コールセンターDX

コールセンター管理者の見るべき画面|リアルタイム監視の基本

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

コールセンター管理者の見るべき画面|リアルタイム監視の基本(AI-SNS.IO Call ブログ)

コールセンターの管理者、いわゆるスーパーバイザーの机には、たいてい電話の仕組みの管理画面が開いています。待っている電話の数、受付中の人数、今日の応答の割合。画面には多くの数字が並んでいますが、そのすべてを同じように見ている管理者は少ないでしょう。どの数字を、いつ、どんな目的で見るのか。それが決まっていないと、画面を眺めているだけで一日が終わり、問題に気づいたときには、お客様を長く待たせた後、ということになりかねません。

この記事では、コールセンターの管理者によるモニタリングについて、管理者の役割の整理から、リアルタイムで見る指標、待ち呼が増えたときの動き方、オペレーターの支援、日次と週次の振り返り、画面やツールの選び方までを解説します。画面の配置の例や、注意を知らせる設定の考え方も紹介します。

コールセンターの管理者(スーパーバイザー)の役割

管理者の三つの仕事

スーパーバイザーの仕事は、大きく三つに分けられます。

仕事内容時間の軸
窓口を回す待っている電話、オペレーターの状態を見て、その場で調整する今この瞬間
人を支えるオペレーターの相談に乗り、難しい電話を手伝い、育てる日々
窓口を良くする数字と記録を振り返り、設定、手順、配置を見直す週、月

この三つは、どれも欠かせません。ただ、日々の忙しさの中では、目の前の「窓口を回す」仕事に追われ、「人を支える」「窓口を良くする」仕事が後回しになりがちです。画面の見方を整えて、窓口を回す仕事を効率よくこなせるようになると、ほかの二つの仕事に時間を使えるようになります。

モニタリングの目的

管理者のモニタリングには、二つの意味があります。

この記事では、主に前者の、画面を使った窓口全体の監視を扱います。通話の内容の評価については通話の品質管理の進め方で紹介しています。

管理者が画面を見る目的をはっきりさせる

画面を見る目的は、「問題が起きる前に気づき、手を打つこと」です。数字を眺めることそのものが目的ではありません。そのため、画面を見るときは、次の問いを頭に置いておくとよいでしょう。

リアルタイムで見る指標

指標を三つの層に分ける

画面に並ぶ指標は、見る頻度によって三つの層に分けると整理しやすくなります。

層見る頻度指標の例
常に見る数分おき待っている電話の数、最長の待ち時間、受付可の人数
ときどき見る30分〜1時間おき今日の応答の割合、放棄の数、時間帯ごとの入電数と予測の差
終わりに見る一日の終わり一日の合計の件数、平均の通話の時間と後処理の時間、オペレーターごとの件数

常に見る指標は、画面の一番目立つ場所に、大きく表示しておきます。ときどき見る指標と終わりに見る指標は、別の画面やレポートで確認しても構いません。

常に見る指標

待っている電話の数

今、キューで順番を待っている電話の数です。この数が増え始めたら、電話を受けられる人が足りなくなっているしるしです。キューが複数ある場合は、キューごとに見ます。

最長の待ち時間

待っている電話の中で、一番長く待っている電話の待ち時間です。待っている数が少なくても、一件だけ非常に長く待っている場合があります。数と時間の両方を見ることが大切です。

状態ごとの人数

受付可、通話中、後処理中、休憩中、離席中など、状態ごとの人数です。受付可の人数がゼロの状態が続くと、新しい電話はすべて待つことになります。後処理中や休憩中の人数が、予定より多くなっていないかも確かめます。

ときどき見る指標

今日の応答の割合

決めた秒数以内に応答した電話の割合です。今日の合計と、直近の時間帯の両方を見ると、今の状況が良くなっているのか、悪くなっているのかが分かります。

放棄の数

お客様が待ちきれずに切った電話の数です。放棄が出始めたら、待ち時間がお客様の我慢の限界を超え始めているしるしです。

入電数と予測の差

要員の計画を立てている場合は、時間帯ごとの入電数が、予測とどのくらい違うかを見ます。予測より多い状態が続くなら、この後の時間帯も人が足りなくなる可能性があります。

