学習塾のAI電話対応|体験授業・欠席連絡の受け方
学習塾の電話は、授業が始まる直前と、授業が終わった直後に集中します。夕方、生徒が教室に入ってくる時間帯に「今日、熱があるので休みます」という保護者からの電話が続き、同じ時間に「体験授業を受けてみたいのですが」という問い合わせが入ります。授業が始まれば、講師は教室に入り、事務の担当者も生徒の対応に追われて、電話に出られないことが増えます。
小さな塾では、塾長が授業も、保護者の面談も、電話の対応も一人で受け持っていることが珍しくありません。授業中に電話が鳴っても、生徒の前で長く話すわけにはいきません。出られなかった電話の中に、入塾を考えている家庭からの問い合わせが混じっていれば、ほかの塾に先に決まってしまうこともあります。
この記事では、学習塾の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、授業中や時間外の受け方、設計の例、講師やスタッフへの引き継ぎ、子どもの個人情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。体験授業や面談の日時の確定、入塾の手続き、学習や進路の相談は塾のスタッフが行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。
[[TOC]]
学習塾の電話対応で起きがちな課題
授業の前後に電話が集中する
学習塾の電話は、一日の中で偏ってかかってきます。学校が終わる時間から最初の授業が始まるまでの間に、欠席や遅刻の連絡、送り迎えの時間の確認、忘れ物の問い合わせが重なります。授業が終わる時間には、迎えに来た保護者から「子どもがまだ出てこない」という電話や、翌日の予定の確認が入ります。少ない人数で教室を回していると、この時間帯に電話をすべて受けるのは難しくなります。
授業中は電話に出られない
授業中に講師が電話に出ると、生徒の学習が止まります。個別指導の塾では、講師が一人で複数の生徒を見ていることもあり、席を外せません。事務の担当者がいない時間帯は、電話が鳴ったままになりがちです。かけた保護者は「つながらない」と感じ、急ぎの連絡であれば不安になります。
体験授業や入塾の問い合わせを取りこぼす
塾を探している家庭は、いくつかの塾に続けて電話をかけることがあります。最初につながった塾や、すぐに折り返しをくれた塾の印象が強く残ります。問い合わせの電話に出られず、折り返しも遅れると、それだけで候補から外れてしまうことがあります。新学期の前や、定期テストの結果が出た後など、問い合わせが増える時期には、とくに取りこぼしが起きやすくなります。
欠席の連絡が記録に残らない
欠席の連絡を電話で受けても、受けた人がメモを残し忘れると、講師に伝わりません。講師は生徒が来ないことを心配して家庭に電話をかけ、保護者は「朝に連絡したのに」と感じます。振替授業の扱いがある塾では、欠席の記録が振替の手配の元になるため、記録の漏れは後の行き違いにつながります。
子どもの安全にかかわる電話がある
「子どもが塾に着いているか知りたい」「いつもの時間に帰ってこない」という電話は、何より急ぐ電話です。ほかの問い合わせと同じように受付の順番を待たせたり、ボイスメールに入れたままにしたりしてはいけません。こうした電話を確実に人がすぐ受けられるように、電話の流れの中で最も優先して扱う必要があります。
よくある問い合わせの分類
学習塾にかかってくる電話を、急ぎの度合いと、誰が対応するかで分けてみます。

子どもの安全にかかわる連絡
塾に着いているか、まだ教室にいるか、帰りの時間を過ぎても戻らない、といった電話です。最も急ぎます。自動の案内で長く待たせず、教室にいるスタッフにすぐつながるようにします。つながらない場合も、記録を残して終わりにせず、ほかのスタッフの電話を続けて鳴らすなど、必ず人に届く流れにします。
欠席・遅刻・早退の連絡
当日の授業にかかわる連絡で、授業の前に講師へ届く必要があります。生徒の名前、学年、授業の時間、理由(体調不良など、話せる範囲で)、振替を希望するかどうかを聞き取れれば、人が出なくても用件は伝わります。聞き取りの記録が、授業が始まる前に講師に届く仕組みにします。
体験授業・入塾の問い合わせ
塾を探している家庭からの電話です。学年、通っている学校、希望する科目、目的(定期テスト、受験、学校の授業の補い)、希望の曜日や時間帯を聞き取り、担当者が折り返して日程を決めます。体験授業や面談の日時は、講師の予定と教室の空きを確認してから担当者が確定します。
授業の日程・振替の相談
振替授業の希望、季節の講習の日程、時間割の変更の相談などです。急ぐものではありませんが、講師の予定とかかわるため、担当者が確かめて折り返します。
