AI電話受付のよくある質問30|導入前の疑問にまとめて回答
AI電話受付を検討し始めると、次から次へと疑問がわいてきます。AIは本当に電話の相手の話を聞き取れるのか。お客様は嫌がらないのか。録音した内容はどこに保存されるのか。予約まで任せてよいのか。導入にはどんな準備が必要なのか。こうした疑問を一つずつ調べていくと、それだけで時間がかかってしまいます。
この記事では、AI電話受付を導入する前によく寄せられる疑問を三十個集め、仕組み、聞き取りと話し方、個人情報と録音、引き継ぎと運用、導入の準備、AI-SNS.IO Callについて、の六つの分野に分けて回答します。気になる分野から読んでいただけるように、各回答はそれだけで意味が通じるように書いています。
なお、AI電話受付の具体的な仕様や対応範囲は、サービスによって大きく異なります。この記事の回答は一般的な考え方をまとめたものです。検討しているサービスの詳細は、各サービスの説明で確認してください。AI電話受付の全体像を先に押さえたい方は、AI電話受付とはをあわせてご覧ください。
AI電話受付の仕組みに関する質問
Q1. AI電話受付とは、ひとことで言うと何ですか?
電話の最初の対応を、人の代わりにAIや自動の仕組みが受け持つものです。電話に出て、用件を聞き取り、決まった質問には答え、人の対応が必要な用件は記録して担当者に渡します。人の受付をすべて置き換えるものではなく、人が出られない時間や、同じ質問への対応を肩代わりするものと考えると、イメージしやすいでしょう。
Q2. AIはどうやって電話の相手の話を理解しているのですか?
多くの仕組みでは、三つの技術を順につないでいます。相手の声を文字に変える音声認識、文字の意味をとらえて返事の文章を作る言語モデル、返事の文章を声に変える音声合成です。相手が話すたびにこの流れが一回まわり、会話が続いていきます。詳しい流れは、音声AIの仕組みで解説しています。
Q3. IVR(番号を押す自動音声)とは何が違いますか?
IVRは、あらかじめ決めたメニューを読み上げ、相手に番号を押してもらって電話を振り分ける仕組みです。AI電話受付は、相手が自分の言葉で話した内容を聞き取って対応します。IVRは操作が確実で聞き間違いが起きにくく、AIは言葉で自然に用件を伝えられるのが長所です。両方を組み合わせて使うこともよくあります。IVRの基本はIVRとはで紹介しています。
Q4. 電話代行サービスとはどう違いますか?
電話代行は、外部のオペレーター(人)が会社の代わりに電話を受けるサービスです。AI電話受付は、仕組みが電話を受けます。人は柔軟な受け答えに、仕組みは同じ案内を安定して繰り返すことや記録を残すことに強みがあります。たとえば、問い合わせのたびに状況を聞いて柔軟に判断してほしい場合は人の受付が、営業時間外に同じ案内を繰り返し、用件を確実に記録に残したい場合は仕組みが向いています。日中は人、夜間は仕組みというように、時間帯で分けて組み合わせる考え方もあります。選び方の観点は、電話代行とAI電話受付の違いで詳しく比べています。
Q5. AIはどこまでのことを答えられますか?
事業者が登録した情報の範囲で答えるのが基本です。営業時間、所在地、手続きの流れ、よくある質問の答えなどを登録しておけば、それに沿って案内できます。登録していないことや、個別の判断が必要なことは、推測で答えずに担当者へ引き継ぐ設定にしておくことが大切です。
答える範囲を決めるときは、次のように三つに分けて書き出すと整理しやすくなります。
- AIが答えてよいこと:営業時間、定休日、所在地、駐車場の有無、持ち物、手続きの流れ
- 聞き取って人に渡すこと:予約の希望、見積もりの依頼、資料の請求、折り返しの希望
- すぐに人につなぐこと:苦情、急ぎの用件、体調や安全に関わる相談、お金に関わる個別の判断
聞き取り・話し方に関する質問
Q6. AIの聞き取りは、どれくらい正確ですか?
聞き取りの正確さは、話し方、周囲の音、電話の音質、話の内容などによって変わるため、一概には言えません。固有名詞や数字、短い返事は誤りが起きやすい傾向があります。大事な情報は復唱して確かめる設計にしておけば、誤りに気づく機会をつくれます。
復唱の例を挙げます。
AI:ご予約のご希望は、十月二十日の午後二時、二名様でよろしいでしょうか。お客様:いえ、二十一日です。AI:失礼しました。十月二十一日の午後二時、二名様ですね。
このように、日付や人数などの数字は一つの文にまとめて読み上げると、お客様が誤りに気づきやすくなります。電話番号は、市外局番などの区切りごとに区切って読み上げると確認しやすくなります。
Q7. 方言や早口でも聞き取れますか?
