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動物病院のAI電話対応|急患・予約案内の受け方

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

動物病院のAI電話対応|急患・予約案内の受け方(AI-SNS.IO Call ブログ)

動物病院の電話は、飼い主さんの気持ちがそのまま声に出る電話です。「うちの子が急にぐったりしている」「チョコレートを食べてしまった」と慌てた声でかけてくる人もいれば、「来月のワクチンの予約をしたい」「フードの在庫はありますか」と落ち着いて問い合わせてくる人もいます。受付のスタッフは、診察室への案内、会計、フードや薬の受け渡しをしながら、こうした性質のまったく違う電話に、一つひとつ出ています。

忙しい時間帯に電話が重なると、急ぎの電話と急がない電話が同じように待たされてしまいます。急を要する飼い主さんを待たせるのは、動物にとっても飼い主さんにとっても避けたいことです。かといって、すべての電話に獣医師や看護師が出るわけにもいきません。

この記事では、動物病院の電話対応にIVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を、よくある課題、問い合わせの分類、時間外や繁忙時の受け方、設計の例、スタッフへの引き継ぎ、個人情報の扱い、導入の進め方の順に解説します。急患の電話をいかに早く人につなぐか、そしてAIに何を任せないか、が全体を通じた軸になります。

動物病院の電話対応で起きがちな課題

急患と通常の問い合わせが同じ列に並ぶ

動物病院の電話の一番の難しさは、急を要する電話と、急がない電話が、同じ番号にかかってくることです。受付のスタッフが手を離せない間、どちらの電話も同じように鳴り続けます。急患の飼い主さんは、つながるまでの数十秒をとても長く感じます。

誤飲や中毒の相談

動物病院には、「人の薬を飲み込んだ」「玉ねぎの入った料理を食べた」「おもちゃを飲み込んだかもしれない」といった、誤飲や中毒の疑いの相談がよく寄せられます。こうした相談は、何を、どのくらい、いつ口にしたかによって、すぐに来院すべきかどうかが変わります。判断は獣医師や看護師が行う必要があり、自動の案内で答えてよいものではありません。

予約の電話が診療中に重なる

ワクチン、健康診断、トリミング、手術の前後の診察など、予約の電話も多くかかってきます。春は狂犬病の予防注射やフィラリアの予防の時期と重なり、予約や問い合わせが増える病院も多いでしょう。予約の電話は、カレンダーを見ながら日時を調整する必要があり、一件ごとに時間がかかります。

同じ質問が繰り返される

答えが決まっている質問が多く、スタッフが毎回同じ説明をしている病院も少なくないはずです。

時間外の電話

夜間や休診日にも、体調を崩した動物の飼い主さんから電話がかかってきます。自院で夜間の診療をしていない場合、時間外の案内で何を伝えるかが、飼い主さんが次にどう動けるかを左右します。

課題の整理

課題起きること対策の方向
急患と通常の電話が同じ列急患の飼い主さんが待たされる最初の案内で急患を分け、すぐにスタッフにつなぐ
誤飲・中毒の相談判断に時間がかかる、自動では答えられない獣医師や看護師がすぐに受ける流れをつくる
予約の電話の集中診療中に手が止まる希望を聞き取り、スタッフが確かめて確定する
同じ質問の繰り返しスタッフの時間がとられる決まった答えを自動で案内する
時間外の電話飼い主さんが次の行動に迷う時間外の案内で、急患のときの行き先を伝える

