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保険代理店のAI電話対応|契約・事故一次

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

保険代理店のAI電話対応|契約・事故一次(AI-SNS.IO Call ブログ)

保険代理店の電話は、内容の幅がとても広いのが特徴です。「車を買い替えるので保険の手続きをしたい」「引っ越したので住所を変えたい」「満期の案内が届いたが、内容を見直したい」といった手続きの電話もあれば、「さっき追突された」「台風で屋根が壊れた」という、お客様が動揺しながらかけてくる事故の電話もあります。同じ番号に、落ち着いて話せる用件と、一刻を争う用件が混ざって入ってきます。

小さな代理店では、募集人の多くが、お客様のもとへの訪問や、保険会社との打ち合わせで外出しています。事務所に残る事務の職員は、申込書の確認や保険会社とのやりとりで手がふさがっています。電話に出られないとき、事故にあったお客様が「代理店に電話したのにつながらなかった」と感じれば、信頼は大きく揺らぎます。

この記事では、保険代理店の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や繁忙時の受け方、設計の例、募集人や事務の職員への引き継ぎ、個人情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。保険金の支払いの可否は保険会社が判断すること、契約の内容の説明や意向の確認は募集人が行うこと、けが人がいる事故では救急や警察への連絡が先になることを前提に、自動化してよい範囲を考えます。

保険代理店の電話対応で起きがちな課題

事故の連絡と手続きの電話が混ざる

保険代理店の電話には、事故の連絡のように急ぐものと、住所の変更のように急がないものが混ざっています。最初に出た職員が用件を聞いて判断していると、事故の連絡がほかの電話の後回しになることがあります。お客様は事故の直後で動揺しているため、話がまとまらず、必要なことを聞き出すのに時間がかかることもあります。事故の電話の最中に、別のお客様からの手続きの電話が鳴り続ける、という状況は、小さな代理店ではよく起きています。

営業時間外の事故

事故は時間を選びません。夜間や休日の事故の連絡を、代理店の留守番電話だけで受けていると、お客様は朝まで誰とも話せないまま不安な夜を過ごすことになります。保険会社の多くは、事故受付窓口を設けていますが、お客様がその連絡先を知らないこともあります。代理店の電話の案内で、事故受付窓口を伝えられるかどうかが、お客様の安心を左右します。

担当の募集人が外出している

お客様は、契約のときに話した担当の募集人と話したいと考えます。担当が訪問や打ち合わせで外出しているとき、ほかの職員が電話を受けても、契約の経緯が分からず、伝言を受けることになります。

補償の対象かどうかを聞かれる

「この事故は保険で出ますか」「この修理は補償の対象ですか」という質問は、事故の電話でよく聞かれます。保険金の支払いの可否は保険会社が判断するものであり、代理店の職員や自動の案内、AIがその場で約束してよいものではありません。答え方を決めておかないと、後でお客様との行き違いになります。

満期の時期の電話の集中

自動車保険や火災保険の満期の時期が重なると、更新の手続きや内容の見直しの相談の電話が集中します。満期の案内を送った直後は、「案内が届いたが、どうすればよいか」という電話が増えます。案内を送る日を担当ごとにずらすと、電話の山をならせます。

課題の整理

課題起きること対策の方向
事故と手続きの混在事故の連絡が後回しになる最初の案内で事故を分け、優先して受ける
営業時間外の事故お客様が朝まで不安保険会社の事故受付窓口を案内する
担当の外出伝言の手間、伝わる遅れ担当の呼び出しと担当あての聞き取り
補償の対象かどうかの質問行き違いが起きるその場で約束せず、保険会社の判断であることを伝える
満期の時期の集中電話がつながりにくい満期の案内に手続きの方法を添え、ボイスメールで受ける

