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調剤薬局のAI電話対応|営業時間・処方案内

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

調剤薬局のAI電話対応|営業時間・処方案内(AI-SNS.IO Call ブログ)

調剤薬局の電話は、処方箋を持った患者さんが窓口に並ぶ時間と重なってかかってきます。近くの医療機関の診療が終わる時間の前後には、窓口で薬を受け取る人が続き、薬剤師は調剤と監査、服薬の説明に追われます。そこへ「今から行っても間に合いますか」「この薬は置いてありますか」「処方箋を先に送ってもいいですか」という電話が入ります。

薬局の電話の中には、営業時間のように誰が答えても同じ内容の問い合わせもあれば、「薬を飲み間違えた」「飲んだ後に発疹が出た」のように、薬剤師がすぐに話を聞くべき電話もあります。この二つを同じように受けていると、薬剤師が簡単な問い合わせに時間をとられる一方で、急ぐ電話が待たされてしまいます。

この記事では、調剤薬局の電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類、営業時間外や混み合う時間の受け方、設計の例、薬剤師への引き継ぎ、患者さんの情報の扱い、導入の進め方を順に紹介します。薬についての説明や相談への回答、在庫や受け取りの時間の確定は薬剤師やスタッフが行うことを前提に、自動化してよい範囲を考えます。この記事は電話の運営についての一般的な説明であり、医療や薬についての助言ではありません。

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調剤薬局の電話対応で起きがちな課題

窓口が混む時間に電話が重なる

調剤薬局が最も忙しいのは、近くの医療機関の診療時間に合わせて患者さんが来る時間です。午前の診療が終わる昼前と、夕方の診療が終わる時間の前後に、窓口が混み合います。この時間は、電話をかけてくる人にとっても「薬局が開いているうちに確かめたい」時間であり、電話も増えます。薬剤師が電話に出れば、窓口の患者さんを待たせることになります。

薬剤師でなければ答えられない電話が多い

薬の飲み方、飲み合わせ、副作用かもしれない症状についての電話は、薬剤師が話を聞いて答えるべきものです。事務のスタッフや自動の案内が答えることはできません。一方で、営業時間や場所、駐車場、処方箋の受付の方法といった問い合わせは、薬剤師でなくても案内できます。電話の用件を最初に分けられれば、薬剤師が受けるべき電話に集中しやすくなります。

在庫の問い合わせへの答え方

「この薬は置いてありますか」という問い合わせは、薬局の電話でよくある用件です。在庫は日々変わり、同じ薬でも規格や製造元によって置いているものが違います。在庫を確認するには、薬剤師やスタッフが処方の内容を確認する必要があり、電話口で簡単に答えられるものではありません。答え方を誤ると、来局した患者さんに薬を渡せないことになります。

営業時間外の電話

薬局が閉まった後や休日に、「薬をなくしてしまった」「薬を飲んだら具合が悪くなった」という電話がかかってくることがあります。薬局として夜間や休日の相談を受ける体制を整えているかどうかで、案内の内容が変わります。体制がない場合でも、急ぐときの行き先を、案内ではっきり伝える必要があります。

医療機関や介護の事業所からの連絡

近くの医療機関から処方の内容についての連絡が入ったり、在宅の患者さんを担当する訪問看護やケアマネジャーから連絡が入ったりします。こうした連絡は、薬剤師が受ける必要があり、患者さんからの一般的な問い合わせと同じ順番で待たせることは避けたい電話です。

よくある問い合わせの分類

調剤薬局にかかってくる電話を、急ぎの度合いと、誰が対応するかで分けてみます。

体調の変化や飲み間違い、薬の相談、処方箋の受付、在庫、営業時間、医療機関からの連絡の比較
図1:調剤薬局の電話の分類

薬を飲んだ後の体調の変化や飲み間違い

「薬を飲んだら息苦しい」「子どもが薬を誤って飲んだ」といった電話です。最も急ぎます。命にかかわるおそれがあれば、まず119番に通報するよう案内します。そのうえで、薬剤師にすぐつながるようにします。自動の案内で長く待たせたり、聞き取りに回したりはしません。

薬についての相談

飲み方、飲み忘れたときの対応、飲み合わせ、保管の方法などの相談です。薬剤師が答えます。急ぎの度合いは内容によって違いますが、薬剤師が手の空いたときに必ず話を聞けるよう、記録に残して届けます。

