業種別ガイド

自動車整備のAI電話対応|車検・修理予約

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

自動車整備のAI電話対応|車検・修理予約(AI-SNS.IO Call ブログ)

自動車整備工場の電話は、整備士の手がふさがっているときに限って鳴ります。車の下にもぐってオイルの交換をしているとき、エンジンの部品を外しているとき、油で汚れた手袋をしているとき。工場の中はエアの工具やコンプレッサーの音で騒がしく、電話の呼び出し音に気づかないこともあります。事務所の受付に人がいる工場でも、受付の職員は来店のお客様の対応や、部品の発注、請求書の作成で忙しくしています。

一方で、電話をかけてくるお客様の用件は、急ぎ具合がさまざまです。「来月の車検の予約をしたい」という電話もあれば、「エンジンから異音がする、このまま走って大丈夫か」「出先で車が動かなくなった」という電話もあります。タイヤの交換の時期には、予約の電話が一度に集中します。電話に出られないと、予約の機会を逃すだけでなく、困っているお客様を不安なまま待たせることになります。

この記事では、自動車整備工場の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や繁忙期の受け方、設計の例、整備士や受付への引き継ぎ、個人情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。故障の診断や修理の見積もりは整備士が実際に車を見て行うこと、作業の予約は工場が確かめてから確定することを前提に、自動化してよい範囲を考えます。

自動車整備工場の電話対応で起きがちな課題

作業中は電話に出られない

整備の作業は、一度手を止めると、工具を置き、手袋を外し、手を拭いて、という手間がかかります。作業の途中で電話に出ると、作業に戻ったときに手順を確認し直す必要もあります。安全にかかわる作業の途中で気がそれることは、整備の品質の面でも避けたいところです。少人数の工場では、整備士が受付を兼ねていることも多く、作業中の電話は鳴りっぱなしになるか、作業を止めて出るかのどちらかになりがちです。

車検の予約は、期限と工場の空きの両方を見る必要がある

車検は、有効期間の満了の日までに受ける必要があります。お客様は「車検が切れる前に」と電話をかけてきますが、工場の側では、作業の場所や整備士の空き、代車の空きを確認して、日程を決める必要があります。その場ですぐに答えられないことも多く、折り返しになります。

故障の相談は、電話だけでは判断できない

「エンジンから変な音がする」「警告灯がついた」という相談は、電話で聞いただけでは原因が分かりません。整備士が実際に車を見る必要があります。それでも、お客様は「このまま走っても大丈夫か」を知りたがります。電話で安易に「大丈夫です」と答えると、後で大きな故障や事故につながるおそれがあります。

季節ごとに予約の電話が集中する

雪の降る地域では、冬のタイヤへの交換の時期と、春に戻す時期に、予約の電話が集中します。車検の時期が年度の変わり目に重なる工場もあります。こうした時期は作業も忙しく、電話に出られる人がいなくなります。

修理の進み具合の問い合わせ

修理で車を預かっているお客様からは、「いつ終わりますか」「部品は届きましたか」という問い合わせが入ります。仕事や送り迎えで車を使う予定のあるお客様ほど、気になって何度も電話をかけてきます。担当の整備士でないと答えられないことが多く、作業の手を止める原因になります。

課題の整理

課題起きること対策の方向
作業中に出られない予約の機会を逃す、作業が中断する決まった答えは自動、予約はボイスメールで用件を受けて折り返す
車検の日程の調整その場で答えにくい満了の日と希望を聞き取り、工場が確かめて確定
故障の相談電話では判断できない安全を優先する案内をし、整備士が車を見て判断
季節の集中電話がつながらない臨時の案内とインターネットの予約の案内
進み具合の問い合わせ作業の手が止まる進み具合を先回りして連絡する

