営業時間外の電話対応ガイド|夜間・休日の着信をどう受けるか
この記事は、営業時間外の電話対応を運用面まで含めた総合ガイドです。案内文の例は電話の自動応答メッセージ例文集、時間帯設定の手順は営業時間で着信を振り分ける方法も参照してください。
夜の九時、日曜日の午後、年末年始の連休中。会社やお店が閉まっている時間にも、電話は鳴ります。営業時間外の電話対応をどうするかは、業種や規模にかかわらず、多くの事業者が一度は悩むテーマです。「時間外なのだから出なくてよい」と割り切ることもできますが、その電話の向こうには、翌日の予約を相談したいお客様、急な故障で困っているお客様、はじめて問い合わせをしようとしている見込み客がいるかもしれません。
営業時間外の電話対応で大切なのは、無理に電話に出る体制を作ることではありません。「今は出られない」ことをきちんと伝え、用件を受け取る手段を用意し、翌営業日に確実に折り返す。この一連の流れを仕組みとして整えることが、お客様の信頼を守り、スタッフの負担を増やさないための現実的な答えです。
この記事では、夜間・休日・連休中の電話をどう受けるかについて、営業時間ルールの設計、時間外アナウンスの作り方、ボイスメールとコールバック依頼の使い方、AIが一次応答する場合の線引き、翌営業日の折り返しフローまでを順に解説します。
営業時間外の電話で起きていること
対策を考える前に、営業時間外の電話で実際に何が起きているのかを整理しておきましょう。
時間外にかけてくるお客様の事情
営業時間外に電話をかけてくるお客様には、それぞれの事情があります。日中は仕事で電話をかける時間がなく、仕事が終わった夜や休日にしか連絡できない方。思い立ったときにすぐ問い合わせたい方。営業時間を知らずにかけてくる方。そして、設備の故障や急な体調の変化など、緊急の事情を抱えた方です。
これらの事情は、それぞれ求める対応が違います。営業時間を知りたいだけの方には、営業時間を伝えるだけで十分です。日中に連絡できない方には、用件を残しておける手段や、翌日の都合のよい時間に折り返してもらえる約束が必要です。緊急の事情を抱えた方には、緊急時の連絡先を案内するなど、より踏み込んだ対応が求められます。
何も対応しないとどうなるか
営業時間外に何も対応していない場合、電話は呼び出し音が鳴り続けるだけになります。かけた側からすると、「休みなのか」「たまたま出られないのか」「番号が間違っているのか」がわかりません。何度かかけ直してあきらめる方もいれば、別の会社やお店に電話をかけてしまう方もいるでしょう。
翌日になって着信履歴に気づいても、相手の用件はわかりません。折り返しても相手が出ないこともあり、結局用件を聞けないまま終わってしまうこともあります。営業時間外の電話に何も対応しないことは、目に見えない形で機会と信頼を失っている可能性があるのです。
時間外の電話は「量」より「中身」で考える
営業時間外の電話の件数は、日中に比べれば少ないことが多いでしょう。そのため、「件数が少ないから対策は後回しでよい」と考えがちです。しかし、時間外の電話には、緊急の連絡や、日中に連絡できない新規のお客様からの問い合わせなど、一件ごとの重みが大きいものが含まれていることがあります。件数だけでなく、どんな中身の電話がかかってきているのかを考えることが大切です。
時間外の着信件数や時間帯の傾向を知るには、着信履歴を集計するのが手軽です。取りこぼしを見える化する方法は、電話の取りこぼしを減らす方法で詳しく解説しています。
営業時間とルールの設計
営業時間外の電話対応の土台になるのが、営業時間のルールです。いつが営業時間内で、いつが時間外なのかを、電話のシステムが判断できるように設定しておく必要があります。

曜日と時間帯を決める
まず、曜日ごとの営業時間を決めます。平日と土曜日で営業時間が違う、水曜日は定休日、といった店舗や会社ごとのルールを、そのまま設定に反映させます。
このとき見落としがちなのが、昼休みの扱いです。昼休みに全員が電話から離れる職場では、昼休みも実質的に「時間外」になります。昼休みの時間帯を営業時間から外しておけば、その間の電話にも時間外と同じ案内を流せます。
また、営業時間の「終わり」をいつにするかも考えておきましょう。店舗の閉店時間と、電話を受けられる最終時刻は、必ずしも同じではありません。閉店後の片付けや締めの作業で電話に出られないなら、電話の受付は閉店より少し早めに終わらせるほうが、取りこぼしを防げます。
祝日と年末年始
