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司法書士のAI電話対応|相談予約の受け方

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

司法書士のAI電話対応|相談予約の受け方(AI-SNS.IO Call ブログ)

司法書士や行政書士の事務所には、「親が亡くなって家の名義を変えたい」「会社をつくりたい」「建設業の許可を取りたい」「在留資格の更新が近い」といった、手続きにかかわる電話が毎日のようにかかってきます。かけてくる人の多くは、何の手続きが必要なのか、誰に頼めばよいのかが分からないまま電話をしています。最初の電話で話を整理し、相談の予約につなげることが、事務所の大切な役割の一つです。

一方で、司法書士は不動産の売買の決済に立ち会うために金融機関に出向き、行政書士は役所への申請や現地の確認で外出します。事務所に残る補助者や事務の職員は、書類の作成、戸籍や登記の書類の取り寄せ、役所とのやりとりに追われています。そこに新しい相談の電話、依頼者からの進み具合の問い合わせ、法務局や役所からの連絡、金融機関や不動産会社からの連絡が重なります。

この記事では、司法書士・行政書士事務所の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や繁忙時の受け方、設計の例、司法書士・行政書士や補助者への引き継ぎ、個人情報と記録の扱い、導入の進め方を順に紹介します。手続きについての相談への回答や、依頼を受けるかどうかの判断は資格者が行うこと、本人や意思の確認は資格者が直接行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。

この記事の内容は電話の受け方についての一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。資格者の業務にかかわる決まりや、事務所の運営にかかわる扱いは、所属する司法書士会や行政書士会の規程などに照らして、各事務所で確認してください。

司法書士・行政書士事務所の電話対応で起きがちな課題

何の手続きか分からないまま電話がかかってくる

手続きの電話の多くは、「名義を変えたい」「許可を取りたい」という大まかな希望から始まります。どの手続きが必要か、その手続きが司法書士の仕事か、行政書士の仕事か、あるいは弁護士や税理士、土地家屋調査士の仕事か、を電話をかけてきた人が分かっていないことは珍しくありません。最初の電話で話を聞き分ける職員の負担は大きく、電話も長くなりがちです。

資格者が外出していることが多い

司法書士は、不動産の売買の決済の日には、金融機関などで売主と買主、不動産会社、金融機関の担当者と一緒に、書類の確認に立ち会います。決済は午前中に集中することが多く、その間は電話に出られません。行政書士も、役所への申請や、許可にかかわる現地の確認で外出します。司法書士と行政書士の両方の資格を持つ人が一人で営む事務所では、外出の間、事務所に誰もいないこともあります。資格者あての電話は、伝言になることが多くなります。

決済の日は、関係者からの電話が重なる

不動産売買の決済日やその前日は、不動産会社、金融機関、売主・買主から、書類の確認や時間調整の電話が集中します。これらは当日の決済にかかわる急ぎの電話で、新しい相談の電話と同じ流れで受けていると、対応が遅れるおそれがあります。

期限のある手続きが多い

相続の登記は、令和6年4月から申請が義務になりました(法務省「不動産を相続した方へ」)。会社の役員の変更の登記、許可の更新、在留資格の更新など、期限のある手続きも多くあります。期限が近いという相談は、ほかの相談より急ぐことがあります。期限の判断は、事情を確認したうえで資格者が行います。相続の登記については、法務省のページで、制度の概要や手続きの案内、相談先が紹介されています。相談者から制度について聞かれたときは、こうした公的な情報の場所を案内することもできます。

法務局や役所からの連絡

法務局から、申請した書類の補正(直しや追加)の連絡が入ることがあります。役所から、許可の申請の内容についての問い合わせが入ることもあります。こうした連絡は、手続きの進み具合に直接かかわるため、担当の資格者や補助者に正確に、早く伝える必要があります。受けた職員が内容をよく理解できなかった場合でも、機関の名前、担当者の名前、電話番号、どの申請の件かが記録に残っていれば、担当が折り返して確かめられます。