処方箋の受付と受け取りの時間

処方箋を持って行く前に、受け取りまでの時間を知りたい、処方箋の内容を先に送りたい、といった問い合わせです。処方箋を先に受ける方法(ファクスやアプリなど、その薬局が用意しているもの)と、その場合でも原本の持参が必要なことなどを案内します。受け取りの時間は、薬剤師やスタッフが処方の内容と在庫を確認してから伝えます。

在庫の問い合わせ

特定の薬を置いているかという問い合わせです。処方の内容を聞き取り、スタッフや薬剤師が確かめて折り返します。自動の案内で在庫の有無を答えることはしません。

営業時間・場所・駐車場

決まった情報の問い合わせです。案内で答えられます。祝日の営業や、臨時の休みも案内に入れます。

医療機関や関係先からの連絡

医療機関、訪問看護、介護の事業所、ほかの薬局からの連絡です。薬剤師に優先してつなぎます。

支払いや書類の問い合わせ

領収書の再発行、支払いの方法、薬の説明の書類の再発行などです。スタッフが確かめて答えます。

営業時間外・繁忙時の受け方

窓口が混む時間

窓口が混む時間は、電話を案内に切り替えます。最初に、体調の急な変化のときは119番に通報するよう伝え、薬を飲んだ後の体調の変化や飲み間違いの連絡は、薬剤師にすぐつなぐ番号を用意します。営業時間や処方箋の受付の方法は案内で伝え、在庫の問い合わせや薬についての相談はボイスメールで用件を受けて、窓口が落ち着いた時間に薬剤師やスタッフが折り返します。

営業時間外

薬局が閉まっている時間は、案内で営業時間と、急ぐときの行き先を伝えます。薬局として時間外の相談の窓口を設けている場合は、その連絡先につながる流れにします。設けていない場合は、命にかかわるときは119番、ほかの急ぎの相談は処方した医療機関や、地域で決められている相談の窓口に相談するよう案内します。案内する窓口は、地域の実際の窓口を確認したうえで入れます。

連休の前

連休の前は、薬を多めに受け取りたい、連休中に薬がなくなりそうだ、という問い合わせが増えます。連休中の営業の予定と、連休の前に受け取りに来てほしい期限を、前もって案内とお知らせで伝えます。

感染症が流行する時期

感染症が流行する時期は、近くの医療機関の患者さんが増え、窓口と電話の両方が混みます。処方箋を先に受ける方法や、受け取りまでのおよその待ち時間の伝え方を決めておくと、電話での説明の時間を減らせます。

時間帯ごとに案内を切り替える組み方は、IVRの営業時間ルーティングの記事で、薬局の開局時間と窓口が混む時間を分けて考えるときの参考になります。

IVRとAI一次応答の設計例

番号の選び方の例

調剤薬局の案内では、最初に命にかかわる場合の案内を置き、薬剤師にすぐつなぐ番号を先頭にします。

AIによる一次応答に任せる範囲

薬局で自動の案内やAIが受け持つのは、誰が答えても同じになる情報の案内と、用件の聞き取り、通話の要約の三つにしぼります。

薬についての質問は、どれほど簡単に見えても、自動の案内では答えません。ボイスメールで用件を受けて、薬剤師に届けます。

自動の一次応答で担えることと担えないことの全体像は、AI電話受付とはで、医療以外の業種も含めて整理しています。

記録、薬剤師につなぐ電話、案内、範囲、試験、時間外から、知らせる、直すの八つの手順
図2:薬局で導入を進める手順

聞き取りで確認する項目

在庫や受け取りの時間の問い合わせの聞き取りでは、次の項目を順に確かめます。

  1. 名前と、折り返しの電話番号
  2. 処方を出した医療機関の名前
  3. 薬の名前と量(処方箋が手元にあれば、書かれているとおりに)
  4. 来局したい日と時間帯
  5. この薬局を初めて使うかどうか
  6. 折り返しに都合のよい時間帯

薬についての相談の聞き取りでは、薬を使っている人の名前と年齢、薬の名前、相談したいこと、今の体の様子、連絡先を聞き取ります。体の様子の聞き取りで、息苦しさや意識のはっきりしない様子など、急ぐ症状が話に出てきた場合は、聞き取りを続けずに119番を案内し、薬剤師につなぎます。

スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う

薬の相談は薬剤師が答える

薬についての相談は、ボイスメールで受けた場合も、薬剤師が内容を確認し、患者さんの薬の記録を見たうえで折り返します。電話を受けた事務のスタッフや自動の案内が、「飲んでも大丈夫です」「様子を見てください」と答えることはしません。

在庫と受け取りの時間はスタッフが確かめる

在庫の問い合わせは、スタッフや薬剤師が処方の内容を確認してから折り返します。在庫がない場合は、取り寄せにかかる日数の目安と、それまでの間どうするかを、薬剤師が患者さんと相談します。受け取りの時間も、処方の内容とその日の混み具合を見て、スタッフが伝えます。

在庫がないときの伝え方

在庫がないことを伝えるときは、患者さんが次に何をすればよいかまで伝えます。薬剤師やスタッフは、次の順で話すと分かりやすくなります。

  1. 在庫がないことと、取り寄せにかかるおよその日数
  2. 手元の薬がいつまで足りるか(患者さんに確かめる)
  3. 足りない場合にどうするか(薬剤師が考えた方法を説明する)
  4. 取り寄せた薬の準備ができたら、薬局から連絡すること
  5. 来局のときに持ってくるもの

取り寄せの日数は見込みであり、入荷が遅れることもあるため、約束の言い方は避けます。入荷が遅れると分かったときは、患者さんから問い合わせが来る前に薬局から連絡し、手元の薬が足りるかをもう一度確かめます。

処方箋を先に受けた場合の連絡

ファクスやアプリで処方箋を先に受けた場合は、薬の準備ができたことや、在庫がなく取り寄せになることを、薬局から患者さんに伝えます。先に受けた処方箋の扱い(原本の持参が必要なことなど)は、薬局の決まりに沿ってスタッフが説明します。

医療機関からの連絡は薬剤師が受ける

医療機関からの処方についての連絡や、在宅の患者さんについての関係先からの連絡は、薬剤師が受けます。薬剤師が窓口で手が離せない場合は、ボイスメールで受け、決めた時間までに薬剤師が折り返します。

個人情報と記録の扱い

薬の情報は慎重に

薬局は、患者さんの名前や連絡先に加え、使っている薬、病気、体の状態の情報を預かっています。こうした情報は、個人情報保護法で「要配慮個人情報」として、とくに慎重な扱いが求められるものを多く含みます。電話の記録にも、薬の名前や症状が残ります。記録を見られる人を薬局のスタッフに限り、保管の期間を決めて扱います。

本人以外からの問い合わせ

「家族の薬について聞きたい」「母が何の薬を飲んでいるか教えてほしい」という電話がかかってくることがあります。本人以外の人に、薬の内容を電話で伝えるかどうかは慎重に判断します。家族が薬を受け取りに来ている、介護をしている家族として登録されている、といった事情を確認し、迷う場合は本人に確かめてから答えます。

録音と要約

通話を録音したり、AIで要約したりする場合は、案内の最初でそのことを伝え、薬局の個人情報の扱いの方針に、使い方と保管の期間を書いておきます。

患者さんの情報の扱いについての法律の考え方は、個人情報保護委員会のウェブサイトで、医療の分野の事業者向けの案内とあわせて調べられます。ここでの内容は一般的な説明であり、法的助言ではありません。

導入の進め方

1. 電話の記録をとる

二週間ほど、かかってきた時間、用件、出られたかどうか、誰が受けたかを記録します。薬剤師が受けた電話のうち、薬剤師でなくても案内できたものがどれくらいあったかが見えてきます。

2. 薬剤師にすぐつなぐ電話を決める

薬を飲んだ後の体調の変化、飲み間違い、医療機関からの連絡など、薬剤師にすぐつなぐ電話を決めます。薬剤師が一人の時間帯は、窓口の対応中でもつながる方法(窓口の近くの電話を鳴らす、ほかのスタッフが声をかけるなど)を決めておきます。