曜日と時間帯に加えて、祝日、年末年始、夏季休業などの特別な日の扱いも決めておきます。日本の祝日は法律で定められており、内閣府の「国民の祝日」についてのページで毎年の日付が公表されています。振替休日などで年ごとに日付が変わることもあるため、年に一度は翌年の祝日を確認して設定しておくと安心です。
祝日に営業する業種では、逆に「祝日も通常どおり営業」と設定しておく必要があります。祝日の扱いが業種や店舗によって違うことを、設定の段階で意識しておきましょう。
臨時休業への備え
台風や大雪、設備の点検、社内行事など、急に営業を休むこともあります。臨時休業のときに、電話の案内をすぐに切り替えられるかどうかは、意外と重要です。管理画面から臨時休業を設定できるか、誰が切り替えるのかを、事前に確認しておきましょう。
臨時休業の案内では、休業の理由を詳しく伝える必要はありませんが、いつから通常どおり営業するのかは伝えるようにします。
ルールを決めたら外から確かめる
営業時間のルールを設定したら、実際に営業時間外に電話をかけて、意図したとおりに動くかを確認しましょう。営業時間の終わり際、昼休み、祝日など、境目の時間帯で試すと、設定の漏れに気づきやすくなります。営業時間ごとの着信の振り分けについては、営業時間で着信を振り分ける方法でも詳しく解説しています。
時間外アナウンスの作り方
営業時間外に電話がかかってきたとき、最初に相手が耳にするのが時間外アナウンスです。短い案内ですが、相手の受け止め方を大きく左右します。
アナウンスに入れる四つの要素
時間外アナウンスには、次の四つの要素を入れるのが基本です。
- 名乗り:どこにかかったのかが相手にわかるよう、会社名や店舗名を最初に伝えます。
- 時間外であること:今は営業時間外で、電話に出られないことを伝えます。
- 営業時間:次にいつ電話がつながるのかがわかるよう、営業時間を伝えます。
- 次にできること:メッセージを残す、折り返しを依頼する、Webサイトを見る、緊急時の連絡先にかけるなど、相手が次にとれる行動を伝えます。
この四つがそろっていれば、相手は「今は出られないが、こうすれば用件を伝えられる」と理解でき、安心して次の行動に移れます。
アナウンスの例文
基本的な時間外アナウンスの例を紹介します。
お電話ありがとうございます。〇〇でございます。本日の営業は終了いたしました。営業時間は、月曜日から金曜日の午前9時から午後6時まででございます。発信音のあとに、お名前、ご連絡先、ご用件をお話しください。翌営業日に担当者からご連絡いたします。
休日の場合は、次のような案内も考えられます。
お電話ありがとうございます。〇〇でございます。本日は定休日のため、お電話に出ることができません。営業時間は、火曜日から日曜日の午前10時から午後7時まででございます。ご予約のご相談は、メッセージを残していただければ、営業日に担当者からご連絡いたします。
年末年始など長期の休業では、休業期間と再開日を伝えます。
お電話ありがとうございます。〇〇でございます。誠に勝手ながら、12月29日から1月3日まで年末年始の休業をいただいております。1月4日より通常どおり営業いたします。ご用件のある方は、発信音のあとにメッセージをお残しください。
ほかにもさまざまな場面の例文を、電話の自動応答メッセージ例文集で紹介しています。
聞き取りやすさの工夫
アナウンスは、目で見返せない「音」の情報です。聞き取りやすくするために、次の点に気をつけましょう。
- 一文を短くし、一文に一つの情報だけを入れる
- 曜日や時間は、「午前9時から午後6時まで」のように、聞き間違えにくい言い方にする
- 全体を長くしすぎない(長いと最後まで聞いてもらえない)
- 早口にならないよう、ゆっくり、はっきり読む(音声合成の場合は速度を調整する)
アナウンスを作ったら、必ず自分で電話をかけて聞いてみましょう。文字で読むとわかりやすくても、耳で聞くとわかりにくいことがよくあります。
録音と音声合成のどちらで作るか
時間外アナウンスの音声は、スタッフが読み上げたものを録音する方法と、文章から音声を作る音声合成(TTS)を使う方法があります。録音は温かみのある印象を出しやすく、音声合成は営業時間の変更や臨時休業のたびに文章を書き換えるだけで作り直せるのが利点です。時間外アナウンスは内容を変える機会が多いため、こまめに更新する部分は音声合成、変わらないあいさつは録音、と使い分けるのも一つの方法です。詳しくはIVR音声ガイダンスの作り方をご覧ください。
約束できないことは言わない
