EC・通販のAI電話対応|注文・返品案内
ネットショップや通販の会社にも、電話はかかってきます。注文は画面の上で完結していても、「注文した商品がまだ届かない」「届いた商品が壊れていた」「定期便を止めたい」「注文の確認のメールが来ない」といった問い合わせは、電話で直接話したいという人が少なくありません。とくに、ネットでの手続きに慣れていない人や、急いでいる人ほど、電話を選びます。
一方で、ネットショップの運営は少ない人数で行っていることが多く、商品の発送、在庫の管理、ページの更新、メールの問い合わせへの返信をこなしながら電話を受けるのは大変です。セールの直後や年末には、問い合わせが一度に増えます。電話がつながらないと、お客様の不満は大きくなり、レビューや口コミにも表れます。
この記事では、EC・通販の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や問い合わせが増える時期の受け方、設計の例、担当者への引き継ぎ、お客様の情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。返品や返金、解約の受付と判断、注文の変更は担当者が行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。
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EC・通販の電話対応で起きがちな課題
同じ問い合わせが何度も来る
ネットショップの電話で多いのは、「注文した商品はいつ届くか」「発送されたか」という問い合わせです。お客様にとっては大切な確かめですが、担当者にとっては、注文の記録を開いて状況を伝えるという同じ作業の繰り返しです。発送の連絡のメールや、配送の状況を確認できるページを用意していても、それに気づかずに電話をかけてくるお客様がいます。
問い合わせが時期によって大きく偏る
セールやキャンペーンの後、年末、季節の贈り物の時期には、注文と一緒に問い合わせも増えます。配送の会社の荷物が混み合って届くのが遅れると、「まだ届かない」という電話が一度に集中します。ふだんの人数では受けきれず、電話がつながらない状態が続きます。
返品や解約は丁寧な説明が必要
返品や交換、定期便の解約についての電話は、お客様が不満や不安を抱えていることが多く、丁寧な説明が必要です。返品の条件や、解約の締め切りを正しく伝えられないと、トラブルになります。担当者によって説明が違うと、「前の人はこう言った」という行き違いが起きます。
本人の確認が難しい
注文の内容や配送先の住所は、お客様の個人情報です。電話をかけてきた人が注文した本人かどうかを確認しずに、注文の内容を伝えるわけにはいきません。注文の番号、名前、電話番号などで確認する方法を決めておく必要があります。
支払いの情報を電話で扱う危うさ
「電話でカードの番号を伝えるので支払いたい」と言うお客様もいます。カードの番号のような支払いの情報を、電話の聞き取りや留守番電話で受けると、記録に残ってしまい、漏れたときの影響が大きくなります。支払いの情報は電話で受けない、という決まりをはっきりさせておくことが大切です。
よくある問い合わせの分類
EC・通販の会社にかかってくる電話を、急ぎの度合いと、誰が対応するかで分けてみます。

注文の状況と配送
「いつ届くか」「発送されたか」「配送先を変えたい」といった問い合わせです。発送済みであれば、配送の状況を確認する方法を案内できます。配送先の変更や、発送前の注文の変更は、担当者が注文の記録を確認してから対応します。配送の会社に預けた後の再配達の依頼は、配送の会社の窓口で受けることが多いため、その案内をします。
届いた商品の不具合や間違い
「壊れていた」「違う商品が届いた」「数が足りない」といった問い合わせです。お客様は困っていて、不満も感じています。早めに担当者が対応します。商品の様子を写真で送ってもらう方法があれば、その案内をします。交換や返金の判断は、担当者が状況を確認してから行います。
返品・交換
お客様の都合での返品や、サイズの交換の相談です。お店が決めている返品の条件(期間、商品の状態、送料の負担など)を案内し、受付は担当者か、決めた手続きで行います。
定期便・会員の解約や変更
定期便の停止、配送の間隔の変更、会員の退会の相談です。解約の方法と締め切りを案内し、手続きは担当者か、会員のページで行います。
支払い・請求
請求の金額、支払いの方法、領収書、二重に請求されていないか、といった問い合わせです。担当者が注文の記録と支払いの記録を確認して答えます。自動の案内では金額を答えません。
商品についての質問
