ネイルエステのAI電話対応|予約とキャンセル
ネイルサロンやエステサロンは、一人ひとりのお客様と長い時間向き合う仕事です。ジェルネイルの施術は一時間を超えることも珍しくなく、フェイシャルやボディのトリートメントでは、個室でお客様の肌に直接触れながら施術を進めます。その最中に電話が鳴っても、手袋を外し、オイルのついた手を拭き、個室を出て電話に出る、ということは現実的ではありません。
ところが、電話をかけてくるお客様にとっては、そうした事情は見えません。「何度かけてもつながらない」「折り返しがなかった」という体験は、そのままサロンの印象になります。予約の空きを聞きたかった新しいお客様は、つながる別のサロンを探すかもしれません。
この記事では、ネイルサロンやエステサロンの電話対応に、IVR(自動音声応答)やAIによる一次応答を取り入れる方法を解説します。よくある課題と問い合わせの分類から、営業時間外や施術中の受け方、設計の例、スタッフへの引き継ぎ、個人情報の扱い、導入の進め方まで順に見ていきます。予約を確定するのはスタッフであること、肌や爪のトラブル、コースの契約や解約にかかわる話はスタッフが対応することを前提に、AIに任せる範囲を考えます。
ネイル・エステサロンの電話対応で起きがちな課題
一回の施術が長く、電話に出られない時間が続く
ネイルやエステの施術は、一回あたりの時間が長いのが特徴です。一人で営業しているサロンでは、施術中の数時間、誰も電話に出られない状態が続きます。スタッフが複数いても、全員が個室や施術台についていれば同じです。
施術の合間に着信の履歴を見て折り返そうとしても、次のお客様の準備や片付けがあり、すぐには折り返せません。夕方になってまとめて折り返すと、お客様がすでにほかのサロンに予約していた、ということもあります。
一人サロンや自宅サロンならではの事情
ネイルやエステでは、一人で営業しているサロンや、自宅の一室で営業しているサロンも多くあります。こうしたサロンでは、次のような事情が重なります。
- 施術中は、電話に出る人がいない
- 個人の携帯電話の番号をサロンの番号として使っていて、仕事の電話と私用の電話が混ざる
- 自宅サロンの場合、住所を予約の確定の前に伝えたくない
- 営業時間外にも電話が鳴り、生活と仕事の区切りがつけにくい
電話の仕組みを見直すことは、こうした事情を整理するきっかけにもなります。
デザインやメニューの相談に時間がかかる
ネイルでは「こういうデザインはできますか」、エステでは「肌の乾燥が気になるのですが、どのコースがよいですか」といった相談がよくあります。こうした相談は、写真を見ながら、あるいは肌の状態を聞きながら答える必要があり、電話では時間がかかります。電話よりも、メッセージや来店時のカウンセリングのほうが向いている相談です。
付け替えやお直し、キャンセルの連絡
ネイルでは、前回の施術の後に「一本だけ取れてしまった」「浮いてきた」というお直しの連絡があります。エステでは、体調の都合で予約を変えたいという連絡がよくあります。こうした連絡は、予約状況やサロンの規定(無料お直しの期間など)と照らして判断する必要があるため、スタッフが対応します。
肌や爪のトラブルの相談
「施術の後に赤みが出た」「爪の色が変わってきた」といったトラブルの相談もあります。こうした相談は、状態によっては医療機関の受診をすすめる必要があり、自動の案内で判断してよいものではありません。
コースや回数券の契約にかかわる問い合わせ
エステサロンでは、コースや回数券の契約、解約、残りの回数についての問い合わせもあります。エステのうち、期間が一か月を超え、金額が五万円を超える契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」の対象になり、契約の書面やクーリング・オフ、中途解約についての決まりがあります(消費者庁の特定商取引法ガイド:特定継続的役務提供)。契約や解約にかかわる電話は、決まりに沿って正しく対応する必要があり、自動の案内やAIで答えるべきものではありません。この記事の内容は一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。自店の契約の扱いは、専門家などに確認してください。
課題の整理
| 課題 | 起きること | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 長い施術で出られない | 予約の機会を逃す | 自動の案内とボイスメールで受け、区切りで折り返す |
| 一人サロン・自宅サロン | 私用と仕事が混ざる、住所の扱い | サロン専用の番号と営業時間のルールを持つ |
| デザインや肌の相談 | 電話が長くなる | メッセージやカウンセリングに案内する |