時間外アナウンスで気をつけたいのが、守れない約束をしないことです。「翌営業日の午前中にご連絡します」と案内したのに、実際には午後になってしまうと、相手の期待を裏切ることになります。折り返しの時間を伝える場合は、確実に守れる範囲で伝えましょう。迷う場合は、「翌営業日に担当者からご連絡します」のように、幅を持たせた表現にしておくのが無難です。
ボイスメールとコールバック依頼
時間外アナウンスで「次にできること」を伝えたら、その受け皿を用意します。代表的なのが、ボイスメール(留守番電話)とコールバック依頼です。
ボイスメールで用件を残してもらう
ボイスメールは、相手にメッセージを録音してもらう仕組みです。営業時間外の受け皿としてもっとも一般的で、相手は自分の言葉で用件を伝えられます。
ボイスメールを効果的に使うためには、録音してほしい内容を具体的に案内することが大切です。「メッセージをどうぞ」だけでは、何を話せばよいのか迷ってしまう方もいます。「お名前、ご連絡先、ご用件をお話しください」と案内すれば、折り返しに必要な情報を残してもらいやすくなります。
残されたメッセージは、営業時間が始まったらできるだけ早く確認しましょう。録音を一件ずつ再生するのは手間がかかりますが、録音を文字に起こしたり、要点をまとめたりする機能があれば、確認の時間を短縮できます。
コールバック依頼を受け付ける
コールバック依頼は、相手にボタン操作などで折り返しを希望してもらう仕組みです。録音に抵抗がある方でも、ボタンを押すだけで依頼できるため、使ってもらいやすいのが利点です。着信した電話番号が記録されるため、翌営業日にその番号へ折り返します。
ただし、コールバック依頼だけでは用件がわからないため、折り返しの際に改めて用件を伺うことになります。用件を事前に知りたい場合は、ボイスメールと組み合わせるか、相手が選んだメニューの選択肢を記録しておくとよいでしょう。
受け皿は「確認」と「折り返し」までがセット
ボイスメールもコールバック依頼も、用意しただけでは意味がありません。誰が、いつ確認し、いつまでに折り返すのかを決めておくことが、受け皿を機能させる条件です。確認されずに放置されたメッセージは、何も対応しなかった場合よりも、かえって相手の不信感を強めてしまいます。
ボイスメールとコールバックの使い分けや設計については、IVRのコールバックとボイスメール活用法で詳しく解説しています。
緊急の連絡をどうするか
設備の故障、事故、急な体調の変化など、営業時間外でも対応が必要な緊急の連絡がある業種では、時間外の電話を一律にボイスメールに案内するだけでは足りません。
緊急の連絡に対応する方法としては、時間外のIVRメニューに「緊急のご連絡は1を」といった選択肢を設け、当番の担当者の携帯電話に転送する方法があります。当番制が難しい場合は、提携先の窓口や、公的な相談窓口を案内することも考えられます。
大切なのは、何を「緊急」とするのかを事前に決めておくことです。基準があいまいだと、緊急でない電話まで当番の担当者に転送され、担当者の負担が大きくなってしまいます。
AIが一次応答する場合の線引き
営業時間外の受け皿として、近年選択肢に加わってきたのが、AIによる一次応答です。時間外にかかってきた電話にAIが応答し、よくある質問に答えたり、用件を聞き取って記録したりします。
ボイスメールとの違い
AIによる一次応答と、ボイスメールの大きな違いは、相手と会話ができることです。ボイスメールは相手が一方的に録音するだけですが、AIは相手の話を聞き、必要な情報を質問しながら聞き取れます。「お名前を伺ってもよろしいですか」「ご連絡先の電話番号をお願いします」「ご希望の日時はございますか」と一つずつ確認していけば、折り返しに必要な情報を漏れなく集めやすくなります。
また、「明日は何時から営業していますか」「駐車場はありますか」といった質問なら、登録された情報をもとにその場で答えられます。翌営業日の折り返しを待たずに用件が済むため、相手にとっても、折り返す側にとっても負担が減ります。
AIに任せること
営業時間外のAI一次応答に任せやすいのは、次のような仕事です。
- 営業時間、定休日、所在地、アクセスなど、登録済みの情報の案内
- 用件、名前、連絡先、希望する折り返しの時間帯の聞き取りと記録
- 予約や見積もりの「希望」の聞き取り(確定ではなく、希望として記録)
- 緊急の連絡かどうかの確認と、緊急時の連絡先の案内
AIに任せないこと
一方で、次のようなことはAIに任せず、翌営業日に人が対応するように設計しておきましょう。