サイズ、使い方、材料、在庫、入荷の予定などの質問です。商品のページに載せている情報は案内できますが、ページにない詳しい質問は、担当者が確かめて答えます。食品や化粧品の成分のように、体にかかわる質問は、とくに慎重に、担当者が確かめて答えます。
電話での注文
ネットでの注文が難しいお客様のために、電話で注文を受けているお店もあります。電話での注文を受けるかどうか、受ける場合の流れ(担当者が聞き取って注文をつくる、注文の内容を書面で送る、など)を決めておきます。自動の案内で注文を確定させることはしません。
法人や取引先からの連絡
まとめての注文の相談、取引先の配送の会社や仕入れ先からの連絡、取材や提携の申し込みなどです。一般のお客様の問い合わせと分けて、担当者に届けます。
営業時間外・繁忙時の受け方
問い合わせの多い時間
電話を受けられる時間であっても、担当者が発送の作業や別の電話で手が離せないときは、案内に切り替えます。案内では、注文の状況や配送の状況を確認する方法(注文の確認のメール、配送の状況のページ、会員のページ)を最初に伝え、それで解決しない用件は番号を選んでもらいます。商品の不具合や間違いの連絡は、担当者に優先してつなぐか、ボイスメールで用件を受けて早めに折り返します。
営業時間外
ネットショップは夜中も注文を受けていますが、電話の受付は日中だけというお店が多いでしょう。営業時間外は、受付の時間と、ネットで確認できることを案内し、用件はボイスメールで用件を受けて、翌営業日に折り返します。夜中に「注文を取り消したい」という電話が入ることもあります。発送の前であれば取り消せる場合があるため、取り消しの希望は、翌朝の発送の作業の前に担当者が確かめられるよう、急ぎの扱いにします。
セールや年末の時期
問い合わせが増える時期は、前もって案内の内容を変えます。セールの期間中の発送の目安、年末年始の発送の休み、配送の会社の混み具合で届くのが遅れる見込みを、案内とサイトのお知らせで先に伝えます。先に伝えておくと、「まだ届かない」という電話が減ります。受付の担当を増やす時間帯を決めておくのも有効です。
配送の遅れや災害のとき
大雪や台風で配送が遅れているときは、電話の案内の最初にその知らせを入れます。どの地域への配送が遅れているかなど、配送の会社が出している情報をもとに伝え、遅れの見込みについて約束の言い方は避けます。
時間帯や時期で案内を切り替える組み方は、IVRの営業時間ルーティングの記事で、セールや年末のような特別な期間の扱いも含めて考えられます。
IVRとAI一次応答の設計例
番号の選び方の例
EC・通販の案内では、最初にネットで確認できることを短く伝え、そのあとに用件の番号を並べます。
- 最初の案内:「ご注文の状況と配送の状況は、ご注文の確認のメールにあるページからも確かめられます。」
- 1番:届いた商品の不具合・間違い(担当者に優先してつなぐか、ボイスメールで用件を受けて早めに折り返す)
- 2番:ご注文の取り消し・変更、配送先の変更(ボイスメールで用件を受けて発送の前に確かめる)
- 3番:返品・交換、定期便の停止や変更(条件と手続きの方法を案内し、相談はボイスメールで受ける)
- 4番:お支払い、商品についてのご質問、そのほか
AIによる一次応答に任せる範囲
EC・通販の電話で、自動の案内やAIが受け持つのは、どのお客様に聞かれても同じ答えになる情報の案内と、用件の聞き取り、通話の要約です。
- 任せてよいもの:受付の時間、配送の状況を確認する方法、返品の条件と手続きの流れ、定期便の解約の方法と締め切り、商品のページに載せている情報の案内、問い合わせの内容の聞き取りと要約
- 任せないもの:返品・交換・返金を受けるかどうかの判断、注文の取り消しや変更の完了、解約の完了、請求の金額の回答、支払いの情報の受け取り、商品の体への影響についての回答
AIによる一次応答の全体の考え方は、AI電話受付とはで、店舗のない事業も含めて解説しています。

本人の確認方法の例
注文の内容にかかわる用件では、話を進める前に、本人かどうかを確認します。たとえば、次の三つがそろっているかを確認する方法があります。
- 注文の番号
- 注文した人の名前
- 注文のときに登録した電話番号か、メールのアドレス
三つがそろわない場合は、注文の内容を電話で伝えず、登録のメールのアドレスに連絡するなどの方法をとります。電話をかけてきた番号が登録の番号と同じでも、それだけで本人と決めつけないようにします。
聞き取りで確認する項目
商品の不具合や間違いの聞き取りでは、次の項目を確認します。
- 注文の番号と、注文した人の名前
- 届いた日
- どの商品に、どのようなことが起きているか
- 写真を送ってもらえるかどうか
- 交換と返金のどちらを希望するか(決めるのは担当者であることを伝えたうえで)