3. 案内の内容を整える

営業時間、場所、駐車場、処方箋を先に送る方法、持ち物、時間外の行き先を、短い文章にまとめます。時間外の行き先は、地域の実際の窓口を確認して入れます。

4. 任せる範囲を決める

自動の案内で伝える情報、ボイスメールで受ける用件、すぐに薬剤師につなぐ用件を分けます。迷う用件は、薬剤師につなぐ側に入れておきます。

5. 試験してから始める

スタッフが患者さんや医療機関の役になって電話をかけ、番号の選び方が分かりやすいか、急ぎの電話が確実に薬剤師につながるか、聞き取りの記録が届くかを確認します。

6. 時間外から始めて広げる

最初は、営業時間外の聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、窓口が混む時間にも広げます。

7. 患者さんと関係先に知らせる

電話の受け方を変えたことを、薬局の掲示やお知らせで患者さんに伝え、近くの医療機関や在宅の関係先には、優先してつながる番号を知らせます。

8. 記録を見て直す

一か月ほどたったら、ボイスメールで受けた用件の中に急ぐものが混ざっていなかったか、折り返しが遅れたものがなかったかを確認し、案内と流れを直します。

薬剤師とスタッフが数人の薬局での電話の受け方は、小さな会社の電話対応で、少ない人数で受け持つ考え方として紹介しています。

調剤薬局ならではの工夫

医療機関の近くの薬局と、街の中の薬局

特定の医療機関の近くにある薬局では、その医療機関の診療時間に合わせて電話と窓口が混みます。診療が終わる時間の少し前から案内に切り替えるなど、医療機関の時間割に合わせた設計が有効です。いろいろな医療機関の処方箋を受ける街の中の薬局では、在庫の問い合わせが多くなります。在庫の問い合わせの聞き取りを丁寧にし、折り返しの時間を決めておきます。

在宅の患者さんへの対応

在宅の患者さんの家に薬を届けている薬局では、患者さんの家族や、訪問看護、ケアマネジャーからの連絡が多くなります。薬を届ける日時の調整や、薬がなくなりそうだという連絡は、在宅を担当する薬剤師に届けます。関係先向けの番号を用意すると、患者さん本人からの一般的な問い合わせと分けて受けられます。

在宅の患者さんの家族からの連絡の受け方

在宅の患者さんの家族からの電話では、薬がなくなりそうだ、薬を飲ませるのが難しくなった、体の様子が変わった、といった連絡が入ります。聞き取りでは、患者さんの名前、連絡してきた家族の名前、用件、薬の残りの量、次に薬を届ける予定の日を確認します。薬を飲ませるのが難しくなったという連絡は、薬の形を変える相談につながることがあり、在宅を担当する薬剤師が、必要に応じて医師やケアマネジャーと相談します。体の様子が大きく変わったという連絡は、急ぎの電話として薬剤師につなぎ、命にかかわる様子であれば119番を案内します。

処方箋を先に送る仕組み

ファクスやアプリで処方箋を先に受け付けている薬局では、「処方箋を送ったが届いているか」という電話が入ります。受け付けた処方箋の一覧を、電話を受けるスタッフが確かめられるようにしておくと、すぐに答えられます。案内でも、先に送る方法と、送った後にどうなるか(準備ができたら連絡する、など)を伝えておくと、確かめの電話が減ります。

市販の薬や健康の相談

市販の薬や、健康についての一般的な相談の電話も入ります。どの薬を選べばよいか、症状がある場合にどうすればよいかは、薬剤師が話を聞いて答えます。症状によっては医療機関の受診をすすめることもあります。電話の受付で、商品の名前だけを聞いて答えることはしません。

薬をなくした、足りなくなったという電話

「旅行先で薬をなくした」「次の受診の日まで薬が足りない」という電話もあります。薬局で処方箋なしに出せる薬と出せない薬があり、どう対応するかは薬の種類や事情によって変わります。こうした電話は、薬剤師が話を聞き、処方した医療機関への相談が必要かどうかを含めて案内します。自動の案内では、薬剤師が折り返すことを伝え、急ぐ事情があれば薬剤師につなぎます。

薬剤師が一人の時間帯

薬剤師が一人で窓口に立つ時間帯は、電話に出るたびに調剤と服薬の説明が止まります。この時間帯は、とくに用件の分け方が大切です。急ぎの電話だけを薬剤師に鳴らし、在庫や受け取りの時間の問い合わせはボイスメールで用件を受けて、事務のスタッフが先に処方の内容を整理しておくと、薬剤師が折り返すときの時間が短くなります。

