中小企業の電話対応を効率化する方法|少人数でも回る仕組み
社員が数人から数十人の会社では、電話対応のために専任の担当者を置く余裕がないことがほとんどです。営業担当が外出中にかかってきた電話を事務の担当者が受け、経理の担当者が手を止めて伝言を書き、社長が自ら受話器を取ることもあります。電話が鳴るたびに誰かの仕事が中断され、伝言のメモが机の上にたまっていく。そうした状態が、気づかないうちに当たり前になっている会社は少なくありません。
電話対応を効率化しようとすると、すぐに「AIを入れる」「電話代行を頼む」といった大きな手段に目が向きがちです。しかし、少人数の会社でまず効果が出やすいのは、もっと手前にある工夫です。誰が、どの電話に、どの順番で出るのかを決める。電話の用件を入口で振り分ける。伝言の書き方をそろえる。こうした仕組みを整えるだけで、電話による中断や取りこぼしは目に見えて減ります。
この記事では、少人数の会社で電話が負担になる理由を整理し、電話対応の業務を分解して見直す方法、まず整えたい着信のルール、IVRとルーティングによる振り分け、通話要約による共有の手間の削減、そしてAIの一次応答を加えるタイミングまでを、順を追って解説します。最後に、一週間で始められる実行プランも紹介します。
少人数の会社で電話が負担になる理由
まず、なぜ少人数の会社では電話が負担になりやすいのかを整理しておきます。原因がわかれば、どこから手をつけるべきかも見えてきます。
電話番が「全員」になっている
専任の担当者がいない会社では、電話に出るのは「手が空いている人」になりがちです。ところが、少人数の会社で本当に手が空いている人はほとんどいません。結果として、誰もが少しずつ電話に出て、誰もが少しずつ仕事を中断されることになります。
電話番が全員ということは、言い換えれば、電話の責任者が誰もいないということでもあります。出られなかった電話を誰が確認するのか、伝言を受けた用件を誰が追いかけるのかがあいまいになり、対応の漏れが起きやすくなります。
一本の電話が複数の人の時間を使う
外部からの電話が、担当者に届くまでに何人もの手を経ることがあります。最初に出た人が用件を聞き、担当者を探し、不在であれば伝言を書き、担当者が戻ったら伝言を渡し、担当者が折り返す。一本の電話のために、二人、三人の時間が使われています。
伝言の質がばらつく
電話を受けた人によって、伝言の書き方はまちまちです。名前だけで会社名がない、折り返し先の番号が抜けている、用件が「お電話ありました」としか書かれていない。伝言の質が低いと、担当者は折り返す前に確認の手間をかけることになり、相手にも同じことを聞き直すことになります。
外出や在宅勤務で、会社の電話に出られる人が少ない
営業担当が外出していたり、社員が在宅で働いていたりすると、会社の固定電話の近くにいる人は限られます。会社にいる一人か二人に電話が集中し、その人の本来の仕事が進まなくなる、ということが起こります。
電話の実態が見えていない
一日に何本の電話がかかってきて、そのうち何本に出られなかったのか。どの用件が多く、どの時間帯に集中しているのか。こうした実態を把握している中小企業は多くありません。実態が見えていないと、どこに手を打てばよいかもわかりません。
電話対応の業務を分解する
電話対応を効率化する第一歩は、「電話に出る」という一つの仕事に見えるものを、細かい作業に分解してみることです。分解すると、どの作業に時間がかかっているのか、どの作業なら仕組みで置き換えられるのかが見えてきます。
電話対応を構成する六つの作業
- 出る:電話が鳴ったときに、誰かが受話器を取る。
- 聞き分ける:相手が誰で、何の用件なのかを聞き取る。
- 答える・つなぐ:自分で答えられる用件なら答え、担当者が必要なら担当者につなぐ。
- 記録する:担当者が不在の場合や、後で対応が必要な場合に、内容を書き留める。
- 共有する:記録した内容を、担当者や関係者に伝える。
- 折り返す・対応する:担当者が、相手に連絡したり、必要な対応をしたりする。
どの作業を仕組みに任せられるか
六つの作業のうち、仕組みに任せやすいものと、人が担うべきものを分けてみます。
| 作業 | 仕組みでできること | 人が担うこと |
|---|---|---|
| 出る | 自動の案内で最初に応答する | 人が直接出るべき電話に出る |
| 聞き分ける | 番号の選択で用件を分ける | 複雑な用件の聞き取り |
| 答える・つなぐ | 決まった答えの案内、担当者への転送 | 個別の質問への回答、判断 |
