工務店のAI電話対応|見積もり・現場連絡
工務店やリフォーム会社の電話は、事務所の外にいる人が多いときほど、よく鳴ります。社長は現場の見回りや打ち合わせ、現場監督は工事の立ち会い、営業の担当は現地調査やお客様の家での打ち合わせ。事務所に残るのは事務の職員一人、という会社も珍しくありません。その一人が、新しい見積もりの依頼、工事中のお客様からの相談、職人や資材の業者からの連絡、近所の方からの問い合わせを、すべて受けることになります。
かけてくる人の用件も、急ぎ具合もさまざまです。「浴室をリフォームしたいので見積もりがほしい」という電話は、急ぎではないものの、返事が遅いとほかの会社に流れてしまいます。「工事が終わったばかりの屋根から雨漏りがする」という電話は、すぐに対応が必要です。「明日の資材の搬入の時間を変えたい」という業者の電話は、現場の段取りにかかわります。
この記事では、工務店・リフォーム会社の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や繁忙時の受け方、設計の例、担当への引き継ぎ、個人情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。見積もりは現地を見たうえで担当が行うこと、工事の内容や日程の約束は担当が行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。
工務店・リフォームの電話対応で起きがちな課題
担当者が現場に出ている
工務店やリフォーム会社の担当者は、一日の多くを現場やお客様の家で過ごします。現場では、職人との打ち合わせ、工事の確認、近所への配慮など、電話に出られない場面が続きます。運転中や高い場所での作業中に電話に出るのは危険でもあります。現場では、職人に電話がかかってくることもあり、誰がどの電話に出るかが決まっていないと、お客様の電話が職人の携帯に回ってしまう、ということも起きます。担当者あての電話は、事務の職員が伝言を受けることになり、伝言が正確に伝わるかどうかが、お客様の満足を左右します。
見積もりの依頼は、早く返さないと流れる
リフォームを考えているお客様は、複数の会社に見積もりを頼んで比べることが多くあります。最初の問い合わせへの返事が遅いと、ほかの会社が先に現地調査に入り、そのまま決まってしまうこともあります。一方で、見積もりは現地を見ないと正確に出せないため、電話で「だいたいいくらですか」と聞かれても答えにくい、という難しさがあります。早く返したいが、電話では答えられない、という二つの事情をどう両立させるかが、見積もりの依頼の電話の受け方の要になります。
急ぐ不具合の連絡が混ざる
工事の後の雨漏り、水まわりの水漏れ、建具が閉まらないといった不具合の連絡は、お客様の生活にかかわるため、急いで対応する必要があります。こうした連絡が、見積もりの依頼や業者の電話と同じ流れで受けられていると、対応が遅れるおそれがあります。
現場の関係者からの電話が多い
職人、協力会社、資材の業者、設計事務所など、現場の関係者からの電話も多く入ります。資材の搬入の時間の変更、職人の手配の確認など、現場の段取りにかかわる電話は、担当の現場監督にすぐ伝える必要があります。
工事中の近所からの電話
工事中には、近所の方から、騒音、車の止め方、ほこりなどについての電話が入ることがあります。こうした電話は、会社の信頼にかかわるため、ていねいに受け、担当がすぐに現場で対応する必要があります。電話をかけてきた近所の方の名前を、工事を頼んだお客様に伝えるかどうかは、近所の方の意向を確認してから決めます。
課題の整理
| 課題 | 起きること | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 担当者が現場に出ている | 伝言の手間、伝わる遅れ | 担当あての聞き取りの記録を正確に届ける |
| 見積もりの依頼の早さ | ほかの会社に流れる | 聞き取りで項目を受け、早く現地調査の日を決める |
| 急ぐ不具合の連絡 | 対応が遅れる | 最初の案内で不具合を分け、優先して受ける |
| 現場の関係者の電話 | 現場の段取りが遅れる | 関係者の電話を分け、担当に早く届ける |
| 近所からの電話 | 会社の信頼にかかわる | ていねいに受け、担当がすぐ対応する |
少人数の事業所の電話の整え方は、小さな会社の電話対応の考え方も参考になります。

よくある問い合わせの分類
分類の考え方
工務店・リフォーム会社の電話は、「誰からの電話か」と「生活や現場にすぐ影響するか」で分けると、振り分けの設計がしやすくなります。
| 分類 | 例 | 急ぐか | 対応 |
|---|---|---|---|
| 生活にかかわる不具合 | 雨漏り、水漏れ、玄関の鍵が閉まらない | 急ぐ | 担当、または手の空いている者にすぐつなぐ。出られなければ急ぎの聞き取り |