課題の整理

課題起きること対策の方向
何の手続きか分からない電話電話が長くなる聞く項目を決め、相談の場で整理する
資格者の外出伝言の手間、伝わる遅れ聞き取りの記録を正確に届ける
決済の日の電話の集中急ぎの電話への対応の遅れ取引中の関係者の電話を分ける
期限のある手続き期限に間に合わないおそれ期限の有無を最初に聞き、急ぐものを分ける
法務局や役所の連絡伝わる遅れ関係機関の電話を分け、担当に早く届ける

少人数の事務所での電話の整え方は、小さな会社の電話対応にまとめた基本も役立ちます。

新しい相談、期限の近い相談、手続き中の依頼者、決済の関係者、法務局や役所、決まった答えの対応の比較
図1:司法書士・行政書士事務所の電話の分類

よくある問い合わせの分類

分類の考え方

司法書士・行政書士事務所の電話は、「誰からの電話か」と「期限や当日の手続きにかかわるか」で分けると、振り分けの設計がしやすくなります。

分類例急ぐか対応
新しい相談の予約相続の登記、会社の設立、許可の申請、遺言の相談内容による事務の職員が予約に必要なことを聞く。出られなければ聞き取り
期限の近い新しい相談許可の期限が来月、在留資格の期限が近い急ぐ資格者に早く伝える
取引中・手続き中の依頼者書類を送った、進み具合を知りたい内容による担当の補助者、または資格者
決済にかかわる関係者不動産会社、金融機関、売主・買主からの当日の連絡急ぐ担当の資格者、または補助者にすぐつなぐ
法務局・役所補正の連絡、申請の内容の問い合わせ急ぐ担当の資格者や補助者
決まった答え事務所の場所、営業時間、相談の予約の方法、取り扱っている手続き急がない自動の案内
取り扱っていない手続き事務所が扱わない種類の相談、ほかの専門家の業務―取り扱っている手続きを伝え、ほかの窓口を案内する
営業・その他広告の営業急がない聞き取り

手続きの種類ごとの特徴

手続きの種類電話の特徴気をつけること
相続の登記身内を亡くした人からの電話、書類の集め方の質問が多い言葉づかいへの配慮、相続人の関係を最初に詳しく聞きすぎない
不動産の売買の登記不動産会社や金融機関との調整が多い、決済の日が決まっている決済の日の連絡を最優先にする
会社の設立・変更の登記起業する人、会社の担当者からの電話設立の希望の日、役員の変更の時期を聞く
許可の申請(建設業、飲食など)事業者からの電話、更新の時期の問い合わせ許可の期限、事業を始める予定の時期を聞く
在留資格の手続き外国籍の本人や、雇う会社からの電話期限、言葉の配慮
遺言・成年後見高齢の本人や家族からの電話本人の意思の確認は資格者が直接行う

電話を数える

一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。資格者が不在だった件数、決済の日の電話の件数、新しい相談の電話の長さを記録しておくと、どこを変えるべきかが分かります。

分類件数資格者が不在だった件数平均の長さの目安
新しい相談の予約
期限の近い新しい相談
取引中・手続き中の依頼者
決済にかかわる関係者
法務局・役所
営業・その他

新しい相談の電話で聞く項目

新しい相談の電話で何を聞くかは、事務所として決めておきます。一般的には、次のような項目が考えられます。

相続の場合の家族の関係、財産の内容、会社の詳しい事情などは、最初の電話では聞かず、相談の場で聞きます。

営業時間外・繁忙時の受け方

営業時間外の案内

営業時間外の電話は、自動の案内とボイスメールで受け、営業日に事務の職員が折り返す流れが基本です。案内では、次の点を伝えます。

  1. 営業時間外であること、次の営業日と時刻
  2. 新しい相談の予約の希望は、ボイスメールで受けること
  3. 手続き中の依頼者の連絡は、担当あてのボイスメールで受けること
  4. 取り扱っている手続きの案内
  5. ホームページの相談の予約のフォームがある場合は、その案内

