談する人は不安を抱えていることが多く、丁寧に受けます。聞き取りで相談の内容と連絡先を受け、相談の担当が折り返して、面談の日時を相談します。

葬儀の後の相談

四十九日などの法要、香典返し、仏壇やお墓、各種の手続きについての相談です。担当のスタッフが受けます。手続きについての相談には、葬儀社として案内できる範囲と、役所や専門家に相談すべきことを分けて伝えます。

業者や営業の電話

取引のある業者からの連絡、営業の電話などです。急ぐものではないため、日中に担当が確かめます。夜間の当番の電話には鳴らさないようにします。

営業時間外・繁忙時の受け方

夜間と早朝

夜間と早朝は、亡くなった直後の連絡だけは、必ず当番のスタッフに直接つながるようにします。そのほかの用件は、案内で日中に受け付けることを伝え、ボイスメールで受けます。当番のスタッフが別の電話や搬送で出られないときに、次に鳴らすスタッフの順番を決めておきます。夜間に機械の案内だけで終わってしまう流れは、亡くなった直後の連絡には使いません。

通夜や告別式の最中

式の最中は、式に入っていないスタッフが電話を受けるようにします。全員が式に入る時間は、事務所の電話を、式に入っていないスタッフの携帯電話や、当番の電話につなぎます。参列者からの問い合わせは、遺族が公開してよいと決めた内容に限って答え、そのほかはボイスメールで用件を受けて、式の後に担当が確かめます。

年末年始や葬儀が重なる時期

冬の時期など、葬儀が重なる時期は、式場や火葬の予約の都合で日程の調整が難しくなり、電話も増えます。スタッフの勤務の予定を前もって組み、夜間の当番を増やすなどの備えをします。

時間帯ごとの受け方の切り替えは、IVRの営業時間ルーティングの記事が参考になります。ただし葬儀社では、亡くなった直後の連絡を時間帯に関係なくスタッフに直接つなぐことを、切り替えの外に置いておきます。

IVRとAI一次応答の設計例

番号を選ばせない入り口をつくる

葬儀社の案内で最も大切なのは、亡くなった直後の連絡を、番号を選ばずにスタッフにつなぐ入り口です。方法はいくつかあります。

どの方法でも、亡くなった直後の連絡が、機械の案内の中で迷わないことが大切です。

番号の選び方の例

代表の番号で用件を分ける場合の例です。

何も押さなければ、スタッフにつながるようにします。

AIによる一次応答に任せる範囲

葬儀社で自動の案内やAIが受け持つのは、急がない用件の聞き取りと、通話の要約、決まった情報の案内に限ります。

AIによる一次応答の全体の考え方は、AI電話受付とはで解説しています。葬儀社では、そこで紹介している範囲よりも、さらに狭く使うことをおすすめします。

亡くなった直後の流れ、記録、用件をしぼる、案内、試験、急がない用件から、病院や施設に知らせる、直すの八つの手順
図2:葬儀社で導入を進める手順

亡くなった直後の連絡でスタッフが聞き取ること

亡くなった直後の電話では、家族は混乱しています。スタッフは、ゆっくりと、必要なことだけを順に聞きます。聞き取りの順番を決めておくと、慌てずに済みます。

  1. 電話をかけている人の名前と、亡くなった人との関係
  2. 亡くなった人の名前
  3. いま、亡くなった人がいる場所(病院の名前と病棟、施設の名前、自宅など)
  4. 迎えに伺ってよい時刻の目安(病院から伝えられていることがあれば)
  5. 移す先の希望(自宅、葬儀社の安置の施設など)
  6. 連絡のつく電話番号

費用や葬儀の形式の話は、迎えの後、家族が落ち着いてからの打ち合わせで行います。最初の電話では、迎えに伺うことと、およその到着の目安を伝え、家族が今しておくことがあれば短く伝えます。

