WFM(ワークフォースマネジメント)とは|予測・シフト・実績管理
コールセンターの管理者が毎日悩むことの一つが、「何人いれば足りるのか」です。人が少なすぎると、電話がつながらず、お客様を長く待たせてしまいます。逆に人が多すぎると、電話を待つだけの時間が増え、人件費が無駄になります。しかも、電話の数は時間帯や曜日、季節によって大きく変わります。
この「必要なときに、必要な人数を、必要なスキルで配置する」ための取り組みが、WFM(ワークフォースマネジメント)です。日本語では要員管理とも呼ばれます。WFMは、入電の予測、必要人数の算出、シフトの作成、当日のリアルタイム管理、実績の振り返りという流れで進めます。
WFMというと、大規模なコールセンターが専用の仕組みを使って行うもの、という印象があるかもしれません。しかし、考え方そのものは、数人の窓口でも役立ちます。表計算のシートと、電話の仕組みのレポートがあれば、始めることができます。
この記事では、コールセンターのWFMについて、基本の考え方から、入電予測の考え方、必要人数の算出、シフトの作成、リアルタイム管理、小規模チームでの取り入れ方まで、順に解説します。予測のシートの作り方や、当日の対応の手順も紹介します。
コールセンターのWFMとは
WFMの流れ
WFMは、次の流れを繰り返す取り組みです。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 予測 | 過去の実績をもとに、時間帯ごとの電話の数と、一件あたりの対応時間を予測する |
| 必要人数の算出 | 予測と、応答の目標をもとに、時間帯ごとに必要な人数を出す |
| シフトの作成 | 必要人数を満たすように、オペレーターの勤務の時間を組む |
| リアルタイム管理 | 当日、予測と実際のずれを見て、休憩の調整などをその場で行う |
| 振り返り | 予測と実績を比べ、次の予測とシフトに生かす |
この流れを毎週、毎月繰り返すことで、予測の精度が上がり、必要な人数を無駄なく配置できるようになっていきます。
WFMで目指すこと
WFMで目指すのは、次の三つのバランスです。
- お客様の体験:電話がつながりやすく、待ち時間が短い
- オペレーターの働きやすさ:無理のない勤務の時間、休憩がとれる、希望が反映される
- 費用:必要以上の人数を配置しない
どれか一つだけを追うと、ほかが犠牲になります。人数を減らして費用を抑えると、待ち時間が延び、オペレーターも休む間がなくなります。逆に、待ち時間をなくそうと人数を増やしすぎると、費用がかさみます。WFMは、この三つのちょうどよい点を探す取り組みです。
WFMで使う言葉
WFMでよく使う言葉を整理しておきます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 入電数 | ある時間帯にかかってきた電話の数 |
| 平均処理時間 | 一件あたりの通話の時間と後処理の時間の合計の平均 |
| 業務量 | 入電数と平均処理時間をかけたもの。その時間帯に必要な対応の時間の合計 |
| 応答の目標 | 決めた秒数以内に応答する電話の割合などの目標 |
| 稼働の割合 | 勤務の時間のうち、電話の対応に使った時間の割合 |
| シフトの縮み | 休憩、研修、会議、休みなどで、勤務の時間のうち電話を受けられない時間 |
| 予実の差 | 予測と実績の差 |
指標の詳しい意味はコールセンターのKPI一覧で紹介しています。

入電予測の考え方
予測の材料
入電の予測は、過去の実績をもとに行います。電話の仕組みのレポートから、次のような材料を集めます。
- 時間帯ごと(例えば30分や1時間ごと)の入電数
- 曜日ごとの入電数
- 月ごと、季節ごとの入電数
- 問い合わせの種類ごとの入電数(キューごとの数)
- 平均処理時間(時間帯や種類ごと)
できれば、一年分以上の実績があると、季節の変化もつかめます。実績が少ない場合は、手に入る範囲から始め、データがたまるにつれて精度を上げていきます。
入電数のパターンを見る
実績を並べると、多くの窓口で、次のようなパターンが見えてきます。
- 時間帯のパターン:朝の受付開始の直後や、昼休みの後に電話が集まる、など
- 曜日のパターン:休み明けの曜日に電話が多い、など
- 月のパターン:月末や月初、請求書が届く時期に電話が増える、など
- 季節のパターン:繁忙期、長い休みの前後、など
パターンは窓口ごとに違います。自社の実績を見て、どんなパターンがあるかを確認しましょう。
特別な出来事を織り込む
過去のパターンだけでは予測できない出来事もあります。
- キャンペーンやセール
- 新しい商品やサービスの開始
- 料金や手続きの変更の案内
- 請求書や案内の郵便の発送
- システムの障害や、商品の不具合
- 祝日や長い休み