少人数の事業所の電話の整え方は、小さな会社の電話対応で紹介している考え方も役立ちます。

走行中の故障、故障の相談、車検の予約、点検や交換の予約、見積もりの相談、預かり中の車の対応の比較
図1:自動車整備工場の電話の分類

よくある問い合わせの分類

分類の考え方

自動車整備工場の電話は、「安全にかかわるか」と「予約か、相談か」で分けると、優先の順番と任せる範囲が決めやすくなります。

分類例急ぐか対応
走行中の故障・動かない出先で動かなくなった、ブレーキの様子がおかしい最も急ぐ安全を優先する案内。受付や整備士にすぐつなぐ
故障の相談異音がする、警告灯がついた急ぐ受付、または手の空いている整備士。出られなければ急ぎの聞き取り
車検の予約来月の車検を受けたい急がない(満了の日による)聞き取り、工場が確かめて確定
点検・タイヤ交換・オイル交換の予約来週オイルを替えたい急がない聞き取り、工場が確かめて確定。インターネットの予約の案内
修理の見積もりの相談ぶつけたところを直したい急がない来店の日時を決める。見積もりは車を見てから
預かり中の車の問い合わせいつ終わるか、部品は届いたか内容による担当の整備士、または受付
決まった答え営業時間、定休日、場所、代車の有無、支払いの方法急がない自動の案内
保険会社・部品の業者保険の修理の確認、部品の納期内容による受付、または担当

走行中の故障の連絡で伝えること

出先で車が動かなくなった、走行中に異常を感じた、という連絡では、まずお客様の安全を確認します。工場として電話で伝える内容を、前もって決めておきます。

工場がレッカーや引き取りに対応している場合は、その案内をします。対応できない時間帯や地域の場合は、ロードサービスへの連絡をすすめます。自動の案内やAIで、「そのまま走って大丈夫です」と答えることはしません。

故障の相談で聞く項目

故障の相談の電話では、整備士が状況をつかめるように、次の項目を聞きます。

症状の説明は、お客様の言葉のままで記録します。「キーキーという音」「焦げたようなにおい」といった言葉は、整備士が原因の見当をつける手がかりになります。

車検の予約で聞く項目

車検の予約の電話では、次の項目を聞いておくと、折り返しが一度で済みやすくなります。

車検の満了の日が近い場合は、急ぎとして扱います。

電話を数える

一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。作業中で出られなかった件数を、特に記録しておきます。季節の集中がある工場は、その時期にも記録しておくと、時期による違いが分かります。

分類件数作業中で出られなかった件数折り返して予約になった件数
故障の相談
車検の予約
点検・タイヤ・オイルの予約
修理の見積もりの相談
預かり中の車の問い合わせ
保険会社・部品の業者

営業時間外・繁忙時の受け方

作業中は「受けて、区切りで返す」

作業中の電話は、出るのではなく、自動の案内とボイスメールで受け、作業の区切りで折り返す流れが現実的です。

  1. 自動の案内で、営業時間や場所などの決まった答えを伝える
  2. 故障の相談は、安全を優先する案内をしたうえで、受付や手の空いている整備士にまとめて鳴らす
  3. 予約の希望は、聞き取りで項目を受ける
  4. 作業の区切りで記録を確認し、急ぐものから折り返す

案内では、「ただいま作業中のため、お電話に出られないことがあります」と正直に伝えます。折り返しの目安の時刻を伝えられると、お客様は待つ見通しを持てます。

営業時間外の案内

営業時間外の案内では、次の点を伝えます。

  1. 営業時間外であること、次の営業日と時刻
  2. 出先で車が動かなくなった場合は、安全な場所に止めて、保険のロードサービスなどに連絡できること
  3. けが人がいる場合や事故の場合は、119番や110番への連絡を先に
  4. 予約の希望は、ボイスメールで受け、次の営業日に連絡すること
  5. インターネットの予約がある場合は、その案内

工場が夜間のレッカーに対応していない場合は、そのことを正直に伝えます。対応しているかのように聞こえる案内は避けます。時間帯ごとの案内の切り替えは、IVRの営業時間ルーティングで解説しています。

タイヤの交換の時期の受け方

冬のタイヤへの交換と、春に戻す時期には、予約の電話が集中します。この時期は、次の工夫をします。

交換の時期が来る前に、タイヤを預かっているお客様に事務所から予約の案内を送っておくと、時期の直前の電話を減らせます。

車検の多い時期の受け方

年度の変わり目など、車検の多い時期には、車検の予約をボイスメールで受け、満了の日の近い順に折り返します。満了の日の近いお客様からの電話は、急ぎとして扱います。代車の数には限りがあるため、代車の希望の有無も必ず聞き、代車の空きと合わせて日程を決めます。