| お直し・変更・キャンセル | 規定と照らした判断が必要 | 用件として分け、スタッフが判断する |
| 肌や爪のトラブル | 状態の判断が必要 | 自動では答えず、スタッフにつなぐ |
| コースの契約・解約 | 法律の決まりにかかわる | 自動では答えず、責任者が対応する |
少人数で営業するお店に共通する電話の整え方は、小さな会社の電話対応にまとめています。

よくある問い合わせの分類
分類の考え方
ネイル・エステサロンの電話は、「自動で答えてよいか」と「急ぐか」で分けると、設計がしやすくなります。
| 分類 | 例 | 急ぐか | 対応 |
|---|---|---|---|
| 当日の予約・遅刻 | 今日空いていますか、少し遅れます | 急ぐ | スタッフ。出られなければ区切りですぐ折り返す |
| 当日のキャンセル・変更 | 体調が悪くなったので今日は行けない | 急ぐ | スタッフ。規定に沿って判断する |
| 後日の予約 | 来週の木曜にジェルの付け替えを | 急がない | 聞き取り、スタッフが確定 |
| お直し | 一本だけ取れてしまった | 内容による | 聞き取り、スタッフが規定と照らして判断 |
| メニューやデザインの相談 | この写真のデザインはできるか、どのコースがよいか | 急がない | メッセージやカウンセリングを案内、またはスタッフ |
| 決まった答え | 営業時間、定休日、場所の目安、支払いの方法、所要時間の目安 | 急がない | 自動の案内 |
| 肌や爪のトラブル | 施術の後に赤みが出た、爪の色が変わった | 内容による | スタッフ。必要なら医療機関の受診をすすめる |
| 契約・解約・残りの回数 | コースを解約したい、残りの回数を知りたい | 内容による | 責任者 |
| その他 | 営業、求人 | 急がない | 聞き取り |
自動の案内で答えてよいのは「決まった答え」だけです。予約とお直しは聞き取りまで、トラブルと契約にかかわる電話は、自動では扱いません。
電話を数える
一、二週間、分類と時間帯ごとに、電話を記録します。施術中で出られなかった電話は、着信の履歴から後で用件を確認して加えます。
| 分類 | 件数 | 施術中で出られなかった件数 | 折り返して予約になった件数 |
|---|---|---|---|
| 当日の予約・遅刻 | |||
| 後日の予約 | |||
| お直し | |||
| 決まった答え | |||
| その他 |
「施術中で出られなかった件数」と「折り返して予約になった件数」を記録しておくと、電話の仕組みを見直した効果を、後で比べやすくなります。
ネイルとエステの違い
| 業態 | 多い問い合わせ | 気をつけること |
|---|---|---|
| ネイルサロン | 付け替え、お直し、デザインの相談、所要時間、オフだけの予約 | お直しの規定、デザインの相談は画像でのやりとりが向く |
| エステサロン | 予約、コースの内容、体験の予約、残りの回数、体調による変更 | 契約にかかわる電話は責任者、肌のトラブルは慎重に |
| まつげ・まゆげのサロン | 予約、付け直しの時期、施術の前の注意 | 目の周りのトラブルの相談は慎重に |
営業時間外・繁忙時の受け方
施術中は「受けて、区切りで返す」
ネイル・エステサロンでは、施術中の電話は、出るのではなく「受けて、区切りで返す」流れにするのが現実的です。
- 自動の案内で、決まった答えを伝える
- 予約や連絡の用件は、名前、電話番号、用件を聞き取る
- 施術の区切り(お客様の乾燥の待ち時間、施術と施術の間)に記録を確認する
- 当日の用件から順に折り返す
この流れを、案内の中でも正直に伝えます。「ただいま施術中のため、お電話に出られません。お名前とご用件をお話しいただければ、施術の区切りでお電話します」と伝えておけば、お客様は折り返しを待てばよいと分かります。
繁忙期の工夫
ネイルサロンでは、季節のイベントの前や年末、エステサロンでは、季節の変わり目や結婚式などの行事の前に、予約が集中することがあります。
- 繁忙期の予約の受付の状況を、案内に加える
- インターネットの予約がある場合は、その案内を最初に伝える
- 当日の予約は受け付けない期間を設ける場合は、そのことを案内する
- 聞き取りの記録を確認する時間を、一日の予定に増やしておく
営業時間外の案内
営業時間外の案内では、次の点を伝えます。
- 営業時間外であること
- 次の営業日と時刻
- インターネットの予約やメッセージの窓口がある場合は、その案内
- 予約の希望や変更の連絡を聞き取る場合は、折り返しの時期
自宅サロンや一人サロンでは、営業時間外は電話を鳴らさない設定にすることで、生活と仕事を分けやすくなります。営業時間のルールの設定はIVRの営業時間ルーティングで詳しく紹介しています。
自宅サロンの住所の扱い