予定されている出来事は、社内のほかの部署と情報を共有し、予測に織り込みます。例えば、「来月の初めに、全てのお客様に料金の変更の案内を送る」と分かっていれば、その後の数日は電話が増えると見込めます。過去に似た出来事があれば、そのときの実績が参考になります。
祝日の前後は、電話の数のパターンが普段と変わりやすい日です。翌年の祝日は、内閣府の「国民の祝日」についてで確認し、予測のシートにあらかじめ印をつけておきましょう。
予測のシートの作り方
表計算のシートで、簡単な予測を作る方法を紹介します。
- 過去の数週間分の実績を、曜日と時間帯ごとに並べる
- 曜日と時間帯ごとに、平均の入電数を出す
- 最近の傾向(全体として増えている、減っている)があれば、それを反映する
- 予定されている出来事の影響を、見込みとして加える
- 平均処理時間も、同じように曜日と時間帯ごとに出す
| 時間帯 | 月曜の平均入電数 | 火曜の平均入電数 | … | 出来事による見込み | 予測 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | 実績から計算 | 実績から計算 | … | 案内の発送の翌日なら増やす | 計算した値 |
| 9:30〜10:00 | 実績から計算 | 実績から計算 | … | 計算した値 |
最初は単純な平均で十分です。予測と実績を比べながら、少しずつ工夫を加えていきます。
時間帯の区切り方
予測とシフトは、時間帯を区切って考えます。区切りが粗すぎると、短い時間の電話の集中が見えなくなり、細かすぎると、一つの区切りの電話の数が少なくなって、ばらつきが大きくなります。
多くの窓口では、30分や1時間ごとの区切りが使われます。電話の数が多い窓口では細かめに、少ない窓口では粗めに区切るとよいでしょう。電話の仕組みのレポートで出せる区切りに合わせると、実績を集める手間が減ります。
予測の精度の測り方
予測がどのくらい当たっているかを、数字で確認しておくと、改善の効果が分かります。簡単な方法は、時間帯ごとに「予測と実績の差」を出し、差の大きさを実績で割って、ずれの割合を見ることです。
| 時間帯 | 予測 | 実績 | 差 | ずれの割合 |
|---|---|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | 予測した数 | 実際の数 | 実績−予測 | 差の大きさ÷実績 |
ずれの割合を、日ごと、週ごとに並べると、予測がよくなっているか、特定の曜日や時間帯でいつも外れていないかが見えてきます。
平均処理時間の予測
入電数と同じように、平均処理時間も予測が必要です。平均処理時間は、問い合わせの種類の割合、新しく入った人の割合、手続きの変更などによって変わります。
- 新しい人が多い時期は、慣れるまで処理時間が長くなりやすいため、少し長めに見込む
- 手続きや商品が変わった直後は、説明に時間がかかることを見込む
- 問い合わせの種類によって処理時間が大きく違う場合は、種類ごとの割合の変化にも注意する
- 通話の要約などで後処理の方法を変えた後は、処理時間の変化を数週間かけて確かめ、見込みに反映する
入電数の予測が当たっていても、平均処理時間の見込みが外れると、必要人数は大きく変わります。両方を合わせて振り返りましょう。
予測は外れるものと考える
どれだけ工夫しても、予測は外れます。大切なのは、外れたときにどう対応するかを決めておくことと、外れた理由を振り返って次に生かすことです。予測の精度を上げることと、当日のずれに対応する力をつけることは、WFMの両輪です。
必要人数の算出
業務量から考える
必要人数を考える出発点は、業務量です。ある時間帯の業務量は、入電数と平均処理時間をかけて出します。
説明のための架空の例で考えます。ある30分の時間帯に、30件の電話が予測され、平均処理時間が5分だとします。業務量は、30件×5分で150分です。30分の時間帯に150分の対応が必要なので、単純に割ると、150分÷30分で5人分の業務量になります。
単純な割り算では足りない理由
では、この時間帯に5人を配置すれば足りるかというと、そうはいきません。理由は二つあります。
一つ目は、電話は均等にかかってこないことです。30分に30件の予測でも、最初の5分に10件が集中することもあります。集中した時間には、5人では受けきれず、お客様が待つことになります。5人全員が休みなく電話を受け続ける状態は、計算の上でしか成り立ちません。
二つ目は、オペレーターは勤務の時間のすべてを電話の対応に使えないことです。休憩、研修、会議、メールの確認など、電話を受けられない時間があります。
応答の目標を加える
一つ目の理由に対応するために、応答の目標を決めて、それを満たす人数を考えます。「決めた秒数以内に、決めた割合の電話に応答する」という目標を満たすには、業務量を割った人数より多くの人が必要になります。
