フィットネスジムのAI電話対応|入会・体験・休会
フィットネスジムの電話は、会員が集まる時間帯と重なってかかってきます。仕事帰りの会員が増える夕方から夜にかけて、受付のスタッフは入館の対応、器具の使い方の案内、スタジオのレッスンの準備に追われます。そこへ「体験を受けたいのですが」「来月から休会したい」「今日のヨガのレッスンはありますか」という電話が続きます。パーソナルトレーニングの担当者は、セッションの最中は電話に出られません。
最近は、スタッフが常駐しない時間帯のある二十四時間営業のジムも増えています。夜中や早朝にかかってくる電話を誰が受けるのか、館内で困ったことが起きた会員の連絡をどう受けるのかは、運営の大切な課題です。
この記事では、フィットネスジムの電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や混み合う時間の受け方、設計の例、スタッフへの引き継ぎ、会員の個人情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。入会や休会・退会の手続き、体験やパーソナルトレーニングの日時の確定、運動や体調についての助言はスタッフが行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。
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フィットネスジムの電話対応で起きがちな課題
混み合う時間ほど電話に出られない
ジムの受付が最も忙しいのは、会員が多く来館する時間帯です。入館の受付、新しい会員への施設の案内、タオルや備品の貸し出し、器具の不具合の連絡が重なり、電話が鳴っても手が離せません。電話をかけてくる人の多くも、仕事や家事が一段落した夕方以降にかけてくるため、ジムが忙しい時間と電話が増える時間が重なります。
入会を考えている人の電話を逃す
ジムを探している人は、近くのいくつかのジムを比べています。料金の仕組み、営業時間、設備、体験ができるかを電話で聞き、その場で答えが得られたジムや、すぐに折り返しをくれたジムに体験の予約を入れます。電話に出られず、折り返しも翌日になると、その間にほかのジムに決まってしまうことがあります。
休会・退会の電話が多く、内容も繊細
ジムには、休会や退会、プランの変更の電話が毎月の締め日の前に集中します。手続きの締め切りや必要な書類はジムごとに決まっていて、伝え方を間違えると、会員とのトラブルにつながります。「電話で退会できると聞いたのに、手続きが終わっていなかった」という行き違いは、会員の不満の大きな原因になります。
スタッフが常駐しない時間の連絡
二十四時間営業のジムでは、夜間や早朝にスタッフがいない時間帯があります。その時間に「入館のカードが反応しない」「シャワーのお湯が出ない」「館内で気分が悪くなった人がいる」という連絡が入ることがあります。急ぎの度合いがまったく違う連絡が、同じ電話番号にかかってきます。
レッスンの予約と変更の電話
スタジオのレッスンを予約制にしているジムでは、予約の取り方、キャンセル、レッスンの中止の確認の電話が多く入ります。予約の仕組みをアプリやウェブで用意していても、使い方が分からない会員や、直前の変更を電話で伝えたい会員がいます。
よくある問い合わせの分類
フィットネスジムにかかってくる電話を、急ぎの度合いと、誰が対応するかで分けてみます。

館内での体調不良やけがの連絡
館内で人が倒れた、けがをした、気分が悪くなった、という連絡です。最も急ぎます。命にかかわるおそれがあれば、まず119番に通報するよう案内します。スタッフがいる時間は、スタッフにすぐつながるようにします。スタッフが常駐しない時間は、ジムが決めている緊急の連絡先(運営の会社の窓口や、警備の会社など)につながる流れにします。
入館や設備の不具合
入館のカードやアプリが反応しない、ドアが開かない、シャワーやロッカーが使えない、といった連絡です。会員がその場で困っているため、急ぎます。ただし命にかかわる連絡とは分けて扱います。対応手順が決まっているもの(よくある入館トラブルの確認方法など)は案内し、それで解決しないものはスタッフや運営窓口に引き継ぎます。
入会・体験の問い合わせ
ジムを探している人からの電話です。営業時間、場所、駐車場、設備、体験の受け方といった決まった情報は案内できます。料金の個別の見積もりや、キャンペーンが使えるかどうかは、スタッフが確かめて案内します。体験の日時は、スタッフが予定を確認してから確定します。
