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コールセンターの品質管理(QA)入門|評価シートとフィードバック

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

コールセンターの品質管理(QA)入門|評価シートとフィードバック(AI-SNS.IO Call ブログ)

電話の窓口で、お客様にどんな対応をしているか。管理者が把握しているつもりでも、実際の通話を聞いてみると、思っていたのと違う対応をしていることは珍しくありません。説明の順番が分かりにくい、確かめるべきことを確認していない、言葉づかいが人によって大きく違う。こうした点は、数字を見ているだけでは見えてきません。

そこで必要になるのが、通話の品質管理です。コールセンターでは、QA(Quality Assurance)とも呼ばれます。実際の通話を決まった基準で評価し、その結果をオペレーターに伝え、対応を良くしていく取り組みです。

ただ、品質管理は、やり方を誤ると「あら探し」になり、オペレーターのやる気を下げてしまうことがあります。評価の項目があいまいで、評価する人によって点数が変わる。評価を伝えるだけで、どう直せばよいかが分からない。こうした状態では、品質管理に時間をかけても、対応は良くなりません。

この記事では、通話の品質管理の進め方を、目的の決め方から、評価項目の決め方、評価シートの作り方、サンプリングの考え方、フィードバックの進め方、AIを使った品質管理まで、順に解説します。そのまま使える評価シートのひな形や、フィードバックの面談の流れの例も紹介します。

通話の品質管理の目的

何のために品質管理をするのか

品質管理を始める前に、まず目的をはっきりさせましょう。目的によって、評価する項目も、評価の結果の使い方も変わるからです。よくある目的には、次のようなものがあります。

一つの目的に絞る必要はありませんが、何を一番大切にするかを決めておくと、評価の項目を選ぶときに迷いにくくなります。

品質管理と数字の管理の違い

コールセンターでは、応答の割合、平均の通話の時間、放棄の割合など、さまざまな数字を見ています。こうした数字は、窓口の全体の状態をつかむのに役立ちますが、一つひとつの通話の中身までは分かりません。

観点数字の管理品質管理
見るもの件数、時間、割合通話の中身
分かること窓口が回っているか、どこが混んでいるか対応が正しいか、分かりやすいか、気持ちよいか
見る範囲すべての通話選んだ一部の通話(AIを使うと広げられる)
使い方人数や設定の調整対応の改善、育成、業務の改善

例えば、通話の時間が短いオペレーターは、数字の上では効率が良く見えます。しかし、通話を聞いてみると、お客様の質問に十分に答えずに切っていて、同じお客様から何度も電話がかかってきている、ということもあります。数字と品質管理を組み合わせることで、窓口の本当の姿が見えてきます。窓口の指標の意味はコールセンターのKPI一覧で紹介しています。

品質管理をあら探しにしない

品質管理を始めると、オペレーターが「監視されている」「減点される」と感じることがあります。そう感じると、品質管理に対して身構えてしまい、フィードバックを素直に受け止められなくなります。

あら探しにしないためには、次の点を最初に伝えておくことが大切です。

見るもの、分かること、見る範囲、使い方の比較
図1:数字の管理と品質管理

評価項目の決め方

評価項目の分け方

評価の項目は、通話の流れに沿って分けると、評価する人にもオペレーターにも分かりやすくなります。よく使われる分け方は、次のとおりです。

区分評価する内容の例
始め方名乗り、挨拶、用件の聞き取り
確かめ本人の確認、必要な情報の聞き取り
問題の解決正しい案内、分かりやすい説明、解決までの道筋
話し方言葉づかい、話す速さ、聞き取りやすさ、相づち
気配りお客様の気持ちへの配慮、待たせるときの断り
終わり方内容の確認、ほかに用件がないかの確認、挨拶
記録対応の記録が正しく、分かりやすく書かれているか
決まりごと必ず守るべき手順や、言ってはいけないことを守ったか