小さな事業所の電話対応の見直しの基本は小さな会社の電話対応で紹介しています。

急患、誤飲、体調の相談、予約、決まった答え、物品の急ぎの度合いと対応する人の比較
図1:動物病院の電話の分類

よくある問い合わせの分類

「急ぎかどうか」と「誰が答えるか」の二つの軸

動物病院の電話を分類するときは、「急ぎかどうか」と「誰が答えるか」の二つの軸で考えると整理しやすくなります。

分類例急ぎか誰が答えるか
急患ぐったりしている、呼吸が苦しそう、出血が止まらない、けいれん急ぐ獣医師・看護師がすぐに
誤飲・中毒の疑い薬や食べ物、異物を口にした急ぐことが多い獣医師・看護師がすぐに
体調の相談食欲がない、下痢が続く、元気がない内容による看護師や獣医師
予約ワクチン、健診、手術、再診、トリミング、ホテル急がない聞き取り後、スタッフが確定
決まった答え診療時間、休診日、駐車場、持ち物急がない自動の案内で答えられる
物品フードや予防薬の在庫、受け取り急がない聞き取り後、スタッフが確かめる
入院中・手術後の様子入院している動物の様子、退院の時期内容による担当の獣医師や看護師
その他業者、ほかの病院からの連絡内容によるスタッフ

自動の案内で答えてよいのは「決まった答え」だけで、「予約」と「物品」は聞き取りまでです。「急患」「誤飲・中毒の疑い」「体調の相談」は、自動の案内で判断してはいけない電話です。

電話を数えてみる

分類を決めたら、一、二週間、受付に記録用紙を置いて、分類ごとに電話を数えます。時間帯の欄も設けておくと、いつ、どの電話が多いかが分かります。

時間帯急患誤飲体調予約決まった答え物品入院・手術後その他
午前の開始〜11時
11時〜昼休み
午後の開始〜17時
17時〜受付の終わり

数えてみると、予約と決まった答えの電話が多い時間帯や、急患の電話が多い時間帯が見えてきます。その結果をもとに、どこを自動にするかを決めます。

営業時間外・繁忙時の受け方

繁忙時は急患を先に通す

診療の開始の直後や、夕方の仕事帰りの時間帯など、来院と電話が重なる時間は、急患の電話を先に通す仕組みが特に大切です。

急患のメニューが悪用される(急ぎでない用件で1を押される)ことを心配する声もありますが、まずは急患を待たせないことを優先し、運用しながら案内の言葉を調整するのがよいでしょう。

昼休みと手術の時間

動物病院では、昼の時間に手術を行うところが多く、その間はスタッフが電話に出にくくなります。昼の時間の案内では、次の点を伝えます。

手術中でも急患の電話を受けられるよう、誰が電話を受けるかを、昼の時間の体制として決めておきます。

時間外の案内

自院で夜間の診療をしていない場合、時間外の案内では、急患のときにどうすればよいかを伝えることが最も大切です。

  1. 今は診療時間外であること
  2. 次の診療の日時
  3. 急患の場合の行き先(地域の夜間の動物病院など、病院として案内すると決めた連絡先)
  4. 急がない用件は、診療時間内にかけ直すか、折り返しの依頼を残せること(受け付ける場合)

夜間の動物病院を案内する場合は、その病院の受付の時間や、事前に電話が必要かどうかを確認し、変更がないかを定期的に確かめます。案内した先が閉まっていた、ということがないよう注意しましょう。

留守番電話に体調の相談を残されたら

時間外に留守番電話を受け付けている場合、体調の相談が残されることがあります。しかし、翌朝まで誰も聞かない留守番電話に、急ぎの相談を残されても対応できません。案内の中で、「体調のご相談は、留守番電話ではお受けできません。急患の場合は〇〇へご連絡ください」とはっきり伝えておきます。

時間帯ごとの切り替えの設定についてはIVRの営業時間ルーティングで詳しく紹介しています。

長い休みの前の準備

年末年始や大型の連休の前は、ペットホテルの予約、予防薬や療法食のまとめての注文、休みの間の急患の行き先の問い合わせが増えます。休みに入る前に、次の準備をしておきます。