| 工事中のお客様 | 工事の内容を変えたい、明日の予定を確認したい | 内容による | 担当の現場監督や営業。出られなければ担当あての聞き取り |
| 見積もりの依頼 | 浴室を替えたい、外壁を塗り替えたい | 早めに | 聞き取り、担当が現地調査の日を決める |
| 相談 | 何から始めればよいか、どのくらいかかるか | 急がない | 聞き取り、担当が折り返す |
| 現場の関係者 | 職人、資材の業者、協力会社 | 内容による | 担当の現場監督 |
| 近所の方 | 騒音、車の止め方、ほこり | 急ぐ | 担当の現場監督、または責任者 |
| 決まった答え | 営業時間、事務所の場所、取り扱っている工事の種類、見積もりの流れ | 急がない | 自動の案内 |
| 営業・その他 | 広告、建材の営業 | 急がない | 聞き取り |
見積もりの依頼で聞く項目
見積もりの依頼の電話では、次の項目を聞いておくと、担当が現地調査の準備をしやすくなります。
- 名前と、連絡のつく電話番号、連絡のつきやすい時間帯
- 工事をしたい場所の住所(おおまかな地域でも可)
- 工事の内容(浴室、台所、外壁、屋根、間取りの変更など)
- 建物の種類(一戸建て、マンションなど)と、おおまかな築年数
- 工事の希望の時期
- 現地調査の希望の日時
- 会社を知ったきっかけ
マンションの場合は、管理組合への届け出や工事の決まりがあることが多いため、マンションかどうかは必ず聞いておきます。工事の内容の詳しい希望や予算は、現地調査のときに担当が聞きます。
不具合の連絡で聞く項目
工事の後の不具合の連絡では、次の項目を聞きます。
- 名前と、連絡のつく電話番号
- 工事をした場所と、工事の時期
- どこに、どのような不具合があるか
- 今も被害が広がっているか(雨漏りが続いている、水が止まらない、など)
- 応急の対応をしたか(水の元栓を閉めた、バケツで受けている、など)
- 立ち会いのできる日時
水が止まらない場合は、水の元栓を閉めるなど、被害を広げないための応急の対応を伝えます。漏電のおそれがある場合は、濡れた電気の器具に触れないよう伝えます。
電話を数える
一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。担当者が現場に出ていて出られなかった件数、見積もりの依頼から現地調査の日が決まるまでの日数を記録しておくと、どこを変えるべきかが分かります。
| 分類 | 件数 | 担当者が不在だった件数 | 折り返しまでの時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 生活にかかわる不具合 | |||
| 工事中のお客様 | |||
| 見積もりの依頼 | |||
| 相談 | |||
| 現場の関係者 | |||
| 近所の方 |
営業時間外・繁忙時の受け方
営業時間外の案内
工務店やリフォーム会社の営業時間外の電話は、自動の案内とボイスメールで受け、営業日に担当が折り返す流れが基本です。案内では、次の点を伝えます。
- 営業時間外であること、次の営業日と時刻
- 水漏れなど、生活にかかわる急ぎの不具合の場合の連絡の方法(急ぎの窓口がある場合はその案内、ない場合は応急の対応と、次の営業日の朝に連絡すること)
- 見積もりの依頼や相談は、ボイスメールで受け、次の営業日に連絡すること
- ホームページの問い合わせのフォームがある場合は、その案内
夜間や休日の急ぎの不具合に、会社としてどこまで対応するかは、事前に決めておきます。対応できない場合は、そのことを正直に案内し、水道やガス、電気の事業者の窓口など、ほかの連絡先を伝えます。時間帯ごとの案内の切り替えは、IVRの営業時間ルーティングで詳しく紹介しています。
現場が立て込んでいる時期の受け方
工事が重なる時期には、担当者が一日中現場に出ていて、事務所に戻るのは夕方、という日が続きます。この時期は、次の工夫をします。
- 見積もりの依頼は、聞き取りで項目を受け、事務の職員が担当の予定を確認して現地調査の日を提案する
- 工事中のお客様の電話は、担当あてのボイスメールで受け、担当が昼と夕方に確かめて折り返す
- 急ぎの不具合と近所の方からの電話は、担当や責任者の携帯にまとめて鳴らす
- 現場の関係者の電話は、担当の現場監督の携帯に直接つながる番号を、関係者に伝えておく
見積もりの依頼が増える時期の受け方
広告やチラシを出した直後、季節の変わり目、補助の制度の募集が始まった時期などには、見積もりの依頼が増えることがあります。補助の制度の内容や対象になるかどうかは、制度を設けている国や自治体の条件によって決まるため、電話の自動の案内やAIで「使えます」と答えることはしません。制度について聞かれたときは、担当が現地調査の際に確かめて説明するか、制度を設けている窓口の情報を案内します。
IVRとAI一次応答の設計例