休会・退会・プランの変更
会員の契約にかかわる電話です。手続きの方法と締め切りの案内まではできますが、手続きそのものはスタッフが行うか、ジムが決めた書類やウェブの手続きで受けます。電話で「退会を受け付けました」と自動で伝えることはしません。
レッスンやパーソナルトレーニングの予約
レッスンの予約やキャンセル、パーソナルトレーニングの日程の相談です。予約の仕組みがあれば、その使い方を案内します。パーソナルトレーニングの日時は、担当のトレーナーの予定を確認してからスタッフが確定します。
忘れ物や落とし物
ロッカーに忘れた、タオルを置き忘れた、といった電話です。急ぐものではありませんが、会員にとっては気になる用件です。忘れた日時、場所、物の特徴を聞き取り、スタッフが確かめて折り返します。
運動や体の相談
「腰が痛いが運動してよいか」「持病があるが入会できるか」といった相談です。体の状態についての判断は、医師に相談するよう案内するのが基本です。ジムのスタッフも医療の判断はしません。電話では、トレーナーとの面談やカウンセリングの希望として受けます。
営業時間外・繁忙時の受け方
混み合う時間の電話
夕方から夜の混み合う時間は、電話を案内に切り替え、用件ごとに番号を選んでもらいます。館内での急ぎの連絡はスタッフにすぐつなぎ、体験の問い合わせや忘れ物はボイスメールで用件を受けて、混雑が落ち着いた時間に折り返します。営業時間や駐車場、レッスンの予定といった決まった情報は、案内で伝えます。
スタッフがいない時間
スタッフが常駐しない時間帯は、案内で、スタッフがいる時間を伝え、急ぎの連絡の受け方をはっきり示します。命にかかわるときは119番、入館トラブルなど館内で困っているときは運営の緊急の窓口、と分けて案内します。体験や入会の問い合わせはボイスメールで受け、スタッフがいる時間に折り返します。
月末の休会・退会の電話
締め日の前は、休会や退会の電話が集中します。案内で、手続きの方法と締め切り、必要なものを先に伝えると、同じ説明を繰り返す時間が減ります。手続きの方法を一つに決めておくこと(受付で書類を出す、会員のページで手続きするなど)と、電話だけでは手続きが終わらないことを、はっきり伝えます。
年末年始や設備の点検の休館
休館の日は、電話の案内に休館の期間と、再開の日を入れます。休館中の会費の扱いなど、会員から質問が出そうなことは、前もってお知らせで伝えておきます。
営業時間の内と外で案内を切り替える方法は、IVRの営業時間ルーティングの記事で、スタッフのいる時間といない時間の分け方の考え方として使えます。
IVRとAI一次応答の設計例
番号の選び方の例
フィットネスジムの案内では、最初に命にかかわる場合の案内を置き、そのあとに用件の番号を並べます。
- 最初の案内:「館内で人が倒れたなど、命にかかわるときは、すぐに119番に通報してください。」
- 1番:館内での急ぎの連絡、入館や設備の不具合(スタッフか運営の窓口につなぐ)
- 2番:入会・体験のご相談(聞き取りの後でスタッフが折り返す)
- 3番:休会・退会・プランの変更(手続きの方法を案内し、相談はボイスメールで受ける)
- 4番:レッスン・パーソナルトレーニング・そのほか
AIによる一次応答に任せる範囲
ジムの電話で自動の案内やAIに受け持たせるのは、いつ聞かれても答えが同じ情報の案内と、用件の聞き取り、通話の内容の要約にとどめます。
- 任せてよいもの:営業時間、スタッフのいる時間、場所と駐車場、設備の一覧、体験の受け方の流れ、休会・退会の手続きの方法と締め切り、問い合わせの内容の聞き取りと要約
- 任せないもの:入会・休会・退会の手続きの完了、料金の個別の計算、体験やパーソナルトレーニングの日時の確定、運動や体調についての助言、館内の安全の判断
AIによる一次応答で何ができて何をしないのかは、AI電話受付とはで、業種を問わない形で解説しています。

聞き取りで確認する項目
体験の問い合わせの聞き取りでは、次の項目を順に確かめます。
- 名前と、折り返しの電話番号
- 体験したい内容(マシン、スタジオのレッスン、プール、パーソナルトレーニングなど)
- 希望の曜日と時間帯(複数)
- 運動の経験や目的(話せる範囲で)
- 折り返しに都合のよい時間帯
忘れ物の聞き取りでは、来館した日時、使った場所(ロッカーの番号、スタジオ、更衣室など)、物の特徴、会員の名前と連絡先を確認します。
スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う