ボイスメールで受ける用件の項目

参列者からの問い合わせや、事前の相談をボイスメールで受けるときは、次の項目を確認します。

スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う

迎えの手配はスタッフが行う

亡くなった直後の連絡を受けたスタッフは、搬送の車とスタッフを手配し、到着の目安を家族に伝えます。手配の状況が変わったときは、すぐに家族に連絡します。

葬儀の内容と費用は打ち合わせで決める

葬儀の形式、日程、式場、費用は、スタッフが遺族と打ち合わせをしながら決めます。見積もりは書面で示し、遺族が納得してから進めます。電話で費用を聞かれたときは、葬儀の形式や規模によって変わることを説明し、事前の相談や打ち合わせで見積もりを出すことを伝えます。

参列者への回答は遺族の意向に沿う

葬儀の日時や場所を参列者に伝えてよいかは、打ち合わせのときに遺族に確かめ、記録に残しておきます。家族葬で参列を辞退してほしい場合や、香典や供花を辞退する場合は、その意向も記録します。電話を受けたスタッフは、その記録に沿って答えます。記録がない場合は、遺族に確かめてから折り返します。

供花の注文は担当が受ける

供花や供物の注文は、遺族が受け付けているかを確認したうえで、担当が受けます。名札の書き方、届ける時刻、支払いの方法を確認し、注文を受けたことを伝えます。

個人情報と記録の扱い

亡くなった人と遺族の情報

葬儀社は、亡くなった人の名前、亡くなった日時と場所、遺族の名前と連絡先、宗教や家族の事情など、とても慎重に扱うべき情報を預かります。電話の記録にも、こうした情報が残ります。記録を見られる人を担当のスタッフに限り、保管の期間を決めて扱います。

第三者からの問い合わせ

「〇〇さんが亡くなったと聞いたが本当か」「葬儀の場所を教えてほしい」という電話がかかってくることがあります。遺族が公開してよいと決めた範囲を超えて答えないようにします。報道の関係者からの問い合わせや、営業の目的の問い合わせも、遺族の意向を確認しずに答えません。

録音と要約

通話を録音したり、AIで要約したりする場合は、案内でそのことを伝え、会社の個人情報の扱いの方針にも書いておきます。ただし、亡くなった直後の連絡の電話で、録音の案内を長く流すことは、家族の負担になります。案内の仕方と、録音をするかどうかを、電話の種類ごとに考えます。

個人情報の扱いについての法律の考え方は、個人情報保護委員会のウェブサイトで調べられます。この記事は一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。

導入の進め方

1. 亡くなった直後の連絡の受け方を先に決める

自動の案内を入れる前に、亡くなった直後の連絡を、どの時間に、誰が、どの電話で受けるかを決めます。夜間の当番、つながらないときの次の順番、搬送で出ているときの扱いまで決めます。この流れが決まっていないうちは、自動の案内を始めません。

2. 電話の記録をとる

二週間ほど、かかってきた時間、用件、出られたかどうかを記録します。式の最中や夜間に、どの用件の電話が多いかが見えてきます。

3. 自動にする用件をしぼる

急がない用件のうち、ボイスメールで用件を受けてよいもの(事前の相談の申し込み、葬儀の後の相談、業者からの連絡など)をしぼり込みます。迷う用件は、スタッフが受ける側に入れておきます。

4. 案内の文章を整える

あいさつ、亡くなった直後の連絡はそのまま待てばよいこと、そのほかの用件の番号を、短く、落ち着いた言葉でまとめます。声の調子や速さも、遺族が聞くことを考えて選びます。

5. 試験してから始める

スタッフが、遺族や参列者の役になって何度も電話をかけます。亡くなった直後の連絡が、どの時間でも番号を選ばずにスタッフにつながるか、案内の言葉が冷たく聞こえないかを確認します。

6. 急がない用件から始める

最初は、日中の急がない用件の聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、式の最中や夜間の振り分けに広げます。

7. 病院や施設に知らせる

電話の受け方を変えたことを、取引のある病院や施設に伝え、搬送の依頼の番号を確認してもらいます。

8. 記録を見て直す

一か月ほどたったら、亡くなった直後の連絡がすべてスタッフに直接つながったかを必ず確かめます。一件でもつながらなかった連絡があれば、流れを直します。

スタッフの人数が少ない葬儀社の電話の考え方は、小さな会社の電話対応でも、限られた人数で夜間を回す考え方として参考になります。

葬儀社ならではの工夫

声と言葉を選ぶ

葬儀社の案内は、明るすぎる声や、事務的すぎる言葉が、遺族の気持ちにそぐわないことがあります。あいさつは短く、落ち着いた調子で話し、「ご逝去」「お迎え」など、ふさわしい言葉を選びます。案内の文章を決めるときは、複数のスタッフで聞いて、冷たく聞こえないかを確認します。