月謝・手続きの問い合わせ
月謝の支払い、教材の費用、休塾や退塾の手続きなどです。お金や契約にかかわるため、担当者が対応します。自動の案内では、手続きの窓口と受付の時間を伝えるところまでにします。
学習や進路の相談
成績が伸びない、志望校をどう選べばよいか、といった相談です。電話で手短に答えるものではなく、面談の時間をとって講師や塾長が話を聞くのが基本です。電話では、面談の希望として受けます。
営業や業者からの電話
教材の営業、広告の勧誘などです。代表の番号にかかってきても、授業の前後の忙しい時間に対応する必要はありません。用件を聞き取り、必要なものだけ担当者が確かめます。
営業時間外・繁忙時の受け方
授業中の電話の受け方
授業中は、電話を鳴らしたままにせず、案内に切り替えます。案内では、授業中であること、用件ごとに番号を選べること、子どもの安全にかかわる急ぎの連絡は特別な番号でスタッフにつながることを伝えます。欠席の連絡はボイスメールで受け、講師に届けます。体験授業の問い合わせは、聞き取りの後で、授業の合間や終わった後に折り返します。
教室が開いていない時間の受け方
午前中や休みの日など、教室が開いていない時間は、受付の時間、ホームページの案内、欠席の連絡の方法を伝えます。翌日の欠席の連絡はボイスメールで受け、教室が開いたらすぐに講師に届くようにします。安全にかかわる連絡は、教室が開いていない時間はあまり想定されませんが、季節の講習や合宿の期間など、時間外にも生徒を預かる日があれば、その日の連絡先を案内に入れます。
季節の講習や新学期の前
季節の講習の申し込みや、新学期の入塾の問い合わせが重なる時期は、通常の時期と同じ体制では電話を受けきれません。講習の日程、申し込みの方法、締め切りを案内で先に伝え、詳しい相談はボイスメールで用件を受けて折り返す流れにします。受付の担当を増やす時間帯を決めておくのも有効です。
台風や大雪で休講にする日
天気の影響で授業を休みにする日は、電話が一斉にかかってきます。休講を決めたら、電話の案内に休講の知らせを入れ、振替の扱いはホームページや連絡の仕組みで知らせると伝えます。休講の判断の基準と、連絡の方法をあらかじめ家庭に伝えておくと、当日の電話が減ります。
時間帯ごとの案内の切り替えの組み方は、IVRの営業時間ルーティングの記事で、授業のある日とない日の分け方も含めて考えられます。
IVRとAI一次応答の設計例
番号の選び方の例
学習塾の案内では、選ぶ番号を少なくし、最初に安全にかかわる連絡の番号を置きます。
- 1番:子どもの安全にかかわる急ぎの連絡(教室のスタッフにすぐつなぐ)
- 2番:欠席・遅刻・早退の連絡(ボイスメールで用件を受けて講師に届ける)
- 3番:体験授業・入塾のご相談(聞き取りの後で担当者が折り返す)
- 4番:そのほかのお問い合わせ(日程、月謝、手続きなど)
番号を選ばずに待っている場合は、教室のスタッフにつなぐか、それが難しければ、用件を聞き取る流れにします。
AIによる一次応答に任せる範囲
AIや自動の案内に任せるのは、決まった情報の案内と、用件の聞き取り、記録の要約です。
- 任せてよいもの:受付の時間、教室の場所、体験授業の申し込みの流れ、欠席の連絡の聞き取り、問い合わせの内容の要約
- 任せないもの:体験授業や面談の日時の確定、入塾の可否、月謝の個別の計算、振替の確定、学習や進路の助言、子どもの所在の確認
子どもが教室にいるかどうかは、必ずスタッフが目で確認して答えます。自動の案内や記録だけをもとに「いらっしゃいます」と答えることは、絶対にしません。
AIによる一次応答の全体の考え方は、AI電話受付とはで、塾に限らない形で整理しています。
聞き取りで確認する項目
欠席の連絡の聞き取りでは、次の項目を順に確かめます。
- 生徒の名前(同じ名前の生徒がいる場合に備え、学年もあわせて)
- 欠席・遅刻・早退のどれか
- 授業の日と時間
- 理由(話せる範囲で)
- 振替授業の希望があるか
- 折り返しの電話が必要か
体験授業の問い合わせでは、学年、学校、科目、目的、希望の曜日と時間帯、連絡先、折り返しに都合のよい時間を聞き取ります。

スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う
欠席の連絡の届け方
欠席の連絡は、授業の前に担当の講師へ届くことが何より大切です。聞き取りの記録を、教室の受付の画面や、講師が授業の前に必ず見る場所に表示します。講師は、授業の前に欠席の一覧を確認し、連絡のない生徒が来ていない場合は家庭に連絡します。
体験授業の日時は担当者が確定する
体験授業の問い合わせを受けたら、担当者が講師の予定と教室の空きを確認し、保護者に電話で日時を提案します。自動の案内で「〇日の〇時に体験授業を受けられます」と伝えることはしません。日時が決まったら、担当者から確認の連絡を送ります。