体験の日時はスタッフが確定する
体験の問い合わせを受けたら、スタッフがその時間の混み具合や、案内を担当するスタッフの予定を確認してから、日時を提案します。自動の案内で「〇日の〇時に体験できます」と伝えることはしません。日時が決まったら、持ち物(運動のできる服、室内用の靴、タオルなど)と、本人を確認する書類が必要かどうかを、スタッフから伝えます。
休会・退会の手続きは決めた方法で
休会や退会の電話を受けても、電話の聞き取りだけで手続きを終えたことにはしません。ボイスメールで受けた場合は、スタッフが折り返し、ジムが決めた手続きの方法(受付での書類、会員のページなど)を案内します。いつまでに手続きをすれば翌月の会費がかからないかといった決まりは、契約の内容によって違うため、スタッフが会員の契約を確認して説明します。退会を引き止めるための電話を何度もかけることは避けます。
パーソナルトレーニングの日程
パーソナルトレーニングの日程は、担当のトレーナーの予定とかかわります。聞き取りで希望の日時を複数受け、スタッフかトレーナーが確かめてから確定します。セッションの前日の変更や取り消しの扱いは、ジムの決まりに沿ってスタッフが説明します。
体の相談はトレーナーと医師へ
運動を始めてよいか、痛みがあるが続けてよいかといった相談には、電話の受付では答えません。体の状態についての判断が必要なものは医師に相談するよう伝え、運動の内容についての相談は、トレーナーとのカウンセリングの希望として受けます。
個人情報と記録の扱い
会員の情報
ジムは、会員の名前、住所、連絡先、支払いの情報、入館の記録、場合によっては体重や体の状態についての情報を預かります。電話の記録にも、こうした情報が含まれることがあります。記録を見られる人をスタッフに限り、必要な期間が過ぎた記録は、ジムの決まりに沿って消します。
入館の記録についての問い合わせ
「家族が今ジムにいるか知りたい」という電話がかかってくることがあります。会員が来館しているかどうかは、その人の個人情報です。家族を名乗る人からの電話でも、来館の有無を答えないのが基本です。急ぎの事情がある場合は、スタッフが館内で本人に声をかけ、本人から連絡してもらうなどの方法を決めておきます。
録音と要約
通話を録音したり、AIで要約したりする場合は、案内の最初でそのことを伝え、プライバシーポリシーにも使い方と保管の期間を書いておきます。
会員の情報を扱ううえでの法律の考え方は、個人情報保護委員会のウェブサイトに、事業者向けの案内として載っています。この記事の内容は一般的な説明であり、法的助言ではありません。
導入の進め方
1. 電話の記録をとる
二週間ほど、かかってきた時間、用件、出られたかどうかを記録します。混み合う時間、締め日の前、スタッフがいない時間に、どの用件の電話が多いかが見えてきます。
2. 急ぎの連絡の流れを先に決める
館内での体調不良やけが、入館トラブルの連絡を、誰が受けるかを決めます。スタッフがいる時間といない時間で分け、つながらない場合の次の連絡先まで決めます。スタッフが常駐しない時間の対応を外部の窓口に任せている場合は、その窓口の受けられる範囲を確認します。
3. 案内の内容を整える
営業時間、スタッフのいる時間、駐車場、設備、体験の受け方、休会・退会の手続きの方法を、短い文章にまとめます。ホームページや入会の資料と同じ内容になっているかを確認します。
4. 任せる範囲を決める
自動の案内で伝える情報、ボイスメールで受ける用件、すぐにスタッフにつなぐ用件を分けます。
5. 試験してから始める
スタッフが会員や入会希望者の役になって電話をかけ、番号の選び方が分かりやすいか、急ぎの連絡が確実に届くか、聞き取りの記録がスタッフに届くかを確認します。
6. スタッフがいない時間から始める
最初は、スタッフがいない時間の聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、混み合う時間にも広げます。
7. 会員に知らせる
電話の受け方を変えたことを、館内の掲示やお知らせで会員に伝えます。急ぎのときの連絡の方法は、とくにはっきり伝えます。
8. 記録を見て直す
一か月ほどたったら、ボイスメールで受けた用件と折り返しの時間を見直し、案内と流れを直します。
受付の人数が少ないジムでの電話の考え方は、小さな会社の電話対応で、一人で受付も運営もこなす前提でまとめています。
フィットネスジムならではの工夫
総合型のジムと二十四時間型のジム