事前の相談をした家族への案内

事前に相談をしていた家族には、そのときに搬送の依頼の番号を伝えておきます。番号を書いた紙を渡しておくと、いざというときに家族が迷いません。事前の相談の記録を、夜間の当番のスタッフが見られるようにしておくと、亡くなった直後の電話で、家族が同じことを何度も話さずに済みます。

病院や施設との連絡

病院や介護の施設から、亡くなったことの連絡や、遺族の意向で葬儀社に連絡する旨の電話が入ることがあります。病院や施設向けの番号を用意するか、代表の番号でもそのままスタッフにつながるようにします。病院や施設の担当者の名前と連絡先を記録し、迎えの時刻の調整を直接できるようにします。

宗教や地域の習わし

葬儀の進め方は、宗教や地域の習わしによって違います。電話の問い合わせで、宗教や習わしについて聞かれることもあります。電話の受付で詳しく答えるより、打ち合わせのときに担当が遺族と相談して決めるのがよいでしょう。電話では、どのような宗教や形式の葬儀にも相談に応じられること(葬儀社として実際に対応している範囲で)を伝えます。

生前の相談をした本人からの電話

事前の相談をした本人から、「自分の葬儀の希望を書き足したい」「見積もりの内容を変えたい」という電話が入ることがあります。本人の希望は、いざというときに家族が判断する手がかりになるため、担当が受けて記録に残します。希望を変えたときは、家族にも伝えておくよう、本人にすすめます。本人の希望の記録は、亡くなった直後の連絡を受けた当番のスタッフも見られるようにしておきます。

会館を複数持つ葬儀社

複数の会館を持つ葬儀社では、参列者から「どの会館で行われるのか」という問い合わせが入ります。会館ごとの場所と駐車場の案内を用意しておき、遺族が公開してよいと決めた範囲で、どの会館かを伝えます。

葬儀の後の手続きの相談

葬儀が終わった後、遺族から、役所の手続き、年金や保険、相続についての相談の電話が入ることがあります。葬儀社として案内できること(葬儀にかかわる書類の再発行など)と、役所や専門家に相談すべきことを分けて伝えます。相続や税金については、葬儀社のスタッフが判断を伝えることはせず、司法書士、税理士、弁護士などの専門家や、役所の窓口に相談するよう案内します。

搬送で出ている間の電話

夜間の当番が迎えに出ている間も、別の家族から亡くなった直後の連絡が入ることがあります。運転中の当番は電話に出られません。当番が搬送で出ているときに、次に鳴らすスタッフの順番を決めておき、二件目の連絡もスタッフが直接受けられるようにします。少ない人数の葬儀社で、夜間に二件目を受ける体制がない場合は、協力している同業の会社との取り決めなど、会社として取れる方法を前もって考えておきます。

葬儀が同じ日に重なったとき

同じ日に二つ以上の葬儀が行われるときは、参列者からの問い合わせも、どの葬儀についてのものかを取り違えやすくなります。聞き取りでは、故人の名前か喪主の名前を必ず聞き、記録にどの葬儀かをはっきり書きます。会館の受付のスタッフにも、その日の葬儀の一覧と、それぞれの遺族の意向(参列や香典の受け付けの有無)を渡しておきます。

夜間の当番の電話を守る

夜間当番のスタッフの電話には、ご逝去直後の連絡と、葬儀準備中のご遺族からの急ぎの連絡だけが鳴るようにします。営業の電話や、急がない問い合わせは、ボイスメールで用件を受けて日中に確かめます。当番のスタッフが夜中に何度も起こされると、翌日の式の仕事にも響きます。