終わりに見る指標

一日の終わりには、合計の件数、平均の通話の時間と後処理の時間、オペレーターごとの件数などを確認し、翌日の準備と、週次の振り返りの材料にします。これらは、リアルタイムで見る必要はあまりありません。日中に細かく見すぎると、目の前の対応がおろそかになります。

指標の詳しい意味と計算の方法はコールセンターのKPI一覧にまとめています。

常に見る、ときどき見る、終わりに見る指標の頻度と例の比較
図1:指標を三つの層に分ける

キューが複数あるときの見方

キューが複数ある窓口では、窓口全体の数字だけを見ていると、特定のキューの問題を見落とします。全体では待ち呼が少なくても、一つのキューだけに電話がたまっていることがあるからです。

キューの分け方そのものに問題がある場合は、週の振り返りで見直します。キューの設計の考え方はACD(着信呼自動分配)とはで紹介しています。

数字を正しく読むための注意

画面の数字は、いつも実態を正しく表しているとは限りません。次のような場合には、数字と実態がずれることがあります。

ずれの原因起きること確かめ方
状態の切り替え忘れ席にいないのに受付可と表示され、受けられる人が多く見える呼び出しても出ない人がいないかを見る
試験の電話設定の確認のための電話が、件数に数えられる試験の時間と件数を記録しておく
集計の区切り時間帯の区切りや、日付の変わり目で数字がずれる仕組みの説明書で集計の方法を確認する
転送一件の電話が、転送先のキューでも数えられる転送の多いキューの数字は、その分を考えて読む

数字に違和感があったら、すぐに判断せず、オペレーターの様子や通話の記録で確認してから動きましょう。

待ち呼が増えたとき

気づくのが早いほど、打てる手が多い

待っている電話(待ち呼)が増え始めたときに、早く気づけば、休憩の時間を少しずらすだけで済むこともあります。気づくのが遅れると、すでに多くのお客様が長く待っていて、放棄が出始め、打てる手が限られてしまいます。管理者のモニタリングで一番大切なのは、この「増え始め」に気づくことです。

段階ごとの動き方を決めておく

待ち呼の増え方に応じて、段階ごとに何をするかを決めておくと、その場で迷わずに動けます。段階の目安の数字は、窓口の応答の目標や、お客様がどのくらい待てるかをもとに、自社で決めてください。

段階状態の目安管理者の動き
注意待ち呼が増え始め、最長の待ち時間が延びている原因を確認する(急な入電の増加か、受付可の人数の減少か)。これから休憩に入る人に、少し待ってもらう
警戒待ち呼が多い状態が続き、放棄が出始めたほかの作業をしている人に電話を受けてもらう。ほかのキューの人に応援を頼む。後処理を短めにしてもらう
緊急待ち時間が長くなり、放棄が増えている待ち時間の上限を短くして、折り返しやボイスメールに早く切り替える。IVRで混雑の案内を流す。管理者自身も電話を受ける

段階の目安と動き方は、紙やチャットの固定の投稿などで、管理者全員がすぐに見られるようにしておきます。管理者が交代しても、同じ判断ができるようにするためです。

原因を見分ける

待ち呼が増える原因は、大きく二つに分けられます。

原因によって、打つ手が変わります。電話が増えた場合は、なぜ増えたのかを確認し、同じ理由の電話には案内をそろえる、IVRで先に案内を流す、といった手が有効です。受けられる人が減った場合は、状態ごとの人数を見て、休憩や後処理の調整をします。

障害やトラブルが原因のとき

システムの障害や、商品の不具合が原因で電話が急に増えた場合は、次の順番で動きます。

  1. 何が起きているのかを、関係する部署に確かめる
  2. オペレーター全員に、起きていることと、お客様への案内の言葉を共有する
  3. IVRの最初の案内や、ホームページで、起きていることを知らせる
  4. 同じ理由の電話は、案内の言葉をそろえて短く対応する
  5. 状況が変わったら、すぐに共有し直す

案内の言葉をそろえておくと、オペレーターによって説明が違う、という混乱を防げます。

ある日の午後の対応の例

説明のための架空の例で、待ち呼が増えたときの管理者の動きを追ってみます。

14時すぎ、管理者のBさんは、画面の上の段で、注文のキューの待ち呼が増え始め、最長の待ち時間も延びていることに気づきました。状態ごとの人数を見ると、受付可の人数はいつもと変わりません。入電数と予測の差を見ると、直近の30分の入電が、予測よりかなり多くなっていました。