この計算には、待ち行列の理論にもとづく計算方法がよく使われ、代表的なものにアーランCと呼ばれる式があります。WFMの専用の仕組みや、表計算で使える計算のひな形を使えば、入電数、平均処理時間、応答の目標を入れると、必要な人数を出せます。計算の細かい仕組みを理解していなくても、使い方を覚えれば十分に活用できます。
計算で出た人数は、あくまで目安です。電話の集中のしかたや、お客様がどのくらい待てるかは窓口によって違うため、実績と比べながら調整します。
応答の目標の決め方
必要人数は、応答の目標によって大きく変わります。目標を高くするほど、多くの人が必要になります。目標を決めるときは、次の点を考えます。
- 今の数字:まず今の応答の割合と待ち時間を測る
- お客様の声:つながりにくさへの不満がどのくらいあるか
- 問い合わせの急ぎ具合:急ぎの用件が多い窓口ほど、目標を高めにする
- ほかの手段の有無:折り返しやボイスメール、ほかの窓口で受けられるなら、電話の目標を少しゆるめる余地がある
- 費用:目標を上げるために必要な人数を、無理なく確保できるか
時間帯によって目標を変える考え方もあります。例えば、急ぎの用件が多い時間帯は目標を高めにし、それ以外は折り返しを組み合わせる、といった形です。
シフトの縮みを加える
二つ目の理由に対応するために、シフトの縮みを加えます。シフトの縮みは、勤務の時間のうち、休憩、研修、会議、休み(急な欠勤を含む)などで電話を受けられない時間の割合です。
例えば、計算で5人が必要と出ても、勤務している人のうち一部は休憩や研修で電話を受けられないため、シフトの上では5人より多く配置する必要があります。シフトの縮みの割合は、自社の実績(休憩の時間、研修の予定、欠勤の頻度)から見積もります。
必要人数の算出の流れ
- 時間帯ごとの入電数と平均処理時間を予測する
- 入電数と平均処理時間をかけて、業務量を出す
- 応答の目標を満たすために必要な人数を、計算の方法で出す
- シフトの縮みを加えて、シフトの上で必要な人数を出す
- 実績と比べて、計算の前提を調整する
一日の必要人数の表の例
説明のための架空の例として、ある窓口の月曜の午前の必要人数の表を示します。入電数と平均処理時間は予測、必要人数は計算のひな形で出したもの、シフト上の人数は縮みを加えたものという想定です。数字は説明のためのもので、実際の窓口の目安ではありません。
| 時間帯 | 予測入電数 | 平均処理時間 | 業務量 | 目標を満たす人数 | シフト上の人数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | 40件 | 5分 | 200分 | 計算で出た人数 | 縮みを加えた人数 |
| 9:30〜10:00 | 30件 | 5分 | 150分 | 計算で出た人数 | 縮みを加えた人数 |
| 10:00〜10:30 | 20件 | 6分 | 120分 | 計算で出た人数 | 縮みを加えた人数 |
表にすると、受付の開始の直後に業務量の山があり、その後は下がっていくことが一目で分かります。平均処理時間が時間帯によって違う場合は、業務量で比べると、入電数だけで比べるより実態に近づきます。
複数のキューやスキルがある場合
問い合わせの種類ごとにキューが分かれている場合や、スキルによって受けられる電話が違う場合は、キューやスキルごとに必要な人数を考えます。一人が複数のキューに所属している場合は、計算が複雑になるため、専用の仕組みを使うか、主なキューごとに分けて大まかに考え、実績で調整する方法がとられます。キューの設計の考え方はACD(着信呼自動分配)とはで紹介しています。
電話以外の業務も考える
オペレーターが、電話のほかにメールやチャットの対応も受け持っている場合は、その業務量も考えに入れます。メールのように、すぐに返さなくてもよい業務は、電話が少ない時間帯に回すことで、人数の山と谷をならせます。電話とほかの窓口をまとめて考える方法はオムニチャネルのサポートで紹介しています。
シフト作成
シフトを作る前に集めること
シフトを作る前に、次の情報を集めます。
- 時間帯ごとの必要人数(前の章で出したもの)
- オペレーターごとの勤務の条件(勤務できる曜日と時間帯、一日の勤務の時間、週の勤務の日数)
- 休みの希望
- スキル(どのキューの電話を受けられるか)
- 研修や会議の予定
- 法律や社内のルールで決められた、休憩や勤務の時間の決まり
勤務の時間や休憩の決まりは、労働に関する法律や社内の規則にもとづきます。この記事の内容は一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。具体的な決まりは、社内の担当部署や専門家に確認してください。