寺院や宗教者からの連絡

葬儀の日程が決まるまでの間、寺院や教会などの宗教者と、遺族と、葬儀社の間で、何度も連絡が行き来します。宗教者からの電話は、日程や式の進め方にかかわるため、担当のスタッフに届けます。担当が式の最中で出られないときは、ボイスメールで用件を受けて、式の後にすぐ確かめます。宗教者の名前と連絡先は、打ち合わせのときに記録しておき、電話を受けた誰もがどの葬儀の関係者かを分かるようにしておきます。日程や進め方について宗教者と話したことは、その日のうちに遺族にも伝えます。

式場や火葬の予約と日程の連絡

葬儀の日程は、式場の空き、火葬の予約、宗教者の都合、遺族の希望を合わせて決まります。日程が決まるまでは、遺族から「いつになりそうか」という電話が何度も入ることがあります。担当は、決まっていることと、まだ決まっていないことを分けて伝え、決まりしだい連絡する時刻の目安を伝えます。決まっていないことを推測で伝えないようにします。

事前の相談の聞き取りシート

事前の相談の電話で確認する項目を、一枚にまとめておきます。

項目聞き方の例記録のしかた
名前・連絡先「お名前と、ご連絡先を教えてください」名前、番号
相談の対象「どなたのご葬儀についてのご相談ですか」本人、家族など
急ぎかどうか「ご家族のご容体で、急ぎのご事情はありますか」急ぎの有無
考えている形式「家族だけで行いたいなど、お考えはありますか」希望(任意)
宗教「差し支えなければ、宗教や宗派を教えてください」任意
相談の方法「お電話、会館での面談、ご自宅への訪問のどれがよいですか」方法
都合「ご都合のよい日時はありますか」候補

「家族の容体が悪く、近いうちにお願いすることになりそうだ」という相談は、急ぎの事情として担当に早めに届けます。費用の見積もりは、相談の場で担当が書面で示します。

供花・供物の注文の聞き取りシート

項目聞き方の例記録のしかた
注文する人「お名前と、会社の場合は会社名を教えてください」名前、会社名
どの葬儀か「どなたのご葬儀へのご注文ですか」故人の名前、喪主の名前
品物「供花と供物、どちらをご希望ですか」種類
名札「名札にはどのようにお書きしますか」書き方のとおり
届ける時「通夜に間に合うようにお届けしますか」通夜か告別式か
支払い「お支払いの方法のご希望はありますか」方法
連絡先「確かめのご連絡先を教えてください」番号

供花を受け付けているかどうかは、遺族の意向によります。ボイスメールで受けた注文は、担当が遺族の意向を確認してから、受けられるかどうかを連絡します。名札の字は、聞き間違いがないよう、折り返しのときに一字ずつ確かめます。会社の名前や役職を書く場合は、正式な名前を確認し、略した書き方にしてよいかも聞いておきます。

迎えの依頼の記録の形

亡くなった直後の連絡をスタッフが受けたら、記録を同じ形で残します。夜間の当番から朝の担当に引き継ぐときにも使います。

項目記録の例
受けた日時と受けたスタッフ〇日 午前〇時、当番〇〇
電話をかけた人と関係長男
亡くなった人の名前〇〇〇〇さま
今いる場所〇〇病院 〇階 病棟
移す先会館の安置の施設
迎えの時刻〇時ごろ到着と伝えた
事前の相談の有無あり(記録の番号)
次にすること朝に担当から打ち合わせの日時の連絡

言葉の選び方

葬儀の場では、使うのを避ける言葉があるとされています。「重ね重ね」「たびたび」のような繰り返しの言葉や、不幸が続くことを思わせる言葉などです。電話の案内やスタッフの話し方でも、こうした言葉を避け、落ち着いた言い方を選びます。地域や宗教によって考え方が違うこともあるため、自社で使う言葉と避ける言葉を一覧にして、スタッフの間でそろえておきます。

案内の文章のひな形

葬儀社の電話の案内に使える文章の例です。説明のための文例ですので、〇の部分は会社の名前などに合わせ、声の調子も含めて自社に合う形に整えてください。

代表の番号の案内の例:

「お電話ありがとうございます。〇〇葬祭でございます。ご逝去のご連絡、お迎えのご依頼は、このままお待ちください。担当者におつなぎいたします。ご葬儀のご準備中のご遺族さまは1番、ご会葬や供花についてのお問い合わせは2番、事前のご相談やそのほかのご用件は3番を押してください。」