少人数の事務所での電話の整え方は、小さな会社の電話対応の考え方も参考になります。

けが人のいる事故、事故の連絡、契約の変更、満期、新しい相談、関係先の対応の比較
図1:保険代理店の電話の分類

よくある問い合わせの分類

分類の考え方

保険代理店の電話は、「事故かどうか」と「契約の手続きか、相談か」で分けると、優先の順番と任せる範囲が決めやすくなります。

分類例急ぐか対応
けが人のいる事故交通事故で相手がけがをした最も急ぐ案内で、救急や警察への連絡を先に伝える
事故の連絡追突された、物を壊した、台風で家が壊れた急ぐ担当、または手の空いている職員にすぐつなぐ。営業時間外は保険会社の事故受付窓口を案内
事故の後の連絡修理の見積もりが出た、保険会社から連絡が来ない内容による担当の募集人、または事務の職員
契約の変更車の入れ替え、住所の変更、運転する人の変更内容による担当、または事務の職員。手続きの日の期限に注意
満期・更新満期の案内が届いた、内容を見直したい急がない担当あての聞き取り、担当が折り返す
新しい契約の相談保険を見直したい、新しく入りたい急がない担当の募集人が相談の日時を決める
決まった答え営業時間、事務所の場所、保険会社の事故受付窓口の調べ方急がない自動の案内
保険会社・関係先保険会社の担当者、修理工場からの連絡内容による担当の募集人、または事務の職員

事故の連絡で聞く項目

事故の連絡では、お客様が動揺していることが多いため、聞く項目を決めておき、順に聞きます。

事故の詳しい状況や過失の割合などは、代理店が判断するものではなく、保険会社の担当者が確かめます。相手のいる事故では、その場で相手と示談の約束をしないよう、お客様に伝えておくことも大切です。代理店の職員は、保険会社への連絡がスムーズに進むように、必要な項目を確認することに集中します。

事故の連絡の聞き取りシート

事故の連絡を受けたとき、職員によって聞く項目がばらつかないように、シートの形で整理しておくと便利です。

項目記入の例
受けた日時〇月〇日 〇時〇分(営業時間外の聞き取り)
けが人の有無なし/あり(救急への連絡は済み)
お客様の名前・電話番号
事故の日時と場所〇日 夕方、〇〇の駐車場
事故の種類自動車(相手あり)、家の被害、物を壊した、など
警察への連絡済み/まだ
契約の分かるもの証券の番号、車の番号など
保険会社の窓口への連絡済み/まだ
保険会社への報告報告した日時と担当者
お客様への連絡連絡した日時と内容

下の二つの行は、職員が対応した後で書き込む欄です。記録を残しておくと、担当の募集人が外出先から確かめたときにも、どこまで進んでいるかが分かります。

家の被害の連絡で気をつけること

火災保険にかかわる家の被害の連絡は、台風や大雨の後、水漏れのとき、空き巣の被害のときなどに入ります。家の被害の連絡では、交通事故とは別に、次の点を聞いておくと、保険会社への報告が進めやすくなります。

被害が広がっている場合は、お客様の安全を確認したうえで、被害を広げないための応急の手当てを優先してもらいます。修理の業者と契約する前に、保険会社に相談しておくとよい場合があるため、聞き取りの記録を受けたら、担当が早めにお客様に連絡します。「保険で直せる」と勧誘してくる業者についての相談を受けることもあり、保険会社や消費生活の相談の窓口の情報を伝えられるようにしておくと安心です。

法人のお客様

社用車を何台も契約している会社や、店舗や工場の保険を契約している会社からの電話もあります。法人のお客様は、事故の連絡が社員の運転手から入る場合と、会社の担当者から入る場合があり、同じ事故について別々に連絡が来ることもあります。聞き取りでは、会社の名前、連絡してきた人の名前と立場、車の番号などを聞き、担当の募集人が会社の担当者と状況をまとめて確かめます。会社ごとに、事故のときの連絡の流れを前もって取り決めておくと、行き違いを防げます。

契約の変更で気をつけること

車の入れ替えや運転する人の変更などは、手続きの日によって補償の扱いが変わることがあるため、お客様にとっては急ぐ用件です。たとえば、新しい車の納車の日が近い場合は、その日までに手続きが必要になることがあります。契約の変更の聞き取りでは、変更が起きる日(納車の日、引っ越しの日など)を必ず聞き、担当が日にちに間に合うように手続きを進めます。手続きの日と補償の関係は、契約の内容によって違うため、担当の募集人が確かめて説明します。

