タクシー運送のAI電話対応|配車・忘れ物
タクシーや運送の会社にとって、電話は仕事の入り口です。タクシーの会社には「今すぐ一台来てほしい」「明日の朝、駅まで予約したい」「昨日乗った車に傘を忘れた」という電話が入ります。運送の会社には「荷物を取りに来てほしい」「届くはずの荷物がまだ来ない」「届いた荷物が壊れていた」という電話が入ります。どれも、電話に出られなければ仕事を逃したり、お客様の困りごとを放っておいたりすることになります。
一方で、配車の担当や運行の管理の担当は、車と運転手の動きを見ながら電話を受けています。雨の日の夕方、朝の通勤の時間、年末の繁忙期には、電話が一度に重なります。運転手は運転中に電話に出られません。少ない人数の事務所では、夜間の電話を誰が受けるかも大きな課題です。
この記事では、タクシー・運送の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や混み合う時間の受け方、設計の例、配車や運行の担当への引き継ぎ、お客様の情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。配車や集荷の確定、到着時刻の約束、料金の見積もり、事故や荷物破損の判断は会社の担当者が行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。
[[TOC]]
タクシー・運送の電話対応で起きがちな課題
混み合う時間に配車の電話が重なる
タクシーの配車の電話は、雨の日、朝の通勤の時間、夜の終電の前後などに集中します。配車の担当は、空いている車を探して運転手に連絡しながら、次々に入る電話を受けます。電話がつながらなければ、お客様はほかの会社に電話をかけるか、配車のアプリに切り替えます。電話に出られても、空いている車がない時間帯には「お待ちいただけますか」とお願いすることになり、一件の電話に時間がかかります。
運転手は運転中に電話に出られない
運転手は、運転中に電話に出てはいけません。お客様から運転手の携帯電話に直接連絡が入る流れになっていると、運転手は出られず、お客様は待たされます。会社の電話で受けて、運転手が車を止めたときに連絡を伝える流れが必要です。
忘れ物の問い合わせに時間がかかる
タクシーには、傘、財布、携帯電話、書類など、さまざまな忘れ物が残されます。忘れ物の問い合わせは、乗った日時、乗った場所と降りた場所、支払いの方法、車の特徴などを聞き取り、どの車かを調べ、運転手に確かめる必要があり、一件に時間がかかります。混み合う時間にこうした電話を受けると、配車の電話が待たされます。
配送の状況の問い合わせが繰り返される
運送の会社には、「荷物はいつ届くのか」「今どこにあるのか」という問い合わせが繰り返し入ります。荷物の状況を確認する仕組みがあっても、電話で聞きたいお客様は多く、同じ作業が続きます。年末や大型の連休の前後は、荷物の量とともに問い合わせも増えます。
夜間や早朝の電話
タクシーは夜中も走っています。運送の会社でも、早朝の集荷や夜間の配送があります。事務所に人が少ない時間帯に、配車の依頼、忘れ物の問い合わせ、事故の連絡が同じ電話番号に入ります。急ぎの度合いがまったく違う連絡を、少ない人数で見分けなければなりません。
よくある問い合わせの分類
タクシー・運送の会社にかかってくる電話を、急ぎの度合いと、誰が対応するかで分けてみます。

事故やけがの連絡
車の事故、乗っているお客様のけがや急な体調の変化、配送の途中の事故の連絡です。最も急ぎます。けが人がいるときは119番、事故のときは110番への通報を先にするよう案内します。そのうえで、運行の管理の担当にすぐにつながるようにします。自動の案内で長く待たせることはしません。
今すぐの配車の依頼
タクシーの今すぐの配車の依頼です。急ぎます。配車の担当につなぎます。配車の担当が手を離せないときは、迎えに行く場所と名前、電話番号を聞き取り、配車の担当がすぐに確かめる流れにします。ただし、自動の案内や聞き取りで「何分後に着きます」と約束することはしません。車の手配ができたかどうかは、配車の担当が確かめてから伝えます。
予約の配車
明日の朝、空港まで、といった予約の依頼です。日時、迎えの場所、行き先、人数、荷物の量、連絡先を聞き取り、配車の担当が車の予定を確認してから予約を確定します。
集荷の依頼
運送の会社への荷物の集荷の依頼です。集荷の場所、荷物の数と大きさ、希望の時間帯、届け先、連絡先を聞き取り、担当が運転手の予定を確認してから集荷の時間を伝えます。