多くの音声認識は幅広い話し方に対応できるように作られていますが、方言が強い場合や非常に早口の場合は、聞き取りの精度が下がることがあります。自社のお客様に多い話し方を想定して、導入前にテスト通話で確認しておくと安心です。テストのときは、設計に関わった人だけでなく、年齢や話し方の異なる複数の人に、普段どおりの話し方で電話をかけてもらいましょう。聞き取りに不安が残る場合は、用件の選択だけでも番号で行えるようにしておくと、話し方に左右されない入口を確保できます。
Q8. 名前の漢字まで正しく聞き取れますか?
音だけでは漢字が決まらないため、名前の漢字を正確に聞き取るのは難しいことがあります。同じ読みで複数の漢字がある名前も多いため、名前は読みで記録し、漢字が必要な場合は担当者が折り返しのときに確かめる運用が現実的です。会社名や地名も同様で、聞き取った読みと実際の表記が違うことがあります。記録を見る担当者には、「名前や会社名は読みで記録されている」ことを共有しておくと、折り返しのときの確認漏れを防げます。
Q9. AIの声は機械っぽく聞こえませんか?
音声合成の技術は進んでおり、自然に聞こえる声も多くなっています。ただし、社名や固有名詞の読み方を誤ることがあるため、実際に聞いて確かめることが大切です。声の雰囲気が自社の業種やお客様に合っているかも、導入前に確かめておきましょう。読み方の誤りが見つかった場合は、ひらがなで書き直す、言い換える、読みを指定する機能があれば使う、といった方法で直せることがあります。特に社名は毎回の名乗りで読み上げるため、最初に確認しておきたい項目です。
Q10. 返事までに間があいて、不自然になりませんか?
AIは、相手が話し終えたかを判断し、声を文字にし、返事を作り、声にするという段階を経るため、少し間があくことがあります。この間を短くする工夫は各サービスで進められていますが、感じ方には個人差があります。テスト通話で、自社のお客様にとって不自然でないかを確認してください。間が気になる場合は、案内の文章を短くする、一度に聞く項目を一つに絞る、といった設計の工夫でも、会話のテンポを整えられます。
Q11. 相手がAIの話の途中で話し始めたらどうなりますか?
途中で相手が話し始めたときに、AIが話すのをやめて相手の話を聞く仕組みを持つものもあります。ただし、相づちを割り込みと受け取ってしまうなど、調整が必要な場合もあります。会話の自然さに関わる部分なので、テスト通話で確認しておきましょう。
Q12. 騒がしい場所からかけてきた電話にも対応できますか?
周囲の音が大きいと、音声認識の誤りが増えます。雑音を抑える処理を備えた仕組みもありますが、限界はあります。大切なのは、聞き取れなかったときの振る舞いを決めておくことです。
- 聞き返しは二回までにする
- それでも聞き取れなければ、留守番電話でメッセージを残してもらう、または折り返しの依頼に切り替える
- 番号の選択(IVR)で用件を選んでもらう方法を併用する
番号の選択は音の条件に左右されにくいため、騒がしい場所からの電話が多い業種では、併用を検討するとよいでしょう。
個人情報と録音に関する質問
※この章は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。具体的な判断は、専門家や関係機関の情報をご確認ください。
Q13. 通話は録音されますか?
録音するかどうかは、サービスの仕様と、事業者の設定によります。録音、文字起こし、要約のどれを残すかを選べる仕組みもあります。録音する場合は、最初の案内で録音していることを伝えるのが一般的です。
録音を残すかどうかを決めるときは、次の点を考えておきましょう。
- 録音を何に使うのか(用件の確認、品質の改善など)
- 誰が聞けるようにするのか
- どれくらいの期間残すのか
- 文字起こしや要約だけで足りるのではないか
たとえば、用件の確認だけが目的であれば、要約だけを残して録音は短い期間で削除する、という選択も考えられます。逆に、言った・言わないの確認が必要になりやすい業種では、録音を一定期間残しておくほうが安心な場合もあります。目的に合わせて、必要な分だけ残すことが基本です。
Q14. 録音や文字起こしはどこに保存されますか?
保存先は、サービスによって異なります。サービスの提供者の環境に保存されるのが一般的です。保存の場所、保存期間、削除の方法、誰が見られるかを、サービスの説明や利用規約で確認しておきましょう。不明な点は、提供者に問い合わせて確かめてください。
確かめるときの観点を、次のように一覧にしておくと便利です。
| 確かめる点 | 例 |
|---|---|
| 保存の対象 | 録音、文字起こし、要約のどれが残るか |
| 保存期間 | 自動で削除されるか、期間を設定できるか |
| 閲覧できる人 | 担当者ごとに見られる範囲を分けられるか |
| 削除 | お客様から求められたときに削除できるか |
| 書き出し | 記録を自社の仕組みに移せるか |
Q15. 通話の内容がAIの学習に使われることはありますか?