| 記録する | 留守番電話、通話の録音・文字起こし・要約 | 記録の確認 |
| 共有する | 記録を担当者が見られる場所に届ける | 必要な補足 |
| 折り返す・対応する | 折り返しの依頼を一覧にする | 実際の折り返し、確定 |
この表を見ると、「出る」「聞き分ける」「記録する」「共有する」の部分は、仕組みで負担を減らせる余地が大きいことがわかります。一方、個別の判断や、予約・契約の確定、実際の折り返しは、人が担う必要があります。
自社の電話を分解してみる
自社の電話対応について、六つの作業ごとに、誰が、どれくらいの時間をかけているかを書き出してみましょう。正確な時間でなくてかまいません。「出る」のは誰か、「記録する」のはどんな方法か、「共有する」のはメモか口頭かチャットか、といったことを書き出すだけでも、改善すべき点が見えてきます。

まず整えたい着信ルール
仕組みを入れる前に、まず社内の着信のルールを整えましょう。費用をかけずに始められ、効果も出やすい部分です。
ルール1:一次受けの順番を決める
電話が鳴ったときに、誰が最初に出るのかを決めます。「手が空いている人」ではなく、具体的な順番を決めることがポイントです。
例
- 午前は事務のAさんが一次受け。Aさんが出られなければBさん。
- 午後はBさんが一次受け。Bさんが出られなければAさん。
- 昼休みは交代で一人が残る。または、自動の案内に切り替える。
一次受けの担当を決めておくと、他の人は電話を気にせずに自分の仕事に集中できます。担当者は、電話に出ることも仕事の一部として、時間を確保できます。
ルール2:何回鳴ったら次の人が出るかを決める
一次受けの担当者が出られないとき、何回鳴ったら次の人が出るのかを決めておきます。決めておかないと、全員が「誰かが出るだろう」と思って、結局誰も出ないまま切れてしまう、ということが起こります。
ルール3:伝言の項目をそろえる
担当者が不在のときの伝言は、項目をそろえておきます。次の項目を印刷したメモ用紙を電話の横に置いておくだけでも、伝言の質は大きく上がります。
伝言メモの項目の例
- 受けた日時
- 相手の会社名・名前(読み)
- 折り返し先の電話番号
- 用件(できるだけ具体的に)
- 急ぎかどうか、折り返しの希望の時間
- 受けた人の名前
ルール4:伝言の置き場所を一つにする
伝言を担当者の机に置く、チャットで送る、口頭で伝える、と方法がばらばらだと、伝言が埋もれたり、伝え忘れたりします。伝言は一つの場所(共有の一覧、チャットの決まったチャンネルなど)に集めるようにしましょう。対応が済んだら、済んだことがわかるように印をつけます。
ルール5:担当者の不在情報を共有する
誰が外出中で、何時に戻るのかが一次受けの担当者にわかっていれば、相手に「○時に戻る予定です」と伝えられます。共有の予定表や、ホワイトボードで、不在の情報を見られるようにしておきましょう。
ルール6:答えてよいことを決める
一次受けの担当者が、その場で答えてよいことを決めておきます。営業時間、所在地、担当者の不在の予定、資料の送付の受け付けなど、誰が答えても同じになる内容は、一次受けで完結させます。一方、見積もりや契約の条件など、担当者が答えるべき内容は、無理に答えずに伝言にします。
チェックリスト:着信ルール
- [ ] 時間帯ごとの一次受けの担当と、代わりの担当を決めた
- [ ] 何回鳴ったら次の人が出るかを決めた
- [ ] 伝言の項目をそろえたメモを用意した
- [ ] 伝言の置き場所を一つにした
- [ ] 担当者の不在情報を共有する方法を決めた
- [ ] 一次受けで答えてよいことを決めた
IVRとルーティングで振り分ける
着信のルールを整えたら、次は仕組みの力を借りて、電話の振り分けを自動化することを考えます。少人数の会社で特に効果が大きいのが、IVR(自動音声応答)とルーティング(着信の振り分け)です。IVRの基本は、IVRとはの記事で解説しています。
IVRで用件を入口で分ける
IVRを使うと、電話がつながった時点で、かけてきた人に番号を押してもらい、用件ごとに電話を振り分けられます。
少人数の会社のメニュー例「お電話ありがとうございます。○○株式会社です。製品・サービスのお問い合わせは1番。ご注文やお取引に関するご連絡は2番。その他のご用件は3番を押してください。」
1番は営業担当のグループ、2番は事務担当、3番は一次受けの担当、というように振り分ければ、最初に出た人が担当者を探して転送する手間がなくなります。