忘れ物・荷物の状況の問い合わせ
タクシーの忘れ物、運送の荷物の状況の問い合わせです。急ぐものではありませんが、お客様にとっては気になる用件です。ボイスメールで受け、担当が調べて折り返します。荷物の状況を確認する仕組みがあれば、その案内をします。
料金や請求の問い合わせ
タクシーの料金の目安、運送の料金の見積もり、請求書の内容の問い合わせです。料金は距離や時間、荷物の大きさなどで変わるため、担当者が確かめて答えます。自動の案内では、料金の金額を答えません。
苦情や要望
運転の仕方、接客、配送の遅れ、荷物の扱いについての苦情や要望です。管理の担当に届けます。電話を受けた人がその場で言い訳をしたり、約束をしたりせず、内容を正確に聞き取ります。
法人の契約や求人
会社の送迎の契約、定期の配送の契約、運転手の求人への応募などです。担当に届けます。
営業時間外・繁忙時の受け方
配車が混み合う時間
配車の電話が重なる時間は、まず配車の依頼の電話を配車の担当に優先してつなぎます。忘れ物や料金の問い合わせなど、急がない用件は、案内で番号を選んでもらい、ボイスメールで用件を受けて、落ち着いた時間に折り返します。空いている車がなく配車をすぐに受けられない時間は、案内でそのことを伝え、予約やほかの方法(配車のアプリなど、会社が用意しているもの)を案内します。
事務所が閉まっている時間
二十四時間配車を受けているタクシーの会社では、夜間も配車の担当が電話を受けます。夜間の担当が一人のときは、配車と事故の連絡を最優先にし、忘れ物や料金の問い合わせはボイスメールで用件を受けて、日中の担当に引き継ぎます。運送の会社で事務所が閉まっている時間は、受付の時間と、荷物の状況を確認する方法を案内し、集荷の依頼はボイスメールで用件を受けて翌朝に確かめます。
年末や連休の前
運送の会社は、年末や連休の前に荷物も問い合わせも増えます。届くまでの日数の目安、集荷の締め切り、休みの日の配送の予定を、前もって案内とサイトで伝えます。タクシーの会社は、年末年始や連休の初めと終わりに、空港や駅への予約が増えます。予約の受付の締め切りや、予約がいっぱいになった日の案内を用意しておきます。
大雨や大雪の日
大雨や大雪の日は、タクシーの配車の依頼が急に増え、運送の配送は遅れます。案内の最初に、配車に時間がかかることや、配送が遅れていることを入れ、約束の言い方は避けます。
時間帯や状況で案内を切り替える組み方は、IVRの営業時間ルーティングの記事で、夜間の担当が一人になる時間の分け方も含めて考えられます。
IVRとAI一次応答の設計例
番号の選び方の例
タクシーの会社の案内では、配車の依頼をいちばん先にし、番号の数を少なくします。
- 最初の案内:「事故やけがのときは、すぐに110番、119番に通報してください。」
- 1番:今すぐの配車(配車の担当につなぐ)
- 2番:予約の配車(ボイスメールで用件を受けて配車の担当が確定する)
- 3番:お忘れ物(ボイスメールで用件を受けて担当が調べて折り返す)
- 4番:料金・そのほかのお問い合わせ
運送の会社の案内では、たとえば次のように分けます。
- 1番:事故や荷物の大きな破損の連絡(運行の管理の担当につなぐ)
- 2番:集荷のご依頼
- 3番:お荷物の状況、再配達のご依頼
- 4番:料金・そのほかのお問い合わせ
AIによる一次応答に任せる範囲
タクシーや運送の会社で、自動の案内やAIが受け持つのは、誰に聞かれても同じ答えになる情報の案内と、用件の聞き取り、通話の要約です。
- 任せてよいもの:受付の時間、営業の地域、予約の受け方、忘れ物の問い合わせの受け方、荷物の状況を確認する方法、問い合わせの内容の聞き取りと要約
- 任せないもの:配車や集荷の確定、到着時刻の約束、料金の見積もり、事故や破損についての判断、忘れ物があったかどうかの回答、苦情への回答
AIによる一次応答の全体の考え方は、AI電話受付とはで、移動や物流以外の業種も含めて解説しています。

聞き取りで確認する項目
予約の配車の聞き取りでは、次の項目を順に確かめます。
- 名前と、連絡のつく電話番号
- 迎えの日時
- 迎えの場所(建物の名前、目印、入口)
- 行き先
- 人数と荷物の量(大きなスーツケース、車いすなど)
- 支払いの方法の希望
忘れ物の聞き取りでは、乗った日時、乗った場所と降りた場所、支払いの方法(領収書があれば、そこに書かれている車の番号など)、車の色や特徴、忘れた物の特徴、連絡先を確認します。
スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う