振替授業の扱い
振替の希望は、欠席の連絡とあわせて受け、担当者が講師の予定を確認してから振替の日時を決めます。振替の決まり(何日前までの連絡が必要か、何回まで振り替えられるか)は塾ごとに違うため、案内では「振替は担当者からご連絡します」と伝えるにとどめます。
保護者の相談は面談につなぐ
成績や進路、子どもの様子についての相談は、電話の受付で答えず、講師や塾長との面談の希望として受けます。面談の日時も、担当者が確かめてから確定します。
個人情報と記録の扱い
子どもの情報は慎重に扱う
学習塾では、子どもの名前、学校、成績、家庭の連絡先、体調の情報など、慎重に扱うべき情報を多く預かります。電話の記録にも、こうした情報が残ります。記録を見られる人を、教室のスタッフと担当の講師に限り、必要な期間を過ぎた記録は塾の決まりに沿って消します。
電話をかけてきた人の確認方法
「子どもが今日来ているか教えてほしい」という電話がかかってきたとき、かけてきた人が本当に保護者かどうかを確認しずに答えてはいけません。登録されている保護者の電話番号からの電話か、保護者の名前と生徒の情報が一致するかを確認します。迷う場合は、登録されている番号に折り返して答えます。
録音と要約の扱い
通話を録音したり、AIで要約したりする場合は、そのことを案内の最初で伝えます。塾のプライバシーポリシーにも、録音や要約をどのように使い、どれだけの期間保管するかを書いておきます。
子どもの個人情報を含む情報の扱いの基本は、個人情報保護委員会のウェブサイトで、法律や事業者向けの案内として公開されています。ここでの内容は一般的な考え方の説明であり、法的助言ではありません。
導入の進め方
1. 今の電話の様子を記録する
まず、二週間ほど、電話の記録をとります。かかってきた時間、用件、出られたかどうか、折り返しにかかった時間を、簡単な表に書きます。授業の前後や、季節の講習の前など、電話が集中する時間と時期が見えてきます。出られなかった電話のうち、どの用件が多かったかも分かります。
2. 安全にかかわる連絡の流れを先に決める
自動の案内を入れる前に、子どもの安全にかかわる電話を誰が受けるかを決めます。教室にいるスタッフの電話、塾長の携帯電話、ほかの教室の電話など、つながらなかった場合に次に鳴らす順番まで決めておきます。この流れが決まっていないうちは、自動の案内を始めません。
3. 案内の内容を整える
受付の時間、教室の場所、体験授業の流れ、欠席の連絡の方法、休講の連絡の方法を、短い文章にまとめます。ホームページや入塾の案内の資料と同じ内容になっているかを確認します。
4. 任せる範囲を決める
自動の案内で伝える情報と、ボイスメールで受ける用件、すぐにスタッフにつなぐ用件を分けます。迷う用件は、最初はスタッフにつなぐ側に入れておき、様子を見て変えます。
5. 試験してから始める
塾のスタッフが、保護者の役になって何度も電話をかけてみます。番号の選び方が分かりやすいか、欠席の連絡の聞き取りが授業の前に講師へ届くか、安全にかかわる番号が確実にスタッフにつながるかを確認します。
6. 時間外から始めて広げる
最初は、教室が開いていない時間の欠席の連絡と問い合わせの聞き取りから始めます。記録がきちんと届き、保護者からの不満がないことを確認してから、授業中の時間にも広げます。
7. 保護者に知らせる
電話の受け方を変えたら、保護者に知らせます。欠席の連絡は何番を選べばよいか、急ぎの連絡はどうすればつながるかを、お便りやホームページで伝えます。新しく入塾した家庭には、入塾の手続きのときに説明します。
8. 記録を見て直す
始めてから一か月ほどたったら、記録を見直します。ボイスメールで受けた用件の中に、すぐにつなぐべきだったものがなかったか、折り返しが遅れた用件がなかったかを確認し、案内と流れを直します。
小さな教室を一人か二人で運営している場合の電話の整え方は、小さな会社の電話対応で、受け持ちを分けられない体制を前提にまとめています。
学習塾ならではの工夫
集団指導と個別指導の違い
集団指導の塾では、決まった時間に多くの生徒が一度に集まり、授業の前に欠席の連絡が集中します。欠席の一覧をクラスごとにまとめて講師に届けると、出席の確認が早く済みます。個別指導の塾では、生徒ごとに授業の時間が違い、振替の相談が多くなります。振替の希望を聞き取るときに、希望の曜日と時間帯を複数聞いておくと、担当者が調整しやすくなります。
複数の教室がある塾
いくつかの教室を運営している塾では、どの教室にかかわる用件かを最初に分ける必要があります。教室ごとに電話番号を分けるか、一つの番号で最初に教室を選んでもらうかを決めます。どちらの場合も、安全にかかわる連絡は、その生徒が通う教室のスタッフに直接つながるようにします。