自宅サロンでは、住所を誰にでも伝えることに不安があるでしょう。自動の案内では、最寄りの駅や大まかな地域だけを伝え、詳しい住所は予約が確定した後に、スタッフから伝える、という流れにできます。どこまでを案内で伝えるかを、あらかじめ決めておきましょう。
IVRとAI一次応答の設計例
一人サロン向けのメニューの例
説明のための架空の例として、一人で営業しているネイルサロンのメニューを示します。
お電話ありがとうございます。ネイルサロン〇〇です。ただいま施術中のため、お電話に出られません。本日のご予約、遅れる・キャンセルのご連絡の方は1を、明日以降のご予約、ご予約の変更、お直しのご相談の方は2を、営業時間、場所、所要時間のご案内は3を押してください。
| 番号 | 行き先 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 聞き取り(急ぎ) | 名前、電話番号、用件を聞き取る。施術の区切りで、最初に折り返す |
| 2 | 聞き取り | 名前、電話番号、希望の日時、メニュー、お直しの場合は施術の日と状態を聞き取る |
| 3 | 自動の案内 | 営業時間、定休日、最寄りの駅、所要時間の目安、インターネットの予約の案内 |
一人サロンでは、どの番号を選んでもすぐにはつながらないため、急ぎの用件の記録を目立つように届ける設定にしておくのがポイントです。
スタッフが複数いるエステサロンのメニューの例
お電話ありがとうございます。エステサロン〇〇です。本日のご予約、遅れる・キャンセルのご連絡の方は1を、明日以降のご予約、変更の方は2を、体験コースのご予約、メニューのご相談の方は3を、ご契約中のコースについてのお問い合わせの方は4を、営業時間、場所のご案内は5を押してください。
| 番号 | 行き先 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 受付・手の空いているスタッフ | 出られなければ聞き取り、区切りですぐ折り返す |
| 2 | 聞き取り | 名前、電話番号、希望の日時、メニュー、担当の希望 |
| 3 | スタッフ | メニューの相談を受ける。出られなければ聞き取り |
| 4 | 責任者 | 契約中のコース、残りの回数、解約の相談。出られなければ聞き取り、責任者が折り返す |
| 5 | 自動の案内 | 営業時間、定休日、場所の案内 |
契約中のコースについての問い合わせを、独立したメニューにして責任者につなぐのは、契約や解約にかかわる話を、決まりに沿って正しく扱うためです。
AI一次応答を組み合わせる場合
番号を押す代わりに、AIによる一次応答で用件を話してもらう方法もあります。「来週の土曜に、ジェルのオフと付け替えをお願いしたい」と話してもらえれば、AIは後日の予約として分類し、希望の日時やメニューを聞き取って記録できます。「駅からどのくらいですか」という質問には、サロンが登録した情報をもとに答えられます。
ネイル・エステサロンでAIの一次応答を使う場合は、次の点を決めておきます。
- 予約は確定しない:希望を聞き取るだけで、空きの確認と確定はスタッフが行います。
- 空きを約束しない:予約の台帳とつながっていない場合は、「空いています」と答えません。
- 肌や爪の状態を判断しない:トラブルの相談は、スタッフにつなぐか、聞き取ってスタッフが折り返します。
- 契約や解約に答えない:コースの契約、解約、返金の話は、責任者が対応します。
- 答える範囲を限る:登録した営業時間、場所の目安、メニューの内容、所要時間の目安に限り、推測では答えません。
AIの一次応答がどのような形で提供されているかは、サービスによって違います。AI電話受付の基本はAI電話受付とはで紹介しています。
デザインや肌の相談は、ほかの窓口へ
ネイルのデザインの相談や、肌の悩みの相談は、電話よりも、写真を送れるメッセージの窓口や、来店時のカウンセリングのほうが向いています。メッセージの窓口がある場合は、電話の案内で「デザインのご相談は、写真を添えて〇〇からお送りください」と案内すると、電話の時間を減らせます。
スタッフへの引き継ぎと確定は人が行う
予約の確定
聞き取った予約の希望は、スタッフが予約の台帳で空きを確認し、メニューの所要時間に合わせて時間を確保してから確定します。聞き取りの段階では確定していないことを、案内ではっきり伝えます。ネイルでは、オフの有無や本数、エステでは初めての来店かどうかで所要時間が変わるため、聞き取りの際にこれらを確認しておくと、確定の折り返しが一度で済みやすくなります。
お直しの判断
お直しの連絡は、施術の日、取れた本数や状態、サロンの規定(お直しを受け付ける期間など)と照らして、スタッフが判断します。聞き取りでは、施術を受けた日と、状態の簡単な説明だけを聞きます。写真で確認したい場合は、メッセージの窓口を案内します。