社員が数人のリフォーム会社のメニューの例
説明のための架空の例として、営業と現場監督が四人、事務の職員が一人のリフォーム会社のメニューを示します。
お電話ありがとうございます。〇〇リフォームです。雨漏り、水漏れなど、お住まいのお急ぎの不具合は1を、工事中のお客様は2を、お見積もりのご依頼、リフォームのご相談は3を、職人、業者、工事の関係者の方は4を、営業時間、事務所の場所、取り扱っている工事のご案内は5を押してください。
| 番号 | 営業時間内 | 営業時間外 |
|---|---|---|
| 1 | 事務の職員と責任者の電話にまとめて鳴らす。出られなければ急ぎの聞き取り | 応急の対応の案内と、急ぎの聞き取り。会社の方針に応じて当番につなぐ |
| 2 | 担当を名前で呼び出す。不在なら担当あての聞き取り | 担当あての聞き取り |
| 3 | 事務の職員。出られなければ聞き取り | 聞き取り。次の営業日に連絡する |
| 4 | 担当の現場監督、または事務の職員 | 聞き取り |
| 5 | 自動の案内 | 自動の案内 |
工事の近所の方からの電話は、1や2を選ぶとは限りません。案内の中で「工事の近くにお住まいの方は2を」と添えるか、別の番号を設けるかを決めておきます。
新築を中心にした工務店の場合
新築の家づくりを中心にした工務店では、建てる前の相談、土地探しの相談、見学会の予約、建てた後の点検の連絡なども入ります。家づくりの相談は時間をかけて話す内容のため、聞き取りで概要と相談の希望の日時を受け、担当が折り返して面談の日を決めます。建てた家の点検の時期は、会社から案内を送っておくと、問い合わせの電話を減らせます。
AI一次応答を組み合わせる場合
番号を押す代わりに、AIの一次応答で用件を話してもらう方法もあります。「築二十年の一戸建てで、浴室を新しくしたい」と話してもらえれば、AIは見積もりの依頼として分類し、名前、電話番号、住所の地域、工事の内容、建物の種類、希望の時期を聞き取って、事務の職員に届けられます。「見積もりは無料ですか」という質問には、会社が登録した情報があれば、その内容で答えられます。
工務店・リフォーム会社でAIの一次応答を使う場合は、次の点を決めておきます。
- 金額を答えない:「だいたいいくらですか」と聞かれても、工事の金額は答えません。見積もりは担当が現地を見てから行います。
- 工事ができると約束しない:建物の状態や決まりによって、希望どおりの工事ができないこともあります。工事の可否は担当が判断します。
- 日程を約束しない:現地調査や工事の日程は、担当の予定を確認して決めます。
- 補助の制度について判断しない:制度の対象になるかどうかは答えません。
- 答える範囲を限る:登録した営業時間、事務所の場所、取り扱っている工事の種類、見積もりの流れなどに限り、推測では答えません。
AIの一次応答の対応の範囲は、サービスごとに確かめる必要があります。基本の仕組みはAI電話受付とはで解説しています。
スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う
現地調査の日程の確定
見積もり依頼の聞き取り記録は、事務職員が担当者に伝え、担当者の予定を確認して現地調査の日を決めます。聞き取りの段階では、日程が決まっていないことを、案内ではっきり伝えます。担当がその日のうちに折り返せない場合でも、事務の職員から「受け付けました。担当から〇日までにご連絡します」と一報を入れると、お客様は待つ見通しを持てます。
見積もりと工事の約束
見積もりの金額、工事の内容、工期、保証の内容は、担当が現地を見たうえで説明し、契約の書面で取り決めます。電話でのやりとりだけで、工事の内容や金額を約束しないことを、社員全員の決まりにしておきます。
工事中の変更の相談
工事中のお客様から、「色を変えたい」「棚を一つ増やしたい」といった変更の相談が入ることがあります。変更は金額や工期に影響することがあるため、担当がお客様と話し、内容と金額を確認してから進めます。電話で変更を受けた場合は、誰が、いつ、何を変えることを了承したかを記録に残し、書面でも確かめます。
不具合の対応
不具合の連絡は、担当や責任者が状況を確認し、職人の手配と、お客様との立ち会いの日時を決めます。工事の保証の範囲で直せるかどうかは、状況を確認したうえで担当が判断します。保証の内容は、契約のときの書面で確認します。電話の場で「保証で直します」と約束せず、まず状況を見ることを伝えます。
引き継ぎで伝える項目
| 用件 | 聞き取る項目 |
|---|---|
| 不具合 | 名前、電話番号、工事の場所と時期、不具合の内容、被害の広がり、応急の対応、立ち会いの希望 |
| 工事中のお客様 | 名前、電話番号、担当の名前、用件の概要、折り返しの希望の時間帯 |
| 見積もりの依頼 | 名前、電話番号、住所の地域、工事の内容、建物の種類と築年数、希望の時期、現地調査の希望の日時 |