IVRとAI一次応答の設計例

番号を押してもらうメニューの例

説明のための架空の例として、犬と猫を中心に診ている動物病院の、診療時間中のメニューを示します。

お電話ありがとうございます。〇〇動物病院です。急患の方、誤って何かを食べてしまった方は1を、ワクチン、健康診断、手術などのご予約の方は2を、フードやお薬のご注文、在庫のお問い合わせの方は3を、診療時間、休診日、駐車場のご案内は4を、入院中の子の様子、そのほかのご用件の方は5を押してください。

番号行き先内容
1スタッフ(最優先)すぐにスタッフにつなぐ。誰も出られない場合の扱い(呼び出しを続ける、別の電話を鳴らすなど)も決めておく
2聞き取り飼い主さんの名前、動物の名前と種類、診察券の番号、用件、希望の日時、連絡先を聞き取る
3聞き取り名前、品名、数量、受け取りの希望を聞き取り、スタッフが在庫を確認して折り返す
4自動の案内診療時間、休診日、駐車場、来院の際の注意を案内する
5スタッフスタッフにつなぐ。混雑時は折り返しを受け付ける

急患のメニューを一番目に置き、言葉も短くするのがポイントです。慌てている飼い主さんが、最後までメニューを聞かなくても選べるようにします。

AI一次応答を組み合わせる場合

メニューの番号を押す代わりに、AIによる一次応答で用件を話してもらう方法もあります。例えば、「来週の土曜にトリミングを予約したい」と話してもらえれば、AIは用件を予約として分類し、動物の名前や希望の日時を聞き取って記録できます。「日曜は開いていますか」という質問には、病院が登録した診療日をもとに答えられます。

ただし、動物病院でAIの一次応答を使う場合は、次の点を必ず決めておきます。

どのような形でAIの一次応答が提供されているかは、サービスによって違います。AI電話受付の基本はAI電話受付とはで紹介しています。

慌てている飼い主さんへの配慮

急患の電話をかけてくる飼い主さんは、気が動転していることが多くあります。

スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う

手術の前日の確認の電話

手術の前日に、病院から飼い主さんに確かめの電話をかける病院もあります。来院の時刻、絶食や絶水の指示、持ち物などを伝える電話です。この電話は、動物の状態に合わせた指示を含むため、スタッフや獣医師が行います。逆に、飼い主さんから「明日の手術の前に何をすればよいか」と問い合わせがあったときも、自動の案内では答えず、担当につなぎます。

予約の確定はスタッフが行う

聞き取った予約の希望は、スタッフが予約の状況や、獣医師の予定、手術の枠などを確認してから確定します。飼い主さんには、「担当者が確認のうえ、お電話でご連絡します」と伝え、確定の前であることが分かるようにします。

特に手術の予約は、事前の検査や、当日の絶食の指示など、確かめることが多くあります。聞き取りでは希望の時期だけを聞き、詳しい内容はスタッフや獣医師から説明する流れにしておきます。

体調の判断は獣医師と看護師が行う

体調の相談、誤飲や中毒の疑い、薬の飲ませ方などは、獣医師や看護師が判断します。受付のスタッフが一次の聞き取りをしたうえで獣医師や看護師に回す、という運用の病院も多いでしょう。自動の案内やAIは、この判断に加わらず、人につなぐ役割に徹します。

引き継ぎで伝える項目

用件聞き取る項目
予約飼い主さんの名前、動物の名前・種類・年齢、診察券の番号、用件(ワクチン、健診、トリミングなど)、希望の日時、連絡先
物品の注文名前、診察券の番号、品名、数量、受け取りの希望の日、連絡先
折り返しの依頼名前、動物の名前、連絡先、用件の概要、つながりやすい時間帯

聞き取る項目は最小限にします。体調の詳しい様子は、自動の聞き取りでは聞かず、スタッフが折り返しの際に確かめます。

急患の電話を受けたスタッフが確かめること

急患のメニューからつながった電話を、受付のスタッフが最初に受ける病院もあります。その場合に備えて、最初に確かめる項目を決め、受付の近くに貼っておくと、慌てずに獣医師や看護師へ引き継げます。