時間帯で案内を切り替える方法は、IVRの営業時間ルーティングで詳しく解説しています。

決済の日の受け方

不動産の売買の決済の日は、事務所の電話の流れを、決済の関係者を優先する形に切り替えます。

決済の関係者には、決済の前に、当日の連絡先と選ぶ番号を伝えておきます。決済の日が多い時期だけ、この流れに切り替える方法もあります。切り替えを忘れないよう、決済の前日の夕方に確かめる習慣にしておきます。

繁忙期の受け方

年度の変わり目の前後には、不動産の取引や会社の役員の変更、許可の更新が増える事務所もあります。こうした時期には、次の工夫をします。

IVRとAI一次応答の設計例

司法書士事務所のメニューの例

説明のための架空の例として、司法書士が二人、補助者が三人の事務所のメニューを示します。

お電話ありがとうございます。〇〇司法書士事務所です。不動産のお取引の関係者の方で、本日や明日の決済についてのご連絡は1を、初めてのご相談のご予約は2を、お手続き中のお客様は3を、法務局、金融機関、不動産会社の方は4を、事務所の場所、営業時間、取り扱っている手続きのご案内は5を押してください。

番号営業時間内営業時間外
1決済の担当の補助者にすぐつなぐ。出られなければ急ぎの聞き取り聞き取り。急ぎの印をつけて担当に届ける
2事務の職員。出られなければ聞き取り聞き取り。次の営業日に折り返す
3担当の補助者を名前で呼び出す。不在なら担当あての聞き取り担当あての聞き取り
4事務の職員、または担当聞き取り
5自動の案内自動の案内

決済の連絡を最初の番号にしているのは、その日の取引にかかわる急ぎの連絡を、最も早く選べるようにするためです。

行政書士事務所のメニューの例

お電話ありがとうございます。〇〇行政書士事務所です。許可の申請や更新のご相談は1を、在留資格(ビザ)のご相談は2を、遺言、相続の書類のご相談は3を、お手続き中のお客様、役所の方は4を、事務所の場所、営業時間のご案内は5を押してください。

行政書士事務所では、取り扱う手続きの種類が多いため、主な手続きごとに番号を分けておくと、担当の行政書士や補助者に振り分けやすくなります。番号は多くても五つほどに絞り、取り扱う手続きが多い場合は、「そのほかのご相談」の番号にまとめます。

初めての相談の聞き取りの例

初めてのご相談のご予約をうかがいます。お名前と、ご連絡のつくお電話番号をお話しください。続けて、ご相談になりたい手続きの内容を、「家の名義を変えたい」「会社をつくりたい」のように、簡単にお話しください。期限が迫っている事情があれば、あわせてお話しください。詳しい内容は、ご相談の当日にうかがいます。

手続きの名前が分からなくても話せるように、例を添えています。「詳しい内容は当日に」と伝えるのは、電話で長く話さなくてよいことを伝え、相談者の負担を減らすためです。

AI一次応答を組み合わせる場合

番号を押す代わりに、AIの一次応答で用件を話してもらう方法もあります。「父が亡くなって、実家の名義を変えたい」と話してもらえれば、AIは相続の登記の新しい相談として分類し、名前、電話番号、不動産のおおまかな所在地、希望の日時を聞き取って、事務の職員に届けられます。「相談の日は何を持っていけばよいですか」という質問には、事務所が登録した情報をもとに答えられます。

司法書士・行政書士事務所でAIの一次応答を使う場合は、次の点を決めておきます。

AIによる一次応答の範囲はサービスごとに違います。仕組みの基本はAI電話受付とはで解説しています。

スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う

相談の予約の確定

聞き取った相談の予約の希望は、事務の職員が、事務所の扱う業務かどうかを確認し、資格者の予定と合わせて確定します。聞き取りの段階では、相談を受けることも、日時も決まっていないことを、案内ではっきり伝えます。

確かめた結果、ほかの専門家の業務にあたる相談だった場合は、その旨を伝え、相談先の窓口を案内します。たとえば、相続の相談で相続人の間に争いがある場合、相続税の申告が必要な場合、土地の境界にかかわる場合などは、弁護士、税理士、土地家屋調査士との連携や紹介が必要になることがあります。どの専門家の業務にあたるかの判断は、資格者が行います。