| 現場の関係者 | 名前、会社、電話番号、どの現場の件か、用件の概要 |
| 近所の方 | 名前(伝えてよい場合)、電話番号、どの現場の件か、内容 |
折り返しの順番
- 生活にかかわる不具合
- 近所の方からの連絡
- 現場の段取りにかかわる関係者の連絡
- 工事中のお客様の連絡
- 見積もりの依頼、相談、その他
見積もりの依頼は最後に置いていますが、早く返すことが大切なため、その日のうちに一報を入れる目安を決めておきます。
個人情報と記録の扱い
会社で扱う情報
工務店やリフォーム会社の電話では、名前、電話番号、住所のほか、家の間取り、家族の構成、留守にする時間帯、予算、ローンの相談など、多くの立ち入った情報が話されます。工事の日程や留守の時間帯は、外に漏れると防犯上の心配にもつながります。電話の録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録が残る場合は、その扱いを決めておきます。
個人情報の扱いの全般は、個人情報保護委員会のウェブサイトで、法律やガイドラインを確認できます。ここでの説明は一般的な考え方であり、法的助言ではありません。
職人や協力会社との共有
工事では、職人や協力会社に、お客様の名前、住所、工事の日時、家に入る方法などを伝える必要があります。伝える範囲を、工事に必要な項目に限り、伝えることをお客様に確かめておきます。電話の録音そのものを渡すのではなく、必要な要点を書いた指示で伝えます。工事が終わったら、職人や協力会社に渡した情報の扱いも確かめます。
決めておくこと
| 決めること | 確かめる問い |
|---|---|
| 残るもの | 録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録のどれが残るか |
| 見られる人 | 営業、現場監督、事務の職員、職人など、誰が見られるか |
| 外部への共有 | 職人や協力会社に、何を、どの方法で伝えるか |
| 保存の期間 | どのくらい残し、その後どうするか |
| お客様への伝え方 | 録音や記録をしていることを、どう伝えるか |
了承の記録
工事中の変更の了承や、追加の工事の了承を電話で得た場合は、後の行き違いを防ぐために、了承の日時、相手、内容、金額を記録に残し、書面でも確かめます。録音を残す場合は、録音していることをお客様に伝えておきます。
導入の進め方
ステップ1:電話を記録する
一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。担当者が不在だった件数、見積もりの依頼から現地調査の日が決まるまでの日数を確認します。
ステップ2:急ぎの不具合の受け方を決める
営業時間内と営業時間外に、急ぎの不具合の連絡を誰が受けるかを決めます。夜間や休日にどこまで対応するかも、ここで決めます。
ステップ3:任せる範囲を決める
分類ごとに、自動で案内する、聞き取って担当が折り返す、すぐに担当につなぐ、のどれにするかを決めます。
ステップ4:案内の情報を整える
営業時間、事務所の場所、取り扱っている工事の種類、見積もりの流れ、現地調査にかかる時間の目安、応急の対応の方法などを書き出します。ホームページやチラシの情報と食い違いがないかを確認します。
ステップ5:現場の関係者に知らせる
職人、協力会社、資材の業者に、新しい電話の流れと、選ぶ番号や担当の直通の番号を知らせます。
ステップ6:試験の電話をかける
社員がお客様や関係者の役になって、不具合、工事中の相談、見積もりの依頼、業者の連絡、近所の方の電話、営業時間外の電話をかけ、それぞれが決めたとおりに流れるかを確認します。
ステップ7:営業時間外から始める
最初は、営業時間外の案内と聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、営業時間内の振り分けに広げます。
ステップ8:記録を見て直す
折り返しまでの時間、見積もりの依頼から現地調査までの日数、お客様の声を見て、案内の言葉や振り分けを直していきます。

工務店・リフォームならではの工夫
見積もりの流れを案内で伝える
初めてリフォームを頼む人は、見積もりがどのように進むのかが分からず、不安に感じています。問い合わせ、現地調査、見積もりの提出、打ち合わせ、契約、工事、という流れと、それぞれのおおよその期間の目安を、自動の案内やホームページで伝えておくと、お客様は安心して問い合わせできます。現地調査にかかる時間の目安や、立ち会いが必要かどうかも伝えます。
「だいたいいくら」への答え方
見積もりの依頼の電話で、「だいたいいくらかかりますか」と聞かれることはよくあります。工事の金額は、建物の状態や工事の内容によって大きく変わるため、電話では答えないのが基本です。ただし、お客様は予算の見当をつけたいと考えているため、「現地を見てからお見積もりします。ご予算の目安があれば、現地調査の際にお聞かせください」と伝えると、突き放した印象を与えずに済みます。