夜間の急がない用件の聞き取りの例:

「ご用件を承ります。お名前、ご連絡先、ご用件をお話しください。明日の朝、担当者からご連絡いたします。ご逝去のご連絡の場合は、恐れ入りますが、もう一度お電話をいただき、そのままお待ちください。担当者が直接お伺いいたします。」

式の最中の参列者向けの案内の例:

「ただいま式の最中のため、担当者がお電話に出られません。ご会葬や供花についてのお問い合わせは、お名前とご連絡先、どなたのご葬儀かをお話しください。式が終わりしだい、担当者からご連絡いたします。」

よくある場面の対応例

ここで紹介するのは、説明のための架空の例です。実在の葬儀社や遺族の事例ではありません。

夜中に病院から迎えの依頼が入った場面

夜中、家族から、父が病院で亡くなったという電話が入ります。代表の番号に短いあいさつが流れた後、すぐに当番のスタッフの電話が鳴ります。スタッフは、ゆっくりと名前、病院の名前と病棟、移す先の希望を聞き、迎えに伺うことと、およその到着の目安を伝えます。費用の話はせず、迎えの後に改めて相談することを伝えます。

通夜の当日に参列者から問い合わせが入った場面

通夜の当日の夕方、故人の元同僚から、通夜の時刻と場所を知りたいという電話が入ります。式の準備の時間で、スタッフは手が離せません。電話をかけた人は2番を選び、故人の名前を伝えて、聞き取りに残します。式の担当ではないスタッフが記録を確認し、遺族が公開してよいと決めた内容(通夜の時刻と会館の場所)を確認してから折り返します。

家族葬で参列を辞退している場面

家族葬を行う遺族は、参列や香典を辞退したいと考えています。打ち合わせでその意向を記録に残しておきます。後日、故人の知人から葬儀の場所を知りたいという電話が入ります。スタッフは記録を確認し、遺族の意向で家族だけで執り行うことを丁寧に伝え、場所は伝えません。知人が弔意を伝えたいと話したため、遺族に伝えることを約束します。

事前の相談の電話が入った場面

昼間、母の容体が悪いので相談したいという電話が入ります。電話をかけた人は3番を選び、聞き取りで事情を話します。相談の担当は、急ぎの事情があると分かったため、その日のうちに折り返し、会館での面談の日時を決めます。面談では、葬儀の流れと見積もりを書面で示し、いざというときの連絡の番号を伝えます。

葬儀の後に相続について聞かれた場面

葬儀の後、遺族から、相続の手続きは何から始めればよいかという電話が入ります。担当は、葬儀社としては相続について判断を伝えられないことを説明し、司法書士や税理士、役所の窓口に相談できることを伝えます。葬儀にかかわる書類で必要なものがあれば、葬儀社から用意できることもあわせて伝えます。

取引先から供花の注文が入った場面

故人が勤めていた会社の総務の担当者から、供花を出したいという電話が入ります。担当者は2番を選び、会社の名前と名札の書き方、通夜に間に合わせたいことを聞き取りに残します。葬儀の担当は、遺族が供花を受け付けていることを記録で確認し、総務の担当者に折り返して名札の字を一字ずつ確かめたうえで、注文を受けたことと届ける時刻を伝えます。

折り返しの電話のかけ方

葬儀社からの折り返しは、相手が遺族であることを考えて、落ち着いた調子で話します。次の順に話します。

  1. 会社の名前と自分の名前を名乗る
  2. どの用件への折り返しかを伝える
  3. 確かめた結果や、決まったことを伝える
  4. この後の流れを伝える
  5. 遺族の体調や負担を気づかう一言を添える

参列者への折り返しで、遺族の意向により答えられないことがある場合は、そのことを丁寧に伝えます。留守番電話には、会社の名前と折り返しの電話であることだけを残し、亡くなった人の名前や葬儀の内容は残しません。