Bさんは、電話が増えたことが原因だと判断し、オペレーターのチャットで、どんな問い合わせが多いかを聞きました。すると、「今日届いたメールの案内について」という問い合わせが続いていることが分かりました。昼に、全てのお客様に送られた案内のメールに、分かりにくい点があったようです。

Bさんは、メールを送った部署に確かめ、案内の内容と答え方をオペレーター全員にチャットで共有しました。同時に、これから休憩に入る予定の二人に、15分だけ休憩をずらしてもらいました。メールの対応をしていた一人にも、電話を手伝ってもらいました。

15時ごろには待ち呼が落ち着き、休憩を戻しました。Bさんは、何が起きて、どう対応したかを記録し、翌日、メールを送った部署に、次からは案内を送る前に窓口に知らせてもらうよう相談しました。

待ち呼が落ち着いた後

待ち呼が落ち着いたら、ずらした休憩を戻し、応援に入ってもらった人を元の作業に戻します。折り返しの依頼やボイスメールが多く残っている場合は、その対応の担当と期限を決めます。そして、何が起きて、どう対応したかを簡単に記録しておきます。この記録が、次の振り返りの材料になります。

トラブルのときの連絡の流れ

システムや回線のトラブルは、画面の数字の急な変化として表れることがあります。例えば、受付可の人数が急に減った、着信がまったくなくなった、といった変化です。こうしたときに慌てないよう、連絡の流れを決めておきます。

  1. 画面の変化に気づいたら、オペレーターに状況を聞く(ログインできるか、着信があるか)
  2. 自分たちの側の問題か、仕組みの提供元の側の問題かを見分ける
  3. 社内の情報システムの担当や、提供元の窓口に連絡する
  4. お客様への案内(IVRの案内、ホームページ)を決めて出す
  5. 復旧したら、オペレーターに知らせ、受付を元に戻す

連絡先の一覧は、画面とは別に、紙や手元の端末にも控えておきます。仕組みそのものが使えなくなったときにも、連絡できるようにするためです。

エージェントの支援

画面からオペレーターの困りごとに気づく

管理者の画面は、窓口全体の状況だけでなく、オペレーター一人ひとりの困りごとに気づく手がかりにもなります。

画面で見えること考えられる困りごと
通話の時間が、いつもよりかなり長い難しい問い合わせで困っている。お客様が強い不満を持っている
保留が長い、または何度も保留している答えを探している。確かめに時間がかかっている
後処理が長い記録の書き方に迷っている。手続きが分からない
長く離席や休憩のまま体調や機器のトラブル。状態の切り替え忘れ
短い通話が続いた後に、長い休憩難しい通話の後で、気持ちを立て直している

こうした様子に気づいたら、チャットで「大丈夫ですか」「手伝えることはありますか」と声をかけます。困っているオペレーターは、自分から助けを求めにくいこともあるため、管理者から声をかけることが大切です。

通話中の手助けの方法

製品によっては、管理者が通話を聞く、オペレーターにだけ聞こえるように助言する、通話に加わる、といった機能があります。こうした機能の有無や呼び方は製品によって違うため、使っている仕組みで確認してください。機能がない場合でも、次のような方法で手助けできます。

手を挙げやすい雰囲気をつくる

オペレーターが困ったときに、すぐに助けを求められる雰囲気をつくることも、管理者の役割です。

難しい通話の後のフォロー

強い不満を持ったお客様との通話や、長く難しい通話の後は、オペレーターが気持ちを切り替えるのに時間がかかることがあります。少しの間、休憩をとってもらう、話を聞く、といったフォローをすると、次の電話に落ち着いて臨めます。こうした通話が多い窓口では、フォローの時間をあらかじめ計画に入れておくとよいでしょう。

時間帯ごとに注意すること

一日の中でも、時間帯によって気をつけることが変わります。説明のための一般的な例を挙げます。窓口ごとに、自分の窓口の傾向に合わせて書き換えてください。

時間帯起きやすいこと管理者が気をつけること
受付の開始の直後前の日の時間外の分も含めて、電話が集まりやすい開始の時刻に全員が受付可になっているかを確認する
昼休みの前後休憩が重なり、受けられる人が減る休憩の組を分け、重ならないようにする
夕方仕事を終えたお客様からの電話が増えることがある早く上がる人の時間と、電話の増え方を見比べる
受付の終わりの前終わりの時刻をまたぐ電話の扱いに迷う終わりの時刻の扱いと、残った待ち呼の扱いを決めておく
休み明け休みの間の問い合わせが集中する人を多めに配置し、ボイスメールや折り返しの依頼を早めに振り分ける