通話の内容がどのように扱われ、AIの学習などに使われるかどうかは、サービスによって異なります。検討しているサービスのプライバシーポリシーや利用規約で、データの扱いを確認しておくことが大切です。気になる点があれば、契約の前に提供者に問い合わせましょう。
Q16. 個人情報の扱いで気をつけることは何ですか?
まず、用件の対応に必要な情報だけを聞き取るように設計することです。聞き取る情報が少ないほど、管理の負担も、情報が漏れたときの影響も小さくなります。そのうえで、記録を見られる人の範囲と保存期間を決めます。
医療、介護、法律、お金に関わる業種では、慎重な扱いが求められる情報が電話に含まれやすくなります。個人情報の扱いに関する公的な情報は、個人情報保護委員会のウェブサイトで確認できます。
Q17. お客様に、AIが応答していることを伝える必要はありますか?
伝えることをおすすめします。最初の名乗りで「自動受付です」などと伝えておけば、お客様はAIであることを理解したうえで話せます。名乗りの例としては、「お電話ありがとうございます。〇〇でございます。こちらは自動受付です。ご用件をお話しください。」のように、社名、自動受付であること、何を話せばよいかの三つを短く伝える形があります。人だと思って話していた相手が、後でAIだと気づくと、不信感につながることがあります。名乗り方の例は、電話の自動応答メッセージ例文集で紹介しています。
引き継ぎと運用に関する質問
Q18. AIで対応できない電話はどうなりますか?
あらかじめ決めた形で人に引き継ぎます。引き継ぎの形には、主に次の三つがあります。
- その場で担当者の電話に転送する
- 用件と連絡先を聞き取り、折り返しの依頼として記録する
- 留守番電話でメッセージを残してもらう
どの用件をどの形で引き継ぐかは、用件の急ぎ具合や、担当者が出られる時間帯によって決めます。引き継ぐときに、AIが聞き取った内容を担当者に渡せるようにしておくと、お客様は同じ説明を繰り返さずに済みます。
引き継ぐときに担当者へ渡す情報の例です。
- かけてきた人の名前(読み)と連絡先
- 用件の種類と、聞き取った内容の要点
- 急ぎかどうか
- 折り返しの希望の時間帯
- AIがお客様にどう伝えたか(例:「本日中にご連絡します」と伝えた)
最後の項目は見落とされがちですが、お客様に何を約束したかがわからないと、担当者が約束と違う対応をしてしまうおそれがあります。
Q19. 「人と話したい」と言われたら、どうなりますか?
設計しだいですが、必ず人に届く道を用意しておくべきです。営業時間内であれば担当者に転送し、担当者が出られない時間帯であれば、折り返しの依頼として連絡先を聞き取ります。「人と話したい」という言葉にはさまざまな言い方があるため、テスト通話で複数の言い方を試し、確実に反応するかを確認しておきましょう。営業時間外に「人と話したい」と言われた場合は、「ただいまの時間は担当者が対応できません。明日の午前中に担当者からお電話します。お名前とご連絡先をお願いします。」のように、いつ人から連絡が来るのかを具体的に伝えると、お客様の不安を和らげられます。
Q20. AIに予約を取らせることはできますか?
おすすめする設計では、AIは予約の希望(日時、人数、名前、連絡先など)を聞き取って記録し、確定はスタッフが空き状況や条件を確認してから行います。AIの聞き取りには誤りが起こりうるため、聞き違えた内容で確定すると、当日のトラブルにつながるからです。お客様には「確認のうえ折り返します。まだ確定していません」と伝えます。AIに任せないほうがよいことは、AI電話受付にできないことで詳しく解説しています。
Q21. 急ぎの電話を、AIが聞き逃すことはありませんか?
聞き逃しを防ぐには、自社にとっての急ぎの用件と、それを示す言葉を具体的に挙げて、人への引き継ぎの条件として設定しておきます。より確実にしたい場合は、最初に「お急ぎの方は1番を押してください」と番号で選んでもらう方法を組み合わせると、聞き取りに頼らずに急ぎの電話を人につなげます。
急ぎの用件を示す言葉は、業種によって変わります。書き出すときの例を挙げます。
- 修理・設備:「水が止まらない」「電気がつかない」「ガスのにおいがする」
- 医療・介護:「痛みがひどい」「熱が下がらない」「様子がおかしい」
- 物流・配送:「届いていない」「今日必要」「時間指定に間に合わない」
- 共通:「至急」「急いで」「今すぐ」「困っている」
ただし、言葉の一覧だけに頼ると漏れが出ます。言葉による判断と番号の選択を組み合わせ、急ぎかどうか迷う電話は人に渡す、という方針にしておくと安全です。
Q22. 運用を始めた後、何をすればよいですか?