家族が代わりに薬を受け取る場合

「本人が来られないので、家族が代わりに受け取りに行ってもよいか」という電話はよくあります。代わりに受け取る場合に何を持ってくればよいか、本人の体の様子をどう伝えればよいかは、薬局の決まりに沿ってスタッフが案内します。服薬の説明は、代わりに来た家族を通して本人に伝わるため、薬剤師が説明の内容を書面で渡すなどの工夫をします。電話では、代わりに来る人の名前と、本人との関係を聞いておくと、窓口での確認がなめらかになります。

後発医薬品についての問い合わせ

「ジェネリックに変えてもらえるか」「前回と薬の見た目が違うが大丈夫か」という問い合わせも入ります。後発医薬品に変えられるかどうかは、処方の内容や在庫によって違い、薬剤師が確かめて説明します。見た目が変わったという電話は、飲み間違いにつながることもあるため、薬剤師が話を聞き、同じ成分の薬かどうかを確認して伝えます。自動の案内で「同じ薬です」と答えることはしません。

お薬手帳についての問い合わせ

お薬手帳をなくした、新しくつくりたい、電子のお薬手帳を使いたい、といった問い合わせもあります。手帳の扱いは窓口で案内できることが多いため、電話では来局のときに相談できることを伝え、急ぐ事情があれば薬剤師が話を聞きます。

薬を届ける仕組みやオンラインでの説明

薬を家に届ける仕組みや、オンラインでの服薬の説明を行っている薬局では、その申し込みの方法や、使える条件についての問い合わせが入ります。使える条件は処方の内容や患者さんの状況によって違うため、案内では申し込みの流れまでを伝え、使えるかどうかは薬剤師が確かめてから答えます。

問い合わせの聞き取りシート

在庫や受け取りの時間の問い合わせで確認する項目を、一枚にまとめておきます。

項目聞き方の例記録のしかた
名前・連絡先「お名前と、折り返しのお電話番号を教えてください」名前、番号
医療機関「どちらの医療機関の処方箋ですか」医療機関の名前
薬の名前と量「処方箋に書かれている薬の名前と量を読み上げてください」書かれているとおり
来局の予定「いつごろ来られますか」日と時間帯
初めての来局か「当薬局のご利用は初めてですか」有無
お薬手帳「お薬手帳はお持ちですか」有無
折り返しの都合「お電話しやすい時間帯はありますか」時間帯

薬の名前は聞き間違いが起きやすいため、聞き取りの記録だけで判断せず、薬剤師やスタッフが折り返したときに、処方箋の内容をもう一度確かめます。

薬の相談の記録の形

薬についての相談をボイスメールで受けたときの記録の形をそろえておくと、薬剤師が折り返す前に要点をつかめます。

項目記録の例薬剤師が見る点
薬を使っている人本人、七十代年齢と、かけてきた人との関係
薬の名前聞き取ったとおりに聞き間違いがないか記録と照らす
相談の内容飲み忘れたときどうするか急ぐ内容かどうか
今の体の様子変わりなし急ぐ症状が出ていないか
連絡先と都合午後は家にいる折り返しの時間
急ぎかどうかの申し出今日中に知りたい優先の順番

記録の中に、急ぐ症状を思わせる言葉があれば、薬剤師は順番を待たずに折り返します。

処方箋の受付で起きやすい行き違い

電話での処方箋の受付の案内では、次のような行き違いが起きやすくなります。前もって案内やスタッフの説明で防ぎます。

案内では、これらを長々と話すのではなく、処方箋を先に送る方法の案内の中に一言ずつ入れておきます。

案内の文章のひな形

調剤薬局の電話の案内に使える文章の例です。説明のための文例ですので、〇の部分は薬局の名前や営業時間に合わせて直してください。

窓口が混む時間の案内の例:

「お電話ありがとうございます。〇〇薬局です。薬を飲んだ後に息苦しいなど、命にかかわるときは、すぐに119番に通報してください。薬を飲んだ後の体調の変化や飲み間違いは1番、処方箋の受付や在庫のお問い合わせは2番、医療機関や介護の事業所の方は3番、薬のご相談やそのほかは4番を押してください。」