- 予約、契約、注文、キャンセルの「確定」
- 料金の個別見積もりや、値引きなどの判断
- 医療、法律、税務など、専門的な判断を伴う相談
- 苦情への謝罪と、その後の対応の判断
特に予約については、AIが「ご予約を承りました」と確定を伝えてしまうと、実際の空き状況と食い違ったときにトラブルになります。「ご希望を承りました。営業日に担当者が確認のうえ、ご連絡いたします」と伝え、確定はスタッフが行う流れにしておくことが大切です。AIに任せるべきでない場面については、AI電話受付にできないことで詳しく解説しています。
聞き取る項目をあらかじめ決めておく
時間外にAIが用件を聞き取る場合は、聞き取る項目をあらかじめ決めておくと、翌営業日の折り返しがスムーズになります。たとえば、お名前、折り返し先の電話番号、用件の種類(予約の相談、見積もりの依頼、その他など)、用件の内容、希望する折り返しの時間帯、の五つです。業種によっては、予約の希望日時や人数、修理が必要な設備の種類なども加えます。
ただし、聞き取る項目を増やしすぎると、相手の負担が大きくなります。折り返しに本当に必要な項目に絞り、詳しいことは折り返しの電話で伺う、という考え方で設計しましょう。聞き取った内容は、最後に復唱して確認すると、聞き間違いによる行き違いを防げます。
AIであることを伝える
時間外にAIが応答する場合は、最初の名乗りでAIであることを伝えておくのがおすすめです。
お電話ありがとうございます。〇〇でございます。ただいま営業時間外のため、AIの受付がご用件をお伺いします。
このように伝えておけば、相手は心構えができ、聞き取りがうまくいかなかったときにも理解を得やすくなります。また、「人と話したい」という方には、営業時間と、メッセージを残せば担当者から折り返すことを案内できるようにしておきましょう。
小さく始める
AIによる一次応答は、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは営業時間外だけ、よくある質問の上位数件と用件の聞き取りに範囲を絞って始め、記録を見ながら少しずつ調整していくのが現実的です。AI電話受付の全体像は、AI電話受付とは?で解説しています。
翌営業日の折り返しフロー
営業時間外の電話対応は、翌営業日の折り返しで完結します。どれだけ受け皿を整えても、折り返しが遅れたり漏れたりすれば、お客様の信頼を損ないます。ここでは、折り返しを確実に行うための流れを紹介します。

始業直後に一覧を確認する
営業日の始業直後に、時間外に受け付けたボイスメール、コールバック依頼、AIが記録した用件を一覧で確認します。一か所にまとまっていれば、確認の漏れを防げます。ボイスメールとAIの記録が別々の場所にあると、どちらかを見落としやすくなるため、できるだけ一つの画面で確認できる状態を目指しましょう。
優先順位をつける
一覧を確認したら、折り返しの優先順位をつけます。一般的には、次のような順番が考えられます。
- 緊急性の高い用件(故障、トラブル、急ぎの変更など)
- 予約や注文など、時間が経つと機会を逃しやすい用件
- 新規のお客様からの問い合わせ
- その他の一般的な問い合わせ
相手が希望する折り返しの時間帯が記録されていれば、それもあわせて考慮します。
担当を割り振る
用件ごとに、折り返す担当者を決めます。予約の相談は受付スタッフ、見積もりの依頼は営業担当、技術的な相談は技術担当、というように、用件に合った担当者に割り振ります。担当者が決まったら、誰がどの折り返しを担当しているのかがわかるように記録しておきましょう。
用件を把握してから電話する
折り返しの電話をかける前に、記録された用件をよく確認しておきます。「昨晩はお電話をいただきありがとうございました。〇〇の件でご連絡いたしました」と、用件を把握したうえで話を始められれば、相手は同じ説明を繰り返さずに済みます。通話の要約が残っていれば、確認の時間はさらに短くなります。通話要約の使い方は、AI通話要約とはで紹介しています。
つながらなかったときの扱い
折り返しの電話に相手が出ないこともあります。その場合に何回かけ直すのか、時間をおいてかけ直すのか、留守番電話にメッセージを残すのか、といった扱いも決めておきましょう。折り返しを試みた記録を残しておけば、後で相手から再度連絡があったときにも状況を説明できます。
完了を記録する