AIが受けた電話の記録を定期的に読み、次のような点を確認して直していきます。
- 聞き取りの誤りが多い項目はないか
- 登録していない質問が繰り返し来ていないか(答えてよい内容ならナレッジに追加する)
- 案内の途中で切られている電話が多くないか
- 人への引き継ぎが漏れていないか、折り返しが遅れていないか
始めてからの最初の一週間は、できれば毎日確認しましょう。その後は、週に一度や月に一度など、決まったタイミングで確認を続けます。
週に一度の振り返りでは、次のような簡単な記録表を使うと、変化を追いやすくなります。
| 項目 | 今週のメモ | 対応 |
|---|---|---|
| 聞き取りの誤りが多かった言葉 | 聞き返しを追加する、番号の選択に変える | |
| 答えられなかった質問 | ナレッジに追加する、または人に渡す用件にする | |
| 途中で切られた場面 | 案内を短くする | |
| 引き継ぎの漏れ・遅れ | 担当と折り返しの目安を見直す |
数を正確に数えることよりも、気になった電話を具体的に書き留め、次の一週間で一つずつ直していくことが大切です。
Q23. 営業時間や休業日が変わったときは、どうすればよいですか?
AIが参照する情報(ナレッジ)を、変更に合わせて更新します。更新を忘れると、AIは古い情報を案内し続けてしまいます。ホームページの更新と同じタイミングでナレッジも更新する、年末年始などの決まった休業は事前に予定に入れておく、といった手順を決めておきましょう。国民の祝日は内閣府が公表しています(参考:国民の祝日について(内閣府))。
更新の手順は、たとえば次のように決めておきます。
- 休業や営業時間の変更が決まったら、変更の内容と期間を一か所に書き留める
- ホームページ、店頭の掲示、AIのナレッジ、営業時間の設定を同じ日に更新する
- 更新した後にテスト通話をかけ、新しい内容で案内されるかを確認する
- 期間が終わったら、元の内容に戻っているかを確認する
特に四つ目の「元に戻す」は忘れやすいため、終了日を予定表に入れておきましょう。
導入準備に関する質問
Q24. 導入の前に、何を準備すればよいですか?
主な準備は次の五つです。
- 目的を決める:何のために導入するのかを一文で書きます(例:営業時間外の問い合わせを取りこぼさない)。
- 電話の棚卸し:一週間から二週間ほど、かかってきた電話の用件と時間帯を記録します。
- スクリプトとナレッジ:AIが話す案内の文章と、AIが参照する情報(営業時間、よくある質問の答えなど)を用意します。
- 引き継ぎのルール:どの用件を、誰に、どの形で引き継ぐかを決めます。
- テスト通話:本番の前に、想定される場面で電話をかけて確かめます。
詳しい手順は、AI電話受付の導入手順とチェックリストで解説しています。
Q25. 導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
電話の量、用件の種類、対象とする範囲によって大きく変わるため、一概には言えません。期間を短くしたい場合は、最初に対象を絞るのが効果的です。たとえば「営業時間外の代表番号だけ」から始めれば、用意するナレッジもテストする場面も限られます。慣れてから範囲を広げていくほうが、結果として早く定着することが多いでしょう。
段階の例を示します。
- 第一段階:営業時間外の代表番号で、営業時間と用件の受け付けだけを行う
- 第二段階:営業時間内のあふれた電話にも広げ、よくある質問に答える
- 第三段階:用件ごとの振り分けや、担当者への転送の条件を細かくする
各段階で記録を読み、問題が落ち着いてから次に進むと、一度に多くを直す必要がなくなります。
Q26. どんな会社に向いていますか?
次のような状況の会社では、AI電話受付が役に立つ可能性があります。
- 電話に出られない時間(施術中、作業中、外出中、営業時間外)が多い
- 営業時間や所在地など、決まった答えの問い合わせが多い
- 電話の用件を聞き分けて、担当者に振り分ける手間が負担になっている
- 通話の内容を記録し、社内で共有したい
一方、電話の大半が個別の相談で、その場での判断が必要な場合は、AIの役割は振り分けと引き継ぎが中心になります。向いているかどうかを判断する簡単な方法は、電話の記録を用件ごとに分け、「決まった答えで済む電話」「聞き取って後で対応すればよい電話」「その場で人が判断すべき電話」の割合を見ることです。前の二つが多いほど、AIに任せられる範囲が広くなります。
Q27. 社内にITに詳しい人がいなくても導入できますか?