電話を数える

一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。事故の連絡の件数、そのうち営業時間外の件数、担当が不在だった件数を記録しておくと、どこを変えるべきかが分かります。

分類営業時間内営業時間外担当が不在だった件数
事故の連絡
事故の後の連絡
契約の変更
満期・更新
新しい契約の相談
保険会社・関係先

営業時間外・繁忙時の受け方

営業時間外の事故の案内

営業時間外の案内で最も大切なのは、事故にあったお客様が、次に何をすればよいかが分かることです。案内では、次の順に伝えます。

  1. けが人がいる場合は、119番、交通事故の場合は110番への連絡を先に
  2. 事故の連絡は、契約している保険会社の事故受付窓口へ。連絡先は、保険の証券や、保険会社から届いた書類、保険会社のホームページなどで確認できること
  3. 代理店への連絡は、ボイスメールで受け、次の営業日に担当から連絡すること

保険会社の事故受付窓口の連絡先は、保険会社ごとに異なります。代理店が複数の保険会社の商品を扱っている場合は、案内で保険会社ごとの番号を選んでもらい、その保険会社の窓口の連絡先を読み上げる、という方法もあります。読み上げる連絡先は、保険会社が公表している最新のものを確認して登録し、変わったら直します。

時間帯ごとに案内を切り替える設定は、IVRの営業時間ルーティングで解説しています。

大きな災害の後の受け方

台風や大雪、地震などの後には、家や車の被害の連絡が一度に集中します。こうしたときに備えて、臨時の案内を前もって用意しておきます。

お電話ありがとうございます。〇〇保険事務所です。〇〇による被害のご連絡が多く、お電話がつながりにくくなっております。被害のご連絡は、ご契約の保険会社の事故受付窓口でも受け付けています。当事務所へのご連絡は、このあと、お名前、お電話番号、被害の内容をお話しください。順にご連絡します。

臨時の案内に切り替えたら、聞き取りの記録を確認する担当と時刻を増やし、被害の大きいお客様から順に連絡します。臨時の案内は、災害が落ち着いたら元に戻すことを忘れないよう、戻す日の目安も決めておきます。被害の写真を撮っておくなど、お客様に前もってお願いしたいことがあれば、案内に加えます。保険会社からの案内があれば、それに沿って伝えます。

満期の時期の受け方

満期の時期には、次の工夫をします。

IVRとAI一次応答の設計例

損害保険を中心にした代理店のメニューの例

説明のための架空の例として、募集人が四人の損害保険の代理店のメニューを示します。

お電話ありがとうございます。〇〇保険事務所です。おけがをされた方がいる場合は、先に119番にご連絡ください。事故のご連絡は1を、車の入れ替え、住所の変更などご契約の変更は2を、満期のご案内、ご契約の見直しのご相談は3を、保険会社、修理工場の方は4を、営業時間、事務所の場所のご案内は5を押してください。

番号営業時間内営業時間外
1手の空いている職員の電話にまとめて鳴らす。出られなければ急ぎの聞き取り保険会社の事故受付窓口の案内と、聞き取り
2担当の募集人を名前で呼び出す、または事務の職員聞き取り。変更の日を聞く
3担当あての聞き取り聞き取り
4事務の職員、または担当聞き取り
5自動の案内自動の案内

事故の連絡を最初の番号にしているのは、急ぐ用件を最も早く選べるようにするためです。事故の番号は、担当の募集人を待たずに、手の空いている職員がすぐに受けられるようにします。

生命保険も扱う代理店の場合

生命保険も扱う代理店では、入院や手術の給付金の請求の相談、受取人の変更などの電話も入ります。給付金の請求の相談は、お客様やその家族が病気やけがで大変な時期の電話です。聞き取りでは、名前、電話番号、契約の分かるもの、相談の概要だけを聞き、病気の詳しい内容は聞かず、担当が折り返してから、保険会社の請求の手続きを案内します。給付金が支払われるかどうかは、保険会社が判断します。