折り返しが済んだら、完了したことを記録します。完了の記録がないと、同じ相手に二人の担当者が折り返してしまったり、逆に誰も折り返していないのに済んだと思い込んだりする原因になります。一覧の状態を「未対応」「対応中」「完了」のように管理すると、漏れや重複を防げます。
時間外対応の体制は三つのパターンから選ぶ
営業時間外の電話にどこまで対応するかは、事業の性質と使える人手によって決まります。代表的な三つのパターンを紹介しますので、自社に近いものを出発点にしてください。
パターン1:案内と受付だけを行う
もっとも負担が軽いのが、時間外は電話に出ず、アナウンスで営業時間を伝え、ボイスメールやコールバック依頼で用件を受け付けるだけにするパターンです。翌営業日に折り返すことを前提にしており、緊急の連絡がほとんどない業種に向いています。士業の事務所、一般的なオフィス、多くの小売店などがこのパターンにあてはまります。
このパターンで大切なのは、翌営業日の折り返しを確実に行うことです。受け付けた用件が放置されないよう、確認の担当と時間を決めておきましょう。
パターン2:AIが一次応答し、用件を整理しておく
案内と受付に加えて、AIが時間外の電話に応答し、簡単な質問に答えたり、用件を詳しく聞き取ったりするパターンです。ボイスメールを残さずに切ってしまう方の用件も受け取りやすくなり、翌営業日の折り返しも、整理された記録をもとに進められます。予約の相談が多い業種や、時間外にも新規の問い合わせが入る業種に向いています。
このパターンでは、AIに任せる範囲と任せない範囲をはっきり決め、確定や判断は人が行うようにしておくことが前提です。
パターン3:緊急時だけ人が対応する
案内と受付、あるいはAIの一次応答に加えて、緊急の連絡だけは当番の担当者に転送して、時間外でも人が対応するパターンです。設備の修理、賃貸物件の管理、介護など、時間外にも対応が必要なトラブルが起こりうる業種に向いています。
このパターンを続けるには、当番の負担を抑える工夫が欠かせません。緊急の基準を明確にし、緊急でない連絡はパターン1や2の方法で受け付けて、当番の担当者に届く電話を本当に必要なものに絞りましょう。
どのパターンを選んでも、時間外に何が起きたかを翌営業日に全員が把握できるよう、記録を一か所にまとめておくことが共通のポイントです。
お客様に事前に知らせておく工夫
時間外の電話対応は、電話がかかってきてからの対応だけで完結するものではありません。お客様に事前に営業時間や連絡方法を知らせておくことで、時間外の電話そのものを減らしたり、時間外の連絡をスムーズにしたりできます。
まず、Webサイトや店頭、名刺、予約の確認メッセージなど、お客様の目にふれる場所に営業時間と定休日をはっきり書いておきましょう。長期の休業がある場合は、休業期間と再開日を、少し前から告知しておくと親切です。
次に、時間外の連絡方法を案内しておきます。「営業時間外のご予約の相談は、お電話でメッセージを残していただければ翌営業日にご連絡します」「緊急の故障は、こちらの窓口までご連絡ください」といった案内があれば、お客様は迷わずに連絡できます。
さらに、時間外でも自分で解決できる情報を用意しておくことも効果的です。よくある質問、アクセス方法、予約の変更方法などをWebサイトにまとめておけば、時間外に電話をかける前に確認してもらえます。電話以外の窓口を組み合わせる考え方は、オムニチャネル問い合わせ対応とはでも紹介しています。
時間外対応でよくある失敗
営業時間外の電話対応を整えたつもりでも、思わぬところでつまずくことがあります。よくある失敗と、その避け方を紹介します。
失敗1:アナウンスの営業時間が古いまま
営業時間を変更したのに、時間外アナウンスの中で読み上げる営業時間を直し忘れる、という失敗はよく起こります。Webサイトや店頭の掲示は更新したのに、電話のアナウンスだけが古いままになっていると、お客様は混乱してしまいます。営業時間を変えるときは、Webサイト、店頭、電話のアナウンス、AIに登録している情報をまとめて更新する、というチェックリストを用意しておくと安心です。
失敗2:年末年始の設定を忘れる
年末年始やお盆休みなど、年に一、二度しかない設定は、つい忘れがちです。休業中にもかかわらず通常の営業時間の案内が流れたり、誰もいない事務所の電話が鳴り続けたりすると、お客様は「休業しているのかどうか」がわかりません。長期休業の設定は、カレンダーに事前の作業日を書き込んでおくなど、忘れない工夫をしておきましょう。
失敗3:ボイスメールの容量や確認を放置する