サービスによって設定の難しさは異なりますが、管理画面から案内の文章やメニュー、営業時間を設定できるものも多くあります。大切なのはITの知識よりも、自社の電話の用件を理解し、案内の文章とナレッジを用意できることです。設定の手順が説明されているかどうかも、サービスを選ぶときの確認点になります。導入の担当者を一人決め、その人が案内の文章とナレッジの管理、記録の確認の段取りを受け持つようにすると、社内に知識がたまりやすくなります。担当者が不在のときに代わりを務める人も決めておきましょう。
Q28. テスト通話では何を確認すればよいですか?
次の観点を確認しましょう。
- 最初の案内は短く、わかりやすいか
- 名前、日時、連絡先などが正しく記録されるか
- 登録した情報どおりに答えているか、推測で答えていないか
- 予約などを確定したと伝えていないか
- 「人と話したい」と言ったときに人に届くか
- 急ぎの用件が人に引き継がれるか
- 記録が担当者の確認する場所に届いているか
設計に関わっていない人や、携帯電話・固定電話など複数の端末でも試すと、実際のお客様に近い条件で確認できます。
AI-SNS.IO Callに関する質問
Q29. AI-SNS.IO Callでは、どのような機能を使えますか?
AI-SNS.IO Callでは、IVRのメニューと着信のルーティング、営業時間に合わせた応答の切り替え、キューごとの留守番電話、IVRのメニューからの折り返しの依頼、名前で担当者を呼び出すディレクトリ、ブラウザで電話を受けられるソフトフォン、AIによる通話の要約などを組み合わせて使えます。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。たとえば、営業時間外はIVRのメニューで用件を選んでもらい、折り返しを希望する方はメニューから依頼を残し、残された内容とAIの要約を翌朝スタッフが確認して折り返す、といった組み合わせが考えられます。AIによる一次応答を含め、現在利用できる機能と提供状況は機能一覧で確認してください。
Q30. AI-SNS.IO Callを試すには、どうすればよいですか?
アカウント登録から始められます。設定の手順は使い方ガイドに、詳しい仕様はドキュメントにまとめています。料金については、公式サイトの料金の案内をご確認ください。予約や契約の確定は、どの設定でも自社のスタッフが行う前提で設計してください。
テスト通話の台本例
Q28で挙げた観点を、実際のテスト通話で確認するための台本の例です。自社の用件に合わせて書き換えて使ってください。
台本1:営業時間の質問
「すみません、土曜日は何時まで開いていますか?」と聞き、登録した営業時間どおりに答えるかを確認します。続けて「来週の月曜日は祝日ですが、開いていますか?」と聞き、登録していない日について推測で答えず、確認や引き継ぎに切り替えるかも確かめます。
台本2:予約の希望
「来週の水曜日の午後に予約したいのですが」と伝え、日時、人数、名前、連絡先を聞き取るか、内容を復唱するか、「確定ではなく、確認のうえ連絡する」と伝えるかを確認します。途中で「やっぱり木曜日で」と言い直し、変更が正しく記録されるかも見ておきます。
台本3:人と話したい
最初の案内の直後に「担当の人と話したいです」と伝えます。営業時間内なら転送されるか、時間外なら折り返しの依頼に切り替わるかを確認します。「人間に代わって」「オペレーターをお願いします」など、言い方を変えて何度か試します。
台本4:急ぎの用件
自社にとっての急ぎの用件を想定して伝え、決めた引き継ぎ先に届くかを確認します。届いた記録が、急ぎであることがわかる形になっているかも確認します。
台本5:答えてはいけない質問
値引きの可否や、個別の判断が必要な質問をして、AIが答えずに担当者へ引き継ぐかを確認します。
テストのたびに、かけた日時、台本、結果、直した点を記録しておくと、設定を変えたときに同じテストを繰り返しやすくなります。
導入前の確認シート
三十の質問を読んで、自社にとって確かめるべきことが見えてきたでしょうか。最後に、サービスを比べるときや、社内で導入を話し合うときに使える確認シートを用意しました。