- 折り返しの電話番号と、都合のよい時間帯
スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う
不具合や間違いは担当者が判断する
届いた商品の不具合や間違いの連絡は、担当者が注文の記録と、送ってもらった写真などを確認したうえで、交換するか、返金するかを決めます。自動の案内で「交換します」「返金します」と約束することはしません。担当者は、決めたことと、その後の流れ(新しい商品を送る日、返送の方法、返金の時期の目安)を、お客様に伝えます。
取り消しと変更は発送の前に確かめる
注文の取り消しや配送先の変更の希望は、発送の作業の前に担当者が確かめられるよう、急ぎの扱いにします。すでに発送されていれば、取り消しは返品の手続きになり、配送先の変更は配送の会社への依頼になります。担当者がどちらになるかを確認して、お客様に伝えます。
返品と解約の説明はそろえる
返品の条件や定期便の解約の方法は、担当者によって説明が違わないよう、説明の文章を決めておきます。サイトの返品ポリシーのページ、電話の案内、担当者の説明が同じ内容になっていることが大切です。解約の受付は、電話の聞き取りだけで完了したことにせず、担当者が手続きを行ったうえで、解約が済んだことをメールなどで伝えます。
請求の問い合わせは記録を見て答える
請求の金額や支払いの状況の問い合わせは、担当者が注文と支払いの記録を確認してから答えます。二重に請求されているかもしれないという問い合わせは、お客様の不安が大きいため、早めに折り返します。
個人情報と記録の扱い
住所や注文の内容
ネットショップは、お客様の名前、住所、電話番号、メールのアドレス、注文の内容を預かっています。注文の内容から、お客様の暮らしや好みが分かることもあります。電話の記録にも、こうした情報が残ります。記録を見られる人を担当者に限り、保管の期間を決めて扱います。
支払いの情報を電話で受けない
カードの番号のような支払いの情報は、電話の聞き取りや留守番電話で受けません。案内でも、「お支払いの情報は、お電話ではお伺いしません」と伝えておきます。お客様が話し始めてしまった場合に備えて、録音や要約の記録から消す手順も決めておきます。支払いの方法の変更は、会員のページなど、支払いの情報を安全に扱える仕組みで行ってもらいます。
録音と要約
通話を録音したり、AIで要約したりする場合は、案内の最初でそのことを伝え、お店の個人情報の扱いの方針に、使い方と保管の期間を書いておきます。
お客様の情報の扱いについての法律の考え方は、個人情報保護委員会のウェブサイトで、事業者向けの案内として確かめられます。
通信販売の返品の決まり
通信販売の返品については、特定商取引法に決まりがあります。消費者庁の特定商取引法ガイドの通信販売のページでは、商品を受け取った日から数えて八日以内であれば、消費者は契約の申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料の負担で返品ができること、ただしお店が広告で返品についての特約を示していた場合は、その特約によることが説明されています。同じページでは、契約の撤回や解除を妨げるために事実と違うことを告げることが禁止されていることも説明されています。電話で返品や解約の条件を説明するときは、お店のサイトに示している内容と食い違わないようにします。ここでの説明は一般的な情報であり、法的助言ではありません。お店の決まりをつくるときは、専門家に相談してください。
導入の進め方
1. 電話の記録をとる
二週間ほど、かかってきた時間、用件、出られたかどうかを記録します。注文の状況の確認のように、ネットで確認できるのに電話をかけてきた用件がどれくらいあるかも見ておきます。
2. ネットで確認できることを整える
電話を減らす近道は、お客様がネットで確認できることを分かりやすくすることです。注文の確認のメール、発送の連絡のメール、配送の状況のページ、返品の決まりのページ、よくある質問のページが、見つけやすく、分かりやすいかを見直します。
3. 案内の内容を整える
受付の時間、配送の状況を確認する方法、返品の条件と手続き、定期便の解約の方法を、短い文章にまとめます。サイトの内容と同じになっているかを確認します。
4. 任せる範囲を決める
自動の案内で伝える情報、ボイスメールで受ける用件、すぐに担当者につなぐ用件を分けます。
5. 試験してから始める
担当者がお客様の役になって電話をかけ、案内が分かりやすいか、聞き取りの記録が届くか、取り消しの希望が発送の前に確かめられるかを確認します。
6. 時間外から始めて広げる
最初は営業時間外の聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、日中の手が離せない時間にも広げます。