プールやスタジオ、マシンのそろった総合型のジムでは、受付にスタッフがいる時間が長く、電話の多くはレッスンや施設についての問い合わせです。レッスンの予定や、プールの使える時間を案内の文章にしておくと、同じ質問に繰り返し答えずに済みます。二十四時間型のジムでは、スタッフがいない時間の連絡の受け方が中心の課題です。入館トラブルと、命にかかわる連絡を分けて受ける流れを、とくに丁寧に決めます。
パーソナルトレーニングが中心のジム
パーソナルトレーニングが中心の小さなジムでは、トレーナーがセッションの間、電話に出られません。セッションの時間割に合わせて、電話を案内に切り替え、問い合わせはボイスメールで用件を受けて、セッションの合間に折り返します。体験のセッションの予約は、トレーナーの予定を確認してから確定します。
スタジオのレッスンの中止の案内
講師の都合や設備の点検で、レッスンを急に中止することがあります。中止を決めたら、電話の案内にもその日の中止のレッスンを入れます。予約していた会員への連絡は、予約の仕組みやお知らせで行い、電話の案内は確かめたい人のための補助として使います。
入会のキャンペーンの時期
入会のキャンペーンを行う時期は、問い合わせの電話が増えます。キャンペーンの期間と条件を、ホームページと電話の案内でそろえて伝えます。キャンペーンが終わったら、電話の案内からも外すのを忘れないようにします。終わったキャンペーンを案内したままにしていると、「電話でそう聞いた」という行き違いになります。
会費の支払いの問い合わせ
「会費の引き落としができなかったと通知が来た」「今月の会費はいくらか」という問い合わせは、支払いの情報にかかわります。電話の案内で個別の金額を答えることはせず、会員のページで確認する方法を案内するか、ボイスメールで用件を受けてスタッフが会員の情報を確認してから折り返します。支払いの状況によって入館が止まることがあるジムでは、入館トラブルの連絡と支払いの問い合わせが重なることがあります。窓口の担当者が受けた場合も、支払いの確認はスタッフに引き継ぎます。
近所の方からの電話
ジムには、会員以外からの電話も入ります。早朝や夜の音、駐車場の使い方、自転車の置き方について、近所の方から連絡が入ることがあります。こうした電話は、会員の問い合わせと同じ流れに埋もれさせず、店長や運営の責任者に届くようにします。聞き取りでは、気になったことの日時と内容、連絡先を確認し、責任者が状況を確認してから連絡します。
子ども向けのスクールがあるジム
水泳や体操など、子ども向けのスクールを開いているジムでは、保護者からの欠席の連絡や振替の相談、送り迎えの連絡が入ります。大人の会員の電話とは中身がまったく違うため、番号を分けるか、スクールの時間帯だけ案内を変えると、保護者が迷いません。スクールの欠席の連絡は、レッスンの前に担当のコーチに届くようにし、振替の日時はスタッフが確かめてから決めます。子どもがスクールに来ているかという電話には、スタッフが目で確認してから答えます。
季節によって変わる電話
ジムの電話は、季節によって中身が変わります。年の初めや春先は、新しく運動を始めたい人からの入会や体験の問い合わせが増えます。夏の前は、プールの使える時間や、子ども向けの短期の教室の問い合わせが増えます。年末は、休館の日と、年明けの営業の始まりについての問い合わせが増えます。季節ごとに増える問い合わせに合わせて、前もって案内の文章を用意しておくと、その時期になってから慌てずに済みます。
法人会員や福利厚生の利用
会社の福利厚生として利用する会員がいるジムでは、「会社の制度で使えるか」という問い合わせが入ります。提携の有無や利用の方法は、スタッフが確かめて案内します。聞き取りでは、会社の名前と、利用したい制度の名前を聞いておきます。
高齢の会員や運動を始めたばかりの人
運動を始めたばかりの人や高齢の会員は、器具の使い方や、どのくらい運動すればよいかを電話で聞きたいことがあります。電話で細かく答えるより、来館したときにスタッフが直接案内するほうが安全です。電話では、スタッフが案内できる時間帯を伝え、必要であれば案内の予約の希望として受けます。高齢の会員の家族から、「本人が一人で通って大丈夫か」と相談されることもあります。体の状態については医師への相談を案内し、ジムとしてできる見守りの範囲(スタッフがいる時間に声をかけるなど)を、スタッフが説明します。
スタッフが常駐しない時間の窓口との取り決め
スタッフがいない時間の電話を、運営の会社の窓口や警備の会社に受けてもらう場合は、前もって取り決めをしておきます。決めておくことは次のとおりです。