| 分野 | 確認すること | 自社のメモ |
|---|---|---|
| 目的 | 何のために導入するか(一文で) | |
| 対象 | 対象の電話番号・時間帯・用件 | |
| 聞き取り | 固有名詞や数字の聞き取り、復唱の有無 | |
| 答える範囲 | 答えてよいこと、答えないこと | |
| 引き継ぎ | 転送・折り返し・留守番電話の使い分け | |
| 人への道 | 「人と話したい」に応える方法 | |
| 記録 | 録音・文字起こし・要約、閲覧範囲、保存期間 | |
| データの扱い | 保存場所、学習への利用の有無 | |
| 運用 | 記録を読む担当、ナレッジを更新する担当 | |
| 費用 | 費用の構造、電話の量が変わったときの変化 |
空欄を埋めながら社内で話し合うと、導入の判断や、サービスへの問い合わせ内容が整理しやすくなります。
質問の答えを社内で共有する
AI電話受付を導入すると、社内のスタッフからも同じような質問が出てきます。「AIはどこまで答えるのか」「記録はどこで見られるのか」「お客様に何と説明すればよいのか」。こうした質問への答えも、社内向けの一枚の文書にまとめておくと、導入後の混乱を減らせます。
- AIが答えること、答えないことの一覧
- 引き継ぎのルールと、自分が引き継ぎ先になる場合の対応
- 記録の確認方法と、折り返しの担当
- お客様から「AIなの?」と聞かれたときの説明の仕方
- 問題に気づいたときの連絡先
検討を進める手順
疑問が解消してきたら、次の順で検討を進めるとスムーズです。
- 電話の記録を取る:一週間から二週間、用件と時間帯を記録します。
- 目的と対象を決める:記録をもとに、何のために、どの電話を対象にするかを決めます。
- 確認シートを埋める:自社にとって大切な確認項目を整理します。
- サービスの説明を確認する:確認シートの項目について、検討しているサービスの説明や仕様を確認します。
- 小さく試す:対象を絞ってテストし、記録を見ながら判断します。
業種別に寄せられる質問
ここからは、三十の質問に加えて、業種ごとによく寄せられる質問を取り上げます。
クリニック・歯科医院:急な症状の相談を、AIが受けても大丈夫ですか?
AIが症状の重さを判断したり、受診の要否を伝えたりすることは避けるべきです。AIの役割は、急ぎの相談であることを見分けてスタッフに優先してつなぐこと、つながらない場合は折り返しの依頼として目立つように記録すること、診療時間外であれば医院として決めた案内を伝えることにとどめます。時間外に案内する相談先は、自治体などの公式な情報を確認してから決めましょう。
クリニック・歯科医院:予約の変更の電話を減らせますか?
電話の件数そのものが減るとは限りませんが、スタッフが診療の手を止めて電話に出る回数は減らせます。AIや留守番電話で、名前、今の予約日時、希望の日時の候補、連絡先を聞き取って記録し、スタッフが手の空いたときにまとめて折り返す流れにすると、診療への影響を抑えられます。業種別の詳しい設計は、歯科医院の電話対応で紹介しています。
飲食店:ピーク時の電話にAIで対応できますか?
営業時間、ラストオーダー、定休日、場所などの決まった質問は、AIや自動の案内で答えられます。後日の予約の希望は聞き取って記録し、ピークが落ち着いてからスタッフが折り返して確定します。食材やアレルギーに関する質問は、お客様の健康に関わるため、AIに答えさせずにスタッフにつなぎます。
不動産会社:物件の空き状況をAIに答えさせてもよいですか?
空き状況は日々変わるため、AIが「空いています」と断定するのは避けたほうが安全です。物件の問い合わせであることと、物件名、希望の内見日時、連絡先を聞き取り、担当者が最新の状況を確認して折り返す形がおすすめです。
士業の事務所:相談内容を電話でAIに話してもらってもよいですか?
相談内容には、慎重な扱いが必要な情報が含まれやすいため、AIには相談の申し込みの受け付けと、相談の分野の聞き取りまでを任せ、詳しい内容は担当者が直接聞く形が向いています。聞き取る情報を少なくすることで、記録の管理の負担も小さくなります。
修理・工事の事業者:現場に出ている間の電話をどう受ければよいですか?