配車と予約は配車の担当が確定する
配車の依頼は、配車の担当が空いている車と運転手を確認してから受けます。予約の配車も、その日時の車の予定を確認してから確定し、お客様に確定したことを伝えます。自動の案内やボイスメールで受けた時点では、まだ確定していないことを、案内でも伝えておきます。
到着時刻は約束しない
到着までのおよその時間は、配車の担当が車の位置と道の混み具合を見てから伝えます。混み合う時間や天気の悪い日は、幅を持たせて伝えます。約束した時刻に着けなかったときの不満は、最初から幅を持たせて伝えた場合より大きくなります。
忘れ物は担当が調べて答える
忘れ物の問い合わせは、担当が乗った日時や場所から車を調べ、運転手に確かめてから、見つかったかどうかを伝えます。見つかった場合の受け取りの方法(営業所での受け取り、送ってもらう場合の送料など)は、会社の決まりに沿って担当が説明します。財布や携帯電話のように、持ち主の確認が必要な物は、受け取りのときに本人を確認します。
事故や破損は管理の担当が判断する
事故の連絡や、荷物の破損の連絡は、運行の管理の担当が受けて、決めた手順に沿って対応します。電話を受けた人が、その場で責任や補償について答えることはしません。荷物の破損の場合は、荷物の状態と梱包の様子を写真で残してもらうよう伝えます。
個人情報と記録の扱い
乗った場所や行き先の情報
タクシーの会社は、お客様の名前や電話番号に加え、迎えの場所や行き先を記録します。自宅の住所や、よく行く場所が分かる情報です。運送の会社は、送り主と届け先の名前と住所を預かります。電話の記録にも、こうした情報が残ります。記録を見られる人を担当者に限り、保管の期間を決めて扱います。
第三者からの問い合わせ
「家族がそちらのタクシーに乗ったか知りたい」「この荷物の送り主を教えてほしい」という問い合わせがあります。お客様の乗車の記録や、送り主の情報は、その人の個人情報です。問い合わせをしてきた人が本人かどうか、答えてよい相手かどうかを確認しずに答えないようにします。警察などの公的な機関からの問い合わせは、管理の担当が決めた手順に沿って扱います。
録音と要約
通話を録音したり、AIで要約したりする場合は、案内の最初でそのことを伝え、会社の個人情報の扱いの方針に、使い方と保管の期間を書いておきます。
個人情報の扱いの法律や指針は、個人情報保護委員会のウェブサイトで事業者向けに公開されています。この記事は電話の運営についての一般的な説明であり、法的助言ではありません。
導入の進め方
1. 電話の記録をとる
二週間ほど、かかってきた時間、用件、出られたかどうか、誰が受けたかを記録します。配車の依頼と、それ以外の用件が、どの時間にどれくらい重なっているかが見えてきます。
2. 事故の連絡と配車の流れを先に決める
事故やけがの連絡を誰が受けるか、配車の依頼をどうつなぐかを、昼と夜に分けて決めます。夜間の担当が一人の時間に、二本の電話が同時に入ったときの扱いも決めておきます。
3. 案内の内容を整える
受付の時間、営業の地域、予約の受け方、忘れ物の問い合わせの受け方、荷物の状況を確認する方法を、短い文章にまとめます。
4. 任せる範囲を決める
自動の案内で伝える情報、ボイスメールで受ける用件、すぐに担当につなぐ用件を分けます。今すぐの配車の依頼は、できるだけ人につなぐ側に置きます。
5. 試験してから始める
社員がお客様の役になって電話をかけ、配車の依頼がすぐに配車の担当につながるか、忘れ物の聞き取りの記録が届くかを確認します。
6. 急がない用件から始める
最初は、忘れ物や料金の問い合わせなど、急がない用件の聞き取りから始めます。問題がないことを確認してから、予約の受付や夜間の振り分けに広げます。
7. お客様と運転手に知らせる
電話の受け方を変えたことを、サイトや車内の案内でお客様に知らせます。運転手にも、お客様からの連絡がどのように届くかを伝えます。
8. 記録を見て直す
一か月ほどたったら、配車の依頼が待たされていなかったか、忘れ物の問い合わせへの折り返しが遅れていなかったかを確認し、案内と流れを直します。
車の台数や事務の人数が少ない会社での電話の受け方は、小さな会社の電話対応で、配車や運行の担当が受付を兼ねる前提で整理しています。
タクシー・運送ならではの工夫
配車のアプリとの組み合わせ