受験の時期の電話
受験が近づく時期には、模試の結果、志望校、出願の書類について、保護者からの相談が増えます。こうした相談は、電話で短く答えると誤解を生みやすいため、面談の希望として受けます。受験の前日や当日には、緊張した保護者や生徒からの電話もあります。この時期は、スタッフにつなぐ範囲を広げておくと安心です。
定期テストの前の補習
定期テストの前に補習や自習室の利用を案内する塾では、「自習室は空いているか」「補習の時間は何時か」という電話が増えます。定期テスト前の補習の時間割や自習室の利用ルールを案内文として用意しておくと、同じ質問に繰り返し答えずに済みます。
送迎の時間の連絡
迎えの時間の連絡や、「迎えが遅れるので教室で待たせてほしい」という電話は、授業が終わる時間の前後に届く必要があります。ボイスメールで受ける場合も、授業の終わりまでに担当の講師が確かめられるようにします。迎えの遅れの連絡は、子どもを教室で預かる時間にかかわるため、急ぎの扱いに近い用件として扱います。
卒業生や元の生徒の家庭
退塾した生徒の家庭や、卒業生の保護者から、成績証明のような書類の依頼や、兄弟の入塾の相談が入ることがあります。過去の在籍の記録を確認するのに時間がかかるため、ボイスメールで用件を受けて担当者が折り返します。
学年によって変わる問い合わせ
同じ塾でも、生徒の学年によって電話の中身は変わります。
- 小学生の家庭:送り迎えの時間、教室での待ち方、宿題の量についての問い合わせが多くなります。迎えの遅れの連絡は、子どもを教室で預かる時間にかかわるため、届く速さが大切です。
- 中学生の家庭:定期テストの対策、部活動との両立、高校受験の準備の相談が多くなります。部活動の予定で授業の時間を変えたいという振替の相談も増えます。
- 高校生の家庭:大学受験の科目の選び方や、模試の結果についての相談が中心になります。生徒本人が電話をかけてくることも増えます。
学年ごとに聞き取りの項目を少し変えておくと、担当者が折り返したときに話が早く進みます。
生徒本人からの電話
中学生や高校生になると、生徒本人が「今日は遅れます」「自習室を使ってよいですか」と電話をかけてくることがあります。生徒本人からの欠席や遅刻の連絡を受けるかどうか、保護者にも知らせる必要があるかは、塾ごとに決めておきます。本人からの連絡だけで受け付ける場合も、無断の欠席が続くようなときは、保護者に連絡するのが安心です。
休塾・退塾の電話
「しばらく休みたい」「やめたい」という電話は、月謝の扱いや手続きにかかわります。受付では理由を深く聞き込まず、手続きの担当者から折り返すと伝えます。担当者は、手続きの決まり(いつまでに伝えれば翌月の月謝がかからないかなど)を説明し、必要であれば面談で事情を聞きます。退塾の理由は、塾の運営を見直すための大切な声でもあるので、話してもらえた範囲で記録に残します。
入塾してすぐの家庭への連絡
入塾したばかりの家庭は、教室の決まりや連絡の方法にまだ慣れていません。最初の一か月ほどは、欠席の連絡の方法や、急ぎのときの電話のかけ方を、改めて伝えるようにします。入塾の手続きのときに、電話の案内の番号の選び方を書いた紙を渡しておくと、最初の連絡で迷う家庭が減ります。
体験授業の後の連絡
体験授業を受けた家庭は、その後に入塾するかどうかを家で話し合います。体験授業の後、数日たってから塾から連絡を入れる場合は、いつ、誰が電話をするかを体験授業の日に伝えておきます。前もって伝えておけば、保護者は塾からの電話を待つことができ、知らない番号からの電話として出てもらえないことも減ります。入塾を決めた家庭からの電話は、手続きの担当者に届くようにし、入塾の手続きの書類、授業の開始日、月謝の支払いの方法は担当者が説明します。
入塾しないと決めた家庭に、何度も電話をかけるのは避けます。一度連絡して返事をもらったら、それで終わりにします。
兄弟や姉妹で通う家庭
兄弟や姉妹が同じ塾に通う家庭では、「上の子は休み、下の子は行きます」といった連絡がよくあります。聞き取りで生徒の名前を一人ずつ確かめ、それぞれの講師に正しく届くようにします。迎えの時間が兄弟で違う場合の連絡も、取り違えないよう名前とあわせて記録します。
体験授業の問い合わせの聞き取りシート
体験授業の問い合わせの電話を受けたときに確かめる項目を、一枚にまとめておきます。
| 項目 | 聞き方の例 | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 生徒の学年 | 「お子さまは今、何年生ですか」 | 学年と学校の種類 |
| 通っている学校 | 「差し支えなければ、学校名を教えてください」 | 学校名(任意) |