急ぎの修理の依頼と、見積もりなどの急ぎでない依頼を分けることが大切です。急ぎの依頼は担当者の電話に直接つなぎ、急ぎでない依頼は、場所、症状、希望の日時、連絡先を聞き取って記録します。最初に「お急ぎの方は1番」と番号で選んでもらう方法を組み合わせると、急ぎの依頼を確実に人へつなげます。
お客様から聞かれたときの答え方
AI電話受付を導入すると、お客様から直接質問されることもあります。スタッフが答えに困らないように、答え方の例を用意しておきましょう。
「さっきの電話はAIだったの?」と聞かれたら
「はい、営業時間外やスタッフが出られない時間は、自動の受付でご用件をお預かりしています。お預かりした内容は、スタッフが確認してご連絡しています。」
「AIに話した内容は伝わっているの?」と聞かれたら
「はい、お話しいただいた内容は記録として届いております。念のため、ご用件をもう一度確認させてください。」
記録を確認していても、要点を復唱して確かめると、お客様は安心できます。
「人と話したかったのに」と言われたら
「ご不便をおかけして申し訳ございません。ご用件は私が承ります。」と、まずお詫びし、すぐに用件をうかがいます。そのうえで、どの場面で人につながらなかったのかを記録し、設計を見直すきっかけにします。
「録音されているの?」と聞かれたら
録音している場合は、その目的と扱いを簡潔に説明します。「ご用件を正確にうかがうために録音しております。記録は社内の担当者のみが確認しています。」のように、実際の運用に合わせた答え方を決めておきましょう。
導入を急がないほうがよい場合
疑問を整理していくと、今はまだ導入を急がないほうがよい、という結論になることもあります。次のような場合は、先に社内の準備を整えるほうが近道です。
- 折り返しの担当が決められない:AIが用件を受け付けても、誰も折り返さなければ、お客様の不満はかえって大きくなります。
- 電話の用件がほとんど把握できていない:何を任せるかが決められないため、まずは電話の記録を取ることから始めましょう。
- 答える情報が社内でまとまっていない:営業時間や手続きの説明が人によって違う状態では、AIに登録する情報も決まりません。
- 記録の扱いを決める人がいない:録音や文字起こしの扱いを判断できる人を決めてから導入を進めます。
こうした準備は、AI電話受付を使わない場合でも、電話対応の質を高めることにつながります。
サービスを比べるときに聞いておきたい質問
三十の質問の多くは、「サービスによって異なる」という答えになりました。だからこそ、検討しているサービスの提供者に、同じ質問を投げかけて比べることが大切です。問い合わせのときに使える質問を、分野ごとにまとめました。
仕組みと機能について
- 自然な言葉での応答と、番号の選択(IVR)の両方を使えますか
- 営業時間に合わせて、応答の内容を自動で切り替えられますか
- 担当者への転送、折り返しの依頼、留守番電話を、用件ごとに使い分けられますか
記録とデータについて
- 録音、文字起こし、要約のどれを残せますか。残さない選択はできますか
- 記録はどこに保存され、どれくらいの期間残りますか。削除の方法はありますか
- 通話の内容が、AIの学習などに使われることはありますか
運用について
- 案内の文章やナレッジは、自社の担当者が管理画面から変更できますか
- 変更はすぐに反映されますか。変更の前にテストできますか
- 記録は誰が、どこで確認できますか。担当者に知らせる方法はありますか
費用と契約について
- 費用はどのような構造ですか(月額、通話の量に応じた費用など)
- 電話の量が増えたとき、減ったときに、費用はどう変わりますか
- 試しに使える期間や方法はありますか
答えを確認シートに書き込んでいけば、複数のサービスを同じ観点で比べられます。
導入後によくあるつまずきと対処
導入の前に疑問を解消しておいても、使い始めてから気づくことはあります。よくあるつまずきと、その対処をまとめました。
最初の案内の途中で切られる電話が多い
案内が長すぎる可能性があります。名乗りと用件の質問だけを残し、録音の告知や注意事項はできるだけ短くします。「お名前とご用件をお話しください」のように、何を話せばよいかが明確な一言にすると、お客様は話し始めやすくなります。
同じ聞き取りの誤りが繰り返される
地名、商品名、人名など、特定の言葉で誤りが続く場合は、その言葉を聞き返して確かめる手順を加えるか、番号で選んでもらう方式に切り替えます。記録を週に一度読んで、誤りの多い言葉を一覧にしておくと、直すべき箇所が見えてきます。
折り返しが遅れて、お客様から再度電話が来る
記録が届いても、誰が折り返すかが決まっていないと、対応が後回しになります。折り返しの担当と、折り返す目安の時間を決め、お客様にも「本日中にご連絡します」など、守れる範囲の目安を伝えるようにします。
スタッフが記録を見なくなる
記録の置き場所が普段の仕事の流れから離れていると、確認が習慣になりません。毎朝の始業時や、昼休みの前後など、記録を確認するタイミングを決め、担当者の仕事の一部として位置づけます。
ナレッジが古いまま残る
営業時間の変更や新しいサービスの開始を、AIのナレッジに反映し忘れることがよくあります。ホームページやチラシを更新するときの手順に「AIのナレッジも更新する」を加え、更新した日付と担当者を記録しておきましょう。

用語のミニ解説
この記事に出てきた用語を、短く整理しておきます。
- 音声認識:相手の声を文字に変える技術です。
- 言語モデル:文字の意味をとらえ、返事の文章を作る技術です。
- 音声合成:文章を声に変えて読み上げる技術です。
- IVR:自動の音声案内で、番号を押してもらって電話を振り分ける仕組みです。
- ナレッジ:AIが答えるときに参照する、事業者が登録した情報です。
- ルーティング:電話を、用件や時間帯に応じて適切な担当者や窓口につなぐことです。
- キュー:担当者につながるのを待つ電話の列です。
- ソフトフォン:パソコンのブラウザなどで電話を受けたりかけたりするための仕組みです。

よくある質問
この記事の三十の質問は、どの順番で読めばよいですか?