マンションのリフォームの相談
マンションのリフォームでは、管理組合の決まりで、工事のできる曜日や時間、使える材料、届け出の期限が決められていることが多くあります。見積もりの依頼の段階でマンションと分かったら、管理組合の決まりを手元に用意してもらうよう伝えておくと、現地調査の場で話が早く進みます。共用部にかかわる工事は、個人の判断ではできないこともあるため、工事の可否は担当が決まりを確認して判断します。工事の前には、管理組合への届け出や、ほかの住戸へのお知らせの段取りも、担当がお客様と確かめます。
写真を送ってもらう方法
不具合の連絡や、見積もりの前の相談では、写真があると状況をつかみやすくなります。写真を送ってもらえるメッセージやメールの窓口がある場合は、電話の案内でその方法を伝えます。写真で分かるのはおおまかな状況だけであり、見積もりや不具合の判断は、担当が現地を見てから行うことも、あわせて伝えます。
工事の前に近所に知らせる
工事の前に、近所に工事の期間と連絡先を知らせるあいさつをしておくと、工事中に近所の方から電話が入ったときに、どの現場の件か分かりやすくなります。あいさつの紙に、会社の電話番号と、案内で選ぶ番号を書いておく方法もあります。近所の方からの電話は、担当の現場監督がすぐに受けられるようにしておきます。工事が終わったら、近所にお礼のあいさつをしておくと、次の工事のときにも理解を得やすくなります。
工事中のお客様への連絡
工事中のお客様は、「今日はどこまで進んだのか」「明日は何時から始まるのか」を気にしています。担当から、節目ごとや一日の終わりに進み具合を連絡しておくと、問い合わせの電話を減らせます。連絡の方法は、電話、メッセージ、写真つきの報告など、お客様の希望に合わせます。工事中に家に住みながらリフォームをしているお客様は、水やお湯が使えない時間、音の出る時間を特に気にしています。翌日の作業の内容と、生活に影響する時間の目安を、前の日のうちに伝えておくと喜ばれます。
工事の後の点検の案内
工事の後に、一定の時期に点検を行っている会社もあります。点検の時期が来たら、会社から案内を送ると、お客様からの不具合の電話を待つのではなく、早めに小さな不具合を見つけられます。点検の予約は、聞き取りで希望の日時を受けて、担当が確定します。点検で見つかった不具合の修理は、保証の範囲かどうかを担当が確かめたうえで、お客様に説明します。点検の記録は、次の点検や将来のリフォームの相談のときにも役立つため、家ごとにまとめて残しておきます。
現場の関係者の連絡の窓口
職人や資材の業者からの電話は、担当の現場監督に直接つながるのが一番です。現場ごとに担当の現場監督を決め、関係者に直通の番号を伝えておきます。現場監督が手を離せないときに備え、関係者向けの聞き取りも用意しておきます。複数の現場を受け持つ現場監督には、どの現場の件かを最初に言ってもらうよう、関係者に頼んでおきます。資材の搬入の時間の変更など、翌日の段取りにかかわる連絡は、その日のうちに担当が確かめられるようにします。
高齢のお客様と家族
リフォームの相談には、高齢のお客様や、親の家のリフォームを考える家族からの電話も多くあります。番号を押す操作が難しい人のために、最初の案内の後で番号を押さなかった場合に、事務の職員や聞き取りにつながるように設定しておきます。家族が代わりに相談してくる場合は、家の持ち主や住んでいる人の意向を確認することが大切です。現地調査や契約の場には、できるだけ家の持ち主に立ち会ってもらい、工事の内容と金額を本人に説明します。
職人の手配と工期の連絡
工事の日程は、職人の手配、資材の納期、天候によって変わることがあります。雨で外の工事が延びた、資材の納期が遅れた、といった場合は、お客様から問い合わせがある前に、担当から連絡します。日程の変更を伝えるときは、変更の理由と、新しい予定の見込みをあわせて伝えると、お客様が予定を立て直しやすくなります。
訪問の勧誘と間違われないように
リフォームでは、突然の訪問の勧誘によるトラブルが話題になることがあり、お客様が警戒していることもあります。会社から電話をかけるときは、会社の名前と、どの問い合わせへの折り返しかをはっきり伝えます。折り返しの番号が会社の番号として表示されるようにしておくと、お客様が安心して出られます。
見積もりの依頼の聞き取りシート
見積もり依頼の聞き取り記録を、担当が現場から確かめやすいように、シートの形で整理しておくと便利です。
| 項目 | 記入の例 |
|---|---|
| 受けた日時 | 〇月〇日 〇時〇分 |
| お客様の名前・電話番号 | 連絡のつきやすい時間帯も |
| 工事の場所 | 住所の地域、一戸建てかマンションか、築年数 |
| 工事の内容 | 浴室の入れ替え、外壁の塗り替え、など |