確かめた内容は、すぐに獣医師や看護師に伝え、来院すべきかどうかの判断は獣医師や看護師が行います。受付のスタッフが判断を求められたときに、「獣医師に確認します」と伝えて引き継ぐ流れを、全員で共有しておきます。

折り返しのルール

すぐに人につなぐ条件

個人情報と記録の扱い

飼い主さんの情報を守る

動物病院の電話で扱う情報は、動物の情報だけではありません。飼い主さんの名前、住所、電話番号など、個人の情報が含まれます。電話の録音、文字起こし、要約、聞き取った項目が残る場合は、その扱いを決めておく必要があります。

個人の情報の扱いについては、個人情報保護委員会のウェブサイトで、法律やガイドラインの内容を確認できます。この記事の内容は一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。自院に当てはまる扱いは、専門家などに確認してください。

導入の前に確かめること

確かめること問いの例
何が残るか録音、文字起こし、要約、聞き取った項目のどれが残るか
どこに保存されるかサービスの提供元で、どのように保存されるか
誰が見られるか受付、看護師、獣医師など、見られる人の範囲
どのくらい残すか保存の期間と、その後の扱い
伝え方録音や記録をしていることを、飼い主さんにどう伝えるか

留守番電話や折り返しの際の注意

折り返しの電話がつながらず、留守番電話にメッセージを残すときは、動物の病気や検査の結果など、詳しい内容は残さないようにします。家族のほかの人が聞く可能性もあるためです。「〇〇動物病院です。ご予約の件でお電話しました。改めてご連絡します」程度にとどめます。

導入の進め方

ステップ1:電話を数える

一、二週間、分類と時間帯ごとに電話を数えます。

ステップ2:急患の流れを最初に決める

自動の案内を設計する前に、急患の電話を誰が、どう受けるかを決めます。診療時間中、昼の手術の時間、時間外のそれぞれについて決めておきます。ここが決まらないうちは、自動の案内を始めないようにしましょう。

ステップ3:任せる範囲を決める

分類ごとに、自動で案内する、聞き取ってスタッフが確かめる、すぐにスタッフにつなぐ、のどれにするかを決めます。獣医師と看護師にも加わってもらいます。

ステップ4:案内の情報を整える

診療時間、休診日、駐車場、来院の際の注意、時間外の急患の行き先などを、正確に書き出します。ホームページと食い違いがないかも確かめます。

ステップ5:試験の電話をかける

スタッフが飼い主さんの役になって、急患、誤飲、予約、物品、時間外などの電話をかけ、正しく動くかを確認します。特に、急患のメニューがすぐにスタッフにつながるか、時間外に急患の行き先が正しく案内されるかは、必ず確かめます。

ステップ6:一部の時間帯から始める

時間外や昼の時間など、一部の時間帯から始め、問題がないことを確認してから広げます。

ステップ7:記録を見て直す

聞き取りの記録、折り返しの件数、飼い主さんの声を見て、メニューや案内を直していきます。

数える、急患の流れ、範囲、情報、試験、一部から始める、直すの七つの手順
図2:動物病院で導入を進める手順

動物病院ならではの工夫

予防の季節に合わせて案内を変える

動物病院には、季節によって増える問い合わせがあります。春から初夏は、狂犬病の予防注射、フィラリアやノミ・ダニの予防薬の問い合わせが増える病院が多いでしょう。こうした時期だけ、案内を切り替えると、電話の負担を抑えられます。

狂犬病の予防注射など、法律にもとづく手続きにかかわる案内では、自治体の集合注射の日程なども問い合わせが多くなります。自院で答えられる範囲と、自治体に確かめてもらう範囲を分けて案内しましょう。この記事の内容は法的助言ではないため、制度の詳細は自治体などの案内を確認してください。