IVRとAI一次応答の設計例

整備士が数人の工場のメニューの例

説明のための架空の例として、整備士が四人、受付が一人の工場のメニューを示します。

お電話ありがとうございます。〇〇自動車です。おけがをされた方がいる場合や事故の場合は、先に119番や110番にご連絡ください。出先で車が動かない、走行中に異常があるなど、お急ぎの方は1を、車検のご予約は2を、点検、オイル交換、タイヤ交換のご予約は3を、お預かり中のお車についてのお問い合わせは4を、営業時間、場所、代車のご案内は5を押してください。

番号営業時間内営業時間外
1受付と工場の電話にまとめて鳴らす。出られなければ急ぎの聞き取り安全の案内と、ロードサービスへの連絡の案内、聞き取り
2受付。出られなければ聞き取り聞き取り。次の営業日に折り返す
3受付。出られなければ聞き取り。インターネットの予約の案内聞き取り、インターネットの予約の案内
4受付、または担当の整備士。出られなければ担当あての聞き取り聞き取り
5自動の案内自動の案内

急ぐ連絡を最初の番号にしているのは、困っているお客様が最も早く選べるようにするためです。

板金塗装も行う工場の場合

事故の修理の板金塗装も行う工場では、保険会社や、保険代理店からの連絡も入ります。こうした関係先の連絡を、お客様の電話と分けて受けられるように、番号を分けておくと、担当がすぐに状況をつかめます。事故の修理のお客様には、保険会社とのやりとりの状況も伝える必要があるため、担当を決めて連絡します。保険代理店側の電話の受け方は、保険代理店の電話対応の記事でも紹介しています。

AI一次応答を組み合わせる場合

番号を押す代わりに、AIの一次応答で用件を話してもらう方法もあります。「来月の十日に車検が切れるので予約したい」と話してもらえれば、AIは車検の予約として分類し、車の種類、ナンバー、満了の日、希望の日、代車の希望を聞き取って、受付に届けられます。「土曜日は営業していますか」という質問には、工場が登録した情報をもとに答えられます。

自動車整備工場でAIの一次応答を使う場合は、次の点を決めておきます。

AIの一次応答で扱える内容は、使うサービスによって異なります。基本の考え方はAI電話受付とはで紹介しています。

スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う

予約の確定

車検や点検の予約の希望は、受付が作業の予定表で、作業の場所、整備士、代車の空きを確認してから、お客様に折り返して確定します。聞き取りの段階では、予約が確定していないことを、案内ではっきり伝えます。「ご希望をうかがいました。空きを確認して、ご連絡します。ご予約は、確認のご連絡で確定します」といった言葉です。

予約の確定のときには、入庫の日時、引き取りの予定の日、代車の有無、持ってきてほしいもの(車検の証明書、自賠責保険の証明書、納税の証明に関する書類など、工場が案内しているもの)を伝えます。

故障の相談の引き継ぎ

故障の相談は、受付や整備士が、症状を聞いたうえで、来店してもらうか、引き取りに行くか、ロードサービスを使ってもらうかを判断します。聞き取りでは、症状、いつからか、走れる状態か、今どこにいるか、を聞きます。症状が重い場合は、無理に走って来てもらわないよう伝えます。引き取りに行く場合は、車のある場所と、鍵の受け渡しの方法を確認します。

見積もりと作業の承諾

修理の見積もりは、整備士が車を見てから行います。見積もりの金額や作業の内容をお客様に説明し、お客様の承諾を得てから作業を始めます。作業の途中で追加の修理が必要になった場合も、お客様に連絡して承諾を得ます。電話で承諾を得た場合は、誰が、いつ、何について承諾したかを記録に残します。見積もりの段階で、追加の作業の金額の上限を前もって決めてもらう方法もあります。