| 希望の科目 | 「どの科目を中心に考えていらっしゃいますか」 | 科目 |
| 目的 | 「定期テスト、受験、学校の授業の補いなど、どれに近いですか」 | 目的 |
| 希望の曜日・時間帯 | 「通える曜日と時間帯を教えてください」 | 複数の候補 |
| 連絡先 | 「折り返しのお電話番号を教えてください」 | 電話番号 |
| 折り返しの都合 | 「お電話しやすい時間帯はありますか」 | 時間帯 |
| きっかけ | 「当塾をどちらでお知りになりましたか」 | 任意 |
学校名やきっかけは、答えたくない家庭もあるため、無理に聞きません。
欠席の連絡の聞き取りシート
欠席の連絡を受けたときの記録の形をそろえておくと、講師が授業の前に一目で確認できます。
| 項目 | 記録の例 | 講師が見るときの点 |
|---|---|---|
| 生徒の名前・学年 | 〇〇(中学二年) | 同じ名前の生徒と取り違えない |
| 連絡の種類 | 欠席 | 遅刻・早退なら到着や帰る時刻も |
| 授業の日時 | 〇日 〇時の数学 | どのクラスの名簿から外すか |
| 理由 | 体調不良 | 話せる範囲で、深く聞き込まない |
| 振替の希望 | あり(平日の夕方) | 担当者に振替の調整を頼む |
| 連絡してきた人 | 保護者(登録の番号から) | 登録の番号でなければ確かめる |
| 折り返しの要否 | 不要 | 必要なら担当者に知らせる |
連絡のない欠席が分かったときに、すぐに家庭に連絡できるよう、受けた欠席の連絡はすべてこの形で残します。
案内の文章のひな形
塾の案内に使える文章の例を示します。説明のための文例ですので、〇の部分は教室の名前や授業の時間に合わせて書き換えてください。
授業中の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇塾〇〇教室です。ただいま授業中のため、スタッフがお電話に出られません。お子さまの安全にかかわる急ぎのご連絡は1番を押してください。欠席・遅刻・早退のご連絡は2番、体験授業・入塾のご相談は3番、そのほかのお問い合わせは4番を押してください。」
欠席の連絡の聞き取りの例:
「欠席・遅刻・早退のご連絡を承ります。お子さまのお名前と学年、授業の日と時間、欠席・遅刻・早退のどれかをお話しください。振替授業をご希望の場合は、そのこともお知らせください。内容は授業の前に担当の講師にお伝えします。」
教室が開いていない時間の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇塾です。本日の受付は終了しました。受付の時間は、平日の〇時から〇時です。欠席のご連絡は2番を押して、メッセージを残してください。翌日の授業の前に担当の講師にお伝えします。」
よくある場面の対応例
ここで紹介するのは、説明のための架空の例です。実際の塾の事例ではありません。
授業の直前に欠席の連絡が入った場面
授業が始まる十分前、講師は教室で準備をしていて電話に出られません。保護者は2番を選び、子どもが熱を出したので休むことと、振替を希望することを話します。聞き取りの記録は、受付の画面と講師の画面に表示されます。講師は授業の前に記録を確認し、出席の確認から外します。振替の日時は、授業の後で担当者が講師の予定を確認し、翌日に保護者に電話で提案します。
迎えに来た保護者が子どもを見つけられない場面
授業が終わった時間に、保護者から「教室の前で待っているが、子どもが出てこない」という電話が入ります。保護者は1番を選び、教室のスタッフの電話が鳴ります。スタッフはすぐに教室の中を確認し、子どもがまだ自習室にいることを確認して、保護者に伝えます。もしスタッフが出られなければ、次に塾長の携帯電話が鳴る順番になっています。
夜に体験授業の問い合わせが入った場面
教室が閉まった後の夜、保護者から体験授業の問い合わせが入ります。保護者は3番を選び、中学二年生の子どもの数学について相談したいこと、平日の夕方なら通えることを話します。翌日、担当者は講師の予定を確認してから保護者に電話をかけ、体験授業の日時の候補を伝えます。保護者が日時を選んだ後で、担当者が確定の連絡をします。
季節の講習の申し込みの電話が重なった場面
講習の申し込みの締め切りが近づき、電話が重なります。案内で講習の日程と申し込みの方法を先に伝えると、多くの保護者はホームページの申し込みの手続きに進みます。日程の相談が必要な家庭は、ボイスメールで受け、担当者が順に折り返します。
連絡のないまま生徒が来ない場面