- 窓口が受ける連絡の範囲(入館トラブル、設備の不具合、館内の急ぎの事態など)
- 窓口がその場でできること(入館の扉を開けられるか、駆けつけるかなど)と、できないこと
- 命にかかわる連絡を受けたときの動き方(119番への通報を案内し、必要に応じて駆けつける)
- 窓口が受けた連絡を、朝のスタッフにどう届けるか
- 窓口から店長や責任者に夜中でも連絡する場合の基準と連絡先
取り決めの内容は、電話の案内の文章とそろえます。窓口ができないことを案内で約束してしまうと、会員の期待とずれ、トラブルのもとになります。
休会・退会の行き違いを防ぐ説明
休会・退会の電話で行き違いが起きやすいのは、会員が「電話で伝えたから手続きは済んだ」と思い込んでしまうときです。行き違いを防ぐために、電話では次の点を毎回同じように伝えます。
- 手続きの方法(受付での書類、会員のページなど)
- 翌月分から変更するための締め切りの日
- 手続きが終わったことを確認する方法(控えの書類、会員のページの表示など)
- 休会中や退会の後に、ロッカーの荷物や貸し出しの物をどうするか
ジムの会員の契約の内容は、ジムごとに違います。会員から契約の決まりについて詳しく聞かれたときは、スタッフが会員の契約の書類を確認して答えます。消費者としての契約の考え方について一般的な情報が知りたいという人には、消費者庁や消費生活センターのような公的な窓口があることを伝えるにとどめます。
休会・退会の聞き取りシート
| 項目 | 聞き方の例 | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 名前・会員の番号 | 「お名前と会員の番号を教えてください」 | 名前、番号 |
| 用件 | 「休会、退会、プランの変更のどれですか」 | 種類 |
| 希望の時期 | 「いつからの変更をご希望ですか」 | 月 |
| 相談したいこと | 「手続きについて、確かめたいことはありますか」 | 内容 |
| 連絡先と都合 | 「折り返しのお電話番号と、つながりやすい時間帯を教えてください」 | 番号、時間帯 |
退会の理由は、無理に聞きません。話してもらえた場合は、ジムの運営を見直すための声として記録します。
入会の問い合わせの聞き取りシート
入会や体験の問い合わせの電話で確認する項目を、一枚にまとめておきます。
| 項目 | 聞き方の例 | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 名前・連絡先 | 「お名前と、折り返しのお電話番号を教えてください」 | 名前、電話番号 |
| 使いたい設備 | 「マシン、スタジオ、プールなど、どれを中心にお考えですか」 | 設備 |
| 通いたい時間帯 | 「平日の夜、週末など、通いたい時間帯はありますか」 | 時間帯 |
| 目的 | 「体力づくり、体型の維持など、目的があれば教えてください」 | 目的(任意) |
| 運動の経験 | 「これまでにジムを使ったことはありますか」 | 有無 |
| 体験の希望 | 「体験をご希望の日にちはありますか」 | 複数の候補 |
| 折り返しの都合 | 「お電話しやすい時間帯を教えてください」 | 時間帯 |
体の状態や持病について、電話の聞き取りで詳しく聞く必要はありません。入会の手続きのときに、ジムが決めた書類で確認します。
案内の文章のひな形
ジムの電話の案内に使える文章の例です。説明のための文例として示しますので、〇の部分はジムの名前やスタッフのいる時間に置き換えてください。
混み合う時間の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇フィットネスです。館内で人が倒れたなど、命にかかわるときは、すぐに119番に通報してください。館内での急ぎのご連絡や入館トラブルは1番、入会・体験のご相談は2番、休会・退会・プランの変更は3番、そのほかのお問い合わせは4番を押してください。」
スタッフがいない時間の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇フィットネスです。ただいまスタッフは不在です。スタッフのいる時間は、平日の〇時から〇時、土日の〇時から〇時です。命にかかわるときは119番に通報してください。入館トラブルなど館内でお困りのときは1番を押してください。運営の窓口におつなぎします。入会・体験のご相談は2番を押してメッセージを残してください。」
休会・退会の案内の例:
「休会・退会・プランの変更の手続きは、受付での書類のご提出、または会員のページで承ります。お電話だけでは手続きは完了しません。翌月分からの変更の締め切りは、毎月〇日です。ご相談のある方は、お名前と会員の番号、ご用件をお話しください。スタッフから折り返します。」
よくある場面の対応例
ここで紹介するのは、説明のための架空の例です。実際のジムの事例ではありません。
夜中に入館のカードが反応しない場面
スタッフのいない夜中、会員から入館のカードが反応しないという電話が入ります。会員は1番を選び、運営の窓口につながります。窓口の担当者は、よくある原因(カードの有効期限、会費の支払いの状況など)を確認する手順に沿って話を聞き、その場で解決しないため、翌朝スタッフから連絡することを伝えます。担当者は会員の名前と連絡先、起きたことを記録に残し、朝のスタッフに届けます。
夕方に体験の問い合わせが入った場面
混み合う夕方、ジムを探している人から電話が入ります。2番を選び、平日の夜にマシンを中心に使いたいこと、週末に体験したいことを話します。混雑が落ち着いた後、スタッフが記録を確認して電話をかけ、体験の日時の候補を伝えます。日時が決まったら、持ち物と当日の流れを伝えます。
締め日の前に退会の電話が入った場面
締め日の数日前、会員から退会したいという電話が入ります。3番を選ぶと、手続きの方法と締め切りの案内が流れます。会員は案内を聞いたうえで、手続きの方法について相談したいとメッセージを残します。スタッフは翌日に折り返し、会員の契約を確認して、締め切りまでに必要な手続きを説明します。電話の最後に、手続きが終わったら会員のページで確認できることも伝えます。
スタジオのレッスンが急に中止になった場面
講師の体調不良で、夜のレッスンが中止になります。スタッフは予約の仕組みで予約していた会員に連絡し、電話の案内にも中止のレッスンを入れます。中止を知らずに電話をかけてきた会員は、案内で中止を知り、別のレッスンの予定を確認できます。
折り返しの電話のかけ方
ジムからの折り返しは、相手が仕事や家事をしている時間を避け、聞き取りで聞いた都合のよい時間帯にかけます。次の順に話すと、短い電話で用件が済みます。
- ジムの名前と自分の名前を名乗る
- どの電話への折り返しかを伝える
- 聞き取りの内容を確認する
- 体験の日時や、手続きの方法を伝える
- 決まったことを繰り返し、次にすることを伝える
出ない場合は、留守番電話にジムの名前と用件を短く残します。入会を考えている人に、何度も続けて電話をかけることは避けます。
家族から急ぎの連絡が入った場面
夜、会員の家族から「家で急ぎの用ができたので、ジムにいる本人に連絡を取りたい」という電話が入ります。スタッフは、会員が来館しているかどうかは答えられないことを伝えたうえで、館内に本人がいれば、家族に連絡するよう声をかけると約束します。スタッフは館内を回って会員に声をかけ、会員は自分の電話で家族に連絡します。来館の有無を電話で答えないまま、急ぎの連絡を届けることができます。
プールの使える時間を聞かれた場面
週末の朝、会員から「今日はプールで泳げるか」という電話が入ります。その日は、子ども向けのスクールでコースの一部が使えない時間があります。案内の文章に、曜日ごとのプールの使える時間とスクールで使えるコースが減る時間を入れておいたため、会員は番号を選んでその日の予定を確認できます。点検などで急に使えなくなった日は、スタッフが朝のうちに案内を直します。
受付の一日の流れの例
ここでは、架空の総合型のジムの一日を例に、電話の受け方の流れを示します。
- 開館の前:夜間に受けた聞き取りの記録と、運営の窓口からの連絡を確認する
- 午前中:来館が少ない時間に、体験の問い合わせや忘れ物への折り返しをまとめて行う
- 昼:休会・退会の相談への折り返しをする
- 夕方から夜:電話は案内に切り替え、館内での急ぎの連絡をスタッフにつなぐ
- 閉館の前やスタッフが帰る前:スタッフがいない時間の案内に切り替わったことを確認する
店長・受付・トレーナーの役割分担
| 役割 | 店長・責任者 | 受付のスタッフ | トレーナー |
|---|---|---|---|
| 館内の急ぎの連絡 | 夜間の連絡を受ける | 最初に受けて動く | 館内で手を貸す |
| 入会・体験 | キャンペーンの内容を決める | 折り返して日時を調整 | 体験の案内を受け持つ |
| 休会・退会 | 手続きの決まりを決める | 手続きの方法を説明する | 相談があれば受付へつなぐ |