折り返しとボイスメールの管理

待ち呼が多いときに、折り返しの依頼やボイスメールに切り替えると、その場の待ち時間は減らせます。ただし、残された依頼に対応しなければ、お客様の不満を先送りしただけになります。管理者は、折り返しとボイスメールの残りも、待ち呼と同じように見ておく必要があります。

折り返しとボイスメールの設計はIVRの折り返しとボイスメールで紹介しています。

日次・週次の振り返り

一日の終わりの振り返り

一日の終わりには、その日の数字と出来事を短く振り返ります。時間をかけすぎず、要点を押さえることが大切です。

振り返る項目確かめること
応答の割合と放棄の数目標を満たせたか。満たせなかった時間帯はどこか
待ち呼が増えた時間帯いつ、なぜ増えたか。どう対応したか
残っている対応折り返しの依頼、ボイスメール、社内の確認待ちで、明日に持ち越すもの
オペレーターの様子困っていた人、難しい通話を受けた人
トラブルシステム、機器、回線のトラブルがあったか

振り返った内容は、翌日の朝の打ち合わせで共有します。次の管理者に引き継ぐ場合は、引き継ぎのメモに残します。

引き継ぎのメモの例

管理者が交代する窓口では、引き継ぎのメモの形を決めておくと、伝え漏れを防げます。

【今日の状況】午前中は予測どおり。14時ごろ、案内のメールの発送の影響で入電が増え、放棄が数件出た【対応したこと】休憩を30分ずらし、メールの担当に電話を手伝ってもらった【持ち越し】折り返しの依頼が5件。明日の午前中に対応する担当を決めた【気になること】新しく入ったAさんが、請求の問い合わせで困っていた。明日、手順を一緒に確かめる【明日の予定】午後にシステムの更新の予定あり。更新の前後で、ログインできるかを確認する

週の振り返り

週に一度は、一週間の数字を並べて、傾向を見ます。

傾向が見つかったら、設定、手順、人の配置のどこを見直すかを決めます。例えば、毎週月曜の午前に待ち呼が増えるなら、月曜の午前のシフトを見直す、といった具合です。

振り返りで使う問いの例

週の振り返りを、決まった問いで進めると、毎回同じ観点で確認でき、話が散らかりにくくなります。

問いへの答えを毎週記録しておくと、月の振り返りのときに、変えたことと結果を並べて見られます。

振り返りから改善につなげる

振り返りは、数字を確認するだけでは意味がありません。見つかった問題について、次のように改善につなげます。

  1. 問題を一つ選ぶ(一度に多くを変えない)
  2. 原因の見当をつける
  3. 変えることを一つ決める
  4. 変えた日と内容を記録する
  5. 翌週以降の数字で、効果を確認する

一度に多くのことを変えると、どの変更が効いたのかが分からなくなります。一つずつ変えて、効果を確認していきましょう。

月の振り返り

月に一度は、週の振り返りよりも少し引いた目で、窓口全体を見ます。

月の振り返りの結果は、上司やほかの部署にも共有し、人の配置や、ほかの部署の協力が必要な課題を相談する材料にします。

ツールの選び方

管理者の画面に求めること

管理者の画面やツールを選ぶときは、次の点を確認します。

確かめること問いの例
リアルタイムの表示待ち呼の数、最長の待ち時間、状態ごとの人数を、すぐに見られるか
表示の更新数字がどのくらいの間隔で更新されるか
キューごとの表示キューごとに分けて見られるか
オペレーターごとの表示一人ひとりの状態と、その状態が続いている時間を見られるか
注意の知らせ決めた目安を超えたときに、色や音などで知らせてくれるか
通話の手助け通話を聞く、助言する、加わるといった機能があるか
レポート日次や週次の数字を、簡単に出せるか
場所を選ばない在宅や外出先からも、ブラウザで見られるか

使う場所と方式

管理者が在宅で働く場合や、複数の拠点の窓口を見る場合は、ブラウザから見られる仕組みが便利です。クラウド型の電話の仕組みでは、多くの場合、管理画面もブラウザで提供されています。仕組みの方式による違いはクラウドPBXとオンプレミスの比較で紹介しています。