項目を具体的にする

評価の項目は、誰が評価しても同じ結果になるよう、具体的に書くことが大切です。あいまいな項目では、評価する人によって点数が変わってしまいます。

あいまいな項目具体的にした項目
感じの良い対応ができたか最初に会社名と自分の名前を名乗ったか
正しく案内できたか手順書のとおりに、返品の受付の条件を伝えたか
分かりやすく説明できたか専門の言葉を使ったときに、言い換えや説明を加えたか
お客様に寄り添えたかお客様が困っていることを、自分の言葉で言い直して確かめたか
きちんと終えられたか案内した内容を最後にまとめて伝えたか

「感じの良さ」のように、具体的にしにくい項目もあります。その場合は、評価の例(どんな対応なら満たしているか、どんな対応なら満たしていないか)を書き添えておくと、評価がそろいやすくなります。

必ず守る項目を分ける

項目の中には、点数の大小ではなく、「守れたか、守れなかったか」で判断すべきものがあります。例えば、本人の確認をせずに個人の情報を伝えてしまう、決められた手順を飛ばして手続きを進めてしまう、といったことは、ほかの項目の点数が高くても見過ごせません。

こうした項目は、ほかの項目と分けて「必ず守る項目」としておき、守れなかった場合は、点数とは別にすぐに対応するようにします。

項目の数を絞る

評価の項目は、多ければよいわけではありません。項目が多すぎると、評価に時間がかかり、オペレーターも何を直せばよいか分からなくなります。最初は、目的に照らして大切な項目に絞り、運用しながら必要に応じて増やしたり入れ替えたりしましょう。

オペレーターと一緒に決める

評価の項目を決めるときは、管理者だけで決めるのではなく、経験のあるオペレーターにも加わってもらうとよいでしょう。現場で大切にしていることが項目に反映され、オペレーターが評価に納得しやすくなります。

窓口の種類ごとに調整する

問い合わせの窓口、注文の受付、技術の相談など、窓口の種類によって大切な項目は違います。共通の項目を土台にしつつ、窓口ごとに項目や重みを調整しましょう。

窓口の種類重みを置きたい項目の例
注文や予約の受付必要な情報の聞き取り、内容の確認、記録の正しさ
技術の相談問題の切り分け、分かりやすい説明、解決までの道筋
苦情の対応お客様の気持ちへの配慮、言い直しによる確かめ、次の対応の約束
一般の問い合わせ正しい案内、話し方、終わり方

評価シートの作り方

評価シートの構成

評価シートは、評価の項目、評価の段階、評価の根拠、全体のコメントで構成します。

評価の段階の決め方

評価の段階には、いくつかの方法があります。

方法内容向いている場面
できた・できなかった二つに分ける評価がそろいやすい。必ず守る項目や、始めたばかりのとき
三段階できた・一部できた・できなかった少し細かく見たいとき
五段階1〜5の点数細かく比べたいとき。ただし評価する人によってばらつきやすい

段階が細かいほど、評価する人によるばらつきが大きくなりやすくなります。始めたばかりのときは、二つや三つの段階から始めるのがよいでしょう。

評価シートのひな形

次のひな形を、窓口に合わせて書き換えて使ってください。

区分項目評価根拠(どの場面で、何があったか)
始め方会社名と自分の名前を名乗ったできた・一部・できなかった
始め方用件を聞き取り、言い直して確かめたできた・一部・できなかった
確かめ決めた手順で本人の確認をした守れた・守れなかった(必ず守る)
問題の解決手順書のとおりに案内したできた・一部・できなかった
問題の解決専門の言葉に説明を加えたできた・一部・できなかった
話し方聞き取りやすい速さで話したできた・一部・できなかった
気配り保留の前に断り、戻ったときにお礼を言ったできた・一部・できなかった
終わり方案内した内容をまとめて伝えたできた・一部・できなかった
終わり方ほかに用件がないかを確認したできた・一部・できなかった
記録対応の内容が、ほかの人にも分かるように書かれているできた・一部・できなかった