AI一次応答を組み合わせる場合

番号を押す代わりに、AIの一次応答で用件を話してもらう方法もあります。「さっき駐車場で車をこすってしまった」と話してもらえれば、AIは事故の連絡として分類し、けが人の有無、事故の日時と場所、相手の有無を聞き取って、職員に急ぎで届けられます。営業時間外であれば、保険会社の事故受付窓口の調べ方を伝えられます。「事務所は何時まで開いていますか」という質問には、代理店が登録した情報をもとに答えられます。

保険代理店でAIの一次応答を使う場合は、次の点を決めておきます。

AIの一次応答にどこまで任せられるかは、サービスによって異なります。基本はAI電話受付とはで紹介しています。

スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う

事故の連絡の引き継ぎ

事故の連絡を受けた職員は、聞き取った項目をもとに、保険会社への事故の報告を進めます。お客様にはその場で、保険会社の担当者から連絡があること、修理や治療の前に確かめておきたいことなど、次の流れを伝えます。担当の募集人が外出している場合も、事故の連絡はほかの職員がすぐに受け、担当には記録を届けて、後で担当からもお客様に連絡します。

営業時間外にボイスメールで受けた事故の連絡は、翌朝の最初に確かめます。お客様がすでに保険会社の窓口に連絡しているかどうかを確認し、まだであれば、代理店から保険会社への報告を進めます。

補償についての説明

事故の後、お客様は「どこまで補償されるのか」を最も知りたがります。補償の内容は契約によって違い、支払いの可否や金額は保険会社が調査のうえで判断します。担当の募集人は、契約の内容を確認したうえで、補償の内容と、保険会社が判断する部分を分けて説明します。電話の場で「大丈夫です、出ます」と約束しないことを、職員全員の決まりにしておきます。

契約の変更の手続き

契約の変更の希望は、担当の募集人や事務の職員が、変更の内容と日にちを確認して、保険会社の決まった手続きで行います。新しい車の情報(車検の証明書の内容など)が必要な場合は、書類の写しを受け取る方法を案内します。聞き取りの段階では、手続きが済んでいないことを、案内ではっきり伝えます。手続きが済んだら、お客様に完了を連絡します。変更の日が迫っている場合は、急ぎとして扱います。

新しい契約と見直しの相談

新しい契約や見直しの相談は、担当の募集人が、お客様の意向を確認しながら、決まった手順で進めます。商品の説明や意向の確認は、電話の聞き取りや自動の案内で代わりにできるものではありません。聞き取りでは、相談の概要と、相談の希望の日時、来店か訪問かの希望を聞きます。今の契約の証券が手元にあれば、相談の日に持ってきてもらうよう伝えます。

引き継ぎで伝える項目

用件聞き取る項目
事故の連絡けが人の有無、名前、電話番号、事故の日時と場所、事故の種類、相手の有無、警察への連絡の有無、証券の番号など契約の分かるもの
事故の後の連絡名前、電話番号、事故の日、用件の概要
契約の変更名前、電話番号、契約の分かるもの、変更の内容、変更が起きる日
満期・見直し名前、電話番号、契約の分かるもの、相談の概要、相談の希望の日時
保険会社・関係先名前、所属、電話番号、どのお客様の件か、用件の概要

折り返しの順番

  1. 事故の連絡(営業時間外に受けたものを含む)
  2. 変更の日が迫っている契約の変更
  3. 事故の後の連絡、保険会社や修理工場からの連絡
  4. 満期の日が迫っている更新の相談
  5. 新しい契約の相談、その他

個人情報と記録の扱い

代理店で扱う情報

保険代理店の電話では、名前や電話番号、住所のほか、車の情報、家の情報、家族の構成、事故の内容、病気やけがの内容など、多くの立ち入った情報が話されます。電話の録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録が残る場合は、その扱いを決めておきます。

個人情報の扱いについては、個人情報保護委員会のウェブサイトで、法律やガイドラインを確認できます。保険の募集にかかわる情報の扱いは、委託を受けている保険会社の決まりにも沿う必要があります。この記事の内容は一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。