配車のアプリを使っている会社では、電話の案内でアプリの案内をすることがあります。ただし、アプリを使えないお客様や、電話で頼みたいお客様もいるため、電話での配車の依頼を受ける道は残しておきます。アプリで予約したお客様から「車が来ない」という電話が入ったときに、アプリの予約の記録を電話の担当が確かめられるようにしておくと、お客様を待たせずに済みます。
介護タクシーや福祉の送迎
車いすのまま乗れる車での送迎や、通院の付き添いのある送迎を行う会社では、予約の聞き取りで確認することが増えます。車いすを使うか、乗り降りに手伝いが必要か、付き添いの人がいるか、病院の名前と予約の時刻を聞き取り、担当が車と運転手の予定を確認してから確定します。病院の帰りの時刻がはっきりしない場合の迎えの扱いも、前もって決めておきます。
運転手からの連絡
運転手から事務所への連絡(お客様を降ろしたこと、忘れ物を見つけたこと、道の状況など)も、電話で入ります。運転手からの連絡は、お客様からの電話と分けて受けられるよう、運転手専用の番号や、決めた連絡の方法を用意します。運転手が電話をかけるのは、車を安全な場所に止めてからにする決まりを、全員で守ります。
再配達の依頼
運送の会社への再配達の依頼は、荷物の番号、届け先の名前、希望の日時を聞き取れば受けられます。再配達の依頼を受け付けるページや自動の受付の仕組みがある場合は、案内でそれを伝え、電話で頼みたいお客様にはボイスメールで用件を受けて、担当が配達の予定に入れてから確定します。
運転手が忘れ物を見つけたとき
忘れ物は、お客様からの問い合わせより先に、運転手が見つけることもあります。運転手が車内で忘れ物を見つけたら、車を止めてから事務所に知らせ、見つけた日時、乗せたお客様の乗った場所と降りた場所、物の特徴を伝えます。事務所はこれを記録しておき、お客様から問い合わせが来たときにすぐ照らし合わせられるようにします。降ろした直後でお客様の連絡先が分かっている場合(予約のお客様など)は、事務所からお客様に連絡します。一定の期間、持ち主が見つからない忘れ物の扱いは、会社の決まりと法令に沿って管理の担当が行います。
運転手の求人への応募
タクシーや運送の会社では、運転手の求人への応募の電話もよく入ります。配車の電話が混み合う時間に応募の電話を受けると、どちらにも十分に対応できません。応募の電話はボイスメールで受け、採用の担当が落ち着いた時間に折り返す流れにします。聞き取りでは、名前、連絡先、持っている運転の免許の種類、希望の働き方を聞いておきます。
引っ越しや大きな荷物の相談
運送の会社には、引っ越しや家具のような大きな荷物の相談も入ります。荷物の量や運び出す場所の様子(階段の有無、エレベーターの大きさ、車を止められる場所)によって、必要な人数や車、料金が大きく変わります。電話の聞き取りでは、日にちの希望、運び出す場所と運び込む場所、荷物のおよその量を受け、担当が見積もりの方法(現地を見るか、写真で確認するか)を決めて折り返します。
法人のお客様
会社の送迎や定期の配送の契約をしている法人のお客様からは、予約の変更や請求の問い合わせが入ります。法人のお客様向けの番号を用意するか、聞き取りで会社の名前を受けて担当に届けると、一般のお客様の電話と分けて受けられます。
迎えの場所が分かりにくいとき
タクシーの配車では、迎えの場所が正しく伝わらないことが、待ち合わせの行き違いの大きな原因になります。大きな建物、病院、駅では、入口がいくつもあります。聞き取りでは、建物の名前だけでなく、どの入口か、目印になるものは何かを聞きます。お客様の電話番号を記録しておき、運転手が近くまで来て場所が分からないときに、事務所を通して連絡できるようにしておきます。
荷物の受け取りの日時の指定
運送の会社には、「この日の午前中に届けてほしい」「留守にするので届ける日を変えたい」という依頼が入ります。届ける日時を変えられるかどうかは、荷物の状況と配達の予定によって違います。聞き取りで荷物の番号と希望を受け、担当が確かめてから変えられたかどうかを伝えます。
空港や駅への送迎の予約
空港や駅への送迎の予約では、飛行機や列車の時刻に間に合うかどうかが大切です。聞き取りでは、飛行機や列車の時刻、便の名前、荷物の量を聞いておき、配車の担当が道の混み具合を考えて迎えの時刻をお客様と相談します。空港からの迎えの予約では、飛行機が遅れたときに迎えの時刻をどうするかを、前もって決めてお客様に伝えておきます。
観光や貸し切りの相談
観光地を回る貸し切りの相談や、団体の送迎の相談は、時間も料金も個別に決まります。聞き取りで日にち、人数、回りたい場所、希望の時間を受け、担当が車と運転手の予定、料金を確認してから見積もりを伝えます。見積もりを出す前に、予約を確定したと受け取られないよう、確定の連絡までは仮の受付であることを伝えます。