全体のコメントの欄には、「良かった点」と「次に意識してほしい点」を一つずつ書く形にすると、伝えるべきことが絞られます。

段階ごとの評価の例を書く

評価をそろえるには、項目ごとに「どんな対応なら、どの段階になるか」の例を書いておくのが効果的です。説明のための例を示します。

項目できた一部できたできなかった
用件を言い直して確かめた用件を自分の言葉で言い直し、お客様に合っているか確かめた言い直したが、確かめの問いかけがなかった言い直しも確かめもなく、すぐに手続きに入った
専門の言葉に説明を加えた専門の言葉を使うたびに、言い換えや説明を加えた一部の言葉には説明を加えたが、説明のない言葉が残った専門の言葉を説明なしで使い、お客様が聞き返した
保留の前に断った保留の前に理由と目安を伝え、戻ったときにお礼を言った保留の前に断ったが、戻ったときのお礼がなかった断らずに保留にした
案内した内容をまとめた最後に案内した内容を短くまとめて伝えたまとめたが、大切な点が抜けていたまとめずに終えた
記録ほかの人が読んで、対応の内容と次にやることが分かる内容は分かるが、次にやることが書かれていない内容が分からない、または記録がない

例は、評価をそろえる練習で話し合った結果をもとに、少しずつ書き足していくと、窓口の実情に合ったものになります。

評価の根拠を書く

評価シートで一番大切なのは、評価の根拠です。「一部できた」とだけ書かれていても、オペレーターはどこを直せばよいか分かりません。「返品の条件を伝えたが、期限の説明が抜けていた(通話の中ほど)」のように、どの場面で何があったかを書きます。

根拠が書かれていると、評価する人が替わっても、なぜその評価になったのかを確認できます。後で評価のばらつきを調べるときにも役立ちます。

評価をそろえる練習

評価する人が複数いる場合は、人によって評価がばらつくことがあります。ばらつきを減らすには、定期的に評価をそろえる練習をします。

  1. 同じ通話を、評価する人全員がそれぞれ評価する
  2. 評価の結果を並べて比べる
  3. 評価が分かれた項目について、なぜその評価にしたかを話し合う
  4. 基準の解釈をそろえ、必要なら評価の例を書き足す

この練習は、評価の項目を見直すきっかけにもなります。評価が何度も分かれる項目は、項目の書き方があいまいな可能性があります。

サンプリングの考え方

すべての通話は聞けない

人が通話を聞いて評価する場合、すべての通話を評価することは現実的ではありません。そのため、一部の通話を選んで評価します。この選び方をサンプリングと呼びます。選び方によって、評価の結果から分かることが変わります。

選び方の種類

選び方内容分かること
無作為に選ぶ通話の一覧から、偏りなく選ぶオペレーターの普段の対応の姿
種類ごとに選ぶ問い合わせの種類ごとに、決まった数を選ぶ種類ごとの対応の違い
条件で選ぶ通話が長い、転送した、苦情があった、などの条件で選ぶ問題が起きやすい場面の対応
本人が選ぶオペレーターが、振り返りたい通話を自分で選ぶ本人が気にしている場面

普段の対応の姿を知るには、無作為に選ぶのが基本です。条件で選ぶと、問題のある通話ばかりが集まるため、その結果だけでオペレーターを評価すると、実際より低い評価になってしまいます。目的に応じて、選び方を組み合わせましょう。

何件選ぶか

一人あたり何件を評価するかは、評価にかけられる時間と、知りたいことによって決めます。件数が少なすぎると、たまたまうまくいかなかった通話だけで評価することになり、公平ではありません。かといって、件数を増やしすぎると、評価する人の負担が大きくなります。