担当者の名前で呼び出す
取引先からの電話は、担当者が決まっていることが多いものです。担当者の名前で呼び出せるディレクトリの機能があれば、取引先は代表の窓口を経由せずに、担当者に直接つながれます。一次受けの担当者が電話を取り次ぐ回数が減ります。
営業時間で切り替える
営業時間外や昼休みに、自動で案内を切り替える設定をしておくと、時間外の電話に誰かが出る必要がなくなります。時間外には、営業時間を案内し、メッセージを残してもらう、という流れが基本です。
グループで受ける
同じ用件を受けられる人が複数いる場合は、グループで電話を受ける設定にしておくと、手の空いている人に順番に、または同時に着信させられます。一人に電話が集中するのを防げます。
外出先や在宅でも受ける
ブラウザで電話を受けられるソフトフォンなどの仕組みを使えば、外出先や在宅でも会社の番号への電話を受けられます。会社にいる人だけに電話が集中する状態を和らげられます。
振り分けを設計するときの注意
- メニューの選択肢は多くても五つ程度にする
- どの選択肢にも当てはまらない人のための道を用意する
- 振り分け先の担当者が出られなかったときの行き先(別の担当者、留守番電話、折り返しの依頼)を決めておく
- 実際に電話をかけて、案内のわかりやすさを確認する

通話要約で共有の手間を減らす
電話を受けたあとの「記録する」「共有する」作業は、外からは見えにくいものの、積み重なると大きな負担になります。通話の文字起こしや要約を使うと、この負担を減らせます。
通話要約で変わること
AIによる通話要約は、通話の内容を文字に起こし、要点を短くまとめる仕組みです。少人数の会社では、次のような場面で役に立ちます。
- 伝言を書く手間が減る:電話を受けた人が一から伝言を書く代わりに、要約を確認して必要な点を補うだけで済みます。
- 担当者が経緯をすぐにつかめる:担当者は、要約を読めば、誰が何の用件で電話してきたのかをすぐに把握できます。
- 言った・言わないを防げる:後から通話の内容を確認できるため、伝え漏れや認識の違いに気づきやすくなります。
- 留守番電話を聞き返さなくてよい:留守番電話のメッセージも文字で確認できれば、一件ずつ再生する手間が省けます。
要約を使うときのルール
要約は便利ですが、AIが作ったものなので、聞き間違いや要点の取りこぼしが起こることがあります。次のルールを決めておきましょう。
- 名前、電話番号、日時、金額などの大事な情報は、文字起こしや録音で確認してから使う
- 要約を誰が確認し、必要に応じて直すのかを決める
- 要約をどこに保存し、誰が見られるようにするかを決める
通話要約の使い方の詳細は、AI通話要約の記事で解説しています。
共有の場所を一つにまとめる
要約や伝言、留守番電話のメッセージが、それぞれ別の場所にあると、確認の漏れが起きます。電話に関する記録は、担当者が一か所で確認できるようにまとめておくのが理想です。
AIの一次応答を足すタイミング
着信のルール、IVRとルーティング、通話要約を整えると、多くの中小企業では、電話の負担がかなり軽くなります。そのうえで、さらにAIの一次応答を加えるかどうかを検討します。
AIの一次応答が役に立つ場面
AIの一次応答は、かけてきた人の話を聞き取り、用件を整理したり、決まった答えを案内したりする仕組みです。次のような状況では、加える価値があります。
- IVRのメニューで分けきれないほど、用件の種類が多い
- 営業時間外の電話で、用件を詳しく聞き取っておきたい
- 決まった答えのある問い合わせが多く、一次受けの担当者の負担になっている
- 番号を押す操作が、かけてくる人にとって負担になっている
まだ早いかもしれない場面
一方で、次のような状況では、AIの一次応答を加える前に、他の部分を整えるほうが先かもしれません。
- 着信のルールや伝言の置き場所が決まっていない
- 記録を確認して折り返す担当者が決まっていない
- AIが参照する情報(営業時間、よくある質問の答え)がまとまっていない
- 電話の大半が、個別の判断が必要な相談である
AIの一次応答は、土台となるルールと仕組みが整っていて初めて力を発揮します。土台がないまま加えると、AIが受けた用件が誰にも確認されない、といった事態になりかねません。
加えるときの注意点
AIの一次応答を加える場合は、次の点を守りましょう。
- 予約や契約の確定、専門的な判断はAIに任せず、人が行う