忘れ物の聞き取りシート
タクシーの忘れ物の問い合わせで確認する項目を、一枚にまとめておきます。
| 項目 | 聞き方の例 | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 名前・連絡先 | 「お名前と、連絡のつくお電話番号を教えてください」 | 名前、番号 |
| 乗った日時 | 「何日の何時ごろにお乗りになりましたか」 | 日時の幅 |
| 乗った場所・降りた場所 | 「どこから乗って、どこで降りましたか」 | 場所 |
| 支払いの方法 | 「お支払いは現金でしたか、カードでしたか」 | 方法 |
| 領収書 | 「領収書をお持ちですか。車の番号が書かれていれば読み上げてください」 | 有無、番号 |
| 車の特徴 | 「車の色や、覚えていることはありますか」 | 特徴 |
| 忘れた物 | 「忘れた物の形や色、中に入っている物を教えてください」 | 特徴 |
| 座った場所 | 「後ろの座席の右側、など、座った場所を覚えていますか」 | 場所 |
財布の中身など、持ち主であることを確認するための情報は、受け取りのときに改めて確かめるため、電話では細かく聞きすぎないようにします。
集荷の依頼の聞き取りシート
運送の会社で集荷の依頼を受けるときに確かめる項目を、一枚にまとめておきます。
| 項目 | 聞き方の例 | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 名前・会社名 | 「お名前と、会社の場合は会社名を教えてください」 | 名前、会社名 |
| 集荷の場所 | 「どちらに伺えばよいですか。建物の入口も教えてください」 | 住所、入口 |
| 荷物の数と大きさ | 「荷物はいくつで、大きさはどれくらいですか」 | 数、大きさのおよそ |
| 重さ・中身 | 「重い物や、割れやすい物は入っていますか」 | 注意の要否 |
| 希望の時間帯 | 「集荷のご希望の時間帯はありますか」 | 時間帯 |
| 届け先 | 「届け先の地域を教えてください」 | 地域 |
| 連絡先 | 「当日連絡のつくお電話番号を教えてください」 | 番号 |
集荷の時間は、担当が運転手の予定を確認してから伝えます。荷物の中身によって運べない物がある場合は、会社の決まりに沿って担当が説明します。
荷物の破損の連絡の受け方
届いた荷物が壊れていたという連絡は、お客様の不満が大きく、後の補償の話にもつながるため、受け方をそろえておきます。
- 荷物の番号、届いた日、送り主と届け先を聞き取る
- 壊れている物と、箱や梱包の様子を聞き取る
- 荷物と梱包をそのまま残しておいてもらうよう頼む
- 写真を撮っておいてもらうよう頼む
- 運行の管理の担当から連絡することを伝える
電話を受けた人は、補償できるかどうかや、どちらの責任かについて答えません。管理の担当が、荷物の状態と配達の記録を確認したうえで、会社の決まりに沿って説明します。
案内の文章のひな形
タクシー・運送の電話の案内に使える文章の例です。説明のための文例ですので、〇の部分は会社の名前や受付の時間に合わせて言い換えてください。
タクシーの混み合う時間の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇タクシーです。事故やけがのときは、すぐに110番、119番に通報してください。今すぐの配車は1番、ご予約は2番、お忘れ物は3番、料金やそのほかのお問い合わせは4番を押してください。ただいま配車のお電話が混み合っています。お待たせする場合があります。」
予約の聞き取りの例:
「ご予約を承ります。お名前、お電話番号、お迎えの日時と場所、行き先、人数とお荷物の量をお話しください。配車の担当が確かめたうえで、ご予約の確定をお電話でお伝えします。確定のご連絡があるまでは、ご予約はまだ確定していません。」
運送の会社の時間外の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇運送です。お電話の受付は、平日の〇時から〇時です。お荷物の状況は、お荷物の番号でホームページから確かめられます。集荷や再配達のご依頼は、番号を選んでメッセージを残してください。受付の時間に担当者が確かめてご連絡します。」
よくある場面の対応例
以下の場面は、説明のためにつくった架空の例で、実在のタクシーや運送の会社の事例ではありません。