預かり中の車の進み具合

預かり中の車の進み具合の問い合わせは、受付が作業の予定表を見て答えられる範囲は受付が答え、作業の詳しい内容は担当の整備士が答えます。整備士が作業中の場合は、担当あてのボイスメールで受け、区切りで折り返します。

引き継ぎで伝える項目

用件聞き取る項目
故障の相談名前、電話番号、車の種類とナンバー、症状、いつからか、走れる状態か、今いる場所
車検の予約名前、電話番号、車の種類とナンバー、満了の日、希望の入庫の日、代車の希望、気になる不具合
点検・交換の予約名前、電話番号、車の種類、作業の内容、希望の日時、タイヤの預かりの有無
修理の見積もりの相談名前、電話番号、車の種類、直したいところ、来店の希望の日時、保険を使う予定の有無
預かり中の車名前、電話番号、車の種類、担当の整備士、用件

折り返しの順番

  1. 走行中の故障や、動かないという連絡
  2. 故障の相談
  3. 預かり中の車の追加修理の承諾に関する連絡
  4. 満了の日の近い車検の予約
  5. そのほかの予約、見積もりの相談、その他

個人情報と記録の扱い

工場で扱う情報

自動車整備工場の電話では、名前、電話番号、住所のほか、車のナンバー、車の種類、車検の証明書の内容、保険の情報など、多くの情報が話されます。電話の録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録が残る場合は、その扱いを決めておきます。

個人情報の扱いの全般は、個人情報保護委員会のウェブサイトで、法律やガイドラインを確認できます。ここでの説明は一般的な考え方の紹介であり、法的助言ではありません。

決めておくこと

決めること確かめる問い
残るもの録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録のどれが残るか
見られる人受付、整備士、工場長など、誰が見られるか
保存の期間どのくらい残し、その後どうするか
承諾の記録作業の承諾の記録を、どの形で残すか
お客様への伝え方録音や記録をしていることを、どう伝えるか

作業の承諾の記録

追加の修理の承諾を電話で得た場合は、後で「そんな話は聞いていない」という行き違いが起きないように、承諾の内容を記録に残します。録音を残す場合は、承諾の記録として役立ちますが、録音していることをお客様に伝えておきます。録音を残さない場合は、承諾の日時、相手、内容、金額を書いた記録を残し、作業の明細にも反映します。

工場の中の端末の扱い

工場の中で、整備士が作業の合間に聞き取りの記録を確認する場合は、共用の端末に記録を開いたままにしない、来店のお客様の目に入る場所に画面を置かない、といった点に気をつけます。

導入の進め方

ステップ1:電話を記録する

一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。作業中で出られなかった件数を特に確かめます。

ステップ2:急ぐ連絡の受け方を決める

走行中の故障や、動かないという連絡を、誰が、どの電話で受けるかを決めます。営業時間外の案内で伝える安全の案内と、ロードサービスへの連絡の案内も決めます。

ステップ3:任せる範囲を決める

分類ごとに、自動で案内する、聞き取って受付が折り返す、すぐに受付や整備士につなぐ、のどれにするかを決めます。

ステップ4:案内の情報を整える

営業時間、定休日、場所、代車の有無、支払いの方法、車検のときに持ってきてほしいもの、インターネットの予約の方法などを書き出します。ホームページの情報と食い違いがないかを確認します。

ステップ5:試験の電話をかける

職員がお客様の役になって、走行中の故障、故障の相談、車検の予約、タイヤの交換の予約、預かり中の車の問い合わせ、営業時間外の電話をかけ、それぞれが決めたとおりに流れるかを確認します。工場の中で、まとめて鳴らす電話の音が聞こえるかも確かめます。

ステップ6:営業時間外から始める

最初は、営業時間外の案内と聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、作業中の時間にも広げます。

ステップ7:記録を見て直す

作業中で出られなかった件数、折り返しまでの時間、予約になった件数、お客様の声を見て、案内の言葉や振り分けを直していきます。

記録、急ぐ連絡、範囲、情報、試験、営業時間外から、直すの七つの手順
図2:工場で導入を進める手順

自動車整備工場ならではの工夫

車検の時期を先回りして知らせる

車検のお客様には、満了の日の前に、工場から車検の案内を送っている工場も多くあります。案内に、予約の方法と、聞き取りで伝えてほしい項目(ナンバー、満了の日、希望の日、代車の希望)を書いておくと、予約の電話が短く済みます。案内を送る時期を、満了の日の近い順に分けて送ると、予約の電話の集中をならせます。