- 登録した情報にないことは、推測で答えずに担当者への引き継ぎを案内する
- 「人と話したい」という希望には、必ず応えられる道を用意する
- 最初は営業時間外など、範囲を絞って始める
AIの一次応答の仕組みはAI電話受付とはで、AIに任せてはいけないことはAI電話受付にできないことで詳しく解説しています。AI-SNS.IO CallでAIの一次応答がどこまで利用できるかは、機能一覧で最新の状況を確認してください。
一週間で始める実行プラン
ここまでの内容を、一週間で始められる実行プランにまとめました。少人数の会社でも、無理なく進められるように、一日ごとの作業を小さくしています。
一日目:電話の実態を記録し始める
電話の横に記録用の紙を置き、かかってきた電話の時刻、用件の大まかな分類、出られたかどうかを記録し始めます。電話の仕組みに着信の記録が残っている場合は、それを確認する方法を調べておきます。
二日目:一次受けの担当を決める
時間帯ごとの一次受けの担当と、代わりの担当を決め、社内に伝えます。何回鳴ったら次の人が出るかも決めます。
三日目:伝言のルールを整える
伝言メモの項目を決めて印刷し、電話の横に置きます。伝言を集める場所を一つに決め、対応済みの印のつけ方も決めます。
四日目:答えてよいことをまとめる
営業時間、所在地、担当者の不在の予定の伝え方など、一次受けで答えてよいことを一枚の紙にまとめ、電話の横に置きます。
五日目:振り分けのメニューを考える
三日間の記録をもとに、よくある用件を三つから五つに分類し、IVRのメニューの案を作ります。振り分け先の担当者と、出られなかったときの行き先も決めます。
六日目:時間外の案内を決める
営業時間外と昼休みの案内の文章を作ります。営業時間、相手にしてほしいこと(メッセージを残すなど)、折り返しの目安を入れます。
七日目:振り返る
一週間の記録を見返し、出られなかった電話の件数、多かった用件、集中した時間帯を確認します。一次受けや伝言のルールで困ったことがなかったかを話し合い、翌週からの仕組みの導入(IVR、営業時間の切り替え、通話要約など)の計画を立てます。
そのまま使える電話記録表
一週間の実行プランの一日目に使う記録表の例です。紙に印刷しても、共有の表計算に作ってもかまいません。
| 時刻 | 用件の分類 | 出た人 | 対応 | 折り返し | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9:12 | 注文 | A | その場で完了 | ― | ― |
| 9:40 | 製品の相談 | ― | 出られず | B が 11:05 に折り返し | 留守番電話あり |
| 10:15 | 営業 | A | お断り | ― | ― |
用件の分類は、最初から細かく分けず、「注文・取引」「問い合わせ」「担当者の指名」「営業」「その他」程度で十分です。対応の欄には、「その場で完了」「担当者に転送」「伝言」「出られず」のいずれかを書きます。
一週間たったら、次の数を数えます。
- 全体の件数と、出られなかった件数
- 用件の分類ごとの件数
- 「その場で完了」だった件数(自動の案内で完結できる候補)
- 時間帯ごとの件数(午前・昼休み・午後・時間外)
- 折り返しまでにかかった時間の長いもの
この五つの数があれば、どの時間帯に人手が足りないのか、どの用件を自動の案内に回せそうか、どの用件をグループで受けるべきかが判断できます。
一次受けの担当者を孤立させない工夫
一次受けの担当を決めると、その人に電話の負担が集中します。担当者が一人で抱え込まないように、次の工夫をしておきましょう。
- 交代の時間を決める:一日中同じ人が担当するのではなく、午前と午後で交代するなど、負担を分けます。
- 困ったときの相談先を決める:答えに迷う電話、強い不満を示す電話を受けたときに、誰に相談すればよいかを決めておきます。
- 担当の時間は、他の仕事を減らす:一次受けの担当の時間帯には、集中が必要な仕事を入れないように配慮します。
- 振り返りで声を聞く:一次受けの担当者が感じている困りごとを、定期的に聞く場を設けます。電話の仕組みの改善のヒントは、たいてい担当者の困りごとの中にあります。
規模別の組み立て例
会社の規模や働き方によって、電話の仕組みの組み立て方は変わります。ここでは、架空の三つの会社を例に、組み立て方の考え方を紹介します。いずれも説明のための例であり、実際の構成は電話の実態に合わせて調整してください。