トリミングとペットホテルの問い合わせ

トリミングやペットホテルを行っている病院では、空きの問い合わせと予約の電話が多くなります。診療の電話と分けて受けると、受付の負担を分散できます。

入院中や手術後の様子の問い合わせ

入院している動物の飼い主さんからは、「今日の様子はどうですか」という電話がよくかかってきます。こうした問い合わせは、担当の獣医師や看護師が答えるべきもので、自動の案内では答えません。

電話が集中して診療が止まらないよう、病院によっては、様子を伝える時間帯を決めて、病院から連絡する方法をとっています。入院の際に、連絡の方法と時間帯を飼い主さんに説明しておくと、問い合わせの電話を減らせます。

犬や猫以外の動物

うさぎ、小鳥、爬虫類など、犬や猫以外の動物を診ている病院もあれば、診ていない病院もあります。「〇〇も診てもらえますか」という問い合わせが多い場合は、診ている動物の種類を自動の案内に加えると、受付の手間を減らせます。診ていない動物の場合に、どこを案内するかも決めておきましょう。

一つの電話で何頭分もの用件

複数の動物を飼っている飼い主さんは、一つの電話で、何頭分ものワクチンの予約や、フードの注文をすることがあります。聞き取りの際に、「ほかの子のご用件もありますか」と確かめる流れを入れておくと、聞き漏れを防げます。記録にも、動物ごとに用件を分けて残すようにします。

フードと予防薬の注文

療法食や予防薬の注文は、定期的にかかってくる電話です。聞き取りの項目を決めておけば、自動の聞き取りでも受けやすい用件です。

聞き取る項目注意
飼い主さんの名前、診察券の番号同じ名前の飼い主さんと取り違えないよう、番号もあわせて聞く
動物の名前複数の動物がいる場合は、どの子の分かを聞く
品名と数量品名が分からない場合は「いつものもの」と記録し、スタッフがカルテで確認する
受け取りの希望の日在庫の確認と取り寄せの日数を考えて、スタッフが折り返す

療法食や処方が必要な薬は、獣医師の判断が必要なことがあります。前回の受診からの期間によっては、受診をお願いすることもあるため、注文の受付はあくまで希望の聞き取りとし、出せるかどうかはスタッフが確かめて連絡します。

料金の問い合わせ

「ワクチンはいくらですか」「手術の費用はどのくらいですか」といった料金の問い合わせもあります。決まった料金がある項目は、病院の方針に沿って案内できますが、検査や手術の費用は、動物の状態によって変わります。自動の案内では、決まった項目だけを答え、状態によって変わる費用については、スタッフや獣医師から説明する流れにしておきます。案内する料金を変えたときは、自動の案内の内容も同時に直します。

待ち時間と混雑の問い合わせ

「今から行ったら、どのくらい待ちますか」という電話もよくあります。待ち時間はその日の急患や手術の状況で大きく変わるため、自動の案内で時間を約束することはできません。順番の受付の仕組みを使っている場合はその確認方法を、使っていない場合は、受付の記録から分かる混み合いやすい曜日や時間帯を案内し、急ぎでなければ比較的空いている時間の来院をお願いします。急患が入ると順番が前後することも、あらかじめ伝えておくと、待合室での不満を減らせます。

予約の取り消しと無断の不来院

予約の取り消しの電話は、自動のボイスメールで受けやすい用件です。名前、動物の名前、予約の日時を聞き取り、スタッフが予約の台帳から消します。取り消しを受け付けたことは、スタッフが確かめた後に連絡するか、確かめの必要がない運用にするかを決めておきます。予約の前日に病院からお知らせを送っている場合は、お知らせの中に取り消しの方法も書いておくと、連絡なしの不来院を減らすことにもつながります。

初めての来院の問い合わせ

初めて来院する飼い主さんからは、予約の要否、持ち物、診ている動物の種類、駐車場などの問い合わせがまとめて来ます。初めての人向けの案内を一つにまとめてメニューに加えると、受付の説明の手間を減らせます。ワクチンの接種の記録や、前の病院での検査の結果があれば持ってきてもらう、といった案内も入れておきます。