肌や爪のトラブルの相談
施術の後の赤み、かゆみ、爪の変色などの相談は、スタッフが状態を聞き、必要に応じて医療機関の受診をすすめます。自動の案内やAIは、「様子を見てください」といった判断をしません。トラブルの相談と分かったら、すぐにスタッフにつなぐか、急ぎの用件として記録し、区切りで最初に折り返します。
契約や解約の相談
コースの契約、解約、返金、残りの回数の相談は、責任者が対応します。特に解約の相談は、法律の決まりに沿って扱う必要があるため、担当を一人に決め、対応の記録を残します。電話で受けた相談の内容は、聞き取りの記録だけで判断せず、契約の書面と照らして確かめます。
引き継ぎで伝える項目
| 用件 | 聞き取る項目 |
|---|---|
| 後日の予約 | 名前、電話番号、希望の日時(第二の希望も)、メニュー、オフの有無や本数、初めての来店かどうか、担当の希望 |
| 当日の予約・遅刻・キャンセル | 名前、電話番号、予約の時間、用件 |
| お直し | 名前、電話番号、施術を受けた日、状態の簡単な説明 |
| 契約中のコースの問い合わせ | 名前、電話番号、用件の概要 |
折り返しの順番
- 当日の予約、遅刻、キャンセル
- 肌や爪のトラブルの相談
- お直し
- 後日の予約や変更
- その他
順番を決めておくと、施術の区切りの短い時間でも、急ぐものから迷わず返せます。区切りの時間で返しきれなかったものは、次の区切りで続きから返せるように、返した記録に印をつけておきます。
個人情報と記録の扱い
サロンで扱う情報
ネイル・エステサロンの電話では、名前や電話番号のほか、肌の悩み、体調、アレルギーの有無、体型にかかわる相談など、お客様が人に知られたくないと感じる情報が話されることがあります。電話の録音、文字起こし、要約、聞き取った項目が残る場合は、その扱いを決めておきます。
個人の情報の扱いについては、個人情報保護委員会のウェブサイトで、法律やガイドラインの内容を確認できます。この記事の内容は一般的な情報の紹介であり、法的助言ではありません。
決めておくこと
| 決めること | 確かめる問い |
|---|---|
| 残るもの | 録音、文字起こし、要約、聞き取った項目のどれが残るか |
| 保存の場所 | サービスの提供元で、どのように保存されるか |
| 見られる人 | オーナー、スタッフ全員、責任者だけなど |
| 保存の期間 | どのくらい残し、その後どうするか |
| お客様への伝え方 | 録音や記録をしていることを、どう伝えるか |
聞く情報を絞る
電話では、予約や連絡に必要な項目だけを聞きます。肌の悩みや体調の詳しい内容は、来店時のカウンセリングで、個室で直接聞けば十分です。電話で聞く情報を絞るほど、記録に残る情報も少なくなります。
一人サロンの端末の扱い
一人サロンでは、聞き取りの記録や要約を、自分のスマートフォンで見ることが多いでしょう。端末の画面のロック、端末をなくしたときの対応、家族と共有している端末で見ない、といった点に気をつけます。
導入の進め方
ステップ1:電話を記録する
一、二週間、分類ごとに電話を記録します。施術中で出られなかった件数と、折り返して予約になった件数も記録します。
ステップ2:折り返しの時間を決める
一日の施術の予定の中で、聞き取りの記録を確認して折り返す時間を決めます。一人サロンでは、施術と施術の間の時間を少し長めにとることも考えます。
ステップ3:任せる範囲を決める
分類ごとに、自動で案内する、聞き取ってスタッフが折り返す、すぐにスタッフにつなぐ、のどれにするかを決めます。契約やトラブルの電話の扱いも、ここで決めます。
ステップ4:案内の情報を整える
営業時間、定休日、場所の案内(自宅サロンの場合はどこまで伝えるか)、所要時間の目安、支払いの方法、キャンセルやお直しの規定などを書き出します。ホームページや予約サイトの情報と食い違いがないか確かめます。
ステップ5:試験の電話をかける
知人や家族にお客様の役になってもらい、当日の予約、後日の予約、お直し、トラブルの相談、契約の問い合わせ、営業時間外の電話をかけてもらい、記録が正しく届くかを確認します。
ステップ6:営業時間外から始める
最初は営業時間外の案内と聞き取りから始め、問題がないことを確認してから、施術中の時間にも広げます。
ステップ7:記録を見て直す
聞き取りの記録、折り返しの件数、お客様の声を見て、メニューや案内の言葉を直していきます。

ネイル・エステサロンならではの工夫
規定を前もって伝える
キャンセル、遅刻、お直しの規定は、トラブルの多い部分です。規定は、予約の確定の連絡、ホームページ、店内の掲示で前もって伝え、電話の案内でも要点を伝えられるようにしておきます。電話で規定を聞かれたときに、自動の案内で規定の文章を読み上げることはできますが、個別の事情に照らした判断は、スタッフが行います。