雨の夕方に配車の電話が重なった場面
雨の夕方、配車の電話が一度に入ります。1番を選んだお客様は、配車の担当につながるまで順に待ちます。担当は空いている車を探し、見つかったお客様には、およその到着の時間を幅を持たせて伝えます。空いている車がしばらくないお客様には、そのことを正直に伝え、待つか、ほかの方法にするかを選んでもらいます。忘れ物の問い合わせは3番の聞き取りに残され、雨が落ち着いた夜に担当が折り返します。
前の晩の忘れ物の問い合わせが入った場面
朝、お客様から、昨夜タクシーに手帳を忘れたという電話が入ります。お客様は3番を選び、乗った時間と場所、降りた場所、カードで支払ったことを話します。日中の担当は、記録から車をしぼり込み、その車の運転手に確かめます。手帳が見つかったため、担当はお客様に電話をかけ、営業所での受け取りの方法を伝えます。受け取りのときは、本人を確認する書類を持ってきてもらうよう伝えます。
通院の送迎の予約が入った場面
家族から、母の通院のために車いすのまま乗れる車を予約したいという電話が入ります。2番を選び、聞き取りで日時と病院の名前、車いすを使うことを話します。担当は、車いすのまま乗れる車と運転手の予定を確認し、家族に電話をかけて予約を確定します。帰りの時刻ははっきりしないため、診察が終わったら電話をもらう約束をします。
届くはずの荷物が来ないという電話が入った場面
運送の会社に、今日届くはずの荷物がまだ来ないという電話が入ります。お客様は3番を選び、荷物の番号を話します。担当は、荷物の状況を確認し、配達の車に積まれていて夕方に届く予定であることを伝えます。届く時刻を約束することは避け、遅れる場合はもう一度連絡すると伝えます。
運転の仕方についての苦情が入った場面
お客様から、運転が荒くて怖かったという電話が入ります。電話を受けた担当は、言い訳をせずに乗った日時と場所、起きたことを聞き取り、管理の担当から改めて連絡すると伝えます。管理の担当は運行の記録を確認し、運転手から話を聞いたうえで、お客様に電話で説明します。
空港の迎えで飛行機が遅れた場面
空港での迎えの予約をしていたお客様の飛行機が、到着が遅れることになります。お客様は空港に着く前に会社に電話をかけ、2番を選んで遅れることを伝えます。配車の担当は記録を見て、運転手の次の予定と照らし合わせ、迎えの時刻を変えられるかを確認します。担当はお客様に電話をかけ、新しい迎えの時刻と、空港での待ち合わせの場所をもう一度伝えます。
折り返しの電話のかけ方
会社からの折り返しは、次の順に話すと短く済みます。
- 会社の名前と自分の名前を名乗る
- どの問い合わせへの折り返しかを伝える
- 調べた結果や、確定したことを伝える
- 受け取りの方法や、迎えの場所など、次にすることを伝える
- 大切なこと(予約の日時、受け取りの場所)を繰り返す
予約の確定の連絡は、迎えの日時と場所を必ず繰り返し、お客様にも確かめてもらいます。聞き間違いの起きやすい建物の名前や入口は、お客様にもう一度言ってもらうと確実です。
事務所の一日の流れの例
ここでは、架空のタクシーの会社の一日を例に、電話の受け方の流れを示します。
- 早朝:夜間の担当から、忘れ物や予約の聞き取りの記録を引き継ぐ
- 朝の通勤の時間:配車の電話を優先し、ほかの用件はボイスメールで受ける
- 昼前後:忘れ物の問い合わせへの折り返しと、翌日の予約の確定の連絡を行う
- 夕方から夜:配車の電話を優先する。天気が悪い日は、案内に混み合いの知らせを入れる
- 夜間:担当が一人の時間は、配車と事故の連絡を最優先にする
配車・事務・運転手の役割分担
| 役割 | 配車・運行の管理の担当 | 事務の担当 | 運転手 |
|---|---|---|---|
| 事故やけが | 受けて手順に沿って動く | 管理の担当にすぐつなぐ | 安全を確認して通報し、知らせる |
| 今すぐの配車 | 車を探して手配する | 聞き取って配車の担当へ | 指示を受けて向かう |
| 予約 | 車の予定を確認して確定する | 聞き取りと確定の連絡 | 予定を確認する |
| 忘れ物 | 車をしぼり込む | 聞き取りと折り返し | 車内を確認して届ける |
| 苦情 | 運行の記録を確認する | 聞き取って管理の担当へ | 事実を話す |
電話のそばに置く一枚
電話を受けることのある人のために、一枚の紙を用意します。事故やけがの連絡では110番、119番の通報を先に案内して運行の管理の担当にすぐ知らせること、到着時刻を約束しないこと、予約は確定の連絡をするまで確定ではないこと、忘れ物の聞き取りの項目、乗車の記録を第三者に答えないことを書いておきます。