保険会社の決まりを確認する

保険代理店は、保険会社から委託を受けて保険の募集を行っています。お客様の情報の扱い、記録の保存、外部のサービスの使い方について、保険会社が決まりを設けていることがあります。電話の仕組みや録音、AIによる要約を使う前に、委託を受けている保険会社の決まりを確認します。

健康の情報を電話で聞きすぎない

生命保険や医療保険の契約や請求では、病気やけがの情報が必要になることがあります。こうした情報は特に慎重な扱いが求められるため、電話の聞き取りでは詳しく聞かず、保険会社の決まった手続きで受け取ります。

決めておくこと

決めること確かめる問い
残るもの録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録のどれが残るか
保存の場所サービスの提供元で、どのように保存されるか
見られる人担当の募集人、事務の職員など、誰が見られるか
保存の期間どのくらい残し、その後どうするか
保険会社の決まり委託を受けている保険会社の決まりに合っているか
お客様への伝え方録音や記録をしていることを、どう伝えるか

導入の進め方

ステップ1:電話を記録する

一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。事故の連絡の件数、営業時間外の件数、担当が不在だった件数を確認します。

ステップ2:保険会社の決まりを確認する

電話の仕組みや録音、AIによる要約を使うことについて、委託を受けている保険会社の決まりを確認します。

ステップ3:事故の連絡の受け方を決める

営業時間内に事故の連絡を誰が受けるか、営業時間外にどの案内を流すかを決めます。保険会社の事故受付窓口の連絡先を、最新のものに確かめます。

ステップ4:任せる範囲を決める

分類ごとに、自動で案内する、聞き取って担当が折り返す、すぐに職員につなぐ、のどれにするかを決めます。

ステップ5:案内の情報を整える

営業時間、事務所の場所、保険会社の事故受付窓口の調べ方、契約の変更の手続きの方法、満期の手続きの方法などを書き出します。

ステップ6:試験の電話をかける

職員がお客様の役になって、事故の連絡、営業時間外の事故、車の入れ替え、満期の相談、保険会社の連絡の電話をかけ、それぞれが決めたとおりに流れるかを確認します。

ステップ7:お客様に知らせる

新しい電話の流れを、満期の案内や事務所の便りなどでお客様に知らせます。事故のときの番号の選び方と、営業時間外の事故の連絡先を伝えます。

ステップ8:記録を見て直す

事故の連絡が職員に届くまでの時間、聞き取りから折り返しまでの時間、お客様の声を見て、案内の言葉や振り分けを直していきます。

記録、保険会社の決まり、事故の受け方、範囲、情報、試験、お客様への周知、直すの八つの手順
図2:代理店で導入を進める手順

保険代理店ならではの工夫

事故のときの連絡先をお客様の手元に

事故にあったお客様が、慌てずに連絡できるように、事故のときの連絡先をまとめた小さなカードを、契約のときに渡している代理店もあります。カードには、代理店の電話番号と、契約している保険会社の事故受付窓口の調べ方、事故のときにまず確かめることを書いておきます。電話の案内と同じ内容にしておくと、お客様が迷いません。車のダッシュボードや財布に入れておける大きさにすると、事故の現場ですぐに取り出せます。

事故の直後のお客様への声かけ

事故の連絡では、お客様が動揺していることが多くあります。職員はまず、お客様やほかの人にけががないか、安全な場所にいるかを確認します。高速道路や交通量の多い道路の上での電話であれば、まず安全な場所に移ってもらうことを優先します。そのうえで、聞く項目を順に確かめます。自動の案内でも、「落ち着いて、安全な場所からお電話ください」という一言を入れておくと、お客様の気持ちを少しでも落ち着かせられます。

修理工場や保険会社からの連絡

事故の後には、修理工場から見積もりの連絡、保険会社の担当者から確認の連絡が入ります。こうした関係先の電話を、お客様の電話と分けて受けられるように、番号を分けておくと、担当の募集人がすぐに状況をつかめます。修理工場とのやりとりは、自動車整備工場の電話対応の記事でも触れています。

満期の案内を先回りする

満期の案内を、満期の日の十分前に送り、案内の書類に手続きの方法と相談の予約の方法を書いておくと、満期の直前の電話を減らせます。内容を変えずに更新するお客様と、見直しを考えているお客様で、手続きの方法が違う場合は、それぞれの方法を分かりやすく書いておきます。