試用で確認すること

導入の前に試用できる場合は、管理者が実際の一日の流れで画面を使ってみます。

画面の配置の例

一枚の画面にまとめる

管理者が常に見る指標は、一枚の画面にまとめ、ほかの作業をしながらでも目に入るようにします。説明のための架空の例として、画面の配置を示します。

場所表示するもの
上の段(大きく)キューごとの待ち呼の数と最長の待ち時間
中の段状態ごとの人数(受付可、通話中、後処理中、休憩中、離席中)
下の段左オペレーターごとの状態と、その状態が続いている時間
下の段右今日の応答の割合、放棄の数、直近の時間帯の入電数と予測の差

一番大事な待ち呼の数と最長の待ち時間を、一番目立つ場所に大きく置きます。オペレーターごとの一覧では、同じ状態が長く続いている人が分かるよう、時間の長い順に並べられると便利です。

画面を見る場所と姿勢

管理者がどこで画面を見るかも、意外と大切です。事務所では、オペレーターの様子も見渡せる席に座り、画面と現場の両方が目に入るようにすると、数字の変化と人の様子を結びつけやすくなります。画面は、ほかの作業の画面と分けて、常に見える位置に置きます。大きな画面を一つ用意し、常に見る指標だけを映しておく窓口もあります。

在宅の管理者の場合は、手元のパソコンの画面を二つに分け、片方に常に見る指標、もう片方にチャットや振り返りの作業を置くと、見落としを減らせます。チャットの通知の音と、画面の注意の知らせの音を分けておくと、どちらの知らせかを聞き分けられます。

どの場所で見る場合も、一時間に一度は席を立って体を動かすなど、長時間画面を見続ける疲れをためない工夫も忘れないようにしましょう。

色で知らせる

数字を一つひとつ読まなくても状況が分かるよう、目安を超えたら色が変わるように設定できると便利です。例えば、待ち呼の数や最長の待ち時間が注意の目安を超えたら黄色、警戒の目安を超えたら赤、という具合です。色の目安は、前の章で決めた段階と合わせておきます。

知らせすぎない

注意の知らせは、多すぎると慣れてしまい、本当に大事な知らせを見落とします。知らせる項目は、すぐに動く必要があるものに絞り、目安の数字も、実際に動く必要がある水準に設定します。運用しながら、知らせが多すぎないか、少なすぎないかを見直しましょう。

モニタリングの手順をまとめる

ここまでの内容を、管理者のモニタリングの手順としてまとめます。

手順1:見る指標を三つの層に分ける

常に見る、ときどき見る、終わりに見る、の三つに指標を分けます。

手順2:画面を整える

常に見る指標を一枚の画面にまとめ、一番目立つ場所に置きます。目安を超えたら色で分かるようにします。

手順3:段階ごとの動き方を決める

注意、警戒、緊急の段階の目安と、それぞれの動き方を決め、管理者全員で共有します。

手順4:日中に見て動く

常に見る指標を数分おきに確かめ、増え始めに気づいたら、原因を見分けて動きます。オペレーターの困りごとにも気を配ります。

手順5:一日の終わりに振り返る

数字と出来事を振り返り、引き継ぎのメモを残します。

手順6:週に一度、傾向を見る

一週間の数字を並べて傾向を見つけ、一つずつ改善します。

層に分ける、画面を整える、段階を決める、見て動く、日次の振り返り、週次の振り返りの六つの手順
図2:管理者のモニタリングの手順

管理者の一日の例

説明のための架空の例として、管理者の一日の流れを示します。

時間帯やること
受付の開始の前前日の引き継ぎのメモを読む。今日の予定(キャンペーン、システムの更新など)と出勤の状況を確認する。オペレーターがログインできているかを画面で確認する
朝の打ち合わせ今日の予定、注意点、前日の気になる問い合わせを共有する
午前常に見る指標を確認しながら、チャットの相談に答える。待ち呼の増え始めに気づいたら、段階に応じて動く
昼休憩が重ならないよう、状態ごとの人数を見て調整する
午後指標を確認しながら、空いた時間に通話の記録や要約を読み、品質の振り返りの準備をする
受付の終わりの前残っている待ち呼と、折り返しの依頼の数を確認する
受付の終わりの後一日の振り返りをし、引き継ぎのメモを残す