体験コースの問い合わせ
エステサロンでは、初めてのお客様向けの体験コースの問い合わせが多くあります。体験コースの内容、所要時間、当日の流れ(カウンセリングの時間を含む)を自動の案内で伝え、予約の希望はボイスメールで受けると、スタッフの説明の手間を減らせます。体験の当日にコースの契約をすすめられるのではと不安に思うお客様もいるため、当日の流れを正直に案内しておくと、安心して来店してもらえます。
オフだけの予約
ネイルサロンでは、ほかのサロンで施術したネイルのオフだけを頼みたい、という問い合わせもあります。オフだけの予約を受けるかどうか、ほかのサロンで施術したネイルのオフを受けるかどうかを決め、自動の案内で伝えておくと、問い合わせの電話を減らせます。
妊娠中や持病のあるお客様
妊娠中のお客様や、持病のあるお客様から、施術を受けられるかという問い合わせがあることもあります。施術の可否は、メニューやお客様の状態によって変わるため、自動の案内では答えず、スタッフが話を聞いて判断します。必要に応じて、かかりつけの医師に相談してもらうようすすめます。
まつげ・まゆげのサロンの場合
まつげやまゆげのサロンでも、考え方は同じです。施術中は目を閉じたお客様のそばを離れられないため、電話はボイスメールで用件を受けて区切りで返す流れが向いています。施術の後に目の周りが赤い、しみるといった相談は、急ぎの用件として扱い、スタッフが状態を聞いて、必要に応じて眼科の受診をすすめます。付け直しの時期の目安など、決まった答えは自動の案内で伝えられますが、個別の状態に応じた判断はスタッフが行います。
予約の前日の連絡
予約の前日に、日時とメニュー、遅れる場合やキャンセルの場合の連絡の方法を伝える連絡をしているサロンもあります。前日の連絡があると、当日の直前の電話や、連絡なしの不来店を減らすことにつながります。
個人の番号とサロンの番号を分ける
個人の携帯電話の番号をサロンの番号として使っている場合は、サロン専用の番号を持つことを考えます。サロン専用の番号であれば、営業時間のルールや自動の案内を設定でき、私用の電話と仕事の電話を分けられます。番号を変える場合は、お客様への案内の期間を十分にとります。
案内の文章のひな形
説明のための例として、案内の文章を示します。〇の部分は、サロンの情報に置き換えてください。
施術中の案内(一人サロン)
お電話ありがとうございます。ネイルサロン〇〇です。ただいま施術中のため、お電話に出られません。お名前、お電話番号、ご用件をお話しください。施術の区切りで、こちらからお電話します。本日のご予約や遅れるご連絡の方は、最初にお電話します。
営業時間外の案内
お電話ありがとうございます。エステサロン〇〇です。本日の営業は終了しました。次の営業は〇曜日の〇時からです。ご予約やご変更のご希望は、このあとお名前、お電話番号、ご用件をお話しください。次の営業日にご連絡します。ご予約は、確認のご連絡で確定します。
定休日の案内
お電話ありがとうございます。ネイルサロン〇〇です。本日は定休日です。デザインのご相談は、写真を添えて〇〇からお送りください。ご予約のご希望は、このあとお話しください。
折り返しの電話のかけ方
聞き取りの後の折り返しは、お客様にとってはサロンとの最初の会話になることもあります。短い時間でも、次の点に気をつけると、行き違いを減らせます。
- 名乗りと用件の確認:「ネイルサロン〇〇です。先ほどお電話をいただいた、〇日のご予約の件でお電話しました」と、記録の内容をもとに用件を確認します。
- 希望と空きのすり合わせ:希望の日時が空いていない場合は、近い候補を二つほど示します。
- 確定の内容をくり返す:日時、メニュー、所要時間の目安、料金の目安(決まっているもの)をくり返して伝えます。
- 規定の要点を伝える:キャンセルや遅刻の規定の要点を伝えます。
- つながらない場合:お客様が出なかった場合は、留守番電話に名前と用件だけを残し、詳しい内容は残しません。もう一度かける時間の目安を伝えます。
折り返しの電話番号が、サロンの番号として表示されるかも確かめておきます。知らない番号からの電話には出ないお客様もいるため、サロンの番号で折り返せるようにしておくと、つながりやすくなります。
繁忙期の前の準備
予約が集中する時期の前には、次の準備をしておくと、電話の混乱を減らせます。
- [ ] 繁忙期の予約の受付の状況を、案内の文章に加えた
- [ ] 当日の予約を受け付けない日がある場合、その案内を加えた
- [ ] インターネットの予約の空きを、最新の状態にした
- [ ] 聞き取りの記録を確認する時間を、一日の予定に増やした
- [ ] 繁忙期が終わったら案内を元に戻す日を、予定に入れた
繁忙期の案内の文章を、前もって作って保存しておけば、毎年同じ時期に使い回せます。