| パーソナルの予約 | 料金の決まりを決める | 予約の受付を手伝う | 自分の予定を知らせて確定 |
| 体の相談 | 医療の判断をしない決まりを守る | カウンセリングの希望として受ける | カウンセリングで話を聞く |
電話のそばに置く一枚
電話に出ることの少ないスタッフのために、電話のそばに一枚の紙を置きます。命にかかわる連絡では119番への通報を案内し、すぐに館内を確認すること、入館トラブルの確認方法、会員の来館の有無は答えないこと、休会・退会は電話だけでは終わらないこと、困ったときに連絡する責任者の名前と番号を書いておきます。
新しい会員の最初の一か月
入会したばかりの会員は、入館の方法、ロッカーの使い方、レッスンの予約の取り方、スタッフのいる時間にまだ慣れていません。この時期は、ちょっとした疑問で電話をかけてくることが多くなります。入会の手続きのときに、よく聞かれることをまとめた紙を渡し、電話の案内の番号の選び方と、急ぎのときの連絡の方法をあわせて伝えておくと、最初の一か月の電話が落ち着きます。
最初の一か月に多い質問は、入会の手続きの案内の内容を見直すための手がかりにもなります。同じ質問が続くようなら、入会のときの説明や、館内の掲示を変えることを考えます。
入会の手続きの日の流れ
入会の手続きの日時も、電話で受けることがあります。手続きには、本人を確認する書類や、支払いの方法を決めるための情報が必要になることが多く、持ち物が足りないと手続きがやり直しになります。手続きの日時を決めるときは、スタッフが持ち物と、手続きにかかるおおよその時間を伝えます。未成年の入会など、保護者の同意が必要な場合の扱いも、ジムの決まりに沿ってスタッフが説明します。
案内の聞きやすさを確認する
ジムに電話をかける人の中には、トレーニングの帰りに歩きながらかける人や、車の中からかける人もいます。周りの音がある中でも聞き取れるよう、案内は短い文で区切り、番号の説明は四つまでにします。最初の一文で、ジムの名前と、命にかかわるときの119番の案内を伝え、そのあとは用件の番号だけにします。案内を変えたときは、スタッフが実際に電話をかけて、最後まで聞くのにかかる時間と、聞き取りやすさを確認します。
準備のチェックリスト
- 館内での体調不良やけがの連絡を、スタッフのいる時間といない時間で誰が受けるかが決まっている
- 案内の最初に、命にかかわるときは119番に通報することを入れている
- 入館トラブルの連絡の受け方が決まっている
- 休会・退会は電話だけで完了しないことを、案内ではっきり伝えている
- 体験やパーソナルトレーニングの日時は、スタッフが確かめてから確定する決まりになっている
- 会員が来館しているかどうかを、電話で答えない決まりになっている
- 録音や要約をすることを、案内とプライバシーポリシーで伝えている
- 案内の内容が、ホームページや入会の資料と同じになっている
- キャンペーンやレッスンの予定が変わったときに、案内を直す担当が決まっている
電話以外の連絡の方法との使い分け
| 方法 | 向いていること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 館内での急ぎの連絡、入会や体験の相談 | 混み合う時間はつながりにくい |
| 会員のページやアプリ | レッスンの予約、休会・退会の手続き、会費の確認 | 使い方が分からない会員への案内が必要 |
| 受付での対面 | 入会の手続き、器具の使い方の案内 | スタッフのいる時間に限られる |
館内で困ったことが起きたときの連絡の方法は、アプリを使っている会員にも、電話の番号とあわせて伝えておきます。
案内を古くしない
営業時間、スタッフのいる時間、レッスンの予定、キャンペーン、会費の決まりは、季節やジムの運営によって変わります。これらを変えたときは、ホームページ、館内の掲示、会員のページ、電話の案内をまとめて直します。直す場所の一覧をつくり、担当を決めておくと、電話の案内だけが古いまま残ることを防げます。
スタッフへの共有と教育
ジムでは、短い時間の勤務のスタッフも多く働いています。次の点を、新しいスタッフが最初に覚えることとして伝えます。
- 館内での体調不良やけがの連絡は、何よりも先に受ける
- 会員が来館しているかどうかは、電話で答えない
- 休会・退会は、決めた方法の手続きで受ける
- 体や運動の相談には、医療の判断を答えない
- 体験や予約の日時は、確かめてから約束する
効果の確認方法と見直し