| 希望の時期 | 年内、来年の春まで、など |
| 現地調査の希望 | 第一の希望、第二の希望 |
| 知ったきっかけ | チラシ、ホームページ、紹介、など |
| 一報を入れた日時 | 事務の職員が記入 |
| 現地調査の日 | 担当が決めた後で記入 |
一報を入れた日時の欄を設けておくと、その日のうちに一報を入れる決まりが守られているかを確認できます。
繁忙期の前の準備
工事が重なる時期や、広告を出す前には、次の準備をしておきます。
- [ ] 広告やチラシに載せる電話番号と、案内の内容が合っているか確かめた
- [ ] 見積もり依頼の聞き取り記録を確認する時刻と担当を決めた
- [ ] 担当ごとの現地調査の空きの目安を、事務の職員と共有した
- [ ] 現場の関係者に、繁忙期の連絡の方法を伝えた
- [ ] 急ぎの不具合をまとめて鳴らす電話が、今の体制に合っているか確かめた
案内の内容を古くしない
営業時間、取り扱っている工事の種類、見積もりの流れ、応急の対応の方法などの案内は、ホームページやチラシと同じでなければなりません。年末年始や夏季の休業、担当の入れ替わり、取り扱う工事の変更の後には、電話の案内、ホームページ、担当の呼び出しの設定をまとめて直します。直す場所の一覧と担当を決めておくと、案内だけが古いまま残ることを防げます。
電話以外の連絡の方法との使い分け
お客様や関係者とのやりとりには、電話のほか、メッセージ、メール、写真つきの報告などがあります。それぞれの向き不向きを整理しておくと、電話の件数を減らしながら、急ぐ連絡を確実に受けられます。
| 方法 | 向いていること | 向いていないこと |
|---|---|---|
| 電話 | 急ぎの不具合、近所の方の連絡、工事中の変更の相談 | 図面や色の見本を見ながらの相談 |
| メッセージやメール | 写真を送っての相談、進み具合の報告、急がない質問 | 急ぎの不具合(すぐに読まれるとは限らない) |
| 打ち合わせ | 工事の内容、色や設備の決定、金額の説明 | 急ぐ連絡 |
色や設備の選び方の相談は、電話よりも見本を見ながらの打ち合わせのほうが、行き違いが少なくなります。電話でこうした相談が来たら、打ち合わせの日を決める流れにします。
案内の文章のひな形
以下は説明のための文例です。〇の部分を、会社の情報に置き換えて使ってください。
営業時間外の案内
お電話ありがとうございます。〇〇リフォームです。本日の営業は終了しました。次の営業は〇曜日の〇時からです。水が止まらないなどのお急ぎの場合は、まず水の元栓を閉めてください。このあと1を押して、お名前、お電話番号、不具合の内容をお話しください。お見積もりのご依頼は2を押して、お名前、お電話番号、工事をしたい場所と内容をお話しください。次の営業日にご連絡します。
見積もりの依頼の聞き取りの案内
お見積もりのご依頼をうかがいます。お名前、お電話番号、工事をしたい場所の住所、工事の内容をお話しください。一戸建てかマンションか、おおよその築年数、ご希望の時期もあわせてお話しください。担当から、現地を拝見する日のご相談のご連絡をします。
見積もりの流れの案内
お見積もりは、担当が現地を拝見してから作成します。現地の拝見には、〇分ほどかかります。お見積もりの提出までは、拝見の日から〇日ほどが目安です。
所要時間や日数は、会社で実際にかかっている目安を確認して載せます。
よくある場面の対応例
ここでは、説明のための架空の例として、工務店・リフォーム会社でよくある場面と、電話の仕組みでの対応を示します。
場面1:現場に出ている間の見積もりの依頼
担当者が全員現場に出ている午前、お客様から「台所を新しくしたい」という電話がありました。お客様は3を選び、事務の職員が受けて、聞き取りの項目を確認しました。事務の職員は担当の予定を確認し、その日の昼に「受け付けました。担当から明日までにご連絡します」と一報を入れました。担当は夕方に事務所に戻り、お客様に折り返して現地調査の日を決めました。
この場面のポイントは、担当がすぐに折り返せなくても、事務の職員の一報で、お客様が待つ見通しを持てたことです。
場面2:工事の後の雨漏り
工事が終わって一か月後、お客様から「屋根を直したところから雨漏りがする」という電話がありました。お客様は1を選び、事務の職員と責任者の電話がまとめて鳴り、責任者が受けました。責任者は、雨漏りの場所と量、家財が濡れていないかを聞き、雨漏りの下に容器を置くなどの応急の対応を伝えたうえで、その日のうちに担当と職人が状況を見に行く段取りをつけました。
場面3:近所の方からの騒音の電話
工事中の現場の近所の方から、「朝早くから音がうるさい」という電話がありました。近所の方は、工事の前のあいさつの紙に書かれていた番号を選び、担当の現場監督につながりました。現場監督はおわびをしたうえで、作業の始まりの時間を確認し、職人と相談して、音の大きい作業の時間を遅らせることにしました。対応の内容を、近所の方とお客様の両方に伝えました。