事故の後のお客様への連絡を続ける

事故の後、保険会社の担当者とのやりとりが始まると、お客様は代理店に連絡しなくなることがあります。それでも、修理が終わった、示談が進んでいる、といった節目ごとに、担当の募集人からお客様に連絡を入れておくと、お客様は「代理店が見守ってくれている」と感じられます。保険会社からなかなか連絡が来ない、という不安の電話も減らせます。事故の記録に、次に連絡する日を書いておくと、連絡の漏れを防げます。

高齢のお客様

長く契約を続けている高齢のお客様も多くいます。番号を押す操作が難しい人のために、最初の案内の後で番号を押さなかった場合に、職員や聞き取りにつながるように設定しておきます。事故の連絡を家族が代わりにしてくる場合は、契約者本人との関係を記録に残し、契約の内容についての説明は、契約者本人の了承の範囲で行います。

保険料の支払いの連絡

「口座の残高が足りなかった」「保険料の払い込みの案内が届いた」という連絡もあります。保険料の払い込みが遅れると、契約の扱いにかかわることがあるため、お客様にとっては気になる用件です。急ぎとして扱います。聞き取りでは、名前、電話番号、契約の分かるもの、用件の概要を聞き、担当が保険会社の決まった手続きを確認してから折り返します。口座の番号は、電話の聞き取りでは聞かず、決まった書類や手続きで受け取ります。払い込みの方法の変更も、保険会社の手続きに沿って担当が案内します。

担当が替わったとき

募集人の異動や退職で担当が替わった場合は、担当の呼び出しの設定と、聞き取りの記録の届け先を直し、お客様にも新しい担当を知らせます。お客様が前の担当の名前で電話をかけてきた場合に、新しい担当につながるように設定しておくと、行き違いを防げます。

電話以外の連絡の方法との使い分け

住所の変更などの手続きは、電話よりも、書類やインターネットの手続きのほうが、記録が残り、行き違いも少なくなる場合があります。保険会社がインターネットの手続きを用意している場合は、電話の案内でもその方法を伝えると、急がない手続きの電話を減らせます。一方で、事故の連絡や、お客様が不安を感じている相談は、電話で人が受けることが大切です。どの用件をどの方法で受けるかを、事務所として整理しておきます。

案内の内容を古くしない

保険会社の事故受付窓口の連絡先、営業時間、事務所の場所、手続きの方法などは、変わることがあります。保険会社からの案内で連絡先や手続きが変わったとき、取り扱う保険会社が増えたり減ったりしたとき、担当が替わったときには、電話の案内、事故のときのカード、ホームページをまとめて直します。直す場所の一覧と担当を決め、年に一度は、案内で読み上げている連絡先が最新かどうかを確認します。

案内の文章のひな形

以下は説明のための文例です。〇の部分を、事務所の情報に置き換えて使ってください。

営業時間外の事故の案内

お電話ありがとうございます。〇〇保険事務所です。本日の営業は終了しました。おけがをされた方がいる場合は119番に、交通事故の場合は110番にご連絡ください。事故のご連絡は、ご契約の保険会社の事故受付窓口でもお受けしています。連絡先は、保険の証券や、保険会社から届いた書類でご確認いただけます。当事務所へのご連絡は、このあと、お名前、お電話番号、事故の内容をお話しください。次の営業日の朝にご連絡します。

契約の変更の聞き取りの案内

ご契約の変更をうかがいます。お名前、お電話番号、変更の内容をお話しください。新しいお車の納車の日や、お引っ越しの日など、変更が起きる日もあわせてお話しください。お手続きは担当者が行い、完了しましたらご連絡します。

よくある場面の対応例

ここでは、説明のための架空の例として、保険代理店でよくある場面と、電話の仕組みでの対応を示します。

場面1:営業時間中の追突の連絡

お客様から「信号待ちで後ろから追突された」という電話がありました。お客様は1を選び、手の空いている職員の電話がまとめて鳴り、事務の職員が受けました。職員はけが人の有無と警察への連絡を確認し、事故の日時と場所、相手の情報を聞き取って、保険会社に報告しました。担当の募集人は訪問中でしたが、記録を確認し、訪問の後でお客様に連絡しました。