進み具合を先回りして連絡する

預かり中の車の「いつ終わりますか」という問い合わせは、お客様が先の見通しを持てないときにかかってきます。部品が届いた、作業が終わった、追加の修理が必要になった、という節目ごとに、工場から連絡をしておくと、問い合わせの電話を減らせます。作業が終わったら、引き取りの時間を確認する連絡をします。連絡の時刻は、整備士が作業の区切りをつけやすい昼と夕方などに決めておくと、作業の流れを崩さずに済みます。

部品の取り寄せの説明

修理に必要な部品の取り寄せに時間がかかる場合は、見積もりのときに、部品が届く見込みの時期を伝えます。部品の納期が延びた場合も、工場からお客様に連絡します。お客様から問い合わせがある前に伝えることが、信頼につながります。納期が大きく延びる場合は、修理の方法を変えるか、車を一度返して部品が届いてから改めて預かるかを、お客様と相談します。

代車の空きの案内

代車の数には限りがあり、車検の多い時期には足りなくなることがあります。代車の空きの状況は日々変わるため、自動の案内で「代車をご用意できます」と約束せず、予約の確定のときに確かめて伝えます。代車が必要なお客様には、聞き取りで代車の希望を必ず聞いておきます。代車を貸し出すときの決まり(燃料の扱い、運転できる人の範囲など)は、予約の確定のときに伝えます。

保険を使う修理のお客様

事故の修理で自動車保険を使うお客様は、保険会社とのやりとりも並行して進めています。お客様からの「保険会社から連絡はありましたか」「保険でどこまで直せますか」という問い合わせに、工場が保険の支払いの可否を答えることはできません。工場は修理の見積もりを保険会社に伝え、保険会社の確認の状況をお客様に伝える役割にとどめます。保険の補償の内容については、お客様の保険会社や保険代理店に確かめてもらうよう案内します。

会社の車のお客様

営業車や配送の車など、会社の車をまとめて預かる工場もあります。会社の車の点検や修理では、運転する社員からの連絡と、会社の車の管理の担当者からの連絡の両方が入ります。作業の承諾や費用の連絡を誰にするかを会社ごとに取り決め、聞き取りでは会社の名前、連絡してきた人、ナンバーを聞きます。会社の車は仕事に使っているため、預かる期間や代車の希望を、早めに確かめます。

来店のお客様と電話のお客様

受付が一人の工場では、来店のお客様の対応と電話が重なります。来店のお客様を待たせて電話に出るか、電話を鳴らしたままにするか、という選択を減らすため、来店の対応中は電話を聞き取りに回し、対応が終わってから折り返す、という決まりにしておく方法があります。

引き取りと納車

お客様の家や職場まで車を引き取りに行き、作業の後に届けるサービスを行っている工場もあります。引き取りの希望は、聞き取りで場所と希望の時間帯を聞き、工場の予定と合わせて受付が確定します。引き取りの当日に、「何時ごろに着きますか」という電話が入りやすいため、前日に時間の目安を伝えておくと、当日の電話を減らせます。鍵の受け渡しの方法も、前もって決めておきます。

高齢のお客様

長く通っている高齢のお客様も多くいます。番号を押す操作が難しい人のために、最初の案内の後で番号を押さなかった場合に、受付や聞き取りにつながるように設定しておきます。家族が代わりに車検の予約や修理の相談をしてくる場合は、作業の承諾や費用の連絡を誰にするかを確認して記録に残します。

中古車の販売や買い取りも行う工場

中古車の販売や買い取りも行う工場では、「この車はまだありますか」「今の車を買い取ってもらえますか」という電話も入ります。整備の電話と分けて受けられるように、販売の番号を設けるか、聞き取りで用件を分けて販売の担当に届けます。在庫の状況は日々変わるため、自動の案内で「まだあります」とは答えず、担当が確かめて折り返します。買い取りの金額も、車を見てから担当が示します。