決めるときの考え方は、次のとおりです。

選ぶ通話の偏りに注意する

無作為に選ぶつもりでも、偏りが出ることがあります。例えば、いつも午前の通話から選んでいると、午後の混み合う時間帯の対応が見えません。曜日、時間帯、問い合わせの種類がばらけるよう、選び方を工夫しましょう。

選び方を決めておく

誰が評価しても同じように通話を選べるよう、選び方を手順として書いておきます。例えば、次のような手順です。

  1. 毎週の始めに、前の週の通話の一覧を出す
  2. オペレーターごとに、曜日と時間帯がばらけるよう、決めた件数を無作為に選ぶ
  3. 通話が極端に短いもの(間違い電話など)は除き、代わりを選ぶ
  4. 条件で選ぶ通話(転送した通話、長い通話など)は、無作為の通話とは別の枠で選ぶ
  5. 選んだ通話を、評価の結果の一覧に、選び方と一緒に記録する

手順にしておくと、評価する人が替わっても選び方がそろい、結果を時期ごとに比べやすくなります。

録音を使うときの注意

通話の品質管理では、通話の録音を使うことが一般的です。録音を使う場合は、次の点を会社のルールで決めておきます。

録音には個人の情報が含まれることがあります。個人の情報の扱いについては、個人情報保護委員会のウェブサイトで法律やガイドラインの内容を確認できます。この記事の内容は一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。自社に当てはまるルールは、専門家や社内の担当部署に確認してください。

フィードバックの進め方

評価は伝えて初めて意味がある

評価シートを作っても、オペレーターに伝えなければ、対応は良くなりません。評価の結果をどう伝えるかが、品質管理の成否を分けます。

フィードバックの形

形内容向いている場面
一対一の面談評価した通話を一緒に聞き、話し合う定期的な振り返り、育成
書面で伝える評価シートを渡し、コメントを読んでもらう評価が安定している人への定期的な共有
その場で伝える通話の直後に短く伝える必ず守る項目が守れなかったとき、とても良い対応があったとき
チームで共有良い対応の例を、チームで聞く良い対応を広める

一対一の面談を基本にしつつ、ほかの形を組み合わせるのがよいでしょう。

面談の流れの例

一対一の面談は、次のような流れで進めると、話が散らかりにくくなります。

  1. 本人の振り返りから始める:「この通話、自分ではどうだったと思いますか」と聞く。本人が気づいている点は、管理者が指摘するより受け止めやすい
  2. 一緒に通話を聞く:評価した通話の録音を、気になる場面を中心に一緒に聞く
  3. 良かった点を伝える:具体的な場面を挙げて、良かった点を伝える
  4. 次に意識してほしい点を一つに絞る:直してほしい点がいくつあっても、一度の面談では一つか二つに絞る
  5. どうすればよいかを一緒に考える:言い方の例を一緒に考える、手順書を確認する、など
  6. 次の確認方法を決める:次の面談で、意識した点がどうだったかを一緒に確かめることを約束する

伝え方の工夫

面談での言い方の例

同じ内容でも、言い方によって受け止め方は大きく変わります。面談でよく使う場面ごとに、言い方の例を挙げます。

場面避けたい言い方言い換えの例
本人に振り返ってもらう「この通話、何が悪かったか分かりますか」「この通話、自分ではどんなふうに感じましたか」
良い点を伝える「まあ、悪くなかったです」「注文番号がないお客様に、名前と電話番号で調べられると伝えたのが良かったです」
直してほしい点を伝える「説明が分かりにくいです」「返品の期限の説明が抜けていたので、条件を伝えるときに期限も一緒に伝えてみましょう」
理由を伝える「決まりなので」「期限を知らないと、お客様が期限を過ぎてから困ってしまうからです」
次の約束をする「次は気をつけてください」「次の面談で、期限の説明ができたかを一緒に聞いてみましょう」