シフトの組み方
シフトは、時間帯ごとの必要人数を、オペレーターの勤務の時間で埋めていく作業です。次の順番で進めると組みやすくなります。
- 必要人数が一番多い時間帯(山)を確認する
- 山の時間帯を、勤務の時間の中心に置けるオペレーターから配置する
- 朝と夕方など、受付の始めと終わりの時間帯を埋める
- 休憩の時間を、山の時間帯を避けて配置する
- 研修や会議を、必要人数が少ない時間帯(谷)に配置する
- 時間帯ごとに、配置した人数と必要人数を比べ、足りない時間帯と余っている時間帯を確認する
- 足りない時間帯は、勤務の時間をずらす、短い時間の勤務を加える、などで埋める
研修と会議の置き方
研修や会議は、まとめて全員を電話から外すと、その時間に電話を受けられる人がいなくなります。谷の時間帯に置くことに加えて、全員を一度に集めず、二つ以上の組に分けて同じ内容を行うと、電話の受付を続けながら全員に伝えられます。研修の予定は、シフトを組む段階で入れておき、当日に急に入れないようにしましょう。当日の電話が予測より多い場合に、研修を別の日に移すかどうかの判断の基準も、あらかじめ決めておくと迷いません。
時間帯ごとの過不足を見る表
シフトを組んだら、時間帯ごとに、必要人数と配置した人数を並べた表で確認します。
| 時間帯 | 必要人数 | 配置した人数 | 差 |
|---|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | 計算した人数 | シフトから数えた人数 | 足りない・余っている |
| 9:30〜10:00 | 計算した人数 | シフトから数えた人数 | |
| … |
足りない時間帯が続く場合は、シフトの組み方だけでなく、勤務の条件そのもの(短い時間の勤務の人を増やす、など)を見直す必要があるかもしれません。
短い時間の勤務を組み合わせる
一日の中で、山の時間帯が短い場合は、一日を通した勤務の人だけで山を埋めようとすると、谷の時間帯に人が余ります。山の時間帯だけ働く、短い時間の勤務を組み合わせると、山と谷の両方に合わせやすくなります。
例えば、朝の受付の開始から昼までだけの勤務、昼休みの交代の時間帯だけの勤務、夕方の数時間だけの勤務、といった組み方です。在宅の勤務と組み合わせると、短い時間でも通勤の負担がないため、働く人にとっても選びやすくなります。
公平さと希望への配慮
シフトは、オペレーターの生活に直接かかわります。必要人数を満たすことだけを考えると、特定の人に早朝や遅い時間の勤務が偏ったり、休みの希望が通りにくい人が出たりします。
- 負担の大きい時間帯の勤務が、特定の人に偏らないようにする
- 休みの希望を受け付ける期限と、希望が重なったときの決め方を、あらかじめ決めて共有する
- シフトを早めに公開し、オペレーターが予定を立てやすくする
- シフトの交代の方法を決めておく
公平で予定の立てやすいシフトは、オペレーターが長く働き続けられることにつながり、それが結果として窓口の品質を支えます。
リアルタイム管理
当日に起きるずれ
どれだけ丁寧に予測とシフトを作っても、当日は予定どおりにいきません。次のようなずれが起きます。
- 予測より電話が多い、または少ない
- 平均処理時間が予測より長い(難しい問い合わせが続いた、など)
- 急な欠勤や遅刻
- システムの障害や、商品の不具合による電話の急増
- オペレーターが状態の切り替えを忘れ、受付可の人数が実際より少ない
リアルタイム管理は、こうしたずれを当日の画面で見つけ、その場で調整する取り組みです。
画面で見ること
リアルタイム管理では、電話の仕組みの管理画面で、次のような点を見ます。
| 見ること | 気づけること |
|---|---|
| キューで待っている電話の数 | 電話がたまり始めていないか |
| 一番長く待っている電話の待ち時間 | お客様を長く待たせていないか |
| 状態ごとの人数(受付可、通話中、後処理中、休憩中など) | 電話を受けられる人が足りているか |
| 長く同じ状態のままの人 | 後処理や休憩が長引いていないか、状態の切り替えを忘れていないか |
| 時間帯の入電数と予測の差 | 予測より多いか、少ないか |
| 応答の割合と放棄の割合 | 目標を満たせているか |
ずれへの対応の手順
ずれが起きたときの対応を、あらかじめ手順として決めておくと、慌てずに済みます。
電話が予測より多いとき
- 休憩の時間を、少し後にずらしてもらう
- ほかの作業(メール、研修など)をしている人に、一時的に電話を受けてもらう
- ほかのキューの人に、一時的に所属してもらう
- 待ち時間の上限を短くして、折り返しの依頼やボイスメールに早めに切り替える
- それでも足りない場合は、管理者や電話を受けられるほかの部署の人に応援を頼む
電話が予測より少ないとき