画面を見る時間と、人を支える時間、振り返りの時間を、一日の中でどう配分するかを意識すると、目の前の対応だけに追われる状態を避けやすくなります。

管理者どうしの連携

管理者が複数いる窓口では、管理者どうしの連携も大切です。

声かけの言葉の例

管理者の声かけは、言葉の選び方で受け止め方が大きく変わります。チャットで声をかけるときの例を挙げます。

場面避けたい言葉言い換えの例
通話が長いとき「まだ終わらないんですか」「長くなっていますね。手伝えることがあれば言ってください」
長く離席しているとき「どこに行っているんですか」「状態が離席のままになっています。何か困っていることはありますか」
休憩をずらしてほしいとき「休憩は後にしてください」「電話が増えているので、15分だけ休憩をずらしてもらえますか。落ち着いたらすぐに戻します」
難しい通話の後「次の電話をお願いします」「大変な電話でしたね。少し休んでから戻ってください」

朝の打ち合わせの進め方

一日の始めの短い打ち合わせは、管理者が画面の外で窓口を整える大切な時間です。長くしすぎず、次の順番で進めます。

  1. 前の日の振り返り(気になった問い合わせ、持ち越しの対応)
  2. 今日の予定(キャンペーン、案内の発送、システムの更新、混みそうな時間帯)
  3. 新しい情報や変更点(手順やナレッジの更新)
  4. 休憩の組と、ほかの作業の予定
  5. 質問や困りごと

予定に関係する問い合わせが来たときの答え方も、ここで共有しておくと、待ち呼が増えたときの説明のばらつきを防げます。

オペレーターとの一対一の時間

画面を見て窓口を回すことに追われていると、オペレーター一人ひとりと話す時間がとれなくなりがちです。定期的に一対一の時間をとり、次のようなことを話します。

一対一の時間は、画面の数字では見えない困りごとに気づく機会です。予定に入れて、後回しにしないようにしましょう。

在宅のオペレーターを見るとき

オペレーターが在宅で働いている場合は、画面の情報が、様子を知る主な手がかりになります。

在宅では、画面に表れない困りごとも多くあります。数字だけで判断せず、本人と話す機会を意識して作りましょう。在宅の窓口の運営は在宅コールセンターの始め方で紹介しています。

小さな窓口の場合

数人の窓口では、管理者が自分でも電話を受けながら、窓口全体を見ることが多いでしょう。その場合は、見る指標をさらに絞ります。

小さな窓口では、管理者だけが画面を見るのではなく、全員が待ち呼の数を見られるようにしておくと、誰かが気づいて動けるようになります。

新しく管理者になった人へ

オペレーターから管理者になったばかりの人は、自分で電話を受けていたころの感覚で、つい自分で電話を取りに行きたくなります。もちろん、緊急のときは管理者も電話を受けますが、普段は画面を見て窓口全体を回すことが役割です。

新しく管理者になった人が最初に身につけたいことを挙げます。

最初の数週間は、先輩の管理者と一緒に画面を見ながら、どこで何に気づき、どう動いたかを話してもらうと、判断の勘所がつかみやすくなります。

数字を使ってオペレーターと話すときの注意

画面やレポートには、オペレーターごとの件数や通話の時間が表示されます。こうした数字を使って話すときは、次の点に気をつけます。

管理者の仕事を軽くする工夫

管理者の仕事は多岐にわたるため、少しの工夫で負担を軽くしておくと、大事な場面に力を使えます。

よくある失敗

よくある失敗起きること避け方
すべての数字を同じように見る大事な変化を見落とす指標を三つの層に分け、常に見るものを絞る
待ち呼の数だけを見る一件だけ長く待っている電話に気づかない最長の待ち時間もあわせて見る
動き方が人によって違う管理者が交代すると対応がばらつく段階ごとの動き方を決めて共有する
知らせを増やしすぎる知らせに慣れて、大事な知らせを見落とすすぐ動く必要があるものに絞る
自分で電話を受け続ける窓口全体の変化に気づけない普段は画面を見て回すことに徹する
振り返りをしない同じ問題が繰り返される一日の終わりと週に一度、短く振り返る