この場面のポイントは、担当の募集人を待たずに、事故の連絡をほかの職員がすぐに受けられたことです。

場面2:夜間の物損事故

夜、お客様から「駐車場で隣の車にぶつけてしまった」という電話がありました。お客様は営業時間外の案内を聞き、保険会社の事故受付窓口に連絡しました。続けて代理店にも聞き取りで内容を残しました。翌朝、担当の募集人は記録を確認し、お客様に連絡して、保険会社の担当者からの連絡の予定を確認しました。

場面3:納車の日が迫った車の入れ替え

お客様から「来週の土曜に新しい車が届く」という電話がありました。お客様は2を選び、聞き取りで変更の内容と納車の日を話しました。担当の募集人は記録を確認して折り返し、新しい車の情報を聞いて、納車の日に間に合うように手続きを進め、完了をお客様に連絡しました。

場面4:「この修理は保険で出ますか」

事故の後、お客様から「修理の見積もりが高かったが、全部保険で出ますか」という電話がありました。担当の募集人は契約の内容を確認し、契約の補償の内容を説明したうえで、実際の支払いの金額は保険会社が見積もりを確認して判断することを伝え、保険会社の担当者に確かめるよう段取りしました。

その場で「全部出ます」と約束しなかったため、後の行き違いを防げました。

満期が重なる時期の前の準備

満期が重なる時期の前には、次の準備をしておきます。

手続きの済んでいないお客様には、満期の日の前に事務所から連絡します。満期の日を過ぎて補償が切れてしまうことのないよう、担当が責任をもって確かめます。

折り返しの電話のかけ方

聞き取りへの折り返しでは、次の点に気をつけます。

  1. 記録を読み直す:用件、日にちの期限、契約の分かるものを確認し、契約の内容を手元に用意してからかけます。
  2. 名乗りと用件の確認:「〇〇保険事務所の〇〇です。昨夜お電話いただいた、駐車場での事故の件でご連絡しました」と確かめます。
  3. 次の流れを伝える:保険会社からの連絡の予定、手続きの完了の見込みなど、お客様が次に何を待てばよいかを伝えます。
  4. つながらない場合:留守番電話には事務所の名前と用件の種類だけを残し、事故や契約の詳しい内容は残しません。

事務所の一日の流れの例

説明のための架空の例として、募集人が四人、事務の職員が二人の代理店の一日を示します。

時間帯電話の流れ職員の動き
朝営業時間外の案内から日中の案内に切り替わる事務の職員が夜間の聞き取りを確認し、事故の連絡から順に対応する
午前事故の連絡は手の空いている職員へ、変更は担当へ募集人の多くは訪問で外出
昼同上外出中の募集人が担当あての記録を確認し、急ぐものに折り返す
午後同上事務の職員は保険会社とのやりとり、募集人は相談
夕方同上募集人がその日の折り返しをまとめて行う
営業時間外事故の案内と聞き取りへ翌朝に返すものを確認しておく

スタッフへの共有と新しいスタッフの教育

電話の仕組みを変えたら、募集人と事務の職員の全員に流れを共有します。新しい職員には、次の内容を伝えます。

効果の確認方法と見直し

確かめること

確かめること見る方法
事故の連絡への対応の早さ受けてから保険会社に報告するまでの時間
営業時間外の事故聞き取りの件数と、翌朝の対応までの時間
担当の負担訪問や相談を中断して電話に出た回数
契約の変更の期限変更の日に間に合わなかった件数
お客様の声事故のときにつながらなかったという声

つまずきやすいところ

つまずき起きること対策
事故受付窓口の連絡先が古いお客様がつながらない保険会社の公表している連絡先を定期的に確かめる
事故の連絡が担当待ちになる対応が遅れる事故は手の空いている職員がすぐ受ける
変更の日を聞き忘れる手続きが間に合わない聞き取りの項目に入れる
補償について約束してしまう後で行き違いになる答え方を決め、職員全員で共有する