部品の業者との連絡

部品の業者からは、納期の連絡や、注文の確認の電話が入ります。業者の電話がお客様の電話と同じ流れに入ると、受付の手間が増えます。業者向けの番号や選択肢を用意しておくか、業者とのやりとりはメールや注文の仕組みで行うよう取り決めておくと、電話の件数を減らせます。

整備の内容の説明を電話でするとき

修理の内容や追加の作業を電話で説明するときは、専門の言葉を避け、お客様に分かる言葉で説明します。「この部品が傷んでいて、このままにするとブレーキの効きが悪くなるおそれがあります」のように、何が起きるかを添えると、お客様が判断しやすくなります。写真を送れる仕組みがあれば、写真を添えて説明する方法もあります。

車検の予約の聞き取りシート

車検の予約の聞き取りの記録を、受付が確かめやすいように、シートの形で整理しておくと便利です。

項目記入の例
受けた日時〇月〇日 〇時〇分(作業中の聞き取り)
お客様の名前・電話番号
車の種類とナンバー
車検の満了の日〇月〇日
希望の入庫の日第一の希望、第二の希望
代車の希望あり/なし
気になる不具合ブレーキの音、など
確定した日時受付が折り返した後で記入
折り返した日時と結果確定、つながらず、など

満了の日が近いものには印をつけて、最初に確かめます。

季節の前の準備

タイヤの交換の時期や、車検の多い時期の前には、次の準備をしておきます。

案内の文章のひな形

以下は説明のための文例です。〇の部分を、工場の情報に置き換えて使ってください。

作業中の案内

お電話ありがとうございます。〇〇自動車です。ただいま作業中のため、お電話に出られないことがあります。お急ぎの方は1を押してください。ご予約のご希望は、番号を選んでお名前、お電話番号、お車の種類をお話しください。作業の区切りで、こちらからご連絡します。

営業時間外の急ぐ連絡の案内

出先でお車が動かなくなった場合は、安全な場所にお車を止め、ハザードランプをつけてください。高速道路などでは、お車から離れて安全な場所に避難してください。ご加入の自動車保険のロードサービスなどをご利用いただけます。当工場へのご連絡は、このあと、お名前、お電話番号、お車の状態をお話しください。次の営業日の朝にご連絡します。

車検の予約の聞き取りの案内

車検のご予約をうかがいます。お名前、お電話番号、お車の種類とナンバー、車検の満了の日をお話しください。続けて、ご希望の入庫の日と、代車のご希望の有無をお話しください。空きを確認して、ご連絡します。

よくある場面の対応例

ここでは、説明のための架空の例として、自動車整備工場でよくある場面と、電話の仕組みでの対応を示します。

場面1:作業中の車検の予約

整備士が全員作業中の午前、お客様から車検の予約の電話がありました。お客様は2を選び、受付も来店のお客様の対応中だったため、聞き取りに切り替わりました。お客様は、ナンバー、満了の日、希望の入庫の日、代車の希望を話しました。受付は来店の対応の後で記録を確認し、予定表で空きを確認してから折り返し、予約を確定しました。

場面2:警告灯がついたという相談

お客様から「走っていたらエンジンの警告灯がついた」という電話がありました。お客様は1を選び、受付と工場の電話がまとめて鳴り、手の空いた整備士が受けました。整備士は、今どこにいるか、ほかに異常がないかを聞き、無理に走らず近くの安全な場所に止めるよう伝えたうえで、引き取りに行く段取りをつけました。

この場面のポイントは、急ぐ相談が受付だけでなく工場の電話にもまとめて鳴ったことで、手の空いた整備士が受けられたことです。

場面3:追加の修理の承諾

車検で預かった車に、ブレーキの部品の傷みが見つかりました。担当の整備士は、作業の区切りでお客様に電話をかけ、部品の状態と、交換しない場合に起きうることを説明し、見積もりの金額を伝えました。お客様は交換を承諾しました。整備士は承諾の日時と内容を記録に残し、作業の明細にも反映しました。