在宅のオペレーターへのフィードバック

在宅で働くオペレーターには、ビデオ会議で面談を行い、画面を共有しながら評価シートを一緒に見ます。録音は、同じ場面を一緒に聞けるよう、場面の時間を控えておくと進めやすくなります。在宅での窓口の運営は在宅コールセンターの始め方で紹介しています。

AIを使った品質管理

AIで変わること

人が通話を聞いて評価する方法では、評価できる通話の数に限りがあります。AIを使った仕組みを組み合わせると、この限りを広げられる可能性があります。例えば、次のような使い方が考えられます。

どんな機能が使えるかは、使っている仕組みによって違います。製品の説明書や機能の一覧で確認してください。

通話の要約を面談で使う

面談の前に、評価する通話の要約に目を通しておくと、録音のどの場面を一緒に聞くかを決めやすくなります。面談の時間を、全体を聞き直すことではなく、大切な場面を話し合うことに使えます。

ただし、要約は通話のすべてを表しているわけではありません。話し方や間の取り方、声の調子など、要約には表れない点は、録音を聞いて確かめます。要約と録音を組み合わせることで、短い時間でも中身のある面談ができます。

AIに任せないほうがよいこと

AIは便利ですが、品質管理のすべてを任せられるわけではありません。

AIの要約や文字起こしには、聞き間違いや、要約で抜け落ちる内容があることもあります。大切な判断の前には、元の通話を確認しましょう。

AIを使った品質管理の進め方の例

説明のための架空の例として、AIによる通話の要約を使って、品質管理を進める流れを示します。

  1. 毎日の通話の要約に目を通し、気になる通話(お客様が困っている様子、案内が長くなっている様子など)に印をつける
  2. 印をつけた通話の中から、評価する通話を選ぶ。無作為に選んだ通話も加える
  3. 選んだ通話の録音を聞き、評価シートで評価する
  4. 要約の全体から、よくある問い合わせの傾向を拾い、手順書やナレッジの見直しにつなげる

このように、AIは「どの通話を聞くか」を選ぶ助けと、「全体の傾向をつかむ」助けとして使い、評価そのものは人が行う形が現実的です。通話の要約の使い方はAI通話要約の使い方で紹介しています。

品質管理を始める手順

ここまでの内容をもとに、通話の品質管理を始める手順をまとめます。

手順1:目的を決める

お客様の満足、ばらつきの解消、間違いの防止、育成、業務の改善の中から、何を一番大切にするかを決めます。

手順2:評価の項目を決める

通話の流れに沿って項目を分け、具体的に書きます。必ず守る項目を分けます。経験のあるオペレーターにも加わってもらいます。

手順3:評価シートを作る

項目、段階、根拠、全体のコメントの欄を持つシートを作ります。最初は段階を少なくします。

手順4:評価をそろえる練習をする

評価する人全員で同じ通話を評価し、結果を比べて基準の解釈をそろえます。

手順5:オペレーターに説明する

目的、項目、基準、評価の結果の使い方を、オペレーター全員に説明します。あら探しではないことを伝えます。

手順6:評価とフィードバックを始める

選び方と件数を決めて評価を始め、一対一の面談でフィードバックします。

手順7:見直す

数か月ごとに、項目、シート、選び方、フィードバックの形を見直します。

目的、項目、シート、練習、説明、評価とフィードバック、見直しの七つの手順
図2:品質管理を始める手順

評価の結果を窓口全体に生かす

個人の評価から、窓口の課題へ

評価の結果は、一人ひとりへのフィードバックだけでなく、窓口全体の改善にも使えます。評価の結果を項目ごとに集めると、窓口全体の傾向が見えてきます。

見えてくる傾向の例考えられる原因対応の例
多くの人が同じ項目でつまずいている手順書が分かりにくい、研修で扱っていない手順書を直す、研修に加える
特定の問い合わせの種類で評価が低いその種類の対応に必要な情報が足りないナレッジを充実させる
新しく入った人の評価が低い項目がある研修の内容と現場の実際がずれている研修の内容を見直す
混み合う時間帯の評価が低い急いで対応している人数の配置を見直す、待ちの扱いを見直す