ボイスメールのメッセージがたまったまま確認されず、容量がいっぱいになって新しいメッセージを受け付けられなくなる、という失敗もあります。また、確認の担当者が決まっていないと、「誰かが聞いているだろう」と全員が思い込み、メッセージが放置されてしまいます。確認の担当者と頻度を決め、確認したメッセージは対応状況を記録しておきましょう。
失敗4:緊急の基準があいまい
緊急の連絡を当番の担当者に転送する仕組みを作ったものの、何が緊急なのかの基準があいまいなために、緊急でない連絡まで夜中に転送されてしまう、という失敗です。担当者の負担が大きくなり、仕組みそのものが続かなくなってしまいます。緊急の基準を具体的に決め、時間外のアナウンスやWebサイトでお客様にも伝えておくことが大切です。
失敗5:時間外の案内が長すぎる
伝えたいことをすべて詰め込んだ結果、時間外のアナウンスが長くなりすぎてしまうこともあります。長い案内は最後まで聞いてもらえず、肝心の「メッセージを残してください」の部分にたどり着く前に電話を切られてしまうかもしれません。案内は必要な四つの要素に絞り、詳しい情報はWebサイトに任せるようにしましょう。
業種別に見る時間外対応のポイント
営業時間外の電話対応で重視すべきことは、業種によって異なります。代表的な業種ごとのポイントを紹介します。
飲食店
飲食店では、閉店後や定休日に、翌日以降の予約の相談がかかってくることがよくあります。時間外アナウンスでは営業時間と定休日をはっきり伝え、予約の相談はメッセージで受け付けて翌営業日に確認の連絡をする、という流れが考えられます。営業時間中も、ランチやディナーのピーク時には電話に出にくいため、ピーク時間帯を時間外と同じ扱いにする工夫もあります。詳しくは飲食店の電話対応をAIで効率化する方法をご覧ください。
歯科医院・クリニック
医療機関では、休診日や診療時間外に、予約の変更やキャンセル、急な痛みや体調の変化の相談がかかってきます。予約の変更やキャンセルの希望は記録して翌診療日に確認し、急な症状については、地域の休日・夜間の救急医療の案内など、適切な窓口を伝える設計が考えられます。医療に関する個別の判断を、アナウンスやAIが行わないようにすることが大切です。詳しくは歯科医院の電話対応をAIで効率化する方法で解説しています。
設備修理・賃貸管理
水道や電気の設備修理、賃貸物件の管理会社などでは、夜間や休日の故障やトラブルの連絡が、もっとも重要な時間外の電話です。緊急の連絡を当番の担当者に転送する体制を整えるとともに、緊急でない連絡はボイスメールやAIのボイスメールで受け付け、翌営業日に対応します。何を緊急とするかの基準を、入居者やお客様にもわかる形で案内しておくと、時間外の電話の中身が整理されます。
士業・オフィス
士業の事務所や一般的なオフィスでは、時間外の電話の多くは急ぎではない問い合わせや相談の申し込みです。時間外アナウンスで営業時間を伝え、相談の申し込み方法(Webサイトのフォームなど)を案内するとともに、ボイスメールで用件を受け付ければ、多くの場合は十分です。
美容室・サロン
美容室やサロンでは、仕事が終わった夜や休日に、予約の相談をしたいというお客様が少なくありません。時間外にも予約の希望を受け付けられるよう、ボイスメールやAIで希望日時と連絡先を聞き取り、翌営業日にスタッフが空き状況を確認して連絡する流れが向いています。
時間外対応を続けるための運用ルール
時間外の電話対応は、仕組みを作ったあとも、運用を続けることが大切です。続けるためのルールを整理します。
設定の担当者を決める
営業時間の変更、祝日や年末年始の設定、臨時休業の切り替えなど、時間外対応の設定を変える担当者を決めておきます。担当者が休みの日の代わりも決めておくと、急な臨時休業にも対応できます。
特別な日の設定を前倒しで行う
年末年始、ゴールデンウィーク、お盆休みなど、長期の休業がある時期は、設定を前倒しで行うルールにしておきましょう。たとえば、「長期休業の一か月前までにアナウンスと営業時間の設定を済ませる」と決めておけば、直前の慌ただしい時期に設定を忘れることを防げます。
休み明けの体制を厚くする
長期の休業明けは、時間外に受け付けた用件がたまっています。休み明けの初日は、折り返しの担当者を多めにする、午前中は折り返しに集中する時間にする、といった体制の工夫を考えておきましょう。
定期的に見直す
時間外の電話の件数や中身は、季節や事業の状況によって変わります。月に一度は、時間外の着信件数、ボイスメールやコールバックの件数、折り返しまでにかかった時間などを確認し、アナウンスの内容や受け皿の設計を見直しましょう。