迷い動物や保護した動物の問い合わせ

「道で迷っている犬を保護した」「けがをした野良猫を見つけた」といった電話がかかってくることもあります。病院として受け入れるかどうか、どこを案内するか(自治体の窓口や警察など)を、方針として決めておくと、スタッフが迷わずに済みます。自動の案内では扱わず、スタッフにつなぐ用件にしておきます。

保護した動物がけがをしている場合や、ぐったりしている場合は、急患と同じように扱うかどうかも、あわせて決めておきます。迷子の動物を探している飼い主さんからの問い合わせも同じ時期に来ることがあるため、受けた問い合わせを記録しておくと、両方をつなげられる場合があります。記録には、保護した場所、日時、動物の特徴、連絡先を残しておくとよいでしょう。ただし、飼い主さんの連絡先を相手に伝えてよいかは、本人の了解を得てから判断します。了解を得られない場合は、病院が間に入って、双方に連絡する形にします。こうした扱いも、スタッフ全員で共有しておきましょう。

ほかの動物病院からの連絡

紹介の患者さんについての連絡や、夜間の病院からの引き継ぎなど、ほかの動物病院からの電話は、すぐにスタッフにつながる必要があります。飼い主さん向けのメニューで待たされないよう、病院どうしの連絡用の番号を別に用意する、最初の案内で分ける、といった工夫をします。

ワクチンのお知らせを受け取った飼い主さんからの電話

ワクチンの接種の時期が近づいた飼い主さんに、はがきやメールでお知らせを送っている病院では、お知らせが届いた直後に予約の電話が増えます。お知らせを送る時期を、電話の多い時期と重ならないようにずらす、お知らせに予約の方法(電話のメニューの番号や、インターネットの予約など)をはっきり書いておく、といった工夫で、電話の集中をならせます。お知らせを送った日は、記録に残しておくと、電話の増え方との関係を後で確認できます。

高齢の飼い主さんへの配慮

動物と暮らす高齢の飼い主さんも多く、自動の案内に戸惑う人もいます。案内の速さをゆっくりめにする、メニューの数を絞る、スタッフにつながる番号を早めに伝える、もう一度聞き直せる番号を用意する、といった配慮をしておきます。電話をかけてきた人が案内に戸惑っている様子が記録から分かったら、案内の言葉を見直しましょう。

来院の際の注意を伝える

来院の際の注意も、自動の案内で伝えられる内容です。

注意の内容は、ホームページの案内とそろえておきます。

案内の文章のひな形

時間帯ごとの案内の文章を、説明のための例として示します。〇の部分は、病院の情報に置き換えてください。

昼の手術の時間の案内

お電話ありがとうございます。〇〇動物病院です。ただいま手術の時間のため、お電話に出られません。午後の受付は〇時からです。急患の方は1を押してください。スタッフにおつなぎします。ご予約などで折り返しをご希望の方は2を押して、お名前とお電話番号をお話しください。

夜間・休診日の案内

お電話ありがとうございます。〇〇動物病院です。本日の診療は終了しました。次の診療は〇曜日の〇時からです。夜間に急いで診察が必要な場合は、〇〇へご連絡ください。体調についてのご相談は、この電話ではお受けできません。

予防の季節の案内

お電話ありがとうございます。〇〇動物病院です。ただいま、フィラリアの予防のお薬の受付を行っています。お薬の受け取りだけの方は、3を押してご注文ください。

案内の中の行き先や時間は、変わったときにすぐ直せるよう、一覧にして管理しておきます。

受付の一日の流れの例

説明のための架空の例として、獣医師が二人、受付が二人の動物病院で、自動の案内を取り入れた後の一日を示します。

時間帯電話の流れスタッフの動き
診療の開始の前夜間の案内で、折り返しの依頼が残る依頼を確認し、予約と物品に分けて担当を決める
午前の診療急患は1番からすぐにつながる。予約と物品は聞き取りへ来院の対応を優先し、急患の電話を受ける
昼の手術の時間手術の時間の案内に切り替わる当番の一人が急患の電話を受ける
午後の受付の開始通常の案内に戻る午前と昼の聞き取りの記録を確認し、予約を確定して折り返す
夕方仕事帰りの来院と電話が重なる急患以外は聞き取りに回し、来院の対応を優先する
診療の終わり夜間の案内に切り替わる折り返しの残りを確認し、翌朝の担当を決める