在庫の問い合わせの聞き取りの例:

「在庫や受け取りの時間のお問い合わせを承ります。お名前、折り返しのお電話番号、処方箋を出した医療機関、薬の名前と量をお話しください。確かめたうえで、スタッフからお電話します。」

営業時間外の案内の例:

「お電話ありがとうございます。〇〇薬局です。本日の営業は終了しました。営業時間は、平日の〇時から〇時、土曜日の〇時から〇時です。命にかかわるときは119番に通報してください。お薬について急いで相談したいときは、処方を受けた医療機関にご相談ください。そのほかのお問い合わせは、メッセージを残してください。翌営業日にお電話します。」

よくある場面の対応例

ここで紹介するのは、説明のための架空の例です。実際の薬局の事例ではありません。

夕方に在庫の問い合わせが入った場面

夕方、窓口は患者さんで混んでいます。別の医療機関で処方箋をもらった人から、薬を置いているかという電話が入ります。電話をかけた人は2番を選び、医療機関の名前と薬の名前、今から三十分後に行きたいことを話します。事務のスタッフが記録を見て在庫を確認し、薬剤師にも確かめたうえで、十五分後に折り返し、在庫があることと、混み具合から見たおよその待ち時間を伝えます。

子どもが薬を誤って飲んだという電話が入った場面

母親から、子どもが大人の薬を誤って飲んだかもしれないという電話が入ります。案内の最初で119番の案内が流れ、母親は1番を選びます。薬剤師の電話が鳴り、薬剤師はすぐに話を聞きます。子どもの様子と、飲んだかもしれない薬と量を確認し、様子によっては救急への連絡や医療機関の受診をすすめます。この判断は薬剤師が行い、自動の案内や事務のスタッフは行いません。

処方箋を送ったか確かめたいという電話が入った場面

アプリで処方箋を送った患者さんから、届いているかという電話が入ります。事務のスタッフは、受け付けた処方箋の一覧を確認し、届いていることと、準備ができたら連絡することを伝えます。来局のときに処方箋の原本を持ってくることも、あわせて伝えます。

医療機関から処方についての連絡が入った場面

近くの医療機関から、処方の内容を変えたという連絡が入ります。医療機関のスタッフは3番を選び、薬剤師に優先してつながります。薬剤師は窓口の対応を一度止め、変更の内容を聞き取って、調剤の準備を直します。

閉店の後に薬の飲み方の相談が入った場面

夜、薬の飲み忘れについて相談したいという電話が入ります。営業時間外の案内が流れ、急ぐ場合は処方した医療機関に相談するよう伝えます。相談した人は、急ぎではないので翌日でよいとメッセージを残します。翌朝、薬剤師が記録を確認し、患者さんの薬の記録を見たうえで折り返します。

薬の見た目が違うという電話が入った場面

高齢の患者さんから、今回もらった薬の色が前と違うので飲んでよいか不安だ、という電話が入ります。患者さんは4番を選び、聞き取りで内容を話します。記録を見た薬剤師は、飲み間違いにつながるおそれがあると考えて、順番を早めて折り返します。薬の記録を確認し、前回と製造元が違う同じ成分の薬であることを説明し、薬の袋の書き方を一緒に確かめます。次の来局のときには、窓口で改めて説明することを伝えます。

折り返しの電話のかけ方

薬局からの折り返しは、薬の内容が含まれるため、本人か、本人が認めた家族と話していることを確認してから用件に入ります。次の順に話します。

  1. 薬局の名前と自分の名前を名乗る
  2. 話している相手が、問い合わせをした本人かどうかを確認する
  3. どの電話への折り返しかを伝える
  4. 在庫や受け取りの時間、相談への答えを伝える
  5. 大切なことを繰り返し、来局のときに持ってくるものを伝える

相手が出ない場合、留守番電話には薬局の名前と、折り返しの電話であることだけを残します。薬の名前や病気のことは、ほかの家族が聞くかもしれない留守番電話には残しません。