場面4:タイヤの交換の時期の電話の集中

雪の予報が出た週、タイヤの交換の予約の電話が集中しました。工場は前もって用意していた臨時の案内に切り替え、予約の受付の状況と、インターネットの予約の方法を案内しました。タイヤを預かっているお客様には、聞き取りで希望の日を受け、受付が一日に三回記録を確認して折り返しました。

折り返しの電話のかけ方

聞き取りへの折り返しでは、次の点に気をつけます。

  1. 記録を読み直してからかける:車の種類、満了の日、希望の日を確認し、予定表を開いてからかけます。
  2. 名乗りと用件の確認:「〇〇自動車の〇〇です。本日お電話いただいた、車検のご予約の件でご連絡しました」と確かめます。
  3. 日程と持ち物を伝える:入庫の日時、引き取りの予定、代車の有無、持ってきてほしい書類を伝えます。
  4. つながらない場合:留守番電話には工場の名前と用件だけを残し、もう一度かける時間の目安を伝えます。

折り返しの電話番号が、工場の番号として表示されるかも確かめておきます。整備士が個人の携帯から折り返すと、知らない番号として出てもらえないことがあります。

案内の内容を古くしない

営業時間、定休日、代車の有無、車検のときに持ってきてほしいもの、インターネットの予約の方法などの案内は、ホームページや車検の案内の書類と同じでなければなりません。年末年始や夏季の休業、営業時間の変更、季節の臨時の案内の後には、電話の案内、ホームページ、案内の書類をまとめて直します。直す場所の一覧と担当を決めておくと、案内だけが古いまま残ることを防げます。

電話以外の連絡の方法との使い分け

工場とお客様のやりとりには、電話のほか、インターネットの予約、メッセージ、メールなどがあります。それぞれの向き不向きを整理しておくと、電話の件数を減らしながら、急ぐ連絡は確実に受けられます。

方法向いていること向いていないこと
電話故障の相談、急ぐ連絡、追加の修理の承諾写真を見ながらの説明
インターネットの予約決まった作業の予約(オイルやタイヤの交換など)故障の相談
メッセージ写真を送っての相談、作業の終わりの連絡急ぐ連絡(すぐに読まれるとは限らない)

傷やへこみの修理の相談は、写真を送ってもらえる方法があれば、来店の前におおまかな状況をつかめます。ただし、見積もりは車を見てから行うことを伝えます。

工場の一日の流れの例

説明のための架空の例として、整備士が四人、受付が一人の工場の一日を示します。

時間帯電話の流れスタッフの動き
朝営業時間外の案内から日中の案内に切り替わる受付が夜間の聞き取りを確認し、急ぐものから折り返す
午前急ぐ連絡は受付と工場にまとめて鳴らす、予約は聞き取り整備士は作業、受付は入庫の対応
昼同上受付が予約の聞き取りに折り返す、整備士が担当あての記録を確認する
午後同上整備士が追加の修理の承諾の連絡、受付が作業の終わったお客様に連絡
夕方同上引き取りの対応、翌日の予定の確認
営業時間外安全の案内と聞き取りへ翌朝に返すものを確認しておく

スタッフへの共有と新しいスタッフの教育

電話の仕組みを変えたら、整備士と受付の全員に流れを共有します。新しいスタッフには、次の内容を伝えます。

効果の確認方法と見直し

確かめること

確かめること見る方法
予約の機会作業中で出られなかった件数、折り返して予約になった件数
作業への集中作業を中断して電話に出た回数、整備士の感想
急ぐ連絡への対応受けてから折り返しや引き取りの段取りまでの時間
進み具合の問い合わせ預かり中の車の問い合わせの件数
お客様の声つながらない、折り返しが遅いという声

つまずきやすいところ

つまずき起きること対策
工場の中で呼び出し音が聞こえない急ぐ連絡を取り逃す工場の中でも聞こえる電話や通知を用意する
聞き取りで予約が取れたと思われる予約の行き違い確認の連絡で確定することを案内で伝える
代車の空きを約束してしまう当日に代車がない代車は予約の確定のときに確かめて伝える
季節の臨時の案内を戻し忘れる古い受付の状況を伝え続ける戻す日を決めておく