- 研修、ナレッジの更新、メールの対応など、後回しになっていた作業に時間を使う
- 休憩を前倒しする
- 本人の希望があれば、早く上がってもらう(会社のルールの範囲で)
システムの障害などで電話が急増したとき
- 障害の内容と、お客様への案内を、全員に共有する
- IVRやホームページで、障害についての案内を流す
- 障害についての電話は、案内を伝えるだけの短い対応にそろえる
誰が画面を見るかを決める
リアルタイム管理は、誰かが画面を見ていなければ機能しません。管理者が会議や電話の対応で手が離せない時間に、電話がたまり始めることもあります。画面を見る担当を時間帯ごとに決め、担当が不在のときに代わりに見る人も決めておきましょう。
動き始める目安を決める
どのくらいのずれで対応を始めるかを、あらかじめ決めておくと、判断に迷いません。例えば、「キューで待っている電話が決めた件数を超えたら、休憩をずらす」「一番長い待ち時間が決めた時間を超えたら、ほかの作業の人に電話を受けてもらう」といった目安です。目安の数字は、窓口の応答の目標と、お客様がどのくらい待てるかをもとに決め、振り返りのたびに見直します。
当日の記録を残す
当日に起きたずれと、行った対応を記録しておきます。「何時ごろ、何があって、何をしたか」を簡単に書くだけで十分です。この記録が、次の章で紹介する振り返りの大切な材料になります。
急な欠勤に備える
WFMの計画を一番大きく崩すのが、急な欠勤です。欠勤そのものは避けられないため、起きたときの備えを決めておきます。
- 連絡の方法と期限:欠勤の連絡を、誰に、どの方法で、勤務の始めの何時間前までにするかを決めます。連絡が早いほど、調整の幅が広がります。
- 応援の順番:勤務の予定がない人に応援を頼む場合の、頼む順番や方法を決めておきます。応援を頼まれた人が断れる雰囲気も大切です。
- 受付を縮める手順:応援が見つからない場合に、どのキューを優先するか、どのキューは折り返しの対応に切り替えるかを決めておきます。
- シフトの縮みに織り込む:過去の欠勤の頻度を、シフトの縮みの見込みに入れておくと、欠勤が出ても計画が大きく崩れにくくなります。
繁忙期の準備
一年の中で、電話が大きく増える時期が分かっている場合は、数か月前から準備を始めます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 数か月前 | 過去の繁忙期の実績を確認し、入電数と必要人数を見積もる。人を増やすかどうかを決める |
| 2か月前 | 人を増やす場合は、採用と研修の計画を立てる。休みの希望の受付の方針を決める |
| 1か月前 | 繁忙期のシフトを組む。よくある問い合わせの答えを、ナレッジやホームページにまとめる |
| 直前 | 新しく入った人の研修を終える。当日の対応の手順を全員に共有する |
| 繁忙期の間 | 毎日、予測と実績を比べ、翌日のシフトを調整する |
| 繁忙期の後 | 振り返りを行い、次の繁忙期のために記録を残す |
繁忙期に新しく人を迎える場合は、研修の時間も必要人数の計算に入れておきます。研修を担当するベテランは、その間電話を受けられないためです。
実績の振り返り
予測と実績を比べる
週や月の終わりに、予測と実績を比べます。
| 比べること | 振り返る問い |
|---|---|
| 入電数 | どの時間帯で、予測とどのくらいずれたか。なぜずれたか |
| 平均処理時間 | 予測より長かった、または短かった理由は何か |
| 必要人数と配置 | 足りなかった時間帯、余った時間帯はどこか |
| 応答の目標 | 目標を満たせたか。満たせなかった時間帯はどこか |
| シフトの縮み | 休憩、研修、欠勤は、見込みどおりだったか |
ずれの理由を探す
ずれの理由が分かれば、次の予測に生かせます。
- 予定されていた出来事を織り込み忘れていた → 社内の情報の共有のしかたを見直す
- 新しい種類の問い合わせが増えていた → 問い合わせの原因を調べ、ナレッジや案内を見直す
- 平均処理時間が延びていた → 手続きが複雑になった、新しい人が増えた、などの理由を確認する
- 欠勤が多かった → シフトの縮みの見込みを見直す。働き方に問題がないかも確かめる
振り返りを次に生かす
振り返りの結果は、次の予測、必要人数の計算の前提、シフトの組み方に反映します。この繰り返しで、WFMの精度は少しずつ上がっていきます。
小規模チームでの取り入れ方
小さな窓口にもWFMは役立つ
数人の窓口では、専用のWFMの仕組みを入れるほどではないことがほとんどです。それでも、WFMの考え方を取り入れると、次のような効果が期待できます。
- 電話が集まる時間帯に、人が足りないという状態を減らせる
- 電話が少ない時間帯を、ほかの業務や研修に使える
- 休憩や休みの調整の根拠ができ、オペレーターも納得しやすくなる