薬局の一日の流れの例

ここでは、架空の医療機関の近くの薬局の一日を例に、電話の受け方の流れを示します。

薬剤師・事務のスタッフの役割分担

役割薬剤師事務のスタッフ
体調の変化や飲み間違いすぐに話を聞いて判断する119番を案内し、薬剤師につなぐ
薬についての相談記録を見て答えるボイスメールで用件を受けて薬剤師に届ける
在庫・受け取りの時間在庫を確認し、取り寄せを相談する処方の内容を整理して伝える
医療機関からの連絡受けて調剤に反映する薬剤師に優先してつなぐ
営業時間・場所・書類必要なときに手伝う案内し、書類を整える

薬局から電話をかける場面

薬局は、電話を受けるだけでなく、かける側にもなります。処方の内容について医療機関に確かめる、在庫を取り寄せたことを患者さんに知らせる、在宅の患者さんの家族に届ける日時を相談する、といった電話です。薬局からかけた電話に相手が折り返してきたとき、誰がかけた電話なのか分からないと、相手を待たせてしまいます。かけた電話は、相手、用件、かけた人を記録に残し、折り返しの電話を受けたスタッフが記録を見て、担当の薬剤師につなげるようにします。

季節によって変わる電話

花粉の多い時期や、かぜやインフルエンザが流行する時期は、近くの医療機関の患者さんが増え、処方箋の受付や在庫の問い合わせが増えます。年末年始やお盆の前は、休みの間の薬についての問い合わせが増えます。季節ごとに増える問い合わせに合わせて、案内の文章を前もって用意し、受け取りまでの待ち時間の伝え方をスタッフの間でそろえておきます。

電話のそばに置く一枚

電話に出ることのある事務のスタッフのために、電話のそばに一枚の紙を置いておきます。次の点を書いておきます。①命にかかわる様子の電話では119番を案内し、すぐに薬剤師に知らせる ②薬についての質問には答えず、薬剤師に引き継ぐ ③在庫の有無はその場で答えない ④ご本人以外に薬の内容を伝える際のルール ⑤時間外の相談先。

初めて来る患者さんへの案内

初めてその薬局を使う患者さんは、場所、駐車場、処方箋を先に送る方法、持ち物(保険の資格を確認するもの、お薬手帳など)が分からず、電話で確認することが多くあります。初めての人がよく聞くことを案内の文章にまとめ、ホームページにも同じ内容を載せておきます。初めての人の聞き取りでは、ほかに使っている薬があるか、アレルギーがあるかを、来局のときに薬剤師が確かめることを伝えておくと、窓口での確認がなめらかになります。

案内の聞き取りやすさ

薬局に電話をかける人には、体調のよくない人や高齢の人も多くいます。案内は短い文で、ゆっくり話します。最初の一文で薬局の名前と119番の案内を伝え、番号の説明は四つまでにします。薬の名前を聞き取る場面では、聞き取った名前を繰り返して確かめる流れにすると、聞き間違いを減らせます。案内を変えたときは、スタッフが実際に電話をかけて聞いてみます。

店舗が複数ある薬局

いくつかの店舗を運営している薬局では、どの店舗の在庫や処方箋についての問い合わせかを最初に分ける必要があります。店舗ごとに番号を分けるか、一つの番号で最初に店舗を選んでもらいます。在庫がない店舗に問い合わせがあった場合に、ほかの店舗の在庫を確認して案内するかどうかは、薬局の運営の決まりに沿って決めます。案内する場合も、店舗の間で薬を動かす時間がかかることを、スタッフが伝えます。

準備のチェックリスト

電話以外の連絡の方法との使い分け

方法向いていること気をつけること
電話体調の変化、急ぐ相談、医療機関からの連絡窓口が混む時間はつながりにくい
ファクスやアプリでの処方箋の送信来局の前の処方箋の受付原本の扱いなど薬局の決まりを伝える
窓口での対面服薬の説明、薬の受け取り来局が必要

体調の変化や飲み間違いのように急ぐ連絡は、アプリではなく電話で、と案内しておきます。

案内を古くしない

営業時間、祝日の営業、臨時の休み、処方箋を先に送る方法、時間外の行き先は、変わることがあります。とくに時間外の行き先は、地域の窓口の運営が変わることもあるため、定期的に確かめます。案内を変えたら、薬局の掲示、ホームページ、電話の案内をまとめて直します。