電話の流れを変えた後は、記録をもとに、出られなかった電話のうち聞き取りで用件が分かったものの割合、体験の問い合わせから折り返しまでの時間、休会・退会の手続きでの行き違いの数、スタッフがいない時間の連絡がきちんと届いたかを確認します。数字は自分のジムの記録から出すもので、前の月と比べて改善できたかを見るためのものです。
CallでIVRと聞き取りを組む
フィットネスジムの電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、キューごとのボイスメール、IVRからのコールバックの受付、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。館内での急ぎの連絡をスタッフにつなぎ、体験の問い合わせや休会の相談はボイスメールで用件を受けて、混雑が落ち着いた時間に折り返す流れが組めます。設定の手順は使い方のガイドとドキュメントで確認できます。
日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、ジムのスタッフが確認しやすくする使い方です。入会・休会・退会の手続き、体験や予約の日時の確定、運動の相談は、ジムのスタッフが行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。
ほかの業種の例として、介護事業所の電話対応、調剤薬局の電話対応もあわせてご覧ください(フィットネスジムのAI電話対応|入会・体験・休会からの関連案内)。
よくある質問
AIが入会や退会の手続きをしてくれますか?
しません。自動の案内で伝えるのは、手続きの方法と締め切りまでです。手続きは、ジムが決めた方法でスタッフが受けるか、会員のページで行います。
スタッフがいない時間に館内で人が倒れたら、どうなりますか?
案内の最初で、命にかかわるときはすぐに119番に通報するよう伝えます。そのうえで、ジムが決めた緊急の連絡先につながる流れにしておきます。
電話で料金を答えてもよいですか?
ホームページに載せている料金の仕組みは案内できます。キャンペーンが使えるかどうかや、個別の見積もりは、スタッフが確かめて案内します。
体験の日時は自動で決められますか?
決めません。スタッフが混み具合や担当の予定を確かめてから確定します。ボイスメールで受けるのは、希望の日時の候補までです。
「家族がジムにいるか」という電話には?
会員の来館の有無は個人情報なので、答えないのが基本です。急ぎの事情がある場合は、スタッフが館内で本人に声をかけ、本人から連絡してもらうなどの方法を決めておきます。
運動してよいかという相談には、どう答えますか?
体の状態についての判断が必要なものは、医師に相談するよう案内します。運動の内容の相談は、トレーナーとのカウンセリングの希望として受けます。
退会の電話が多い時期は、どうすればよいですか?
案内で手続きの方法と締め切りを先に伝え、相談がある人はボイスメールで用件を受けて折り返します。電話だけでは手続きが終わらないことを、はっきり伝えることが大切です。
入館トラブルは、スタッフがいない時間にも受けられますか?
運営の窓口や警備の会社など、ジムが決めた連絡先につながる流れにすれば受けられます。その窓口が対応できる範囲を、前もって確かめておきます。
レッスンの予約も電話で受けるべきですか?
予約の仕組みがあれば、そちらを中心にし、電話では使い方の案内や、使えない会員の相談を受けます。中止の案内は、電話の案内にも入れておくと親切です。
忘れ物の問い合わせはどう受けますか?
来館した日時、使った場所、物の特徴、連絡先を聞き取り、スタッフが確かめて折り返します。保管の期間や受け取りの方法も、あわせて伝えます。
通話を録音してもよいですか?
録音する場合は、案内の最初でそのことを伝え、プライバシーポリシーに使い方と保管の期間を書いておきます。
まとめ
フィットネスジムの電話は、会員が多く来館する時間と重なり、スタッフが常駐しない時間にもかかってきます。命にかかわる連絡と館内の急ぎの連絡を最初に分け、確実に人や窓口に届く流れを決めたうえで、体験の問い合わせや休会の相談はボイスメールで用件を受けて、落ち着いた時間に折り返す形にすると、取りこぼしを減らせます。
AIや自動の案内に任せるのは、決まった情報の案内と用件の聞き取り、記録の要約までです。入会・休会・退会の手続き、体験や予約の日時の確定、運動や体の相談は、ジムのスタッフが行います。小さく始めて記録を見ながら直していけば、館内の会員への対応と電話の対応を両立しやすくなります。