一日の流れの例

ここでは、架空の小さな葬儀社の一日を例に、電話の受け方の流れを示します。

役割の分け方

役割責任者担当のスタッフ夜間の当番
亡くなった直後の連絡夜間の体制を決める日中に受けて迎えを手配夜間に受けて迎えを手配
準備中の遺族の連絡大きな変更を確認する受けて打ち合わせに反映急ぎのものを受ける
参列者の問い合わせ公開の範囲の決まりを決める遺族の意向に沿って答えるボイスメールで用件を受けて引き継ぐ
事前の相談見積もりの決まりを決める面談で相談に乗るボイスメールで用件を受けて引き継ぐ
葬儀の後の相談案内の範囲を決める受けて専門家の窓口を案内関わらない

電話のそばに置く一枚

夜間の当番や、電話を受けることが少ないスタッフのために、電話のそばに一枚の紙を置いておきます。亡くなった直後の連絡で聞く項目の順番、最初の電話で費用の話をしないこと、参列者への回答は遺族の意向の記録に沿うこと、迎えの手配の連絡先、困ったときに相談する責任者の名前を書いておきます。

葬儀の後もしばらく続く連絡

葬儀が終わった後も、遺族からは、香典返しの準備、法要の日取り、会館に残した品物などについての連絡がしばらく続きます。葬儀を担当したスタッフが引き続き受けると、遺族は同じ説明を繰り返さずに済みます。担当が不在のときに備えて、葬儀ごとの記録に、葬儀の後に約束したことを書いておきます。

試しの電話で確認すること

案内や転送の設定を変えたときに行う試しの電話では、次のことを確認します。

  1. 代表の番号にかけ、何も押さずに待つと、当番のスタッフの電話が鳴るか
  2. 当番が出なかったとき、次の順番のスタッフの電話が鳴るか
  3. 番号を選んだときに、それぞれの用件が正しく聞き取りに入るか
  4. 聞き取りの記録が、朝の担当に届くか
  5. 案内の声と言葉が、落ち着いて聞こえるか

試しの電話は、昼間だけでなく、夜間の設定に切り替わった後にも行います。昼と夜で設定が違う場合、夜の設定だけが誤っていることがあるためです。祝日や年末年始のように、ふだんと違う設定に切り替える日の前にも、同じように試しておきます。試した日時と結果は、記録に残しておきます。

遺族が電話をかけやすくする工夫

打ち合わせのとき、遺族に担当のスタッフの名前と、葬儀の準備中に使う番号を書いた紙を渡しておくと、遺族は迷わずに連絡できます。遺族の側でも、親族の中で葬儀社と連絡を取る人を一人決めてもらうと、同じことを何人もの親族から聞かれることが減り、行き違いも防げます。連絡を取る人が決まったら、その人の名前と電話番号を葬儀ごとの記録に書き、ほかの親族から電話があったときにも、決めた人に伝えてよいかを確認してから話すようにします。遺族の中で意見が分かれているときに、別々の親族と別々の約束をしてしまうことを防げます。

準備のチェックリスト

電話以外の連絡の方法との使い分け

方法向いていること気をつけること
電話亡くなった直後の連絡、準備中の遺族の急ぎの連絡機械の案内で待たせない
ホームページの問い合わせのフォーム事前の相談の申し込み、資料の請求急ぎの連絡には使わないよう案内する
面談葬儀の内容と見積もりの相談日時を担当と決める

ホームページには、急ぎのときは電話でと、はっきり書いておきます。

案内を古くしない

会館の場所や駐車場、受付の時間、事前の相談の方法が変わったときは、ホームページ、パンフレット、電話の案内をまとめて直します。夜間の当番の電話番号を変えたときは、転送の設定も必ず確かめます。転送の設定の誤りは、亡くなった直後の連絡を逃すことにつながるため、変えた日に必ず試しの電話をかけます。

スタッフへの共有と教育

葬儀社に新しく入ったスタッフには、電話の受け方について、まず次の五つを伝えます。

効果の確認方法と見直し

電話の流れを変えた後は、記録をもとに、亡くなった直後の連絡がすべてスタッフに直接つながったか、夜間の当番に鳴った電話のうち急ぎでないものが減ったか、参列者からの問い合わせへの折り返しの時間を確認します。数字は自分の会社の記録から出すもので、前の月と比べるためのものです。遺族から寄せられた声も、見直しの大切な手がかりになります。