聞き取りの記録を確認して折り返す時間を、午後の受付の開始の直後など、比較的落ち着いた時間に置くのがポイントです。

慌てている飼い主さんへの言葉

急患の電話を受けたスタッフの最初の言葉は、飼い主さんを落ち着かせるうえで大切です。言葉の例を挙げます。

場面言葉の例
電話に出たとき「〇〇動物病院です。どうされましたか。ゆっくりで大丈夫ですので、様子を教えてください」
獣医師に確かめるとき「すぐに獣医師に確認します。このまま少しお待ちいただけますか」
来院をお願いするとき「すぐにお連れください。お気をつけてお越しください。着いたら受付でお名前をお伝えください」
自院で受けられないとき「申し訳ありません、ただいまこちらでは対応が難しい状況です。〇〇をご案内しますので、すぐにご連絡ください」

言葉の例は、獣医師と相談して決め、スタッフ全員で共有しておきます。

効果の確認方法

導入の後は、次のような点で効果を確認します。始める前の様子を、同じ方法で記録しておきましょう。

確かめること見る方法
急患がすぐにつながっているか1番を押してからスタッフが出るまでの時間、つながらなかった急患の電話の有無
受付の負担診療中に電話に出た回数、スタッフの感想
予約の折り返しの速さ聞き取りから折り返しまでの時間
自動の案内で済んだ電話案内のメニューを聞いて終わった電話の数
飼い主さんの声案内が分かりにくい、つながりにくいという声の有無

急患がすぐにつながっているかは、何よりも先に確かめる項目です。少しでも問題があれば、ほかの改善より先に直します。

電話の記録から分かること

聞き取りの記録や通話の要約を振り返ると、電話の仕組みだけでなく、病院の運営の見直しにつながる発見があります。

見直しでつまずきやすいところ

つまずき起きること対策
急患のメニューが後ろにある慌てた飼い主さんが途中で切ってしまう急患のメニューを一番目に、短い言葉で置く
急患の電話を受ける人が決まっていない1番を押してもつながらない時間帯ごとに、急患の電話を受ける人を決める
時間外の行き先の情報が古い案内した先が閉まっている行き先の受付の時間を定期的に確かめる
予防の季節の案内を戻し忘れる時期が過ぎても古い案内が流れる切り替えと戻しの日を予定に入れる
聞き取りの記録が放置される予約の折り返しが遅れる確かめる時間と担当を決める

電話以外の窓口との組み合わせ

電話の負担を減らすには、電話以外の窓口も合わせて考えます。

どの窓口でも、同じ内容を伝えることが大切です。内容を変えたときは、すべての窓口を同じ日に直しましょう。

スタッフへの説明で伝えること

新しい電話の流れを始める前に、スタッフ全員に次の点を説明します。

獣医師にも流れを知っておいてもらうと、飼い主さんから聞かれたときに説明がそろいます。

AI-SNS.IO Callについて

AI-SNS.IO Callは、ブラウザで使えるクラウド型の電話の仕組みです。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。IVRのメニュー、診療時間に合わせた応答の切り替え、キュー、キューごとの留守番電話、IVRのメニューからの折り返しの依頼、名前で担当者を呼び出すディレクトリ、ブラウザのソフトフォン、AIによる通話の要約、設定した窓口をまとめる受信箱、レポートと分析などを組み合わせて、急患を先に通す電話の流れを設計できます。AIによる一次応答を含め、現在利用できる機能は機能一覧で、設定の手順は使い方ガイドで確認してください。ほかの業種の例として、飲食店の電話対応や美容室・美容サロンの電話対応の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

動物病院の予約を、AIが自動で確定してくれますか?