表計算から始める
小さな窓口では、電話の仕組みのレポートと表計算のシートで始められます。
- 実績を集める:電話の仕組みのレポートから、曜日と時間帯ごとの入電数と、平均の通話の時間を書き出す
- 山と谷を見つける:どの曜日の、どの時間帯に電話が集まるかを確認する
- シフトを山に合わせる:山の時間帯に、多めに人を配置する。谷の時間帯に、休憩や研修を置く
- 当日の対応を決める:電話がたまったときに、誰が何をするかを決めておく
- 月に一度振り返る:実績を見て、シフトの組み方を調整する
必要人数の細かい計算は、最初は省いても構いません。山と谷に合わせて人を動かすだけでも、効果があります。
小さな窓口の例
説明のための架空の例として、4人で電話とメールの対応をしている窓口を考えます。
実績を見ると、月曜の午前と、毎日の昼休みの直後に電話が集まり、木曜と金曜の午後は電話が少ないことが分かりました。これまでは、全員が同じ時間に昼休みをとり、研修やメールの対応は空いた時間に行っていました。
そこで、次のように変えました。
- 昼休みを二つの組に分け、昼休みの直後に全員がそろうようにした
- 月曜の午前は、メールの対応を後回しにして、全員が電話を受けるようにした
- 木曜と金曜の午後に、メールの対応と研修の時間をまとめて置いた
- 電話がたまったときは、メールの対応をしている人が電話に回ると決めた
このように、大がかりな仕組みがなくても、実績を見てシフトと作業の割り振りを変えるだけで、電話のつながりやすさを改善できる可能性があります。
小さな窓口で気をつけること
- 一人の欠勤の影響が大きい:4人の窓口で1人が休むと、受けられる電話は大きく減ります。急な欠勤のときに、誰が応援に入るか、どこまで受付を縮めるかを決めておきます。
- 実績の数が少ない:電話の数が少ないと、日によるばらつきが大きく、予測が外れやすくなります。数週間分をまとめて平均をとる、といった工夫をします。
- 一人が多くの役割を持つ:電話、メール、事務の作業を同じ人が受け持つことが多いため、作業の優先の順番を決めておきます。
折り返しやボイスメールで山をならす
小さな窓口では、山の時間帯にすべての電話にすぐ出ることが難しい場合もあります。その場合は、待ち時間の上限を決めて、超えたらボイスメールや折り返しの依頼に切り替える設定にすると、山の時間帯の電話を、谷の時間帯に回すことができます。ボイスメールと折り返しの設計はIVRの折り返しとボイスメールで紹介しています。
WFMを始める手順
WFMを始めるときの手順をまとめます。
手順1:実績を集める
電話の仕組みのレポートから、曜日と時間帯ごとの入電数と平均処理時間を集めます。
手順2:応答の目標を決める
今の数字を確認し、お客様の声と無理のない人数を考えて、応答の目標を決めます。
手順3:予測を作る
実績の平均から始め、予定されている出来事を織り込みます。
手順4:必要人数を出す
業務量、応答の目標、シフトの縮みをもとに、時間帯ごとの必要人数を出します。小さな窓口では、山と谷を確認するだけでも構いません。
手順5:シフトを組む
必要人数に合わせてシフトを組み、時間帯ごとの過不足を確認します。公平さと希望にも配慮します。
手順6:当日に調整する
画面で状況を見て、ずれが起きたら決めた手順で対応します。対応を記録します。
手順7:振り返る
予測と実績を比べ、ずれの理由を探し、次の予測とシフトに生かします。

WFMの担当者の一週間
WFMを担当する人の仕事が、一週間でどのように流れるかを、説明のための架空の例で示します。
| 曜日 | やること |
|---|---|
| 月曜 | 先週の予測と実績を比べ、ずれの理由を記録する |
| 火曜 | 他部署から、今後の出来事(キャンペーン、案内の発送など)の情報を集める |
| 水曜 | 再来週の予測を作り、必要人数を出す |
| 木曜 | 休みの希望を反映して、再来週のシフトの案を作る |
| 金曜 | シフトの案を確認し、公開する。翌週の研修や会議の予定を確認する |
| 毎日 | 当日の状況を画面で見て、ずれが起きたら調整する |
小さな窓口では、管理者がこの仕事を兼ねることが多いでしょう。その場合は、毎日の確認と、週に一度のシフトの作成と振り返りに絞っても構いません。
WFMの結果を社内に伝える
WFMの数字は、人を増やす、勤務の形を変える、といった判断の材料になります。経営層やほかの部署に伝えるときは、次のような形にまとめると伝わりやすくなります。
- 時間帯ごとの過不足:どの時間帯に人が足りず、どの時間帯に余っているか
- 目標と実績:応答の目標を、どの時間帯で満たせていないか
- 原因:入電数の増加、処理時間の延び、欠勤の多さなど
- 選択肢:人を増やす、勤務の形を変える、電話の原因を減らす、折り返しを使う、などの選択肢と、それぞれの効果の見込み