例1:社員三人の事務所
状況:代表と、実務担当が二人。全員が外出や来客対応をすることがあり、事務所に誰もいない時間もある。電話は一日に十本前後で、問い合わせと取引先からの連絡が半々。
組み立て方
- 事務所の電話は、ブラウザのソフトフォンなどで全員が受けられるようにし、事務所にいなくても出られるようにする。
- 着信は三人に同時に鳴らし、最初に出た人が対応する。
- 誰も出られなかった電話は留守番電話に回し、メッセージを文字起こしで全員が確認できるようにする。
- 営業時間外と、全員が出られない時間帯は、自動の案内で営業時間を伝え、メッセージを残してもらう。
- 留守番電話の確認と折り返しは、午前と午後に一回ずつ、当番を決めて行う。
ポイント:人数が少ないため、メニューで細かく振り分けるより、全員で受けられるようにして、出られなかった電話を確実に拾う仕組みを優先します。
例2:社員十人の製造業
状況:営業三人、事務二人、製造五人。営業は外出が多い。電話は一日に三十本前後で、取引先からの注文・納期の問い合わせが多い。製造の担当者は電話に出られない。
組み立て方
- IVRで「ご注文・納期のお問い合わせは1番、製品についてのご相談は2番、その他は3番」と振り分ける。
- 1番は事務の二人のグループに着信させる。
- 2番は営業のグループに着信させ、出られなければ折り返しの依頼として記録する。
- 担当者の名前で呼び出せるディレクトリを用意し、取引先が担当の営業に直接つながれるようにする。
- 製造の担当者には電話が鳴らないようにし、必要なときは事務から連絡する。
- 通話要約を使い、営業が外出先からでも問い合わせの内容を確認できるようにする。
ポイント:電話に出られる人と出られない人をはっきり分け、出られる人に用件ごとに振り分けます。
例3:社員二十人のサービス業
状況:店舗の受付が二人、本部の事務が三人、ほかは現場のスタッフ。お客様からの予約や問い合わせが一日に五十本前後あり、昼と夕方に集中する。
組み立て方
- IVRで「ご予約・予約の変更は1番、営業時間や場所のご案内は2番、その他は3番」と振り分ける。
- 2番は自動の案内で完結させる。
- 1番は受付のグループに着信させ、混み合ったときは折り返しの依頼を選べるようにする。予約の確定は受付のスタッフが行う。
- 3番は本部の事務に着信させる。
- 営業時間外は、予約の希望を留守番電話で受け付け、翌朝受付のスタッフが折り返す。
- 電話が集中する時間帯の記録を見て、受付の人数を調整する。
ポイント:決まった答えの問い合わせを自動で完結させ、受付のスタッフが予約の電話に集中できるようにします。
電話の負担を数字で把握する
仕組みを整えたら、その効果を数字で確認しましょう。少人数の会社でも、次のような簡単な数字を見ておくだけで、改善が進んでいるかがわかります。
- 着信の件数:一日や一週間あたり、何本の電話がかかってきているか。
- 出られなかった電話の件数:そのうち、誰も出られなかった電話は何本か。
- 折り返しまでの時間:伝言や留守番電話を受けてから、折り返すまでにどれくらいかかっているか。
- 用件の内訳:どの用件が多いか。自動で完結できた電話はどれくらいか。
- 時間帯ごとの件数:どの時間帯に電話が集中しているか。
数字は、仕組みを入れる前と後で比べます。出られなかった電話が減った、折り返しが早くなった、といった変化が見えれば、仕組みが効いていることがわかります。変化が見えなければ、どこに問題があるのかを記録から探り、設定を見直します。電話の窓口で使われる指標については、コールセンターのKPI一覧でも整理しています。
中小企業の電話対応の効率化を、社内で進める段取り
電話の仕組みを変えると、社内の多くの人の働き方が変わります。少人数の会社ほど、一人ひとりへの影響が大きいため、進め方にも気を配りましょう。
進める役を一人決める
効率化を進める役を一人決めます。社長が兼ねてもかまいませんが、実際に電話を受けている人の中から選ぶと、現場の感覚に合った設計になりやすくなります。進める役は、記録を集め、案を作り、社内の意見をまとめ、設定を進めます。
「なぜ変えるのか」を共有する
仕組みを変える前に、なぜ変えるのかを社内で共有します。「電話のたびに仕事が止まっている」「出られなかった電話が週に何本もある」といった、記録から見えた事実をもとに話すと、納得を得やすくなります。
変わることと、変わらないことを伝える