本人と意思の確認

登記や申請の手続きでは、依頼者が本人であること、手続きを依頼する意思があることを、資格者が直接確かめる必要があります。電話をかけてきたのが家族であっても、手続きの当事者本人の確認と意思の確認は、資格者が本人と面談するなどの方法で行います。電話の聞き取りや自動の案内は、この確認の代わりになりません。

決済の連絡の引き継ぎ

決済の日の関係者からの連絡は、担当の補助者がすぐに受け、必要に応じて決済の場にいる資格者に伝えます。書類の不足や時間の変更など、決済にかかわる重要な連絡は、聞き取りの記録だけで済ませず、担当が関係者に直接確かめます。

法務局や役所からの連絡

補正の連絡などは、受けたらすぐに担当の資格者や補助者に伝えます。補正には期限があることが多いため、記録に受けた日時と内容を残し、担当が法務局や役所の担当者に直接折り返して確かめます。

引き継ぎで伝える項目

用件聞き取る項目
新しい相談の予約名前、電話番号、個人か法人か、手続きの大まかな内容、期限の有無、不動産のおおまかな所在地、希望の日時、知ったきっかけ
手続き中の依頼者名前、電話番号、担当の名前、用件の概要、折り返しの希望の時間帯
決済の関係者名前、所属、電話番号、どの決済の件か、用件の概要
法務局・役所機関の名前、担当者の名前、電話番号、どの申請の件か、用件の概要

折り返しの順番

  1. 当日や翌日の決済にかかわる連絡
  2. 法務局や役所からの補正などの連絡
  3. 期限の近い新しい相談
  4. 手続き中の依頼者の連絡
  5. 新しい相談の予約、その他

期限にかかわる連絡は、担当の補助者と資格者の両方に届くようにしておくと、見落としを防げます。

個人情報と記録の扱い

事務所で扱う情報

司法書士・行政書士事務所の電話では、名前や電話番号のほか、家族の関係、相続の事情、不動産や預金などの財産、会社の経営の状況、在留資格の状況など、立ち入った情報が話されます。資格者には職務上の秘密を守る義務があり、補助者や事務の職員も事務所の一員として秘密を守る必要があります。電話の録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録が残る場合は、その扱いを慎重に決めておきます。

個人情報の扱いの全般は、個人情報保護委員会のウェブサイトで法律やガイドラインを確認できます。資格者の職務にかかわる秘密の扱いは、所属する会の規程などに照らして、事務所で確認してください。ここでの説明は一般的な考え方であり、法的助言ではありません。

外部のサービスを使うときに確かめること

確かめること確かめる問い
保存の場所録音や文字起こしは、どこに、どのように保存されるか
利用の範囲提供元が、保存した情報を何に使うか
見られる人事務所の中で、誰が記録を見られるか。担当ごとに分けられるか
保存の期間と削除どのくらい残り、事務所の判断で削除できるか
録音の有無録音をせずに、聞き取りの記録だけを残す設定にできるか

確かめた結果、事務所の方針に合わない場合は、録音をしない、要約を使わない、といった設定にするか、使う範囲を絞ります。

番号や証明書の情報を電話で扱わない

マイナンバー、在留カードの番号、口座の番号、登記の識別情報など、悪用されると被害の大きい情報は、電話の聞き取りでは聞かないようにします。電話で話されると、録音や文字起こし、要約に残ってしまうおそれがあります。こうした情報が必要な場合は、書類の原本や写しを決まった方法で受け取ります。

不動産会社や金融機関との共有

不動産の売買の登記では、不動産会社や金融機関と、依頼者の情報をやりとりします。やりとりする範囲を、手続きに必要な項目に限り、依頼者の了承の範囲で行います。電話の録音そのものを外部に渡すのではなく、必要な要点を伝えます。

導入の進め方

ステップ1:電話を記録する

一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を記録します。資格者が不在だった件数、決済の日の電話の件数、新しい相談の電話の長さを確認します。