数字と選択肢を並べて示すと、「なんとなく人が足りない」という訴えではなく、根拠のある提案として受け止めてもらいやすくなります。
専用の仕組みを検討する目安
表計算で始めたWFMも、窓口が大きくなると、手作業では追いつかなくなります。次のような状態になったら、WFMの専用の仕組みや、電話の仕組みの要員管理の機能を検討する目安になります。
- オペレーターの人数が増え、シフトの作成に多くの時間がかかる
- キューやスキルが増え、必要人数の計算が複雑になった
- 電話のほかに、メールやチャットの業務量もまとめて計画したい
- 予測と実績の比べ方を、自動で毎日見たい
- 休みの希望の受付や、シフトの交代を、オペレーターが自分で申請できるようにしたい
検討するときは、今の表計算のシートで何をしているかを書き出し、その作業がどのくらい楽になるかで判断しましょう。
オペレーターに計画を伝える
WFMは管理者だけの取り組みではありません。オペレーターが計画の意味を理解していると、当日の調整にも協力してもらいやすくなります。
- なぜその時間に人が多いのか:シフトの山が、電話の山に合わせてあることを説明する
- なぜ休憩をずらすことがあるのか:当日に電話が予測より多いときの対応であることを説明する
- 予測と実績の振り返りの共有:振り返りの結果を、朝の打ち合わせなどで短く共有する
- 状態の切り替えの大切さ:状態が正しくないと、画面で見える人数が実際とずれ、調整を誤ることを説明する
WFMでよくある失敗
| よくある失敗 | 起きること | 避け方 |
|---|---|---|
| 一日の合計だけで人数を考える | 時間帯の山で人が足りず、谷で余る | 時間帯ごとに考える |
| シフトの縮みを入れない | 休憩や研修の時間に人が足りなくなる | 実績から縮みを見積もって加える |
| 予定された出来事を知らない | 案内の発送の後に電話が急増して慌てる | 他部署と定期的に情報を共有する |
| 振り返りをしない | 同じずれが繰り返される | 週に一度、予測と実績を比べる |
| 人数だけで解決しようとする | 費用がかさむ | 電話の原因を減らす、処理時間を短くする工夫も合わせる |
WFMと品質の関係
WFMは人数と時間の取り組みですが、対応の品質とも深くかかわっています。
- 人が足りないと品質が下がる:電話がたまっていると、オペレーターは急いで対応しがちになり、確かめ漏れや説明の不足が起きやすくなります。
- 研修の時間がとれない:シフトに研修の時間が組まれていないと、品質を上げるための学びの機会が失われます。
- 疲れが品質に表れる:休憩がとれない、負担の大きい勤務が続く、といった状態では、対応の質を保つのが難しくなります。
逆に、品質管理の評価の結果から、「混み合う時間帯の評価が低い」と分かれば、その時間帯の人数を見直すきっかけになります。品質管理の進め方は通話の品質管理の進め方で紹介しています。
平均処理時間を短くする工夫
必要人数は、入電数だけでなく、平均処理時間にも左右されます。平均処理時間を、品質を下げずに短くできれば、同じ人数でより多くの電話に対応できます。
- 答えを探す時間を減らす:よくある質問と答え、手順書をナレッジにまとめ、すぐに探せるようにします。ナレッジの作り方はコンタクトセンターのナレッジベースで紹介しています。
- 後処理を短くする:記録の項目を絞る、通話の要約の仕組みを使う、といった方法があります。
- 転送を減らす:IVRのメニューを分かりやすくして、最初から正しい窓口につながるようにします。
- 電話そのものを減らす:繰り返しかかってくる電話の原因を見つけ、元から直します。
ただし、平均処理時間を短くすることを目標にしすぎると、オペレーターが急いで電話を切るようになり、かえって同じお客様からの電話が増えることがあります。品質と合わせて見ることが大切です。
AI-SNS.IO Callについて
AI-SNS.IO Callは、ブラウザで使えるクラウド型の電話の仕組みです。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。IVRと着信のルーティング、営業時間に合わせた切り替え、キュー、キューごとのボイスメール、IVRのメニューからの折り返しの依頼、名前で担当者を呼び出すディレクトリ、ブラウザのソフトフォン、AIによる通話の要約、設定した窓口をまとめる受信箱、REST API、レポートと分析、品質管理や要員管理の機能などを備えています。要員管理やレポートで何ができるかなど、現在利用できる機能は機能一覧で、設定の手順は使い方ガイドで確認してください。WFMを含めたコールセンター全体の見直しの順番はコンタクトセンターDXの進め方で整理しています。
よくある質問
WFMとシフト管理は何が違いますか?