この記事の設計では、AIや自動の案内は予約の希望を聞き取るまでを行い、確定はスタッフが予約の状況や獣医師の予定を確かめて行います。飼い主さんには、確定の前であることと、スタッフから連絡することを伝えます。

急患の電話を、自動の案内で待たせてしまわないか心配です。

最初のメニューの1番に急患を置き、選ばれた電話がすぐにスタッフにつながるように設定します。時間帯ごとに急患の電話を受ける人を決め、試験の電話で確かめておくことが大切です。

誤飲の相談に、AIが答えてもよいですか?

答えないようにします。何を、どのくらい、いつ口にしたかによって判断が変わるため、獣医師や看護師が判断する必要があります。AIは、誤飲の相談と分かったら、すぐにスタッフにつなぐか、時間外であれば急患の行き先を案内します。

夜間に診療していない場合、時間外の案内で何を伝えればよいですか?

診療時間外であること、次の診療の日時、急患の場合の行き先、急がない用件の扱いを伝えます。急患の行き先として地域の夜間の動物病院などを案内する場合は、受付の時間や事前の連絡の要否を確かめ、定期的に変更がないかを確かめましょう。

メニューはいくつくらいがよいですか?

五つ程度までに抑えるのがよいでしょう。急患のメニューを一番目に置き、慌てている飼い主さんが最後まで聞かなくても選べるようにします。

入院中の子の様子の問い合わせは、どう受ければよいですか?

担当の獣医師や看護師が答えるべき内容なので、自動の案内では答えません。電話が集中する場合は、様子を伝える時間帯を決めて病院から連絡する方法を、入院の際に説明しておくと、問い合わせを減らせます。

予防の季節だけ案内を変えることはできますか?

営業時間のルールや案内の切り替えの機能を使えば、期間を決めて案内を変えられることが多くあります。切り替えた日と戻す日を予定に入れておき、戻し忘れを防ぎましょう。

小さな動物病院でも、電話の仕組みを見直す意味はありますか?

あります。スタッフが少ない病院ほど、診療中の電話の負担が大きくなります。診療時間の自動の案内や、昼の手術の時間の折り返しの受付など、小さな見直しから始められます。

電話の録音や要約に、飼い主さんの情報が残っても大丈夫ですか?

残る情報の種類、保存の場所と期間、見られる人の範囲を導入の前に決め、個人の情報の扱いのルールに沿って管理します。法律やガイドラインの内容は個人情報保護委員会のウェブサイトで確かめ、自院の扱いは専門家などに確認してください。この記事の内容は法的助言ではありません。

AIの聞き取りが間違っていたらどうなりますか?

聞き取った内容はスタッフが確かめてから折り返す流れにしておけば、折り返しの際に正せます。動物の名前や希望の日時など、大切な項目は復唱して確かめる設計にしておくと、間違いを減らせます。

祝日や年末年始の診療の案内はどうすればよいですか?

営業時間のルールに休診の日や期間を登録し、その期間専用の案内を流します。祝日の日付は、内閣府の「国民の祝日」についてで確かめられます。長い休みの間の急患の行き先も、案内に入れておきましょう。

まとめ

動物病院の電話対応にAIや自動の案内を取り入れるときは、急患をいかに早く人につなぐかと、AIに何を任せないかが軸になります。

まずは、急患の電話を誰がどう受けるかを、時間帯ごとに書き出すところから始めてみてください。急患を先に通す電話の流れの設計は、AI-SNS.IO Callで試せます。アカウント登録から始めてみましょう。

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デモコンソールでは、着信をシミュレーションで体験できます。

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