時間外対応を始める前のチェックリスト
ここまでの内容を、時間外対応を始める前に確認するチェックリストとしてまとめます。
営業時間のルール
- 曜日ごとの電話の受付開始時刻と終了時刻を決めた
- 昼休みなど、全員が電話に出られない時間帯の扱いを決めた
- 今年と来年の祝日の扱いを設定した
- 年末年始や夏季休業などの長期休業の設定時期を決めた
- 臨時休業のときに、誰がどうやって案内を切り替えるかを決めた
アナウンスと受け皿
- 時間外アナウンスに、名乗り・時間外であること・営業時間・次にできることを入れた
- アナウンスを実際に電話で聞き、長すぎないか、聞き取りやすいかを確認した
- ボイスメールの案内で、残してほしい内容(名前・連絡先・用件)を伝えている
- コールバック依頼やAIによる聞き取りを使う場合、その範囲を決めた
- 緊急の連絡の基準と、緊急時の連絡先や転送先を決めた
折り返し
- 時間外に受け付けた用件を、始業直後に確認する担当者を決めた
- 優先順位のつけ方と、担当の割り振り方を決めた
- 折り返しがつながらなかったときの扱いを決めた
- 対応状況(未対応・対応中・完了)を記録する場所を決めた
運用
- 営業時間を変えるときに、アナウンスやAIの登録情報もまとめて更新する手順を決めた
- 月に一度、時間外の着信件数と折り返しの状況を確認する
すべての項目にチェックがつかなくても、時間外対応は始められます。まずはアナウンスと受け皿、そして折り返しの担当という三つの基本を整え、残りは運用しながら少しずつ埋めていきましょう。
AI-SNS.IO Callでの時間外対応
私たちAI-SNS.IOのCallでは、曜日・時間帯ごとの営業時間ルールを設定し、時間外の着信を時間外の案内、キューごとのボイスメール、IVRメニューからのコールバック依頼などに振り分けられます。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。受け付けたボイスメールや通話は通話履歴に残り、AIによる通話要約で内容を確認できます。AIエージェントの画面では、営業時間やよくある質問などのナレッジを登録し、プレイグラウンドで応答を試せます。
電話回線でのAI応答を含む各機能の提供状況はCallの機能一覧で、設定の手順はCallの使い方ガイドでご確認ください。営業時間とIVRの設定手順は、CallでIVRと営業時間を設定する手順でも紹介しています。
「営業時間外の電話対応ガイド|夜間・休日の着信をどう受けるか」の続きとして、製品全体はAI-SNS.IO Callのトップで確認でき、アカウント登録は月額0円から始めるから進められます。
あわせて読みたい記事:営業時間外の電話をどう受けるか:留守番電話と折り返しの考え方。
まとめ
営業時間外の電話対応で大切なのは、無理に電話に出る体制を作ることではなく、「今は出られない」ことをきちんと伝え、用件を受け取り、翌営業日に確実に折り返す流れを作ることです。
そのためには、曜日・時間帯・祝日・臨時休業を含めた営業時間のルールを設計し、名乗り・時間外であること・営業時間・次にできることの四つを入れた時間外アナウンスを用意します。受け皿としてボイスメールやコールバック依頼を用意し、必要に応じてAIによる一次応答で用件の聞き取りや簡単な質問への回答を補います。緊急の連絡がある業種では、緊急の基準と連絡先を決めておくことも欠かせません。
そして何より、翌営業日の折り返しを確実に行うことが、時間外対応の信頼を支えます。始業直後の確認、優先順位づけ、担当の割り振り、完了の記録という流れを、毎日の習慣にしていきましょう。
営業時間外の電話は、お客様が「今、連絡したい」と思ったときの声です。その声を受け止める仕組みがあれば、閉まっている時間も、お客様との関係を育てる時間に変えられます。まずは今夜、自社の電話にかけてみて、どんな案内が流れるのかを確認するところから始めてみてください。
よくある質問
営業時間外の電話には出なくても問題ありませんか?
営業時間外に電話に出られないこと自体は、多くの事業者にとって当然のことです。ただし、呼び出し音が鳴り続けるだけの状態は、相手に「休みなのか、たまたま出られないのか」がわからず、不安や不満を与えます。時間外であることと営業時間を伝えるアナウンスを流し、ボイスメールなどで用件を残してもらえるようにしておけば、出られなくても信頼を損ないにくくなります。
時間外アナウンスには何を入れればよいですか?