CallでIVRと当番への転送を組む

葬儀社の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、キューごとのボイスメール、IVRからのコールバックの受付、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。代表の番号で何も押さなければスタッフにつながる流れや、急がない用件だけをボイスメールで用件を受けて日中に確かめる流れが組めます。設定の手順は使い方のガイドとドキュメントをご覧ください。

日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで急がない用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、スタッフが確認しやすくする使い方です。亡くなった直後の連絡の受け付け、葬儀の内容と費用の説明、日程の決定は、葬儀社のスタッフが行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。

ほかの業種の例として、ブライダル・式場の電話対応、イベント・チケットの電話対応もあわせてご覧ください(葬儀社のAI電話対応|24時間受付の備えからの関連案内)。

よくある質問

亡くなった直後の連絡をAIが受けてもよいですか?

おすすめしません。亡くなった直後の連絡は、どの時間でも、番号を選ばずにスタッフに直接つながるようにします。自動の案内は、最初の短いあいさつだけにとどめます。

夜間に当番が一人のときは、どうすればよいですか?

当番が出られないときに次に鳴らすスタッフの順番を決めておきます。当番の電話には、亡くなった直後の連絡と急ぎの連絡だけが鳴るようにし、ほかの用件はボイスメールで受けます。

電話で費用を聞かれたら?

葬儀の形式や規模によって費用が変わることを説明し、事前の相談や打ち合わせで書面の見積もりを示すことを伝えます。電話で金額だけを伝えることは避けます。

参列者に通夜の時刻を自動で案内してもよいですか?

遺族の意向を確かめて、公開してよいと決めた場合に限ります。家族葬などで公開しない場合もあるため、スタッフが記録を確かめて答える形が安全です。

式の最中の電話はどうしますか?

式に入っていないスタッフが受けるか、急ぎの連絡だけが当番につながるようにします。参列者からの問い合わせはボイスメールで受け、式の後に折り返します。

案内の声は、どのように選べばよいですか?

落ち着いた調子で、明るすぎない声を選びます。複数のスタッフで聞いて、冷たく聞こえないかを確かめます。

事前の相談も電話で受けられますか?

受けられます。聞き取りで相談の内容と連絡先を受け、担当が折り返して面談の日時を相談します。容体が悪いなどの急ぎの事情があれば、早めに折り返します。

相続の相談を受けたら?

葬儀社としては判断を伝えず、司法書士や税理士、弁護士などの専門家や、役所の窓口に相談できることを案内します。

通話を録音してもよいですか?

録音する場合は、案内と個人情報の扱いの方針で伝えます。亡くなった直後の連絡の電話で長い案内を流すと遺族の負担になるため、電話の種類ごとに案内の仕方を考えます。

病院からの連絡は、どの番号で受ければよいですか?

搬送の依頼の専用の番号を用意して伝えておくか、代表の番号でもそのままスタッフにつながるようにします。病院の担当者の名前と連絡先を記録して、迎えの時刻を直接調整できるようにします。

転送の設定を変えたときの注意は?

変えた日に必ず試しの電話をかけ、夜間の当番に確実につながることを確かめます。転送の誤りは、亡くなった直後の連絡を逃すことにつながります。

まとめ

葬儀社の電話は、亡くなった直後の家族からの、何よりも大切な連絡と、参列者や事前の相談のような急がない問い合わせが、同じ番号に入ってきます。電話の設計は、亡くなった直後の連絡を、どの時間でも番号を選ばずにスタッフに直接つなぐことから始めます。そのうえで、急がない用件だけをボイスメールで受け、夜間の当番や式の最中のスタッフの負担を減らします。

自動の案内やAIに任せるのは、急がない用件の聞き取りと記録の要約、決まった情報の案内までです。亡くなった直後の連絡の受け付け、葬儀の内容と費用の説明、日程の決定、遺族の意向にかかわる回答は、葬儀社のスタッフが行います。遺族の気持ちを大切にしながら、記録を見て少しずつ直していけば、スタッフが無理なく続けられる電話の体制がつくれます。

自社の業種に合わせた一次応答を、Callで設定してみる

デモコンソールでは、着信をシミュレーションで体験できます。

関連記事