一人サロンの一日の流れの例
説明のための架空の例として、一人で営業しているネイルサロンの一日を示します。
| 時間帯 | 電話の流れ | オーナーの動き |
|---|---|---|
| 開店の前 | 前の夜の聞き取りの記録が届いている | 当日の用件を最初に確かめ、後日の予約の希望に折り返す |
| 一人目の施術中 | すべて施術中の案内と聞き取りへ | 施術に集中する |
| 施術の合間 | 記録を確認する | 当日の用件、トラブル、お直しの順に折り返す |
| 二人目、三人目の施術 | 同上 | 合間ごとに記録を確認する |
| 閉店の後 | 営業時間外の案内に切り替わる | 残りの記録を確認し、翌日に返すものを決める |
施術の合間を、予約の時間の決め方の段階で少し長めにとっておくと、折り返しの時間を確保しやすくなります。
効果の確認方法と見直し
確かめること
| 確かめること | 見る方法 |
|---|---|
| 予約の機会を逃していないか | 出られなかった電話の数、折り返して予約になった件数 |
| 施術への集中 | 施術を中断した回数、オーナーやスタッフの感想 |
| 折り返しの速さ | 聞き取りから折り返しまでの時間 |
| お客様の声 | 案内が分かりにくい、折り返しが遅いという声 |
つまずきやすいところ
| つまずき | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 急ぎの記録が埋もれる | 当日の連絡への折り返しが遅れる | 急ぎの用件は通知を分ける、最初に確かめる |
| 聞き取りで予約が取れたと思われる | 確定していないのに来店される | 確定の前であることを案内で伝える |
| 規定の説明が食い違う | お客様と行き違いが起きる | 規定の文章を一つにまとめ、すべての窓口で同じものを使う |
| 契約の問い合わせが一般の窓口に入る | 正しく扱えない | 契約のメニューを分け、責任者が受ける |
予約サイトやメッセージとの使い分け
窓口ごとの役割
多くのネイル・エステサロンでは、電話のほかに、インターネットの予約や、メッセージの窓口を持っています。それぞれの窓口の得意なことを整理すると、電話の役割がはっきりします。
| 窓口 | 向いていること | 向いていないこと |
|---|---|---|
| インターネットの予約 | 空きの確認、決まったメニューの予約 | 細かい相談、当日の急な連絡 |
| メッセージ | デザインの写真のやりとり、急がない相談 | 急ぐ連絡(すぐに読まれるとは限らない) |
| 電話 | 当日の連絡、言葉で伝えたい相談、インターネットを使わないお客様 | 写真を見ながらの相談 |
電話の案内で、ほかの窓口に誘導する
電話の自動の案内で、インターネットの予約やメッセージの窓口を伝えると、それぞれの用件に向いた窓口に、お客様が移ってくれることがあります。ただし、電話でしか連絡しないお客様もいるため、電話を「ほかの窓口に移すためだけの入り口」にしてはいけません。電話で予約の希望を伝えたいお客様のために、聞き取りの選択肢を必ず残しておきます。
窓口が増えたときの記録の管理
窓口が増えると、予約の希望や連絡が、電話の記録、メッセージ、予約サイトの管理画面に分かれて届きます。どこに届いたものも、一日の決まった時間にまとめて確かめる習慣をつくっておくと、見落としを防げます。電話とメッセージを一つの画面で扱える仕組みがあれば、確かめる場所を減らせます。
スタッフが複数いるサロンの役割分担
電話の担当を決める
スタッフが複数いるサロンでは、「手の空いた人が出る」という決め方だと、全員が施術中のときに誰も出られず、全員が手の空いたときには誰が出るかで迷います。時間帯ごとに、電話と聞き取りの記録を確認する担当を決めておきます。
指名のあるお客様
指名のスタッフがいるお客様の予約や連絡は、聞き取りの記録で担当の希望を確認し、そのスタッフに引き継ぎます。指名のスタッフが休みの日は、別のスタッフが代わりに折り返すか、次の出勤日に折り返すかを決めておきます。
新しいスタッフに伝えること
- 電話の案内の流れと、メニューの番号ごとの行き先
- 聞き取りの記録の確認方法と、折り返しの順番
- 予約は確定の連絡で確定すること
- 肌や爪のトラブル、契約や解約の相談は、自分で判断せず責任者に伝えること
- キャンセルやお直しの規定の文章の場所
よくある場面の対応例
ここでは、説明のための架空の例として、ネイル・エステサロンでよくある場面と、電話の仕組みでの対応を示します。
場面1:施術中に、当日の予約の電話