ステップ2:最初の電話で聞く項目を決める

新しい相談の電話で聞く項目を、資格者と補助者で話し合って決めます。期限の有無、不動産のおおまかな所在地など、事務所の業務に合わせて決めます。

ステップ3:決済の日の流れを決める

決済の日の関係者の電話を、どの番号で、誰が受けるかを決めます。関係者に当日の連絡先を伝える手順も決めます。

ステップ4:記録の扱いを決める

録音、文字起こし、要約、聞き取りの記録のどれを残すか、誰が見られるか、どのくらい残すかを決めます。番号や証明書の情報を電話で扱わないことを、職員全員で確認します。

ステップ5:案内の情報を整える

事務所の場所、営業時間、取り扱っている手続き、相談の予約の方法、相談の当日の持ち物などを書き出します。ホームページの情報と食い違いがないかを確認します。

ステップ6:試験の電話をかける

職員が相談者や関係者の役になって、新しい相談、期限の近い相談、手続き中の依頼者の連絡、決済の連絡、法務局の連絡、取り扱っていない手続きの相談、営業時間外の電話をかけ、それぞれが決めたとおりに流れるかを確認します。

ステップ7:営業時間外から始める

最初は、営業時間外の案内と聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、営業時間内の振り分けに広げます。

ステップ8:記録を見て直す

聞き取りから折り返しまでの時間、新しい相談の予約になった件数、相談者や関係者の声を見て、案内の言葉や聞く項目を直していきます。

記録、聞く項目、決済の日、記録の扱い、情報、試験、営業時間外から、直すの八つの手順
図2:事務所で導入を進める手順

司法書士・行政書士事務所ならではの工夫

取り扱っている手続きを、分かりやすい言葉で伝える

相談者は、手続きの正式な名前を知らないことが多くあります。自動の案内やホームページで、取り扱っている手続きを伝えるときは、「相続の登記」だけでなく「亡くなった方の家や土地の名義の変更」のように、相談者の言葉に近い説明を添えます。取り扱っていない手続きの相談が来た場合に紹介できる窓口(各専門家の会の相談の窓口など)を、事務所として決めておくと、断るだけで終わらずに済みます。

相談の当日の持ち物を案内する

手続きの相談では、関係する書類があると、相談の場で話が早く進みます。手続きの種類ごとに、持ってくるとよい書類の例(不動産の権利の書類や固定資産税の通知書、会社の登記の書類、今の許可証、在留カードなど)を、自動の案内や予約の確定の連絡で伝えます。「お手元にあるものだけで構いません」と添えておくと、書類が全部そろっていない人も、相談をためらわずに済みます。

書類の集め方の問い合わせ

相続の手続きでは、戸籍の書類を集める必要があり、「どこで、どの書類を取ればよいか」という問い合わせが多くあります。個別の事情によって必要な書類が変わるため、電話の自動の案内やAIで答えるものではありません。事務所が書類の取り寄せを代わりに行う場合は、そのことを案内で伝えます。依頼者が自分で集める場合は、担当の補助者が、事情を確認したうえで説明します。

許可や在留資格の更新の時期を知らせる

許可や在留資格には、更新の時期があります。依頼者の更新の時期を事務所で管理し、時期が近づいたら事務所から連絡をする仕組みにしておくと、期限の直前の慌てた電話を減らせます。依頼者にとっても、更新を忘れる心配が減ります。更新の時期の管理は、依頼者ごとに期限の日付と、事務所から連絡する日を記録しておく形にすると、担当が替わっても引き継げます。

高齢の相談者と、家族からの電話

遺言や成年後見、相続の相談では、高齢の相談者からの電話も多くあります。番号を押す操作が難しい人のために、最初の案内の後で番号を押さなかった場合に事務の職員や聞き取りにつながるように設定しておきます。家族が代わりに電話をかけてくる場合は、そのことを記録にはっきり残し、手続きの当事者本人の意思の確認は、資格者が本人と直接行います。

外国籍の相談者

在留資格の手続きを取り扱う事務所では、外国籍の相談者や、外国籍の人を雇う会社からの電話が入ります。どの言語で対応できるか、対応できる職員がいる時間帯はいつかを決め、案内で伝えます。対応できない言語の場合は、メールなど、翻訳の道具を使いやすい連絡の方法を案内する方法もあります。期限が迫っている相談が多いため、期限の日付は必ず聞いておきます。