AI-SNS.IO Callについて

AI-SNS.IO Callは、ブラウザで使えるクラウド型の電話の仕組みです。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。レポートと分析、キュー、IVRと着信のルーティング、営業時間に合わせた切り替え、キューごとのボイスメール、IVRのメニューからの折り返しの依頼、名前で担当者を呼び出すディレクトリ、ブラウザのソフトフォン、AIによる通話の要約、設定した窓口をまとめる受信箱、REST API、品質管理や要員管理の機能などを備えています。管理者向けの画面で何が見られるかなど、現在利用できる機能は機能一覧で、設定の手順は使い方ガイドで確認してください。管理者の仕事を含めた窓口全体の見直しの進め方はコンタクトセンターDXの進め方で紹介しています。

よくある質問

スーパーバイザーは、画面のどの数字を一番よく見るべきですか?

待っている電話の数、最長の待ち時間、受付可の人数の三つです。この三つで、今お客様を待たせすぎていないか、電話を受けられる人が足りているかが分かります。ほかの数字は、ときどき確かめるか、一日の終わりに見れば十分なことが多くあります。

待ち呼が増えたとき、最初に何をすればよいですか?

まず原因を見分けます。電話が増えたのか、受けられる人が減ったのかで、打つ手が変わるためです。そのうえで、決めておいた段階ごとの動き方に従い、休憩をずらす、ほかの作業の人に電話を受けてもらう、といった手を打ちます。

段階の目安の数字は、どう決めればよいですか?

窓口の応答の目標と、お客様がどのくらい待てるかをもとに決めます。最初は仮の数字で始め、実際に動いたときの状況や、放棄が出始めた待ち時間を見ながら調整しましょう。

管理者は、通話を聞いて監視すべきですか?

通話を聞くことは、対応の中身を確かめ、困っている人を手助けするのに役立ちます。ただし、監視されていると感じさせないよう、目的が品質の向上と支援であることを伝えておきましょう。通話を聞く機能があるかどうかは、使っている仕組みによって違います。

オペレーターが困っていることに、どうやって気づけばよいですか?

通話の時間がいつもより長い、保留が長い、後処理が長い、長く離席している、といった様子が手がかりになります。気づいたら、チャットで声をかけましょう。困っている人は自分から助けを求めにくいため、管理者から声をかけることが大切です。

一日の振り返りには、どのくらい時間をかければよいですか?

長くかける必要はありません。応答の割合と放棄、待ち呼が増えた時間帯と対応、持ち越しの対応、オペレーターの様子、トラブルの有無を短く確かめ、引き継ぎのメモに残します。

注意の知らせが多すぎて、慣れてしまいます。

知らせる項目を、すぐに動く必要があるものに絞り、目安の数字を、実際に動く必要がある水準に見直しましょう。知らせが多すぎないか、少なすぎないかは、運用しながら定期的に確かめます。

管理者が在宅でも、窓口を見られますか?

ブラウザで管理画面を見られる仕組みであれば、在宅や別の拠点からも見られます。在宅の管理者は、チャットでの相談の受け方や、ほかの管理者との連絡の方法を決めておきましょう。

小さな窓口でも、管理者の画面は必要ですか?

画面を見る専任の人がいなくても、待ち呼の数と受付可の人数が全員に見えるようにしておくと役立ちます。手の空いている人が気づいて電話を受けられるためです。一日の終わりに、応答できなかった電話の数を確かめるだけでも効果があります。

管理者が交代するとき、何を引き継げばよいですか?

その日の状況、対応したこと、持ち越しの対応、気になるオペレーターの様子、翌日の予定を、決まった形のメモで引き継ぎます。形を決めておくと、伝え漏れを防げます。

管理画面の数字と、レポートの数字が違うことがあります。

数字の集計の範囲や、更新の時刻、計算の方法が違うことが原因であることが多くあります。使っている仕組みの説明書で、それぞれの数字の定義を確かめておきましょう。振り返りでは、どの数字を正とするかを決めておくと、話がかみ合いやすくなります。

まとめ

コールセンターの管理者のモニタリングは、数字を眺めることではなく、問題が起きる前に気づき、手を打つための取り組みです。

まずは、自分の窓口で常に見る指標を三つ決め、画面の一番目立つ場所に置くところから始めてみてください。レポートと分析の機能は、AI-SNS.IO Callで試せます。アカウント登録から始めてみましょう。

キュー・ルーティング・AI通話要約をCallで試す

デモコンソールでは、着信をシミュレーションで体験できます。

関連記事