CallでIVRと作業中の受け方を組む

自動車整備工場の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、キューごとのボイスメール、IVRからのコールバックの受付、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。急ぐ連絡を受付と工場にまとめて鳴らし、予約はボイスメールで用件を受けて区切りで折り返す流れが組めます。設定の流れは使い方のガイドとドキュメントで紹介しています。

日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、受付や整備士が確認しやすくする使い方です。故障の診断、見積もり、予約の確定、追加の修理の承諾の確認は、工場のスタッフが行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。

関連する業種の記事として、工務店・リフォームの電話対応、水道・設備修理の電話対応もあわせてご覧ください(自動車整備のAI電話対応|車検・修理予約からの関連案内)。

よくある質問

AIが車の故障を診断してくれますか?

しません。故障の原因の判断は、整備士が実際に車を見て行います。AIや自動の案内が扱うのは、症状の聞き取りと、安全を優先する案内、受付や整備士への振り分けまでです。

「このまま走っても大丈夫ですか」と聞かれたら?

電話で走ってよいとは答えません。異常がある場合は安全な場所に止めるよう伝え、整備士が状況を聞いて、引き取りやロードサービスの利用などを判断します。

車検の予約は、自動で確定できますか?

作業の場所、整備士、代車の空きを確かめる必要があるため、聞き取りで希望を受け、受付が確かめてから確定の連絡をします。

作業中の電話は、どう受ければよいですか?

決まった答えは自動の案内で伝え、予約はボイスメールで用件を受けて、作業の区切りで折り返します。急ぐ連絡だけは、受付と工場の電話にまとめて鳴らす設定にしておきます。

営業時間外に車が動かなくなったという連絡には?

安全な場所に止めること、けが人がいる場合は119番や110番を先にすること、加入している保険のロードサービスなどを使えることを案内します。工場が対応していない時間帯であれば、そのことを正直に伝えます。

修理の見積もりを電話でもらえますか?

車を見ないと正確な見積もりはできないため、来店の日時を決めて、整備士が車を見てから見積もります。

追加の修理の承諾は、電話でもよいですか?

電話で承諾を得ることはできますが、承諾の日時、相手、内容、金額を記録に残し、作業の明細にも反映します。録音を残す場合は、録音していることを伝えておきます。

タイヤの交換の時期の電話の集中に備えられますか?

臨時の案内を前もって用意し、予約の受付の状況とインターネットの予約の方法を伝えます。タイヤを預かっているお客様には、時期の前に工場から予約の案内を送っておくと、電話の集中をやわらげられます。

代車があるかどうかを、自動で答えてよいですか?

代車の有無という一般的な案内はできますが、特定の日に空いているかどうかは、予約の確定のときに確かめて伝えます。

録音していることは、お客様に伝えるべきですか?

録音や文字起こしをする場合は、最初の案内で伝えるのが一般的です。記録を見られる人と保存の期間を決めておきます。

最初に何から始めればよいですか?

一、二週間、電話の用件と、作業中で出られなかった件数を記録することから始めます。そのうえで、急ぐ連絡の受け方を決め、営業時間外の案内から導入すると、無理なく進められます。

まとめ

自動車整備工場の電話対応では、作業中は電話に出られないこと、故障の相談は電話だけでは判断できないこと、季節によって予約の電話が集中することを前提に、仕組みを考えることが大切です。最初の案内で急ぐ連絡を分けて受付と工場にまとめて鳴らし、予約はボイスメールで用件を受けて作業の区切りで折り返す、という流れにすれば、作業に集中しながら、お客様の用件を受け止められます。

故障の診断、見積もり、予約の確定、追加の修理の承諾の確認は、工場のスタッフが行います。電話で走ってよいとは言わず、安全を優先する案内をします。まずは電話の記録から始め、営業時間外の案内から少しずつ仕組みを整えていきましょう。

自社の業種に合わせた一次応答を、Callで設定してみる

デモコンソールでは、着信をシミュレーションで体験できます。

関連記事