名乗り(会社名や店舗名)、今が営業時間外であること、営業時間(次につながる時間)、そして次にできること(メッセージを残す、折り返しを依頼する、Webサイトを見る、緊急時の連絡先にかけるなど)の四つを入れるのが基本です。一文を短くし、全体を長くしすぎないことも大切です。
祝日や年末年始の設定はどうすればよいですか?
曜日ごとの営業時間に加えて、祝日、年末年始、夏季休業などの特別な日の扱いを、電話の設定に反映させておきます。祝日は年によって日付が変わることがあるため、年に一度は翌年の祝日を確認して設定しましょう。長期休業の設定は、一か月前までに済ませるなど、前倒しで行うルールにしておくと忘れにくくなります。
ボイスメールとコールバック依頼はどちらがよいですか?
ボイスメールは相手が用件を自分の言葉で残せるため、折り返しの前に用件を把握できます。コールバック依頼はボタンを押すだけで依頼できるため、録音に抵抗がある方にも使ってもらいやすいのが利点です。両方を用意して相手に選んでもらう方法もあります。どちらの場合も、確認と折り返しの担当を決めておくことが前提です。
夜間の緊急連絡にはどう対応すればよいですか?
まず、何を緊急とするのかの基準を具体的に決めます。そのうえで、時間外のメニューに緊急の選択肢を設けて当番の担当者に転送する、提携先や公的な窓口を案内する、といった方法を検討します。基準があいまいだと緊急でない連絡まで転送され、担当者の負担が大きくなるため注意が必要です。
営業時間外にAIが電話に出てもよいですか?
AIによる一次応答は、営業時間外の受け皿として有効な選択肢です。営業時間などの簡単な質問に答えたり、用件や連絡先を聞き取って記録したりできます。ただし、予約や契約の確定、専門的な判断はAIに任せず、翌営業日に人が対応するように設計しましょう。最初の名乗りでAIであることを伝えておくことも大切です。
AIが時間外に予約を受け付けることはできますか?
予約の希望日時や連絡先を聞き取って記録することはできますが、予約の確定は、営業日にスタッフが空き状況を確認してから行うのが安全です。AIには「ご希望を承りました。担当者が確認のうえご連絡いたします」と伝えさせ、確定の連絡はスタッフが行う流れにしておくと、行き違いによるトラブルを防げます。
翌営業日の折り返しはどのように進めればよいですか?
始業直後に、時間外に受け付けたボイスメール、コールバック依頼、AIの記録を一覧で確認し、緊急性や機会損失の大きさで優先順位をつけます。用件に合った担当者に割り振り、用件を把握したうえで電話をかけ、完了したら記録を残します。つながらなかった場合のかけ直しのルールも決めておきましょう。
時間外の電話はどのくらいあるのか、どうやって調べればよいですか?
電話機や電話サービスの着信履歴を一定期間分集め、営業時間外の着信件数と時間帯を集計するのが手軽です。曜日や季節による変化も見ておくと、長期休業の前後の備えにも役立ちます。あわせて、時間外に自社へ電話をかけて、相手からどう聞こえるかを確かめておきましょう。
昼休みも時間外として扱ったほうがよいですか?
昼休みに全員が電話から離れる職場であれば、昼休みを営業時間から外し、時間外と同じ案内やボイスメールに切り替える設定がおすすめです。営業時間内だと思ってかけてきたお客様に、呼び出し音が鳴り続けるだけの状態を避けられます。交代で電話番を残せる場合は、その体制を優先しましょう。
臨時休業のときは、どのような案内を流せばよいですか?
臨時休業のときは、名乗りに続けて、本日は臨時休業であることと、通常どおり営業を再開する日を伝えます。休業の理由を詳しく説明する必要はありませんが、再開日がわからないとお客様は何度もかけ直すことになるため、再開日は必ず伝えましょう。用件を残してもらえるよう、ボイスメールなどの受け皿もあわせて案内し、再開日に確実に折り返します。
時間外に受け付けた用件への折り返しが遅れそうなときはどうすればよいですか?
休み明けで用件がたまっている場合など、折り返しが遅れそうなときは、優先順位の高い用件から順に対応し、時間がかかりそうな相手にはメッセージなどで「順番にご連絡しています」と一言伝えておくと安心してもらえます。アナウンスで折り返しの時間を約束している場合は、守れる範囲の表現になっているかを見直しましょう。