場面4:資材の搬入の時間の変更
資材の業者から、「明日の搬入が午後にずれる」という電話がありました。業者は4を選びましたが、現場監督は別の現場の立ち会い中で出られず、関係者向けの聞き取りに切り替わりました。現場監督は立ち会いの後で記録を確認し、職人の作業の順番を入れ替える段取りをつけ、お客様にも予定の変更を伝えました。
折り返しの電話のかけ方
聞き取りへの折り返しでは、次の点に気をつけます。
- 記録を読み直してからかける:工事の内容、住所の地域、希望の時期を確認してからかけます。
- 会社の名前と用件をはっきり伝える:「〇〇リフォームの〇〇です。昨日お見積もりのご依頼をいただいた、台所の件でご連絡しました」と伝えます。
- 現地調査の日を決める:担当の予定と合わせて日時を決め、立ち会いの要否と所要時間を伝えます。
- つながらない場合:留守番電話には会社の名前と用件の種類だけを残し、留守の時間帯などの詳しい内容は残しません。
会社の一日の流れの例
説明のための架空の例として、営業と現場監督が四人、事務の職員が一人の会社の一日を示します。
| 時間帯 | 電話の流れ | 社員の動き |
|---|---|---|
| 朝 | 営業時間外の案内から日中の案内に切り替わる | 事務の職員が夜間の聞き取りを確認し、不具合の連絡から順に担当に伝える |
| 午前 | 不具合は事務と責任者にまとめて鳴らす、見積もりは事務の職員へ | 担当者は現場や現地調査に出る |
| 昼 | 同上 | 担当者が担当あての記録を確認し、急ぐものに折り返す。事務の職員が見積もりの依頼に一報を入れる |
| 午後 | 同上 | 担当者は打ち合わせ、事務の職員は業者とのやりとり |
| 夕方 | 同上 | 担当者が事務所に戻り、その日の折り返しと翌日の段取り |
| 営業時間外 | 応急の対応の案内と聞き取りへ | 方針に応じて、当番が急ぎの不具合に対応する |
スタッフへの共有と新しいスタッフの教育
電話の仕組みを変えたら、社員の全員と、主な職人や協力会社に流れを共有します。新しい社員には、次の内容を伝えます。
- 番号ごとのつなぎ先と、営業時間外の流れ
- 見積もりの依頼で聞く項目と、その日のうちに一報を入れる決まり
- 電話で金額、工事の可否、日程、補助の制度の対象かどうかを約束しないこと
- 不具合の連絡で伝える応急の対応
- 工事中の変更の了承は、記録に残し、書面でも確かめること
- 近所の方からの電話は、ていねいに受け、担当にすぐ伝えること
効果の確認方法と見直し
確かめること
| 確かめること | 見る方法 |
|---|---|
| 見積もりの依頼への対応の早さ | 依頼から一報までの時間、現地調査の日が決まるまでの日数 |
| 不具合への対応の早さ | 連絡から担当が状況を確認するまでの時間 |
| 担当者の負担 | 現場で電話に出た回数、担当者の感想 |
| 近所の方からの電話 | 件数と、対応までの時間 |
| お客様の声 | つながらない、折り返しが遅いという声 |
つまずきやすいところ
| つまずき | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 見積もりの依頼に返事が遅れる | ほかの会社に流れる | その日のうちに一報を入れる決まりにする |
| 不具合の連絡が埋もれる | 被害が広がる | 最初の番号で分け、まとめて鳴らす |
| 関係者が新しい番号を知らない | 現場の連絡が一般の流れに入る | 関係者に直通の番号を知らせる |
| 電話で金額を約束してしまう | 後で行き違いになる | 答え方を決め、社員全員で共有する |
CallでIVRと担当への振り分けを組む
工務店・リフォーム会社の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、名前で担当を呼び出すディレクトリ、キューごとのボイスメール、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。不具合の連絡を最初に分けてまとめて鳴らし、見積もりの依頼や担当あての連絡はボイスメールで用件を受けて届ける流れが組めます。設定の流れは使い方のガイドとドキュメントで紹介しています。
日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、担当者が確認しやすくする使い方です。見積もり、工事の内容や日程の約束、不具合の判断は、担当者が行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。
関連する業種の記事として、水道・設備修理の電話対応、学習塾の電話対応もあわせてご覧ください(工務店のAI電話対応|見積もり・現場連絡からの関連案内)。
よくある質問
AIが見積もりの金額を答えてくれますか?