導入を検討し始めたばかりであれば、仕組みに関する質問から順に読むのがおすすめです。すでに検討が進んでいて、特定の不安がある場合は、個人情報と録音、引き継ぎと運用など、気になる分野から読んでください。各回答は単独で読めるように書いています。
回答に「サービスによって異なる」とあるのは、なぜですか?
AI電話受付は、提供者ごとに仕様、データの扱い、費用の構造が大きく異なるからです。この記事では、一般的な考え方と、確かめるべき点をお伝えしています。具体的な仕様は、検討しているサービスの説明や利用規約、提供者への問い合わせで確かめてください。
ここにない疑問は、どう調べればよいですか?
まず、検討しているサービスのドキュメントや使い方の説明を確認しましょう。それでもわからない場合は、提供者に問い合わせます。問い合わせのときは、「サービスを比べるときに聞いておきたい質問」の一覧を参考に、具体的に質問すると、比べやすい答えが得られます。
社内で導入を説明するときに、この記事を使ってもよいですか?
はい、社内での検討の参考としてご活用ください。ただし、この記事は一般的な情報の整理です。自社の判断に使う場合は、検討しているサービスの最新の説明と、自社の状況に合わせて内容を確かめてください。
導入した後に新しい疑問が出てきたら、どうすればよいですか?
運用を始めると、テストでは想定していなかった電話や、スタッフからの新しい質問が必ず出てきます。疑問が出たら、その場で答えを決めて終わりにせず、社内向けの文書やナレッジに書き足していきましょう。記録を読む定期的な振り返りの時間に、新しい疑問もあわせて話し合うと、対応がばらつかずに済みます。
疑問が解消したら、次に何をすればよいですか?
まずは一週間から二週間、自社にかかってくる電話の用件と時間帯を記録しましょう。その記録をもとに、AIに任せる範囲と人に引き継ぐ範囲を決めると、導入の準備が具体的に進みます。
AI電話受付は、かけてきた人の言葉をどのくらい正しく聞き取れますか?
聞き取りの正しさは、サービス、回線の状態、周りの雑音、話し方、使われる言葉によって変わります。名前や住所、商品の型番などの固有の言葉は、聞き間違いが起きやすい部分です。導入の前に、自社に実際にかかってくる用件で試験の通話をし、大切な情報は復唱して確かめる流れにしておきましょう。
AI電話受付を使っていることを、電話をかけた人に伝える必要はありますか?
最初の案内で、自動の音声で受け付けていることを伝えておくと、かけた人が戸惑いにくくなります。人と話したい人のために、担当者につなぐ方法や、折り返しを依頼する方法もあわせて案内しておくと安心です。録音や記録の扱いを伝える必要があるかどうかは、社内の担当部署に確認してください。
予約の電話にAIで対応すると、予約はどの時点で確定しますか?
予約の確定は、スタッフが内容を確かめて行う運用にするのが基本です。AIは、希望の日時や用件を聞き取って記録し、スタッフに引き継ぐ役割にとどめます。かけた人には、「担当者が確認のうえ、改めてご連絡します」と伝え、確定前であることがはっきり分かるようにしておきましょう。
AI電話受付で受けた内容は、スタッフにどのように届きますか?
サービスによって異なりますが、通話の要約や聞き取った項目が、管理画面、メール、チャットなどに届く形が一般的です。誰が確かめ、いつまでに折り返すかを決めておかないと、届いた内容が放置されることがあります。受け取る担当と確かめる時間帯を、運用のルールとして決めておきましょう。
繁忙期だけAI電話受付を使うことはできますか?
できるかどうかは、サービスの契約の形や設定の方法によって変わります。繁忙期だけ使う場合でも、案内の文章、引き継ぎの流れ、試験の通話は前もって準備しておく必要があります。使い始める直前に慌てないよう、繁忙期の前に一度、短い期間で試しておくと安心です。
まとめ
AI電話受付についての疑問は、大きく分けると、仕組み、聞き取り、個人情報、引き継ぎ、導入の準備の五つに集まります。そして、どの分野でも共通しているのは、「AIに任せる範囲を決め、決めた範囲を超えるものは人に引き継ぐ」という考え方です。
- AIは登録した情報の範囲で答え、推測では答えない
- 聞き取りの誤りは起こりうる前提で、復唱と確認を組み込む
- 予約などの確定は、スタッフが内容を確認してから行う
- 「人と話したい」というお客様には、必ず人に届く道を用意する
- 記録の扱いと保存期間を決め、運用を始めた後も定期的に見直す
疑問を一つずつ解消しながら、小さな範囲から試していくことが、AI電話受付を自社に定着させる近道です。