7. サイトでも知らせる
電話の受け方を変えたことを、サイトのお問い合わせのページで知らせます。電話とメールとフォームのどれを使えばよいかも、あわせて伝えます。
8. 記録を見て直す
一か月ほどたったら、どの用件の電話が多かったか、ネットで確認できることが伝わっていたかを見直し、案内とサイトの両方を直します。
少ない人数でお店を回している場合の電話の考え方は、小さな会社の電話対応で、作業と受付を同じ人が受け持つ前提で紹介しています。
EC・通販ならではの工夫
発送の作業の時間と電話
ネットショップでは、毎日決まった時間に発送の作業を行うことが多くあります。発送の作業の締め切りの前は、注文の取り消しや変更の希望を確認する最後の時間です。この時間の前に、ボイスメールで受けた取り消しや変更の希望を必ず確かめる決まりにしておくと、発送してしまってから取り消しを知る、という行き違いを防げます。
食品や化粧品を扱うお店
食品や化粧品を扱うお店では、「アレルギーがあるが食べられるか」「肌に合わないかもしれない」といった、体にかかわる問い合わせがあります。原材料や成分は商品のページの情報をもとに担当者が答え、体に合うかどうかの判断は、医師などに相談するよう伝えます。肌のトラブルや体調の変化の連絡は、担当者に早めに届けます。
高齢のお客様の多いお店
カタログの通販など、高齢のお客様が多いお店では、電話での注文や問い合わせが中心になります。案内はゆっくり話し、番号の数を少なくし、何も押さなくても担当者か聞き取りにつながるようにします。ネットで確認する方法を何度も案内するより、担当者が受ける時間を長くとるほうが合っていることもあります。
定期便のあるお店
定期便のあるお店では、次の発送の前に「止めたい」「間隔を変えたい」という電話が集中します。次の発送のための締め切り(何日前までに連絡すれば次の発送を止められるか)を、案内とサイトで同じように伝えます。締め切りを過ぎた連絡をどう扱うかも、決めておきます。
実店舗もあるお店
実店舗とネットショップの両方を持つお店では、「ネットで買った商品を店で返品できるか」「店にある商品をネットで取り置きできるか」という問い合わせが入ります。店とネットで決まりが違う場合は、その違いを案内とサイトで同じように伝えます。店の電話とネットショップの電話が別の番号になっている場合は、どちらの用件をどちらで受けるかを決め、間違ってかかってきた電話をもう一方につなぐ流れを用意しておきます。
海外のお客様
海外から注文を受けているお店では、時差の関係で営業時間外に電話がかかってくることがあります。メールやフォームでの問い合わせを中心にし、電話の案内では、受付の時間と、メールでの問い合わせの方法を伝えます。
注文の確認のメールが届かないという電話
「注文したのに確認のメールが来ない」という電話もよくあります。注文が完了していないのか、メールが迷惑メールのフォルダに入っているのか、メールのアドレスを打ち間違えたのかで、対応が変わります。担当者は、名前と電話番号で注文の記録を探し、注文が完了しているかを確認します。アドレスの打ち間違いが分かった場合は、本人を確認したうえで正しいアドレスに直します。案内でも、メールが届かないときは迷惑メールのフォルダを確認してほしいことを、短く伝えておきます。
お店を名乗る不審な連絡についての問い合わせ
お店の名前をかたった不審なメールやメッセージが出回り、「このメールはお店から送られたものか」という電話が入ることがあります。お店が送る連絡の種類と、送らない連絡(たとえば、メールでカードの番号を聞くことはない、など)を前もって決め、サイトにも載せておきます。電話では、その決まりに沿って答え、不審なメールのリンクを開かないよう伝えます。同じ問い合わせが続く場合は、サイトのお知らせで注意を呼びかけます。
ギフトの注文
贈り物の注文では、注文した人と受け取る人が違います。「贈り物が届いたか知りたい」という電話が注文した人から入ったり、「誰から届いたのか分からない」という電話が受け取った人から入ったりします。受け取った人からの電話に、注文した人の情報を伝えてよいかは慎重に判断し、迷う場合は注文した人に確かめてから答えます。のしやメッセージのカードの間違いの連絡は、贈り物の日に間に合うかどうかがかかっているため、早めに担当者が対応します。
予約販売や入荷待ちの商品
発売の前に注文を受ける予約販売や、入荷を待って発送する商品では、「いつ届くのか」という問い合わせが長い期間にわたって続きます。発送の予定が分かっている場合はその目安を、まだ決まっていない場合は、決まったらどの方法で知らせるかを、案内とサイトで伝えます。入荷が遅れることが分かったときは、お客様から問い合わせが来る前に、お店からメールで知らせます。遅れを理由に取り消したいという電話には、担当者が注文の記録を確認して対応します。