会社の登記の相談

会社の設立や役員の変更の登記の相談は、起業する人や会社の総務の担当者からかかってきます。設立の相談では、設立したい日、会社の種類、事業の内容の概要を聞いておくと、資格者が準備の段取りを考えやすくなります。役員の変更では、役員の任期が満了する時期や、株主総会の予定の日を聞きます。会社の登記にも申請の期限があるため、変更が起きた日や予定の日は必ず聞いておきます。会社の担当者が替わった場合は、会社の代表者の了承のもとで、新しい担当者を連絡の相手として記録します。

手続きの進み具合を先回りして伝える

手続き中の依頼者からの「どうなっていますか」という電話は、依頼者が先の見通しを持てないときにかかってきます。申請をした、法務局で手続きが終わった、許可の通知が届いた、といった節目ごとに、事務所から依頼者に連絡しておくと、問い合わせの電話を減らせます。手続きにかかる期間の目安を、依頼を受けるときに資格者から伝えておくことも、依頼者の安心につながります。

不動産会社や金融機関との連絡の窓口

不動産の売買の登記では、不動産会社や金融機関の担当者と、何度も連絡をとります。取引ごとに担当の補助者を決め、関係者に担当の名前と連絡の方法を伝えておくと、関係者が担当に直接つながりやすくなります。担当の名前で呼び出せる仕組み(ダイヤルバイネーム)を使う方法もあります。

案内の文章のひな形

以下は説明のための文例です。〇の部分を、事務所の情報に置き換えて使ってください。

営業時間外の案内

お電話ありがとうございます。〇〇司法書士事務所です。本日の受付は終了しました。次の受付は〇曜日の〇時からです。初めてのご相談のご予約は、このあと、お名前、お電話番号、ご相談になりたい手続きの内容をお話しください。次の営業日にご連絡します。

取り扱っている手続きの案内

当事務所では、亡くなった方の家や土地の名義の変更(相続の登記)、不動産の売買や贈与の登記、会社の設立や役員の変更の登記のご相談をお受けしています。

番号や証明書の情報についての案内

マイナンバー、在留カードの番号、口座の番号は、お電話ではお話しにならないでください。必要な場合は、担当者から受け取りの方法をご案内します。

繁忙期の前の準備

不動産の取引や役員の変更、許可の更新が増える時期の前には、次の準備をしておきます。

相談の予約が先まで埋まっている場合は、そのことを案内で正直に伝え、期限が迫っている相談だけは急ぎで受けられるように、聞き取りで期限の有無を聞いておきます。

案内の内容を古くしないために

取り扱っている手続き、営業時間、相談の予約の方法、相談の当日の持ち物などの案内は、ホームページや紹介の資料と同じでなければなりません。手続きの制度が変わったとき、事務所で取り扱う手続きを増やしたり減らしたりしたとき、資格者や補助者が替わったときには、電話の案内、ホームページ、担当の呼び出しの設定を、まとめて直します。直す場所の一覧と担当を決めておくと、案内だけが古いまま残ることを防げます。

よくある場面の対応例

ここでは、説明のための架空の例として、司法書士・行政書士事務所でよくある場面と、電話の仕組みでの対応を示します。

場面1:決済の日の朝の書類の連絡

司法書士事務所で、決済の日の朝、不動産会社の担当者から「売主の書類が一部足りないかもしれない」という電話がありました。担当者は1を選び、決済の担当の補助者にすぐつながりました。補助者は不足しているかもしれない書類の名前を確認し、金融機関に向かう途中の司法書士に連絡しました。司法書士は売主に直接連絡し、書類を持ってきてもらう段取りをつけました。

この場面のポイントは、決済の連絡が新しい相談の電話と混ざらず、担当にすぐ届いたことです。

場面2:夜の相続の相談の予約

夜、「母が亡くなって、実家の名義を変えたい」という電話がありました。営業時間外の案内で、相談者は名前、電話番号、手続きの内容、実家のおおまかな所在地を話しました。翌朝、事務の職員は記録を確認して折り返し、相談の日時を決めて、当日持ってくるとよい書類を案内しました。