スタッフへの共有と教育

次の点を、新しいスタッフが最初に覚えることとして伝えます。

効果の確認方法と見直し

電話の流れを変えた後は、記録をもとに、薬剤師が受けた電話のうち薬剤師でなくても案内できたものが減ったか、在庫の問い合わせから折り返しまでの時間、急ぎの電話が薬剤師にすぐつながったか、患者さんから寄せられた声を確認します。数字は自分の薬局の記録から出すもので、前の月と比べて改善できたかを見るためのものです。

CallでIVRと薬剤師へのつなぎ方を組む

調剤薬局の電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、キューごとのボイスメール、IVRからのコールバックの受付、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。体調の変化や飲み間違いの電話を薬剤師にすぐつなぎ、在庫や受け取りの時間の問い合わせはボイスメールで用件を受けて、窓口が落ち着いた時間に折り返す流れが組めます。設定の手順は使い方のガイドとドキュメントを見てください。

日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、薬剤師やスタッフが確認しやすくする使い方です。薬についての説明と相談への回答、在庫や受け取りの時間の確定は、薬局の薬剤師とスタッフが行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。

ほかの業種の例として、EC・通販の電話対応、SaaS・IT企業の電話対応もあわせてご覧ください(調剤薬局のAI電話対応|営業時間・処方案内からの関連案内)。

よくある質問

AIが薬の飲み方の質問に答えてくれますか?

答えません。薬についての質問は、薬剤師が患者さんの薬の記録を見たうえで答えます。自動の案内は、質問を聞き取って薬剤師に届けるところまでです。

在庫の問い合わせに自動で答えられますか?

在庫の有無は、スタッフや薬剤師が処方の内容を確かめてから答えます。自動の案内では、ボイスメールで用件を受けて折り返すことを伝えます。

飲み間違いの電話は、どうつながりますか?

案内の最初で、命にかかわるときは119番に通報するよう伝えたうえで、専用の番号から薬剤師にすぐつながるようにします。聞き取りに回すことはしません。

営業時間外に相談したい人には、何を案内しますか?

命にかかわるときは119番、急ぐ薬の相談は処方を受けた医療機関や、地域で決められている相談の窓口を案内します。案内する窓口は、地域の実際の窓口を確かめて入れます。

処方箋を先に送ってもらう仕組みと組み合わせられますか?

組み合わせられます。案内で先に送る方法と、送った後の流れを伝え、送ったかどうかの確かめの電話には、受け付けた処方箋の一覧を見て答えます。

家族から薬の内容を聞かれたら?

家族が受け取りに来ている、介護をしている家族として登録されているなどの事情を確かめ、迷う場合は本人に確かめてから答えます。

医療機関からの電話を優先できますか?

医療機関や関係先向けの番号を用意し、薬剤師に優先してつなぐ流れにできます。薬剤師が手を離せないときは、ボイスメールで用件を受けて決めた時間までに折り返します。

薬剤師が一人の時間帯はどうすればよいですか?

急ぎの電話だけを薬剤師に鳴らし、在庫や受け取りの時間の問い合わせはボイスメールで受けます。事務のスタッフが先に内容を整理しておくと、折り返しが短く済みます。

留守番電話にはどこまで残してよいですか?

薬局の名前と、折り返しの電話であることまでにします。薬の名前や病気のことは残しません。

通話を録音してもよいですか?

録音する場合は、案内の最初でそのことを伝え、個人情報の扱いの方針に使い方と保管の期間を書いておきます。

市販の薬の相談も電話で受けますか?

受けますが、答えるのは薬剤師です。症状を聞いたうえで、医療機関の受診をすすめることもあります。

まとめ

調剤薬局の電話は、窓口が混む時間に重なり、薬剤師でなければ答えられない電話と、誰でも案内できる電話が混ざってかかってきます。命にかかわる電話と体調の変化の電話を最初に分けて薬剤師にすぐつなぎ、在庫や受け取りの時間の問い合わせはボイスメールで用件を受けて、窓口が落ち着いた時間に折り返す形にすると、薬剤師が調剤と服薬の説明に集中しやすくなります。

自動の案内やAIに任せるのは、決まった情報の案内と用件の聞き取り、記録の要約までです。薬についての説明と相談への回答、在庫や受け取りの時間の確定、症状についての判断は、薬剤師とスタッフが行います。小さく始めて記録を見ながら直していけば、窓口の患者さんと電話の患者さんの両方に応えやすい体制がつくれます。

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