授業が始まっても、ある生徒が来ていません。講師は欠席の一覧を確認しますが、その生徒の連絡は入っていません。講師は授業を続け、受付のスタッフが登録されている保護者の番号に電話をかけます。保護者が出ないため、留守番電話に塾の名前と、生徒がまだ教室に来ていないことを伝え、もう一つの登録の番号にもかけます。しばらくして保護者から折り返しがあり、学校の行事で遅くなっていたことが分かります。スタッフは、そのやり取りを記録に残し、講師に伝えます。
この例のように、連絡のない欠席に気づいたときに誰が、どの順で家庭に連絡するかを決めておくと、講師が授業を止めずに済みます。
折り返しの電話のかけ方
塾からの折り返しは、保護者が電話に出やすい時間を選びます。昼間は仕事をしている保護者が多いため、聞き取りのときに都合のよい時間帯を確認しておきます。折り返すときは、次の順に話すと短く済みます。
- 塾の名前と自分の名前を名乗る
- どの電話への折り返しかを伝える(「昨日の夜に体験授業のお問い合わせをいただいた件です」)
- 聞き取りの内容を確認する(学年、科目、希望の時間帯)
- 日時の候補を伝え、選んでもらう
- 決まった内容を繰り返し、確認の連絡の方法を伝える
折り返しても出ない場合は、留守番電話に塾の名前と折り返しの用件を短く残し、もう一度かける時間を伝えます。
スタッフの一日の流れの例
ここでは、架空の個別指導の教室の一日を例に、電話の受け方の流れを示します。
- 教室が開く前:前の晩と朝に受けた欠席の連絡と問い合わせの記録を確認し、講師ごとに欠席の一覧をつくる
- 教室が開いてから最初の授業まで:受付のスタッフが電話を受ける。体験授業の問い合わせへの折り返しは、この時間にまとめて行う
- 授業中:電話は案内に切り替える。安全にかかわる連絡はスタッフにつながる
- 授業の合間:聞き取りの記録を確認し、急ぐものから折り返す
- 授業の後:迎えの保護者からの電話を受け、生徒が全員帰ったことを確認する
- 教室を閉める前:時間外の案内に切り替わっていることを確認する
地震や急な天気の変化が起きたとき
授業中に大きな地震が起きたり、急に天気が悪くなったりすると、保護者からの電話が一度に集中します。多くは「子どもは無事か」「迎えに行くべきか」という電話です。このような時には、まず教室にいる生徒の安全を確認し、そのうえで保護者に知らせる方法を決めておきます。
- 生徒の安全を確認する担当と、電話を受ける担当を分ける
- 電話の案内を、生徒が教室で安全に待っていることや、迎えの方法を知らせる内容に切り替える
- 迎えに来た保護者に子どもを引き渡したことを、名簿で一人ずつ記録する
- 連絡の仕組みがあれば、全員への一斉の知らせも使う
生徒を帰す決まりや、保護者への引き渡しの決まりは、塾ごとに前もって決めて保護者に伝えておくものです。電話の案内は、その決まりに沿った内容にします。
保護者面談の時期の電話
学期の終わりや受験の前に保護者面談を行う塾では、面談の日程の調整の電話が増えます。面談の候補の日時を先にお便りやウェブで知らせ、希望を集めてから担当者が日時を確定する流れにすると、電話のやり取りが減ります。電話で受ける場合は、希望の日時を複数聞き取り、担当者が講師の予定と照らし合わせてから連絡します。面談の日を変えたいという電話も、同じようにボイスメールで用件を受けて担当者が調整します。
電話の案内の聞きやすさ
保護者は、仕事の休み時間や移動中に電話をかけてくることが多く、長い案内を最後まで聞く余裕がありません。案内の文章は短くし、最初の一文で塾の名前と、急ぎの連絡の番号を伝えます。番号の説明は四つまでにとどめ、同じ番号の意味を教室ごとに変えないようにします。案内の声の速さや聞き取りやすさも、スタッフが実際に電話をかけて確かめます。
準備のチェックリスト
- 子どもの安全にかかわる連絡を誰が受けるか、つながらない場合の順番が決まっている
- 欠席の連絡の聞き取りが、授業の前に講師に届く
- 体験授業や面談の日時は、担当者が確かめてから確定する決まりになっている
- 子どもの所在は、スタッフが目で確認して答える決まりになっている
- 保護者かどうかの確認方法が決まっている
- 録音や要約をすることを、案内とプライバシーポリシーで伝えている
- 休講の連絡の方法を、保護者に前もって伝えている
- 案内の内容が、ホームページや入塾の資料と同じになっている
- 電話の受け方を変えたことを、保護者に知らせている
電話以外の連絡の方法との使い分け
欠席の連絡や面談の予約を、アプリやウェブの仕組みで受けている塾もあります。電話とほかの方法の使い分けを決めておくと、保護者が迷いません。
| 方法 | 向いていること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 当日の急ぎの連絡、安全にかかわる連絡 | 授業中はつながりにくい |