新しい仕組みで何が変わるのか(一次受けの担当、伝言の置き場所、電話の振り分け方など)と、何が変わらないのか(お客様への丁寧な対応、担当者が責任を持って折り返すことなど)を伝えます。変わらないことを伝えると、社員の不安が和らぎます。
試す期間を決める
新しいルールや仕組みは、「まず一か月試してみる」と期間を区切って始めると、社員も受け入れやすくなります。期間の終わりに振り返りの場を設け、続けるか、直すかを話し合います。
新しく入った社員に伝える
新しく入った社員には、電話のルールを最初に伝えましょう。一次受けの担当の順番、伝言の項目と置き場所、答えてよいことと担当者に回すこと、言い回しの例などを一枚にまとめておくと、教える手間が減り、対応もそろいます。
電話以外の窓口との分担
電話の負担を減らすには、電話以外の窓口とうまく分担することも大切です。
ホームページによくある質問を載せる
営業時間、所在地、よくある質問の答えなどをホームページに載せておけば、電話をかける前に答えを見つけられる人が増えます。電話の記録から多い質問を見つけて、ホームページに追加していきましょう。電話の自動の案内と、ホームページの内容がそろっていることも大切です。
問い合わせフォームを用意する
急ぎでない問い合わせは、問い合わせフォームで受け付けると、担当者が手の空いたときに対応できます。電話の自動の案内で「急ぎでないお問い合わせは、ホームページのお問い合わせフォームからも承っています」と伝えるのも一つの方法です。
窓口が増えたら、まとめて見る
電話、メール、問い合わせフォーム、チャットなど、窓口が増えると、どこに何の問い合わせが来たのかを把握するのが難しくなります。複数の窓口の問い合わせを一か所で確認できるようにしておくと、対応の漏れを防げます。AI-SNS.IO Callには、設定した窓口の問い合わせをまとめて扱える受信箱の機能があります。対応している窓口は機能一覧で確認してください。
窓口ごとの役割を決める
すべての窓口で同じことを受け付ける必要はありません。急ぎの用件は電話、急ぎでない問い合わせはフォーム、よくある質問はホームページ、というように役割を決めて案内すると、お客様も迷いにくくなります。電話の体験全体を良くする考え方は、電話の顧客体験を良くするポイントで紹介しています。
よくある失敗と防ぎ方
仕組みを入れたのに、ルールを決めていない
IVRや留守番電話を入れても、メッセージを誰が確認し、誰が折り返すのかを決めていなければ、記録がたまる一方になります。仕組みとルールは必ずセットで整えましょう。
メニューを細かく分けすぎる
少人数の会社で、部署ごとや担当者ごとに細かくメニューを分けると、振り分け先の担当者が不在で、結局誰も出られない、ということが起こります。少人数のうちは、メニューは大まかに分け、グループで受けるほうがうまくいきます。
外出中の社員に電話が回らない
外出の多い社員に電話を振り分けても、会社の固定電話にしか着信しなければ意味がありません。外出先でも受けられる仕組みを用意するか、外出中は折り返しの依頼として記録する流れにしましょう。
一度設定して見直さない
社員の入れ替わり、営業時間の変更、新しいサービスの開始などで、電話の流れは変わります。三か月に一度など、定期的に設定と記録を見直す時間を取りましょう。
クラウドの電話に切り替えるときの確認項目
IVRやソフトフォン、通話要約などを使うために、会社の電話をクラウドの電話サービスに切り替えることを検討する場合もあるでしょう。切り替えの前に、次の項目を確認しておくと、後で困ることを防げます。
電話番号
- 今使っている電話番号を、そのまま使い続けられるか。サービスや回線の種類によって異なるため、事前に必ず確認します。
- 新しい番号を使う場合、取引先やお客様への周知、名刺やホームページの書き換えをどう進めるか。
端末と働き方
- 社員がどの端末(パソコン、スマートフォン、固定の電話機)で電話を受けるか。
- 外出先や在宅でも受ける必要があるか。
- ヘッドセットなど、必要な機器はそろっているか。
通信の環境
- 事務所のインターネット回線は、通話に十分な安定性があるか。
- 通信が途切れたときや停電のときに、電話をどう受けるか(転送先、留守番電話など)。
設定と管理
- メニューや営業時間、振り分けの設定を、社内の誰が担当するか。
- 社員の入れ替わりのときに、アカウントの追加や削除を誰が行うか。
- 通話の記録を、誰がどこまで見られるようにするか。
費用の考え方
- 月々の利用料と、通話の量に応じた料金がどうかかるか。