一人サロンのオーナーがジェルの施術中に、「今日の夕方、空いていますか」という電話が入りました。自動の案内でお客様は1を選び、名前と電話番号、希望の時間を話しました。オーナーは、お客様のジェルを硬化させる待ち時間に記録を確認しましたが、手が離せないため、施術の区切りで折り返しました。夕方の枠が空いていたため、その場で予約を確定しました。
この場面のポイントは、当日の予約の記録が「急ぎ」として分かれて届いたことです。後日の予約の記録と混ざっていたら、確かめるのが遅れ、お客様はほかのサロンを探していたかもしれません。
場面2:お直しの連絡が、定休日に
定休日に、「三日前に付けたネイルが一本取れてしまった」という電話がありました。定休日の案内で、お客様は名前、電話番号、施術を受けた日、状態を話しました。翌朝、オーナーは記録を確認し、サロンの規定のお直しの期間内であることを確認してから折り返し、お直しの予約を取りました。
自動の案内は「お直しは無料です」とは答えていません。期間や状態の確認は、オーナーが行いました。
場面3:施術の後のかゆみの相談
エステサロンに、「昨日のフェイシャルの後から、頬がかゆい」という電話がありました。お客様はメニューで1を選び、受付のスタッフにつながりました。スタッフは状態を聞き、使った化粧品の名前を伝えたうえで、症状が続く場合は皮膚科の受診をすすめ、責任者にも共有しました。
もし受付のスタッフも施術中で出られなかった場合は、聞き取りの記録が急ぎとして届き、区切りで最初に折り返す流れになります。
場面4:コースの解約の相談
エステサロンに、「契約しているコースを途中でやめたい」という電話がありました。お客様は4を選びましたが、責任者は施術中でした。聞き取りでは名前と電話番号、用件の概要だけを聞き、責任者が施術の後で折り返しました。責任者は契約の書面を確認しながら、解約の手続きと精算の方法を説明しました。
自動の案内やAIは、解約できるかどうかや返金の金額については答えていません。契約にかかわる話は、責任者が書面と照らして対応しました。
案内に載せる情報の棚卸し
自動の案内で伝える情報を整えるときは、次のチェックリストで漏れを確認します。
- [ ] 営業時間と定休日、臨時休業の案内
- [ ] 場所の案内(最寄りの駅、駐車場の有無、自宅サロンの場合は伝える範囲)
- [ ] メニューごとの所要時間の目安
- [ ] 支払いの方法
- [ ] インターネットの予約やメッセージの窓口の案内
- [ ] キャンセルや遅刻の規定の要点
- [ ] お直しの規定の要点(判断はスタッフが行うこと)
- [ ] 体験コースの内容と当日の流れ
- [ ] オフだけの予約を受けるかどうか
- [ ] 録音や記録をしていることの案内
情報は、ホームページや予約サイトの内容と同じにします。どこか一か所を直したら、ほかの窓口も直す、という手順を決めておくと、食い違いを防げます。
仕組みを変えたことをお客様に伝える
電話の仕組みを変えると、これまで直接オーナーが出ていた電話に、自動の案内が流れるようになります。常連のお客様の中には、戸惑う人もいるでしょう。変える前後に、次のような形で伝えておくと、受け入れてもらいやすくなります。
- 来店時に一言伝える:「施術中のお電話は、自動の案内でご用件をうかがって、区切りでこちらからおかけするようにしました」と、会計のときに伝えます。
- 店内やホームページに掲示する:電話の受け方と、急ぎの連絡の方法を短く書いておきます。
- 予約の確定の連絡に添える:遅れる場合やキャンセルの場合は、電話で1を選んで話してもらえれば最初に折り返す、と伝えておきます。
伝えるときは、「お待たせしないため」「施術中のお客様に集中するため」といった、お客様にとっての理由を添えるとよいでしょう。始めてからしばらくは、案内が分かりにくかったという声がないか、来店時に聞いてみることも役に立ちます。
CallでIVRと聞き取りの流れを組む
ネイル・エステサロンの電話の流れは、CallのIVR、営業時間のルール、ボイスメール、AIによる通話の要約、ブラウザのソフトフォンなどで組めます。一人サロンでは、施術中の案内と聞き取りを中心に、複数のスタッフがいるサロンでは、用件ごとの行き先の設定を加えます。設定の流れは使い方のガイドとドキュメントで紹介しています。
日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況は機能一覧でご確認ください。この記事で紹介した流れは、IVRで用件を分け、ボイスメールや通話の内容をAIが要約して、スタッフが確認しやすくする使い方です。予約の確定、お直しの判断、トラブルや契約の相談への対応は、スタッフが行います。設定を試したい場合は、登録ページから始められます。
関連する業種の記事として、ホテル・旅館の電話対応、不動産会社の電話対応もあわせてご覧ください(ネイルエステのAI電話対応|予約とキャンセルからの関連案内)。
よくある質問
AIが予約を確定してくれますか?