| 連絡のアプリやウェブの仕組み | 前もって分かっている欠席、面談の予約の希望 | 当日の直前の連絡は見落とされることがある |
| 面談 | 学習や進路の相談 | 日時を担当者と決める |
安全にかかわる連絡は、どの方法を使っている家庭にも「急ぎのときは電話で」と伝えておきます。
案内を古くしない
時間割、受付の時間、講習の日程、休講の連絡の方法は、季節や学年が変わるたびに変わります。新学期、季節の講習の前後、教室の休みの前に、電話の案内を見直す日を決めておきます。講習の案内を流したままにしていると、講習が終わった後に「申し込みたい」という電話が入り、行き違いが起きます。
スタッフへの共有と新しいスタッフの教育
学習塾では、大学生の講師など、勤務の時間が短いスタッフも多く働いています。全員が電話の流れを理解しているとは限りません。次の点を、新しいスタッフが最初に覚えることとして伝えます。
- 安全にかかわる電話は、何よりも先に受ける
- 子どもの所在は、必ず目で確認してから答える
- 体験授業、振替、面談の日時は、その場で約束しない
- 成績や進路の相談は、面談の希望として受ける
- 聞き取りの記録は、授業の前と合間に必ず確かめる
塾長・事務・講師の役割分担
電話にかかわる役割を、あらかじめ分けておくと、授業の前後の忙しい時間でも流れが止まりません。
| 役割 | 塾長 | 事務のスタッフ | 講師 |
|---|---|---|---|
| 安全にかかわる電話 | つながらない時の次の受け手 | 最初に受ける | 教室の中を確認する |
| 欠席の連絡 | 記録の決まりを決める | 記録を確認して一覧にする | 授業の前に一覧を見る |
| 体験授業・入塾 | 面談を受け持つ | 折り返して日時を調整する | 体験授業を受け持つ |
| 振替・面談の日程 | 決まりを決める | 講師の予定を確認して連絡 | 空いている時間を知らせる |
| 学習や進路の相談 | 面談で話を聞く | 面談の希望として受ける | 面談で話を聞く |
事務のスタッフがいない時間帯は、塾長か、その日の責任者を決めておき、その人が事務の役割を受け持ちます。
講師の個人の電話を使わない
保護者と連絡を取りやすいからといって、講師が個人の携帯電話の番号を保護者に教えてしまうと、記録が塾に残らず、講師がやめた後に連絡がつかなくなります。夜遅くや休みの日にも電話がかかり、講師の負担にもなります。保護者との連絡は、塾の電話番号と塾の連絡の仕組みに集め、講師が直接やり取りする必要がある場合も、塾の電話から行うようにします。
電話のそばに置く一枚
電話に出ることが少ない講師のために、電話のそばに一枚の紙を置いておきます。書いておくのは、安全にかかわる電話の受け方(すぐに教室の中を確認し、塾長に知らせる)、保護者かどうかの確認方法、欠席の連絡の記録の場所、日時をその場で約束しないこと、困ったときに連絡する人の名前です。
効果の確認方法と見直し
電話の流れを変えた後は、記録をもとに、次の点を確認します。
- 出られなかった電話のうち、聞き取りで用件が分かったものの割合
- 体験授業の問い合わせから、折り返しまでにかかった時間
- 欠席の連絡が、授業の前に講師に届いていたか
- 安全にかかわる連絡が、すぐにスタッフにつながったか
- 保護者から寄せられた電話についての声
数字は自分の塾の記録から出すもので、ほかの塾と比べるためのものではありません。前の月と比べて、改善できたかどうかを確認します。
CallでIVRと欠席連絡の聞き取りを組む
学習塾の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、キューごとのボイスメール、IVRからのコールバックの受付、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。安全にかかわる連絡をスタッフの電話にすぐつなぎ、欠席の連絡や体験授業の問い合わせはボイスメールで用件を受けて、授業の前や合間に確かめる流れが組めます。設定の手順は使い方のガイドとドキュメントにまとめています。
日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、教室のスタッフが確認しやすくする使い方です。体験授業や振替の日時の確定、入塾の手続き、学習の相談は、塾のスタッフが行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。
ほかの業種の例として、フィットネスジムの電話対応、介護事業所の電話対応もあわせてご覧ください(学習塾のAI電話対応|体験授業・欠席連絡の受け方からの関連案内)。
よくある質問
AIが体験授業の日時を決めてくれますか?