最後の例のように、品質の問題の原因が、人数や配置にあることもあります。要員の計画の立て方はWFM(要員管理)の基本で紹介しています。

評価の結果の記録と集計

評価の結果を窓口全体に生かすには、結果を同じ形で記録し、集計できるようにしておきます。表計算のシートで、次のような列を持つ一覧を作ると、項目ごと、人ごと、問い合わせの種類ごとに集計しやすくなります。

列内容
評価した日評価を行った日
通話の日時評価した通話の日時
オペレーター通話を受けた人
問い合わせの種類注文、配送、返品など
選び方無作為、条件、本人が選んだ、など
項目ごとの評価項目ごとに一列
必ず守る項目守れたかどうか
評価した人誰が評価したか

選び方の列があると、無作為に選んだ通話だけで集計する、といった使い分けができます。

良い対応を広める

品質管理で見つかるのは、直したい点だけではありません。お客様が喜んでいる対応、難しい問い合わせを上手に解決した対応など、良い対応も見つかります。

良い対応は、本人の了解を得たうえで、チームで一緒に聞く場を設けると、ほかのオペレーターの学びになります。言葉の選び方、説明の順番、お客様の気持ちへの配慮など、手順書だけでは伝わりにくいことが伝わります。

電話以外の窓口にも広げる

メールやチャットなど、電話以外の窓口でも、同じ考え方で品質管理ができます。評価の項目は、窓口ごとに調整が必要です(例えば、チャットでは返信の速さや文章の読みやすさを見る)。窓口をまたいで、お客様の体験を見ていく考え方はオムニチャネルのサポートで紹介しています。

対応の例で考える

説明のための架空の例で、評価の項目がどう使われるかを見てみます。お客様から「先週注文した商品が、まだ届かない」という電話がかかってきた場面です。

直したい点がある対応

オペレーター:はい、お電話ありがとうございます。お客様:先週注文した商品が、まだ届かないんですが。オペレーター:注文番号をお願いします。お客様:ええと、ちょっと待ってください……。オペレーター:(無言で待つ)お客様:〇〇です。オペレーター:確認します。(保留にする)……発送はしているので、もうすぐ届くと思います。お客様:もうすぐって、いつごろですか。オペレーター:配送会社に聞いていただければ。

評価シートに照らすと、会社名と名前を名乗っていない、保留の前に断っていない、届く時期の目安や問い合わせ先の案内が不十分、内容のまとめと、ほかに用件がないかの確認がない、といった点が挙がります。

良い対応

オペレーター:お電話ありがとうございます。〇〇ショップの△△でございます。お客様:先週注文した商品が、まだ届かないんですが。オペレーター:ご注文の商品がまだお手元に届いていないのですね。お待たせしてしまい申し訳ございません。お調べしますので、注文番号を教えていただけますか。お手元にない場合は、ご注文時のお名前とお電話番号でもお調べできます。お客様:〇〇です。オペレーター:ありがとうございます。お調べしますので、少しお待ちいただけますか。(保留の後)オペレーター:お待たせいたしました。ご注文の商品は発送済みで、配送会社の追跡の番号が出ております。番号をお伝えしますので、メモのご用意はよろしいでしょうか。(番号を伝える)オペレーター:配送の状況は、この番号で配送会社のホームページから確認できます。まとめますと、商品は発送済みで、追跡の番号で状況を確認いただけます。ほかにご不明な点はございますか。

良い対応では、名乗り、言い直しによる確かめ、注文番号がない場合の代わりの方法、保留の前の断り、具体的な案内、内容のまとめと確かめが入っています。面談では、この二つを並べて聞くと、何を変えればよいかが伝わりやすくなります。