聞き取りの段階では確定しません。AIや自動の案内は希望を聞き取るだけで、スタッフが予約の台帳で空きを確かめ、確定の連絡をします。案内でも、確定の連絡で予約が確定することを伝えます。
一人サロンでも導入する意味はありますか?
あります。一人サロンでは施術中に電話に出る人がいないため、施術中の案内と聞き取りがあるだけで、用件を逃しにくくなります。急ぎの用件を最初に確かめられるように、記録の届け方を工夫するのがポイントです。
自宅サロンの住所は、自動の案内で伝えてよいですか?
伝える範囲はサロンが決めます。最寄りの駅や大まかな地域だけを案内で伝え、詳しい住所は予約の確定の後にスタッフから伝える、という流れにできます。
デザインの相談は電話で受けるべきですか?
デザインの相談は、写真を見ながらのほうが正確に答えられます。メッセージの窓口がある場合は、電話の案内でそちらを伝えるとよいでしょう。電話でしか相談できないお客様には、聞き取りの後でスタッフが折り返します。
お直しの連絡には、自動で答えてよいですか?
お直しを受け付けるかどうかは、施術の日や状態、サロンの規定と照らして判断する必要があるため、スタッフが判断します。自動の案内で規定の要点を伝えることはできますが、受け付けの判断はしません。
施術の後に赤みが出たという電話には、どう対応しますか?
スタッフが状態を聞き、必要に応じて医療機関の受診をすすめます。自動の案内やAIは状態を判断しません。トラブルの相談は急ぎの用件として扱い、最初に折り返します。
コースの解約の電話は、どう扱えばよいですか?
責任者が対応します。エステのうち一定の期間と金額を超える契約には、特定商取引法の決まりがあり、正しく扱う必要があります。自動の案内やAIで答えず、責任者につなぐか、聞き取って責任者が折り返します。自店の扱いは専門家などに確認してください。
録音していることは、お客様に伝えるべきですか?
録音や文字起こしをする場合は、最初の案内で伝えるのが一般的です。何を何のために残すのか、誰が見るのかを決め、プライバシーポリシーとあわせて説明できるようにしておきます。
営業時間外の電話を鳴らさないようにできますか?
営業時間のルールを設定すれば、営業時間外は自動の案内と聞き取りに切り替えられます。生活と仕事の区切りをつけたい一人サロンや自宅サロンに向いています。
妊娠中のお客様から施術を受けられるかと聞かれたら?
施術の可否はメニューやお客様の状態によって変わるため、自動の案内では答えず、スタッフが話を聞いて判断します。必要に応じて、かかりつけの医師への相談をすすめます。
最初に何から始めればよいですか?
一、二週間、電話の用件と、施術中で出られなかった件数を記録することから始めます。そのうえで、営業時間外の案内と聞き取りから導入し、問題がないことを確かめてから施術中の時間に広げると、無理なく進められます。
まとめ
ネイル・エステサロンの電話対応では、一回の施術が長く、施術中は電話に出られない、という事情を前提に仕組みを考えることが大切です。自動の案内で決まった答えを伝え、予約やお直しの連絡は聞き取り、施術の区切りで急ぐものから折り返す、という流れにすれば、施術に集中しながら、お客様の連絡を受け止められます。
予約の確定、お直しの判断、肌や爪のトラブルの相談、コースの契約や解約の相談は、スタッフや責任者が行います。AIや自動の案内に任せるのは、決まった答えの案内と、用件の聞き取りまでです。まずは電話の記録から始め、営業時間外の案内から少しずつ広げていきましょう。