決めません。体験授業の日時は、担当者が講師の予定と教室の空きを確かめてから確定します。自動の案内やボイスメールで受けるのは、希望の曜日や時間帯までです。
授業中に欠席の連絡が入ったら、講師に届きますか?
聞き取りの記録を、講師が授業の前や合間に見る画面に表示すれば届きます。授業の前に必ず欠席の一覧を確かめる決まりにしておくことが大切です。
「子どもが教室にいるか」という電話に、自動で答えてもよいですか?
いいえ。子どもの所在は、必ずスタッフが目で確かめて答えます。こうした電話は最も急ぐ電話として、スタッフにすぐつながる流れにします。
電話をかけてきた人が保護者かどうか、どう確かめますか?
登録されている保護者の電話番号からの電話かどうか、保護者の名前と生徒の情報が一致するかを確かめます。迷う場合は、登録されている番号に折り返してから答えます。
振替授業の希望も、ボイスメールで受けられますか?
受けられます。希望の曜日と時間帯を複数聞いておくと、担当者が調整しやすくなります。振替の日時は、担当者が講師の予定を確かめてから決めます。
成績や進路の相談の電話には、どう対応しますか?
電話の受付では答えず、講師や塾長との面談の希望として受けます。面談の日時は、担当者が確かめてから保護者に連絡します。
休講にする日の電話は、どうすればよいですか?
休講を決めたら、電話の案内に休講の知らせを入れます。振替の扱いや詳しい知らせは、ホームページや連絡の仕組みで伝えると案内します。休講の基準と連絡の方法は、前もって保護者に伝えておきます。
季節の講習の申し込みの電話が重なるときは?
講習の日程と申し込みの方法を案内で先に伝え、相談が必要な家庭はボイスメールで用件を受けて折り返します。受付の担当を増やす時間帯を決めておくのも有効です。
通話を録音してもよいですか?
録音する場合は、案内の最初でそのことを伝え、プライバシーポリシーにも使い方と保管の期間を書いておきます。録音を聞ける人は、必要なスタッフに限ります。
複数の教室があるときは、どう分けますか?
教室ごとに番号を分けるか、一つの番号で最初に教室を選んでもらいます。安全にかかわる連絡は、その生徒が通う教室のスタッフに直接つながるようにします。
大学生の講師にも電話の流れを伝える必要がありますか?
あります。安全にかかわる電話を先に受けること、子どもの所在は目で確かめてから答えること、日時をその場で約束しないことは、勤務の時間にかかわらず全員が知っておくべきことです。
まとめ
学習塾の電話は、授業の前後に集中し、授業中は出られないことが多くなります。子どもの安全にかかわる連絡を最も優先し、すぐにスタッフにつながる流れを先に決めたうえで、欠席の連絡や体験授業の問い合わせはボイスメールで用件を受けて、授業の前や合間に確かめる形にすると、取りこぼしを減らせます。
AIや自動の案内に任せるのは、決まった情報の案内と用件の聞き取り、記録の要約までです。体験授業や面談の日時、振替、入塾の手続き、学習や進路の相談、子どもの所在の確認は、塾のスタッフが行います。小さく始めて記録を見ながら直していけば、講師が授業に集中できる時間を守りながら、保護者からの電話にも応えられる体制がつくれます。