答えません。工事の金額は、担当が現地を見てから見積もります。AIや自動の案内が扱うのは、見積もりの流れなどの決まった答えと、依頼の内容の聞き取りまでです。
現場に出ていて電話に出られないときは、どうすればよいですか?
担当あてのボイスメールで受け、担当が昼や夕方に確かめて折り返します。見積もりの依頼には、事務の職員からその日のうちに一報を入れると、お客様が待つ見通しを持てます。
工事の後の不具合の連絡は、どう受けますか?
最初の案内で不具合を分け、事務の職員と責任者の電話にまとめて鳴らします。水が止まらない場合の元栓など、応急の対応も伝えます。
夜間の不具合にも対応すべきですか?
会社の体制に合わせて決めます。対応する場合は当番を決め、対応しない場合はそのことを正直に案内し、応急の対応とほかの連絡先を伝えます。
「だいたいいくら」と聞かれたら、どう答えますか?
現地を見てから見積もることを伝え、予算の目安があれば現地調査の際に聞かせてほしいと伝えます。電話で金額を約束しないのが基本です。
補助の制度が使えるかどうか、電話で答えてよいですか?
制度の対象になるかどうかは、制度を設けている国や自治体の条件によって決まるため、電話では判断しません。担当が確かめて説明するか、制度の窓口の情報を案内します。
近所の方からの電話は、どう受けますか?
ていねいに受け、担当の現場監督にすぐつなぎます。工事の前のあいさつの紙に、連絡先と選ぶ番号を書いておくと、どの現場の件か分かりやすくなります。
工事中の変更を電話で受けてもよいですか?
受けることはできますが、金額や工期に影響することがあるため、担当がお客様と内容と金額を確かめ、了承の記録を残し、書面でも確かめます。
職人や業者の電話は、どう分けますか?
関係者向けの番号を設けるか、現場ごとに担当の現場監督の直通の番号を関係者に伝えておきます。
録音していることは、お客様に伝えるべきですか?
録音や文字起こしをする場合は、最初の案内で伝えるのが一般的です。記録を見られる人と保存の期間を決め、職人や協力会社には必要な要点だけを伝えます。
最初に何から始めればよいですか?
一、二週間、電話の用件と、担当者が不在だった件数、見積もりの依頼から現地調査までの日数を記録することから始めます。そのうえで、急ぎの不具合の受け方を決め、営業時間外の案内から導入すると、無理なく進められます。
まとめ
工務店・リフォーム会社の電話対応では、担当者が現場に出ていることが多いこと、見積もりの依頼には早さが求められること、工事の後の不具合や近所の方からの電話には急いで対応する必要があることを前提に、仕組みを考えることが大切です。最初の案内で不具合、工事中のお客様、見積もりの依頼、現場の関係者を分け、不具合はまとめて鳴らし、見積もりの依頼はボイスメールで用件を受けてその日のうちに一報を入れる、という流れにすれば、現場の仕事を止めずに、お客様の用件を受け止められます。
見積もり、工事の内容や日程の約束、不具合の判断は、担当者が行います。電話で金額を約束せず、変更の了承は記録と書面で確認します。まずは電話の記録から始め、営業時間外の案内から少しずつ仕組みを整えていきましょう。