場面ごとの評価の注意点

新しく入った人の評価

新しく入った人は、まだ業務に慣れていないため、多くの項目で「一部できた」や「できなかった」が並びがちです。評価の結果をそのまま伝えると、自信をなくしてしまうことがあります。

新しく入った人には、最初の数週間は、評価する項目を基本的なもの(名乗り、本人の確認、保留の前の断り、終わり方など)に絞り、できるようになった項目を一つずつ増やしていく方法が向いています。できるようになったことを、はっきり伝えることも大切です。

苦情の電話の評価

苦情の電話は、お客様が強い言葉を使うこともあり、オペレーターにとって負担の大きい通話です。評価するときは、次の点に気をつけます。

一年の計画の例

説明のための架空の例として、品質管理を一年かけて定着させる計画を示します。

時期やること
最初の月目的と項目を決め、評価シートを作る。評価をそろえる練習をする。オペレーターに説明する
2〜3か月目評価と面談を始める。最初は件数を少なめにする
4か月目項目、シート、選び方を一度見直す。オペレーターの感想を聞く
5〜8か月目評価の結果を項目ごとに集め、窓口全体の傾向を手順書や研修に生かす
9か月目良い対応をチームで聞く場を始める。経験のあるオペレーターに評価を手伝ってもらう
12か月目一年を振り返り、目的に向かって対応が良くなったかを確認する。次の一年の計画を立てる

小さなチームでの品質管理

専任の担当者がいない場合

数人の窓口では、品質管理の専任の担当者を置くのは難しいことが多いでしょう。その場合でも、次のような小さな形から始められます。

自己評価の使い方

自分の通話を聞き返すことは、思っている以上に多くの気づきがあります。話す速さ、相づちの多さ、言葉の癖など、自分では気づきにくいことに気づけます。

自己評価を使う場合は、管理者の評価と並べて比べる機会をつくると、評価の基準の理解がそろっていきます。本人の評価と管理者の評価が大きくずれている項目は、面談で話し合う良い材料になります。

品質管理の担当者の負担を減らす

品質管理は、続けることで効果が出る取り組みです。担当者の負担が大きすぎると、続けられなくなります。

品質管理でよくある失敗

品質管理を始めた窓口でよく見られる失敗と、その避け方をまとめます。

よくある失敗起きること避け方
評価するだけで伝えないシートがたまるだけで、対応は変わらない評価と面談を一組にして予定に入れる
問題のある通話ばかり選ぶ評価が実際より低くなり、オペレーターが不公平と感じる無作為に選んだ通話を必ず含める
項目を増やし続ける評価に時間がかかり、続かなくなる項目を足すときは、使われていない項目を減らす
点数だけを伝えるどこを直せばよいか分からない根拠の欄を必ず書き、具体的な場面を伝える
評価する人によって基準が違う評価への信頼がなくなる評価をそろえる練習を定期的に行う
良い対応を伝えない品質管理が減点の場になる面談では必ず良かった点から伝える

どの失敗も、始めたばかりのときより、しばらく続けて慣れてきたころに起きやすいものです。数か月ごとの見直しのときに、この表を使って振り返ってみてください。

品質管理の見直しの観点

数か月ごとに、品質管理そのものを見直します。次の観点で振り返りましょう。

観点振り返る問い
目的決めた目的に向かって、対応は良くなっているか
項目評価が分かれやすい項目、使われていない項目はないか
シート評価に時間がかかりすぎていないか
選び方偏りなく通話を選べているか
フィードバック面談は予定どおり行えているか。オペレーターは納得しているか
窓口全体への活用評価の結果から、手順書や研修の見直しにつながったか