相談者は、電話で家族の詳しい事情を話さずに済み、相談の場で司法書士に順を追って話すことができました。

場面3:在留資格の期限が近い相談

行政書士事務所に、外国籍の社員を雇う会社の担当者から、「社員の在留資格の期限が来月に迫っている」という電話がありました。担当者は2を選び、聞き取りで会社の名前、期限の日付、社員の在留資格の種類を話しました。事務の職員は期限の近い相談として印をつけ、担当の行政書士に届けました。行政書士は当日中に折り返し、相談の日時を決めました。

場面4:ほかの専門家の業務にあたる相談

司法書士事務所に、「隣の家との土地の境界でもめている」という相談がありました。事務の職員は聞き取りの記録を司法書士に伝え、司法書士が折り返して事情を聞いたうえで、境界の調査にかかわる専門家や、争いになっている場合の相談先を案内しました。

最初の電話の段階で「当事務所では扱えません」と即答せず、資格者が事情を聞いて判断したことで、相談者は適切な相談先にたどり着けました。

折り返しの電話のかけ方

聞き取りへの折り返しでは、次の点に気をつけます。

  1. 記録を読み直してからかける:相談の内容、期限の有無、連絡の希望の時間帯を確認してからかけます。
  2. 名乗りと用件の確認:「〇〇司法書士事務所の〇〇です。昨日お電話いただいた、ご実家の名義の変更のご相談の件でご連絡しました」と用件を確認します。
  3. 相談の日時を決める:資格者の予定と合わせて、相談の日時を確定します。
  4. 持ち物と場所を伝える:持ってくるとよい書類と、事務所の場所を伝えます。
  5. つながらない場合:留守番電話には事務所の名前と、相談の予約の件であることだけを残し、相続などの詳しい内容は残しません。家族と共有している電話である可能性もあるためです。

事務所の一日の流れの例

説明のための架空の例として、決済のある日の司法書士事務所の一日を示します。

時間帯電話の流れ資格者と職員の動き
朝営業時間外の案内から日中の案内に切り替わる補助者が前の夜の聞き取りを確認し、決済の関係者からの連絡を最初に確かめる
午前(決済)決済の連絡は1で補助者へ、新しい相談は聞き取り司法書士は金融機関で決済に立ち会う。補助者が関係者の連絡を受ける
昼通常の流れに戻る司法書士が戻り、法務局への申請の準備。聞き取りの記録を確認する
午後同上新しい相談の予約の折り返し、依頼者への連絡
夕方同上翌日の決済の関係者に、当日の連絡先を確認する
営業時間外自動の案内と聞き取りへ翌朝に返すものを確認しておく

決済の予定を事務所の全員で共有しておくと、その日の電話の流れを切り替えるかどうかを判断しやすくなります。

スタッフへの共有と新しいスタッフの教育

電話の仕組みを変えたら、資格者と職員の全員に流れを共有します。新しい職員には、次の内容を伝えます。

効果の確認方法と見直し

確かめること

確かめること見る方法
新しい相談の機会新しい相談の電話の件数と、予約になった件数
折り返しの早さ聞き取りから折り返しまでの時間
決済の日の対応決済の関係者の連絡が担当に届くまでの時間
職員の負担新しい相談の電話の長さ、作業を中断した回数
期限の近い相談の扱い期限の近い相談が資格者に伝わるまでの時間

つまずきやすいところ

つまずき起きること対策
聞き取りで詳しく聞きすぎる電話が長くなる聞く項目を絞り、「詳しくは当日に」と伝える
決済の関係者が番号を知らない急ぎの連絡が一般の流れに入る決済の前に当日の連絡先を伝える
期限の近い相談が埋もれる期限に間に合わない期限の有無を必ず聞き、印をつけて届ける
取り扱っている手続きの案内が分かりにくい取り扱っていない相談が増える相談者の言葉に近い説明を添える