CallでIVRと事故の振り分けを組む

保険代理店の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、名前で担当を呼び出すディレクトリ、キューごとのボイスメール、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォン、レポートなどで組めます。事故の連絡を最初に分けて手の空いている職員にまとめて鳴らし、営業時間外は保険会社の事故受付窓口の案内と聞き取りに切り替える流れが組めます。設定の流れは使い方のガイドとドキュメントで紹介しています。

日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、職員が確認しやすくする使い方です。補償の内容の説明、契約の手続き、保険会社への報告は、募集人と職員が行い、保険金の支払いの可否は保険会社が判断します。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。

関連する業種の記事として、自動車整備工場の電話対応、工務店・リフォームの電話対応もあわせてご覧ください(保険代理店のAI電話対応|契約・事故一次からの関連案内)。

よくある質問

AIが事故受付をしてくれますか?

AIや自動の案内でできるのは、事故の内容の聞き取りと、職員や保険会社の窓口への案内までです。保険会社への報告や、お客様への説明は、職員が行います。

夜間の事故の連絡は、どう受ければよいですか?

案内で、けが人がいる場合の119番や110番への連絡を先に伝え、契約している保険会社の事故受付窓口の調べ方を案内します。代理店への連絡はボイスメールで受け、翌朝に担当から連絡します。

「この事故は保険で出ますか」と聞かれたら?

その場で約束しません。担当が契約の内容を確かめて補償の内容を説明し、実際の支払いの可否や金額は保険会社が判断することを伝えます。

事故の連絡は、担当の募集人が受けるべきですか?

担当が外出していることも多いため、事故の連絡は手の空いている職員がすぐに受け、担当には記録を届ける形が安心です。

車の入れ替えの電話で、気をつけることは?

変更が起きる日(納車の日など)を必ず聞きます。手続きの日によって補償の扱いが変わることがあるため、担当が日にちに間に合うように手続きを進めます。

録音や要約の機能を使ってもよいですか?

委託を受けている保険会社の決まりを確かめ、保存の場所、見られる人、保存の期間を決めたうえで使います。お客様には、録音していることを最初の案内で伝えます。

大きな災害の後に電話が集中したら?

前もって臨時の案内を用意しておき、すぐに切り替えます。保険会社の窓口でも受け付けていることを伝え、代理店への連絡はボイスメールで用件を受けて、被害の大きいお客様から順に連絡します。

生命保険の給付金の相談は、どう受けますか?

聞き取りでは、名前、電話番号、契約の分かるもの、相談の概要だけを聞き、病気の詳しい内容は聞きません。担当が折り返して、保険会社の請求の手続きを案内します。

満期の時期の電話を減らせますか?

満期の案内を早めに送り、手続きの方法と相談の予約の方法を書いておくと、満期の直前の電話を減らせます。内容を変えない更新の方法は、自動の案内でも伝えられます。

保険会社の事故受付窓口の番号を、案内で読み上げてもよいですか?

保険会社が公表している最新の連絡先を確かめたうえで登録します。連絡先が変わったときに直せるよう、確かめる時期と担当を決めておきます。

最初に何から始めればよいですか?

一、二週間、電話の用件と時間帯、事故の連絡の件数を記録することから始めます。そのうえで、保険会社の決まりを確かめ、事故の連絡の受け方を決めてから、営業時間外の案内から導入すると、無理なく進められます。

まとめ

保険代理店の電話対応では、事故の連絡のように一刻を争う用件と、手続きや相談の用件が同じ番号に入ることを前提に、仕組みを考えることが大切です。最初の案内で事故を分け、営業時間内は手の空いている職員がすぐに受け、営業時間外はけが人がいる場合の連絡先と保険会社の事故受付窓口を案内する、という流れにすれば、お客様がいざというときに迷わずに済みます。

保険金の支払いの可否は保険会社が判断し、補償の内容の説明や契約の手続きは、募集人と職員が行います。記録の扱いは、保険会社の決まりも確かめて決めます。まずは電話の記録から始め、営業時間外の事故の案内から少しずつ仕組みを整えていきましょう。

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