天気が急に悪くなった日の動き方
急な大雨や大雪の日は、配車の電話が増え、運送の配達は遅れます。こうした日の動き方を決めておくと、慌てずに済みます。案内の最初に混み合いや遅れの知らせを入れる担当、配車の担当を増やすかどうかを決める人、運転手に安全を優先するよう伝える方法を決めておきます。運転手に無理な時間で配達や迎えをさせないことも、会社として決めておきます。天気が落ち着いたら、知らせを外し、聞き取りに残った用件に順に折り返します。その日に待たせてしまった予約のお客様や、配達が遅れた法人のお客様には、必要に応じて担当から改めて連絡し、次に同じような日が来たときのために、動き方の決まりを見直しておきます。
案内の聞き取りやすさ
タクシーに電話をかける人は、駅や道ばたなど、周りの音が大きい場所からかけていることが多くあります。案内は短い文で区切り、最初に会社の名前と、今すぐの配車の番号を伝えます。番号の説明は四つまでにし、何も押さずに待っていれば配車の担当につながる道も残しておきます。
予約の前日の確認の連絡
朝早い時刻の予約や、空港への送迎の予約では、前日に会社からお客様に確かめの連絡を入れると、行き違いを防げます。確かめるのは、迎えの日時と場所、行き先、人数と荷物の量です。お客様の都合が変わっていれば、その場で直します。電話がつながらない場合は、留守番電話に会社の名前と予約の確認の電話であることを残し、迎えの場所などの詳しいことは残しません。
配車の待ち時間の伝え方
空いている車がすぐに見つからないとき、お客様にどう伝えるかで、その後の印象が変わります。配車の担当は、次の順で伝えます。
- 今すぐ向かえる車がないこと
- 向かえそうになるまでのおよその時間(幅を持たせて)
- 待つ場合は、車が決まったら連絡すること
- 待てない場合は、ほかの方法があること(会社が用意している配車のアプリなど)
待つと答えたお客様には、車が決まった時点で必ず連絡します。連絡を受けたお客様が、乗る場所の近くで待てるよう、車の色や番号も伝えます。車が決まらないまま時間がたった場合も、途中で一度連絡し、待ち続けるかどうかをお客様に選んでもらいます。
子どもだけの乗車や、付き添いの相談
塾や習い事の送り迎えで、子どもだけをタクシーに乗せたいという相談や、高齢の家族を一人で病院まで乗せてほしいという相談が入ることがあります。受けられるかどうか、受ける場合の決まり(迎えと降ろす場所での受け渡し、連絡の方法など)は、会社ごとに決めておきます。聞き取りでは、乗る人の年齢や様子、迎えと降ろす場所で受け渡しをする人を聞き、担当が決まりに沿って受けられるかを判断します。
準備のチェックリスト
- 案内の最初に、事故やけがのときは110番、119番に通報することを入れている
- 事故の連絡を、昼と夜に誰が受けるかが決まっている
- 今すぐの配車の依頼は、配車の担当に優先してつながる
- 予約や集荷は、担当が確かめてから確定し、確定を連絡する
- 到着時刻を約束しない決まりになっている
- 忘れ物の聞き取りの項目が決まっている
- 運転手は車を止めてから電話をかける決まりを守っている
- 乗車の記録や送り主の情報を、第三者に答えない決まりがある
- 録音や要約をすることを、案内と個人情報の扱いの方針で伝えている
電話以外の連絡の方法との使い分け
| 方法 | 向いていること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 今すぐの配車、事故の連絡、通院の送迎の相談 | 混み合う時間はつながりにくい |
| 配車のアプリ | 今すぐの配車、迎えの場所の地図での指定 | 使えないお客様への道も残す |
| ホームページの受付 | 荷物の状況、再配達の依頼、忘れ物の届け出 | 急ぐ用件には向かない |
案内を古くしない
営業の地域、受付の時間、予約の受け方、年末年始の予定、料金の改定は、変わることがあります。変えたときは、ホームページ、車内の案内、電話の案内をまとめて直します。天気の悪い日に入れた混み合いの知らせは、落ち着いたら外すことを忘れないようにします。
スタッフへの共有と教育
配車や事務の仕事に新しく入った人には、電話について次の五つを最初に伝えます。
- 事故やけがの連絡は、何よりも先に受ける
- 到着時刻を約束しない
- 予約は、確定の連絡をするまで確定ではない
- 乗車の記録や送り主の情報を、第三者に答えない