オペレーターに、品質管理についての感想を聞くことも大切です。「面談が役に立っている」「評価の基準が分かりにくい」といった声は、見直しの手がかりになります。

AI-SNS.IO Callについて

AI-SNS.IO Callは、ブラウザで使えるクラウド型の電話の仕組みです。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。IVRと着信のルーティング、営業時間に合わせた切り替え、キュー、キューごとのボイスメール、IVRのメニューからの折り返しの依頼、名前で担当者を呼び出すディレクトリ、ブラウザのソフトフォン、AIによる通話の要約、設定した窓口をまとめる受信箱、REST API、レポートと分析、品質管理や要員管理の機能などを備えています。現在利用できる機能は機能一覧で、設定の手順は使い方ガイドで確認してください。コールセンター全体の見直しの進め方はコンタクトセンターDXの進め方で紹介しています。

よくある質問

品質管理とモニタリングは何が違いますか?

モニタリングは、通話を聞いて様子を確かめることを指すことが多く、品質管理は、評価の基準を決め、評価し、フィードバックし、改善につなげる取り組み全体を指します。モニタリングは、品質管理の一部と考えるとよいでしょう。

評価の項目はいくつくらいがよいですか?

決まった数はありませんが、多すぎると評価に時間がかかり、オペレーターも何を直せばよいか分からなくなります。最初は目的に照らして大切な項目に絞り、運用しながら見直しましょう。

一人あたり何件の通話を評価すればよいですか?

評価にかけられる時間と、知りたいことによって決めます。評価する人の使える時間を見積もり、人数で割って上限を出します。新しく入った人は多めに、評価が安定している人は少なめにするなど、人によって調整します。

評価する人によって点数がばらつきます。どうすればよいですか?

同じ通話を全員で評価し、結果を比べて話し合う練習を定期的に行います。評価が何度も分かれる項目は、書き方を具体的にしたり、評価の例を書き足したりしましょう。段階を少なくすることも効果があります。

オペレーターが評価を嫌がります。

目的が対応の改善と成長の支援であること、項目と基準を公開すること、良い対応も評価すること、結果を責めるために使わないことを、最初に伝えます。項目を決めるときにオペレーターに加わってもらうのも効果があります。

フィードバックで、どのくらいの点を伝えればよいですか?

一度の面談では、直してほしい点を一つか二つに絞るのがよいでしょう。多くの点を一度に伝えると、どれも身につきにくくなります。良かった点も必ず伝えます。

通話を録音していない場合、品質管理はできますか?

できます。管理者が通話を横で聞く、オペレーターが受けた通話の記録を見る、試験の電話で対応を確かめる、といった方法があります。ただし、一緒に聞き返せないため、具体的な場面を挙げたフィードバックはしにくくなります。

AIだけで品質の評価をしてもよいですか?

AIの要約や候補の抽出は、評価の手がかりとして役立ちますが、最終的な評価とフィードバックは人が行うのが現実的です。AIの要約や文字起こしには、聞き間違いや抜け落ちがあることもあるため、大切な判断の前には元の通話を確かめましょう。

品質管理の効果はどう確かめればよいですか?

評価の結果の推移に加えて、同じお客様から繰り返しかかってくる電話の数、苦情の数、お客様の声など、品質管理の目的に関係する数字や声を見ます。始める前の状態を記録しておくと、比べやすくなります。

小さなチームでも品質管理は必要ですか?

必要です。ただし、大きな仕組みは要りません。月に一度、一人一件の通話を一緒に聞く、簡単なシートで自己評価する、といった小さな形から始められます。

評価の結果を人事の評価に使ってもよいですか?

会社の判断によりますが、使う場合は、そのことと基準を事前にオペレーターに伝えておく必要があります。人事の評価に直結させると、オペレーターが品質管理に身構えやすくなるため、育成のための評価と分けて考える会社もあります。

まとめ

通話の品質管理は、実際の通話を決まった基準で評価し、フィードバックし、対応を良くしていく取り組みです。

まずは、目的を一つ決め、五つ程度の項目で簡単な評価シートを作るところから始めてみてください。通話の要約などの機能は、AI-SNS.IO Callで試せます。アカウント登録から始めてみましょう。

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