CallでIVRと担当への振り分けを組む

司法書士・行政書士事務所の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、名前で担当を呼び出すディレクトリ、キューごとのボイスメール、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。決済の関係者、新しい相談、手続き中の依頼者、関係機関の電話を分け、担当あての連絡をボイスメールで用件を受けて届ける流れが組めます。録音や要約を使うかどうかは、事務所の方針に合わせて決めてください。設定の流れは使い方のガイドとドキュメントで紹介しています。

日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、資格者や補助者が確認しやすくする使い方です。手続きについての相談への回答、依頼を受けるかどうかの判断、本人と意思の確認は、資格者が行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。

関連する業種の記事として、保険代理店の電話対応、自動車整備工場の電話対応もあわせてご覧ください(司法書士のAI電話対応|相談予約の受け方からの関連案内)。

よくある質問

AIが手続きの相談に答えてくれますか?

答えません。手続きについての相談への回答は資格者が行います。AIや自動の案内が扱うのは、事務所の場所や取り扱っている手続きなどの決まった答えと、相談の予約に必要な項目の聞き取りまでです。

何の手続きか分からない相談者には、どう対応しますか?

「家の名義を変えたい」のように、相談者の言葉で話してもらえば十分です。聞き取りで大まかな内容を受け、どの手続きが必要かは、相談の場で資格者が整理します。

決済の日の電話は、どう受ければよいですか?

決済の関係者が選ぶ番号を案内の最初に置き、担当の補助者にすぐつながるようにします。関係者には、決済の前に当日の連絡先と選ぶ番号を伝えておきます。

家族からの電話で、手続きを進めてもよいですか?

相談の予約の聞き取りは家族からでも受けられますが、手続きの当事者本人の確認と意思の確認は、資格者が本人と直接行います。

期限が近い相談は、どう扱えばよいですか?

最初の電話で期限の有無と日付を聞き、期限の近い相談として印をつけて、資格者に早く伝えます。期限の判断は資格者が行います。

法務局から補正の連絡があったら、どうしますか?

受けたらすぐに担当の資格者や補助者に伝え、担当が法務局の担当者に直接折り返して内容を確かめます。受けた日時と内容は記録に残します。

録音や要約の機能を使ってもよいですか?

依頼者の情報が外部のサービスで扱われることになるため、保存の場所、利用の範囲、見られる人、削除の方法を確かめ、事務所の方針に合う場合に使います。録音をせずに聞き取りの記録だけを残す方法もあります。

在留カードの番号を電話で聞いてもよいですか?

電話の録音や要約に残るおそれがあるため、電話では聞かず、在留カードの写しなどを決まった方法で受け取るのが無難です。

ほかの専門家の業務にあたる相談が来たら?

最初の電話で即答せず、資格者が事情を聞いて判断し、適切な相談先を案内します。紹介できる窓口を事務所として決めておくと、相談者が行き場を失わずに済みます。

手続きの費用を、自動の案内で伝えてよいですか?

費用は手続きの内容や事情によって変わるため、個別の見積もりは資格者が説明します。事務所として決まった相談料の扱いがある場合は、それを正確に伝えることはできます。

最初に何から始めればよいですか?

一、二週間、電話の用件と、資格者が不在だった件数、決済の日の電話の件数を記録することから始めます。そのうえで、最初の電話で聞く項目と記録の扱いを決め、営業時間外の案内から導入すると、無理なく進められます。

まとめ

司法書士・行政書士事務所の電話対応では、相談者が何の手続きか分からないまま電話をかけてくること、資格者が決済や役所で外出していること、期限のある手続きが多いことの三つを前提に、仕組みを考えることが大切です。最初の案内で決済の関係者、新しい相談、手続き中の依頼者、関係機関を分け、新しい相談は相談者の言葉で大まかな内容と期限を聞き取る、という流れにすれば、資格者が不在のときでも、用件を正確に受け止められます。

手続きについての相談への回答、依頼を受けるかどうかの判断、本人と意思の確認は、資格者が行います。番号や証明書の情報は電話で扱わず、記録の扱いは秘密を守る義務を踏まえて決めます。まずは電話の記録から始め、営業時間外の案内から少しずつ仕組みを整えていきましょう。

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