- 苦情は、言い訳をせずに聞き取り、管理の担当に届ける
効果の確認方法と見直し
電話の流れを変えた後は、記録をもとに、配車の依頼が待たされた時間、忘れ物の問い合わせから折り返しまでの時間、予約の行き違いの数、夜間の事故の連絡がすぐにつながったかを確認します。数字は自分の会社の記録から出すもので、前の月と比べて改善できたかを見るためのものです。
CallでIVRと配車の振り分けを組む
タクシー・運送の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、キューごとのボイスメール、IVRからのコールバックの受付、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。今すぐの配車の依頼を配車の担当に優先してつなぎ、忘れ物や予約はボイスメールで用件を受けて、落ち着いた時間に担当が確かめる流れが組めます。設定の手順は使い方のガイドとドキュメントで紹介しています。
日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、配車や事務の担当が確認しやすくする使い方です。配車や集荷の確定、到着時刻の案内、料金の見積もり、事故や破損の判断は、会社の担当者が行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。
ほかの業種の例として、葬儀社の電話対応、結婚式場の電話対応もあわせてご覧ください(タクシー運送のAI電話対応|配車・忘れ物からの関連案内)。
よくある質問
AIが配車を確定してくれますか?
しません。配車は、配車の担当が空いている車と運転手を確かめてから受けます。自動の案内やボイスメールで受けた時点では、まだ確定していません。
「何分で来られますか」と聞かれたら?
配車の担当が車の位置と道の混み具合を見てから、幅を持たせて伝えます。自動の案内で到着時刻を約束することはしません。
忘れ物があったかどうか、自動で答えられますか?
答えません。担当が車を調べ、運転手に確かめてから伝えます。ボイスメールで受けるのは、乗った日時や場所、忘れた物の特徴までです。
事故の連絡はどうつながりますか?
案内の最初で110番、119番への通報を案内したうえで、運行の管理の担当にすぐつながるようにします。夜間も同じです。
夜間の担当が一人のときは?
配車と事故の連絡を最優先にし、忘れ物や料金の問い合わせはボイスメールで用件を受けて、日中の担当に引き継ぎます。
料金の目安を電話で答えてもよいですか?
料金は距離や時間、荷物の大きさで変わるため、担当者が確かめて答えます。自動の案内では金額を答えません。
家族から「乗ったかどうか」を聞かれたら?
乗車の記録はお客様の個人情報なので、答えてよい相手かを確かめずに答えないようにします。公的な機関からの問い合わせは、決めた手順で扱います。
運転手の携帯電話に直接お客様から連絡が来るのは避けるべきですか?
避けたほうが安全です。運転手は運転中に電話に出られないため、会社の電話で受けて、車を止めたときに伝える流れにします。
再配達の依頼も電話で受けられますか?
受けられます。荷物の番号と届け先、希望の日時を聞き取り、担当が配達の予定に入れてから確定します。受付のページがあれば、案内であわせて伝えます。
配車のアプリがあれば、電話の窓口は要りませんか?
アプリを使えないお客様や、電話で頼みたいお客様もいるため、電話の道は残しておくと安心です。アプリの予約を電話の担当が確かめられるようにしておくと、問い合わせにも答えやすくなります。
通話を録音してもよいですか?
録音するなら、電話の最初の案内でそのことを知らせ、会社の個人情報の方針にも、録音の使い道と残しておく期間を書き添えます。
まとめ
タクシー・運送の電話は、配車や集荷の依頼という仕事の入り口と、忘れ物や荷物の状況の問い合わせ、事故の連絡が同じ番号に入ってきます。事故やけがの連絡を最初に分け、今すぐの配車を配車の担当に優先してつなぎ、忘れ物や予約はボイスメールで用件を受けて落ち着いた時間に確かめる形にすると、混み合う時間でも仕事を逃しにくくなります。
自動の案内やAIに任せるのは、決まった情報の案内と用件の聞き取り、記録の要約までです。配車や集荷の確定、到着時刻の案内、料金の見積もり、事故や破損の判断、忘れ物の回答は、会社の担当者が行います。運転手が運転に集中できる流れを守りながら、記録を見て少しずつ直していけば、お客様にも運転手にも無理のない電話の体制がつくれます。