法人のまとめての注文
会社や団体から、まとめての注文や、請求書での支払いの相談が入ることがあります。数量、届け先、納める日、請求書の宛名、支払いの条件を聞き取り、責任者が条件を確認してから見積もりや返事をします。一般のお客様の問い合わせと同じ流れに埋もれないよう、番号を分けるか、聞き取りの記録で法人の相談だと分かるようにしておきます。
不具合・返品の聞き取りシート
届いた商品の不具合や返品の相談の電話で確認する項目を、一枚にまとめておきます。
| 項目 | 聞き方の例 | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 注文の番号 | 「ご注文の確認のメールにある番号を教えてください」 | 番号 |
| 名前・連絡先 | 「ご注文のときのお名前と、お電話番号を教えてください」 | 名前、番号 |
| 届いた日 | 「商品はいつ届きましたか」 | 日付 |
| 商品と状態 | 「どの商品に、どのようなことが起きていますか」 | 商品名、状態 |
| 写真 | 「状態の分かる写真をお送りいただけますか」 | 可否 |
| 希望 | 「交換と返金、どちらをご希望ですか」 | 希望(決定ではない) |
| 折り返しの都合 | 「お電話しやすい時間帯を教えてください」 | 時間帯 |
返品の理由が「イメージと違った」のようなお客様の都合の場合は、お店の返品の決まりに沿って担当者が案内します。
配送の会社との役割の分け方
配送にかかわる問い合わせは、お店が答えることと、配送の会社が受け持つことがあります。電話で迷わないよう、分け方を決めておきます。
| 用件 | お店 | 配送の会社 |
|---|---|---|
| 発送したかどうか | 注文の記録で答える | 関わらない |
| 荷物が今どこにあるか | 確かめる方法を案内する | 状況のページや窓口で答える |
| 再配達の依頼 | 依頼の方法を案内する | 受ける |
| 配送先の変更(発送の前) | 担当者が手続きする | 関わらない |
| 配送先の変更(発送の後) | 方法を案内する | 受けられる範囲で受ける |
| 荷物の破損 | 交換や返金を判断する | 必要に応じてお店から連絡する |
配送の会社が受け持つ用件を、お店が約束してしまうと、できなかったときにお客様の不満がお店に向かいます。案内では、どこに連絡すればよいかをはっきり伝えます。
返金の流れの伝え方
返金が決まったときは、お客様が「いつ、どのように戻ってくるのか」を気にします。担当者は、次の順で伝えると、問い合わせの繰り返しを防げます。
- 返金を行うことが決まったこと
- 返金の方法(支払いの方法によって違う)
- 返金の手続きをする日と、お客様の手元に戻るまでのおよその流れ
- 返品が必要な場合は、商品を送り返す方法と送料の扱い
- 手続きが済んだら、メールで知らせること
カードの支払いの取り消しのように、お客様の手元に戻る時期がカードの会社などの事情で変わる場合は、お店からは約束できないことも伝えます。返金が済んだ後に「まだ戻っていない」という問い合わせが来たときに備えて、手続きをした日と方法を記録に残しておきます。
案内の文章のひな形
EC・通販の電話の案内に使える文章の例です。説明のための文例であり、〇の部分はお店の名前や受付の時間に合わせて変えてください。
日中の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇ショップです。ご注文の状況と配送の状況は、ご注文の確認のメールにあるページからも確かめられます。届いた商品の不具合や間違いは1番、ご注文の取り消しや変更は2番、返品・交換、定期便の停止や変更は3番、お支払いや商品についてのご質問は4番を押してください。なお、お支払いの情報は、お電話ではお伺いしません。」
取り消しの希望の聞き取りの例:
「ご注文の取り消しや変更を承ります。ご注文の番号、ご注文のときのお名前、ご希望の内容をお話しください。発送の前であれば、担当者が確かめてご連絡します。すでに発送している場合は、返品の手続きをご案内します。」
営業時間外の案内の例:
「お電話ありがとうございます。〇〇ショップです。お電話の受付は、平日の〇時から〇時です。ご注文の状況は、ご注文の確認のメールにあるページで確認できます。ご用件は、番号を選んでメッセージを残してください。翌営業日に担当者からご連絡します。」
よくある場面の対応例
ここで紹介するのは、説明のための架空の例です。実際のお店の事例ではありません。
夜中に注文の取り消しの電話が入った場面