- 今の電話の費用と比べて、どう変わるか。
これらを一覧にして、サービスの説明や問い合わせで確認していきましょう。少人数の会社では、設定や管理の担当者の負担が大きくならないか、という点も大切な判断材料になります。
AI-SNS.IO Callでできること
AI-SNS.IO Callでは、IVRのメニューと着信のルーティング、営業時間に合わせた応答の切り替え、キュー(グループ)での着信、キューごとの留守番電話、IVRのメニューからの折り返しの依頼、担当者の名前で呼び出すディレクトリ、ブラウザで電話を受けられるソフトフォン、AIによる通話の要約などを組み合わせて、この記事で紹介した仕組みを作れます。設定の手順は使い方ガイドで、利用できる機能は機能一覧で確認できます。実際に試してみたい場合は、アカウント登録から始められます。
一次受けの担当者のための言い回し集
一次受けの担当を決めても、慣れない人にとっては、どう受け答えすればよいか迷う場面があります。よくある場面の言い回しを用意しておくと、担当者の負担が軽くなり、対応の質もそろいます。
担当者が外出しているとき
「申し訳ございません。担当の○○はただいま外出しており、○時ごろに戻る予定です。戻りましたら折り返しお電話いたしましょうか。」
戻りの時刻がわからない場合は、「本日中に折り返すよう申し伝えます」のように、守れる範囲で伝えます。
担当者が会議中・電話中のとき
「申し訳ございません。○○はただいま別の電話に出ております。終わり次第、折り返しお電話するよう申し伝えます。お電話番号をお聞かせいただけますか。」
誰が担当かわからないとき
「確認のうえ、担当の者から折り返しご連絡いたします。差し支えなければ、ご用件を簡単にお聞かせいただけますか。」
用件を聞いておくと、社内で担当者を探しやすくなり、折り返しの電話も短く済みます。
答えられない質問を受けたとき
「申し訳ございません。その件は担当の者からご案内いたします。折り返しのお電話でよろしいでしょうか。」
一次受けの担当者が、見積もりや契約の条件などを推測で答えないことが大切です。
営業の電話を受けたとき
「ご案内ありがとうございます。恐れ入りますが、資料をお送りいただけますでしょうか。必要がございましたら、こちらからご連絡いたします。」
断り方を決めておくと、一次受けの担当者が長電話に付き合わずに済みます。
伝言を受けたあとの復唱
「確認いたします。○○株式会社の△△様、お電話番号は…、ご用件は□□の件で、本日中の折り返しをご希望ですね。担当の○○に申し伝えます。私、××が承りました。」
最後に復唱し、受けた人の名前を伝えると、相手は安心でき、伝言の誤りにも気づけます。
よくある質問
少人数の会社で、まず何から始めればよいですか?
まず、電話の実態を一週間ほど記録し、時間帯ごとの一次受けの担当を決めることから始めましょう。伝言の項目をそろえ、伝言の置き場所を一つにするだけでも、対応の漏れは減ります。費用をかけずに始められるうえ、後で仕組みを入れるときの土台にもなります。
IVRは小さな会社にも必要ですか?
必須ではありませんが、電話を受けた人が担当者を探して取り次ぐ手間が負担になっているなら、効果が期待できます。少人数のうちは、メニューを大まかに三つ程度に分け、振り分け先をグループにしておくと、担当者の不在で誰も出られない、という事態を防ぎやすくなります。
外出の多い社員が電話に出られるようにするには?
ブラウザで電話を受けられるソフトフォンなどを使えば、外出先や在宅でも会社の番号への電話を受けられます。外出中で出られない場合は、折り返しの依頼として記録し、通話要約や留守番電話の文字起こしで内容を確認できるようにしておくと、戻ってからの対応がスムーズになります。
伝言の漏れを防ぐにはどうすればよいですか?
伝言の項目をそろえたメモを使う、伝言の置き場所を一つにする、対応済みの印をつける、という三つのルールが基本です。留守番電話や通話要約を使う場合も、記録を一か所で確認できるようにし、誰がいつ確認するかを決めておきましょう。
電話代行を使うべきか迷っています。
電話代行は、電話を受ける部分を外部に任せられる一方、報告を受けて折り返すのは自社です。まずは着信のルールやIVRで社内の負担を減らし、それでも出られない電話が多い場合に、電話代行やAI電話受付を検討するとよいでしょう。比較の観点は、電話代行とAI電話受付の違いで紹介しています。
AIの一次応答はいつ導入すればよいですか?