シフト管理は、オペレーターの勤務の時間を組んで管理することです。WFMは、入電の予測、必要人数の算出、シフトの作成、当日のリアルタイム管理、実績の振り返りまでを含む、より広い取り組みです。シフト管理は、WFMの一部と考えるとよいでしょう。
WFMには専用の仕組みが必要ですか?
必ずしも必要ではありません。小さな窓口では、電話の仕組みのレポートと表計算のシートで始められます。人数やキューが増え、手作業では追いつかなくなったら、専用の仕組みを検討します。
予測に使う実績は、どのくらいの期間が必要ですか?
長いほど季節の変化などもつかめますが、少ない実績からでも始められます。最初は数週間分の平均で予測し、データがたまるにつれて精度を上げていきましょう。
アーランCとは何ですか?
待ち行列の理論にもとづく計算の方法の一つで、入電数、平均処理時間、応答の目標から、必要な人数を出すのによく使われます。専用の仕組みや計算のひな形を使えば、細かい仕組みを理解していなくても活用できます。出た人数は目安として、実績と比べて調整します。
シフトの縮みはどのくらいに見込めばよいですか?
窓口によって大きく違うため、決まった数字はありません。自社の休憩の時間、研修や会議の予定、欠勤の頻度の実績から見積もり、振り返りのたびに見直しましょう。
予測が外れたときはどうすればよいですか?
当日は、休憩をずらす、ほかの作業の人に電話を受けてもらう、待ち時間の上限を短くして折り返しに切り替える、といった手順で対応します。後で外れた理由を振り返り、次の予測に生かします。
小さな窓口でも、必要人数の計算は必要ですか?
最初は省いても構いません。曜日と時間帯ごとの電話の山と谷を確かめ、山の時間帯に人を多く置き、谷の時間帯に休憩や研修を置くだけでも効果があります。
オペレーターの希望をシフトにどう反映すればよいですか?
休みの希望を受け付ける期限と、希望が重なったときの決め方を、あらかじめ決めて共有します。負担の大きい時間帯の勤務が偏らないようにし、シフトを早めに公開することも大切です。
平均処理時間を短くすれば、人数を減らせますか?
品質を下げずに短くできれば、同じ人数でより多くの電話に対応できます。ただし、短くすることだけを目標にすると、急いで切る対応が増え、同じお客様からの電話がかえって増えることがあります。品質と合わせて見ましょう。
電話のほかにメールやチャットもある場合は、どう考えればよいですか?
メールなど、すぐに返さなくてもよい業務は、電話が少ない時間帯に回すことで、人数の山と谷をならせます。チャットのように、すぐに返す必要がある業務は、電話と同じように時間帯ごとの業務量を考えます。
在宅のオペレーターがいても、WFMは同じようにできますか?
基本の考え方は同じです。在宅では、短い時間の勤務や分けた勤務を組みやすい一方で、勤務の状況が見えにくくなるため、電話の仕組みの状態を手がかりにしてリアルタイム管理を行います。在宅での運営は在宅コールセンターの始め方で紹介しています。
まとめ
WFM(ワークフォースマネジメント)は、必要なときに、必要な人数を、必要なスキルで配置するための取り組みです。
- 予測、必要人数の算出、シフトの作成、リアルタイム管理、振り返りの流れを繰り返す
- 予測は過去の実績から始め、予定されている出来事を織り込む。予測は外れるものと考える
- 必要人数は、業務量に応答の目標とシフトの縮みを加えて考える
- シフトは、山の時間帯を中心に組み、公平さと希望に配慮する
- 当日のずれには、あらかじめ決めた手順で対応し、記録を残す
- 小さな窓口では、表計算で山と谷を見つけるところから始められる
まずは、電話の仕組みのレポートから、曜日と時間帯ごとの入電数を書き出すところから始めてみてください。レポートや要員管理の機能は、AI-SNS.IO Callで試せます。アカウント登録から始めてみましょう。