夜中、お客様から、間違えて同じ商品を二つ注文してしまったという電話が入ります。お客様は2番を選び、注文の番号と取り消したい内容を話します。翌朝、担当者は発送の作業の前に記録を確認し、まだ発送していないことを確認して、一つ分の注文を取り消します。取り消しが済んだことを、登録のメールのアドレスに連絡します。
年末に「まだ届かない」という電話が続いた場面
年末、配送の会社の荷物が混み合い、届くのが遅れています。お店は、案内の最初に、配送が遅れていることと、配送の状況を確認する方法を入れます。多くのお客様は案内を聞いてページで状況を確認し、それでも分からない人だけが番号を選んで聞き取りに残します。担当者は、残された注文から順に配送の状況を確認して折り返します。
割れた商品が届いた場面
お客様から、届いた食器が割れていたという電話が入ります。お客様は1番を選び、担当者につながります。担当者は注文の番号と名前で本人を確認し、割れた状態の写真を送ってもらうよう頼みます。写真を確認したうえで、新しい商品を送ることを決め、割れた商品の扱い(返送が必要か、処分してよいか)と、新しい商品を送る日の目安を伝えます。
定期便を止めたいという電話が入った場面
お客様から、定期便を止めたいという電話が入ります。お客様は3番を選び、解約の方法と、次の発送を止めるための締め切りの案内を聞きます。締め切りの前だったため、お客様は聞き取りでメッセージを残します。担当者は当日中に記録を確認し、手続きを行って、解約が済んだことをメールで知らせます。
電話でカードの番号を伝えようとした場面
お客様が、支払いの方法を変えたいので、電話でカードの番号を伝えたいと話し始めます。担当者は、すぐに話を止めてもらい、カードの番号は電話では受けないことを伝え、会員のページで変える方法を案内します。会員のページの使い方が分からないお客様には、画面の手順を一つずつ説明します。
贈り物を受け取った人から電話が入った場面
贈り物を受け取った人から、のしの名前が間違っているので贈った人に伝えたい、という電話が入ります。担当者は、受け取った人に注文の内容を詳しく話すことは避け、贈った人に確かめて連絡すると伝えます。担当者は注文した人に連絡し、間違いを詫びたうえで、どうするかを相談します。
折り返しの電話のかけ方
お店からの折り返しは、本人かどうかを確認してから用件に入ります。次の順に話すと、短い電話で済みます。
- お店の名前と自分の名前を名乗る
- どの問い合わせへの折り返しかを伝える
- 本人を確認する(注文の番号、名前など)
- 確かめた結果と、決まったことを伝える
- この後の流れ(発送の日、返送の方法、返金の時期の目安)を伝える
相手が出ない場合、留守番電話にはお店の名前と、折り返しの電話であることを残し、注文の内容は残しません。電話がつながりにくいお客様には、登録のメールのアドレスにも連絡します。
お店の一日の流れの例
ここでは、架空の小さなネットショップの一日を例に、電話の受け方の流れを示します。
- 朝:夜の間に受けた聞き取りの記録を確認し、取り消しや変更の希望を発送の作業の前に処理する
- 午前中:電話を受けながら、不具合の連絡や請求の問い合わせに折り返す
- 昼過ぎ:発送の作業の時間は電話を案内に切り替える
- 夕方:作業が終わったら、聞き取りの記録を確認して折り返す
- 受付の終わり:営業時間外の案内に切り替わったことを確認する
担当の分け方
| 役割 | 店長・責任者 | 受付の担当 | 発送の担当 |
|---|---|---|---|
| 不具合・間違い | 交換や返金の決まりを決める | 聞き取り、写真の確認、決定の連絡 | 送り直しの準備 |
| 取り消し・変更 | 締め切りの決まりを決める | 記録を確認して手続きをする | 発送の前に一覧を見る |
| 返品・解約 | 決まりの文章を決める | 決まりに沿って説明し手続きをする | 返送の受け取り |
| 請求 | 返金を承認する | 記録を確認して答える | 関わらない |
| 法人の相談 | 条件を決める | 聞き取って責任者に届ける | 大口の発送の準備 |
電話の記録を商品のページの改善に生かす
電話で何度も聞かれる質問は、商品のページやよくある質問のページが足りていないという合図です。サイズの測り方、使い方、届くまでの日数など、同じ質問が続くものは、ページに書き足します。返品の理由で多いものも、商品の説明を直す手がかりになります。月に一度、電話の記録から多い質問を拾い出し、ページを直す担当を決めておくと、電話の数そのものを減らせます。
不満の強い電話の受け方