着信のルール、振り分け、記録の確認と折り返しの担当が整ってからがおすすめです。そのうえで、用件の種類が多くメニューで分けきれない、時間外の用件を詳しく聞き取りたい、決まった問い合わせが一次受けの負担になっている、といった状況があれば、導入を検討する価値があります。
昼休みの電話はどうすればよいですか?
交代で一人が残る、自動の案内に切り替える、のどちらかを決めておきましょう。自動の案内に切り替える場合は、午後の受付の開始時刻を伝え、急ぎでない用件はメッセージを残してもらうよう案内します。昼休み明けに、誰が留守番電話を確認するかも決めておきます。
電話の件数を減らす方法はありますか?
よくある問い合わせの答えをホームページに載せておく、取引先には担当者の連絡先を伝えておく、営業時間や所在地は自動の案内で完結させる、といった工夫で、人が出る必要のある電話を減らせます。記録から多い用件を見つけ、電話以外の手段で解決できないかを考えてみましょう。
通話の要約は、どこまで信用してよいですか?
要約はAIが作った下書きと考え、名前、電話番号、日時、金額などの大事な情報は、文字起こしや録音で確かめてから使いましょう。要約を誰が確認するかを決めておくと、誤りに気づきやすくなります。
仕組みを入れたあと、どれくらいの頻度で見直せばよいですか?
最初の一か月は毎週、その後は三か月に一度程度を目安に、設定と記録を見直しましょう。社員の入れ替わり、営業時間の変更、新しいサービスの開始など、電話の流れが変わるきっかけがあったときも、見直しのタイミングです。
電話の録音をしてもよいですか?
録音する場合は、そのことを相手にどう伝えるか、誰が録音を聞けるか、どれくらいの期間残すかを決めておきましょう。最初の案内で録音していることを伝える方法が一般的です。個人情報の扱いについては、個人情報保護委員会の情報も参考にしてください。
一次受けの担当者が休みの日はどうすればよいですか?
代わりの担当者を、時間帯ごとの順番とあわせて決めておきましょう。担当者が休みの日だけ、着信をグループで受ける設定に切り替える、自動の案内で用件を振り分ける、といった方法もあります。誰が代わりを務めるのかを、前日までに社内で共有しておくと安心です。
取引先からの電話を担当者に直接つなぐには?
担当者の名前で呼び出せるディレクトリを用意する、担当者ごとの番号や内線を取引先に伝えておく、といった方法があります。取引先が代表の窓口を経由しなくて済むようになれば、一次受けの担当者が取り次ぐ回数が減ります。担当者が不在のときの行き先(留守番電話や折り返しの依頼)も決めておきましょう。
電話に出たくない社員がいる場合はどうすればよいですか?
電話対応が苦手な社員に無理に一次受けを任せると、本人の負担が大きくなり、対応の質も下がりがちです。一次受けの担当は、電話対応が得意な人や、業務の性格上電話に出やすい人を中心に決め、苦手な人には伝言の確認や折り返しなど、別の形で関わってもらう方法もあります。言い回し集を用意しておくと、苦手意識が和らぐこともあります。
AI-SNS.IO Callは小さな会社でも使えますか?
AI-SNS.IO Callは、IVR、着信のルーティング、営業時間の切り替え、グループでの着信、留守番電話、折り返しの依頼、ディレクトリ、ソフトフォン、通話の要約などを、自社で組み合わせて設定できるクラウドの電話サービスです。利用できる機能は機能一覧で確認してください。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。
まとめ
少人数の会社で電話が負担になるのは、電話番が全員になっていて、一本の電話が複数の人の時間を使い、伝言の質がばらつき、電話の実態が見えていないからです。効率化の第一歩は、電話対応を「出る」「聞き分ける」「答える・つなぐ」「記録する」「共有する」「折り返す」の六つの作業に分解し、どこに時間がかかっているかを知ることです。
そのうえで、一次受けの担当と伝言のルールを決め、IVRとルーティングで入口から振り分け、通話要約で記録と共有の手間を減らします。AIの一次応答は、この土台が整ってから加えると、力を発揮しやすくなります。どの段階でも、予約や契約の確定、個別の判断は人が担います。
まずは、この記事の一週間の実行プランから始めてみてください。電話の実態が見え、ルールが整えば、少人数でも無理なく回る電話の受け方が形になっていきます。