商品の不具合や配送の遅れで、強い不満を持ったお客様から電話が入ることがあります。担当者は、まず話を最後まで聞き、困らせてしまったことを受け止めます。そのうえで、確かめることと、いつまでに連絡するかを伝えます。その場で決められないことを、なだめるために約束しないことが大切です。電話の後、記録に事実と、お客様が求めていることを分けて書いておくと、責任者が判断しやすくなります。同じお客様から何度も電話が入る場合は、担当者を一人に決めて受けるようにすると、説明が食い違わずに済みます。
電話のそばに置く一枚
電話を受けることのある人のために、そばに一枚の紙を置いておきます。本人の確認方法、支払いの情報を受けないこと、交換や返金や解約を約束しないこと、取り消しの希望は発送の作業の前に必ず確かめること、配送の会社に案内する用件の一覧、困ったときに相談する責任者の名前を書いておきます。
案内の長さを確認する
ネットショップの案内は、ネットで確認する方法を伝えたい気持ちから、つい長くなりがちです。最初のネットの案内は一文にとどめ、番号の説明は四つまでにします。案内を変えたら、担当者が実際に電話をかけ、番号を選ぶまでにかかる時間を確認します。長すぎると感じたら、ネットの案内を短くするか、番号の説明をまとめます。
準備のチェックリスト
- ネットで確認できること(注文と配送の状況、返品の決まり)が、分かりやすく整っている
- 案内の最初に、ネットで確認する方法を伝えている
- 本人の確認方法が決まっている
- 支払いの情報を電話で受けないことを、案内とスタッフの決まりで徹底している
- 取り消しや変更の希望を、発送の作業の前に確かめる決まりがある
- 返品と解約の説明の文章が、サイトと同じ内容になっている
- 交換、返金、解約の完了は担当者が行い、メールなどで伝えている
- 録音や要約をすることを、案内と個人情報の扱いの方針で伝えている
電話以外の連絡の方法との使い分け
| 方法 | 向いていること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 急ぐ取り消し、不具合の相談、ネットが苦手なお客様 | 担当の人数が少ないとつながりにくい |
| メール・フォーム | 写真の送付、記録を残したいやり取り | 返事までに時間がかかる |
| 会員のページ | 注文の状況、定期便の変更、支払いの方法の変更 | 使い方の案内が必要 |
| チャット | 短い質問 | 受け持つ時間を決める |
案内を古くしない
受付の時間、発送の休み、セールの期間、返品の決まり、定期便の締め切りは、変わることがあります。変えたときは、サイトのページ、メールのひな形、電話の案内をまとめて直します。とくに返品の決まりは、サイトと電話の説明が食い違うと大きなトラブルになるため、変えるときは必ず両方を同じ日に直します。
スタッフへの共有と教育
次の点を、新しく電話を受けるスタッフが最初に覚えることとして伝えます。
- 注文の内容は、本人を確認してから話す
- 支払いの情報は、電話で受けない
- 交換、返金、解約を、その場で約束しない
- 返品と解約の説明は、決めた文章に沿って行う
- 取り消しの希望は、発送の作業の前に必ず確かめる
効果の確認方法と見直し
電話の流れを変えた後は、記録をもとに、注文と配送の状況の確認の電話が減ったか、不具合の連絡から折り返しまでの時間、取り消しの希望が発送の前に処理できたか、返品や解約での行き違いの数を確認します。数字は自分のお店の記録から出すもので、前の月と比べて改善できたかを見るためのものです。レビューやメールで寄せられた電話についての声も、見直しの手がかりになります。
CallでIVRと聞き取りを組む
EC・通販の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、キューごとのボイスメール、IVRからのコールバックの受付、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。不具合の連絡を担当者に優先してつなぎ、取り消しや返品の相談はボイスメールで用件を受けて、発送の作業の前や作業の後に確かめる流れが組めます。設定の手順は使い方のガイドとドキュメントで説明しています。
日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、担当者が確認しやすくする使い方です。交換、返金、解約、注文の変更の判断と手続きは、お店の担当者が行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。
ほかの業種の例として、SaaS・IT企業の電話対応、タクシー・運送の電話対応もあわせてご覧ください(EC・通販のAI電話対応|注文・返品案内からの関連案内)。
よくある質問
AIが注文の状況を答えてくれますか?
自動の案内では、注文と配送の状況を確かめる方法を案内します。個別の注文の状況は、担当者が本人を確かめてから答えます。
返品の受付を自動で完了できますか?
できません。自動の案内で伝えるのは、返品の条件と手続きの流れまでです。返品を受けるかどうかの判断と手続きは、担当者が行います。
夜中の取り消しの希望は、間に合いますか?
ボイスメールで受けた取り消しの希望を、翌朝の発送の作業の前に必ず確かめる決まりにしておけば、発送の前であれば対応しやすくなります。発送した後は、返品の手続きになります。
電話でカードの番号を受けてもよいですか?
受けないようにします。支払いの情報は、会員のページなど、安全に扱える仕組みで変えてもらいます。案内でも、電話では支払いの情報を伺わないことを伝えます。
本人かどうか、どう確かめますか?
注文の番号、注文した人の名前、登録の電話番号かメールのアドレスなど、いくつかの情報がそろっているかで確かめます。そろわない場合は、登録のメールのアドレスに連絡します。
定期便の解約は電話で受けるべきですか?
受け方はお店ごとに決めますが、電話で受ける場合も、聞き取りだけで完了したことにせず、担当者が手続きをして、解約が済んだことを伝えます。次の発送の締め切りは、案内とサイトで同じように伝えます。
「まだ届かない」という電話を減らすには?
発送の連絡のメールと配送の状況のページを分かりやすくし、案内の最初で確かめる方法を伝えます。遅れが分かっているときは、案内とサイトで先に知らせます。
商品のアレルギーの質問には答えられますか?
原材料は商品のページの情報をもとに担当者が答えます。体に合うかどうかの判断は、医師などに相談するよう伝えます。
受け取った人から贈り主を聞かれたら?
注文した人の情報を伝えてよいかは慎重に判断し、迷う場合は注文した人に確かめてから答えます。
通話を録音してもよいですか?
録音する場合は、案内の最初でそのことを伝え、個人情報の扱いの方針に使い方と保管の期間を書いておきます。支払いの情報が話されてしまった場合に記録から消す手順も決めておきます。
小さなお店でも電話の受付は必要ですか?
お店の考え方によりますが、ネットが苦手なお客様や急ぐ取り消しのために、電話の窓口があると安心するお客様もいます。受付の時間をしぼり、時間外はボイスメールで受ける形にすれば、少ない人数でも続けやすくなります。
まとめ
EC・通販の電話は、注文と配送の状況の確認のような同じ問い合わせの繰り返しと、不具合や返品、解約のような丁寧な説明が必要な問い合わせが混ざってかかってきます。ネットで確認できることを整えて案内の最初に伝え、不具合の連絡は担当者に優先して届け、取り消しや返品の相談はボイスメールで用件を受けて決めた時間に確かめる形にすると、少ない人数でも電話を受けやすくなります。
自動の案内やAIに任せるのは、決まった情報の案内と用件の聞き取り、記録の要約までです。交換、返金、解約、注文の変更の判断と手続き、請求の回答は、お店の担当者が行います。支払いの情報を電話で受けない決まりを守り、記録を見ながら少しずつ直していけば、お客様の信頼を保ちながら電話の負担を減らせます。



