IVR・自動音声応答

名前で内線呼び出し|電話自動応答の使い方

AI-SNS.IO 編集部 · 公開

名前で内線呼び出し|電話自動応答の使い方(AI-SNS.IO Call ブログ)

代表電話に「営業部の田中さんをお願いします」という電話がかかってくる。受けた人は相手の名前と用件を聞き、田中さんの席を確認し、内線で呼び出し、不在ならメモを残す。一件あたりは一分ほどの作業でも、一日に何十件も重なれば、受付や総務の担当者の仕事は取り次ぎで埋まってしまいます。

ダイヤル・バイ・ネーム(ダイヤルバイネーム)は、こうした取り次ぎを電話の仕組みに任せる機能です。電話をかけてきた人が、話したい相手の名前を入力したり話したりすると、仕組みがその人を探して電話をつなぎます。

この記事では、代表電話の取り次ぎにかかる負担の整理から、ダイヤル・バイ・ネームの仕組み、向いている組織と向いていない組織、登録する名前と読みの工夫、不在時の扱い、IVRとの組み合わせ方までを解説します。導入前に確認したい点を、登録表の例やテストの手順とあわせて紹介します。

代表電話の取り次ぎ負担

取り次ぎの一件に含まれる作業

代表電話での取り次ぎは、外から見ると「電話を回すだけ」に見えますが、実際には細かな作業の積み重ねです。

  1. 電話に出て名乗る
  2. 相手の会社名と名前を聞く(聞き取れなければ聞き直す)
  3. 話したい相手の名前を聞き、どの部署の誰かを特定する(同じ名字が複数いれば確かめる)
  4. 保留にして、相手の席や予定を確認する
  5. 内線で呼び出し、相手の名前と用件を伝える
  6. 不在であれば電話口に戻り、伝言を聞くか、折り返しを提案する
  7. 伝言をメモにして、本人に渡す

この流れの途中で、受付の担当者は自分の仕事を中断しています。電話が重なれば、保留にしたままの電話も出てきます。

取り次ぎが負担になりやすい職場

次のような職場では、取り次ぎの負担が大きくなりがちです。

取り次ぎの負担を測ってみる

ダイヤル・バイ・ネームを検討する前に、取り次ぎにどれくらいの手間がかかっているかを確認しておくと、導入の判断がしやすくなります。一週間ほど、受けた電話を次のように記録してみましょう。

受けた時刻指名の電話か指名された人つながったか不在時の対応
9:15はい営業部 田中不在伝言メモ
9:32いいえ(問い合わせ)——担当部署へ転送
10:05はい経理部 佐藤つながった—

記録を見ると、指名の電話がどれくらいあるか、不在で伝言になる電話がどれくらいあるかがわかります。指名の電話が多く、しかも相手の名前がはっきりしている電話が多いなら、ダイヤル・バイ・ネームが役立つ可能性が高いと言えます。

取り次ぎにかかる時間を見積もる

記録がとれたら、取り次ぎにかかっている時間を大まかに見積もってみましょう。計算の式は単純です。

一日の指名の電話の件数 × 一件あたりの取り次ぎにかかる時間 = 一日に取り次ぎにかかる時間

一件あたりの時間は、自社の担当者に何件か計ってもらうのが確実です。電話に出てから、保留、呼び出し、伝言のメモまでを含めて計ります。たとえば、仮に一日二十件の指名の電話があり、一件に二分かかるとすれば、一日に四十分を取り次ぎに使っている計算になります(数字は計算の仕方を示すための仮の例です)。

ここで見落としがちなのが、作業が中断されることによる影響です。集中して進めていた仕事が電話で中断されると、元の作業に戻るまでに時間がかかります。件数が多い職場ほど、計算で出た時間以上に負担を感じているはずです。

ダイヤル・バイ・ネームの仕組み

基本の流れ

ダイヤル・バイ・ネームの基本的な流れは次のとおりです。

  1. 入口の案内:IVRのメニューで「担当者のお名前がわかる方は〇番を」と案内します。
  2. 名前の入力:電話をかけてきた人が、話したい相手の名前を入力します。入力の方法は仕組みによって異なり、名前を声で話す方法、電話のボタンで名前を入力する方法などがあります。
  3. 候補の確認:仕組みが登録された名前から候補を探し、「営業部の田中太郎におつなぎしますか。よろしければ1を」と確認します。
  4. 転送:確認がとれたら、その人の電話に転送します。
  5. 不在時の扱い:相手が出なければ、その人や部署のボイスメール、折り返しの依頼、代表の窓口などにつなぎます。

入力の方法の違い

入力の方法特徴注意点
名前を声で話す電話をかけてきた人の負担が少ない聞き取りの誤りが起こりうる。同じ読みの名前の区別が必要
ボタンで名前を入力する声の聞き取りに左右されない日本語の名前は入力しにくく、使える場面が限られる
内線番号を入力する確実につながる相手の番号を知っている人しか使えない

日本語の名前は、ボタンで文字を入力する方式とは相性があまりよくありません。名前を声で話してもらう方式か、名前を知っている人向けの内線番号の入力と組み合わせる方式が、現実的な選択肢になります。使っている仕組みでどの方式が使えるかを確認しておきましょう。

確認のひと手間が誤転送を防ぐ

ダイヤル・バイ・ネームで大切なのは、転送の前に「〇〇におつなぎしますか」と確認する手順です。名前の聞き取りや候補の選び方に誤りがあっても、確認の段階で電話をかけてきた人が気づけます。確認を省くと、違う人に電話がつながり、受けた人が改めて取り次ぐことになって、かえって手間が増えます。確認の案内では、名前だけでなく所属も読み上げると、電話をかけてきた人が「営業の田中さん」で合っているかを判断しやすくなります。読み上げる名前は、登録した読みで正しく発音されているかを、テストのときに必ず聞いて確かめましょう。読みが誤っていると、正しい相手が候補に出ていても、電話をかけてきた人は違う人だと思って断ってしまうことがあります。

向いている組織

ダイヤル・バイ・ネームが役立つ組織

ダイヤル・バイ・ネームが特に役立つのは、次のような組織です。

向いていない、または工夫が必要な組織

一方で、次のような場合は、導入しても効果が出にくかったり、工夫が必要になったりします。

判断のためのチェック

確認することはいいいえ
代表電話にかかる電話のうち、指名の電話が多い向いている用件のメニューを優先
電話をかけてくる人は、担当者の名前を知っている向いている用件のメニューを優先
社員の名前と所属を電話で案内してよい向いている登録の範囲を絞る
社員が事務所の外でも電話を受けられる効果が大きい不在時の扱いを丁寧に設計
受付の担当者が別の仕事を兼ねている効果が大きい—

登録する名前と読みの工夫

ダイヤル・バイ・ネームの使いやすさは、何をどう登録するかで大きく変わります。特に日本語の名前では、読みの登録が欠かせません。

登録する項目

一人ひとりについて、次の項目を登録します。

項目例ポイント
表示の名前田中 太郎社内の正式な表記
読みたなか たろう案内の読み上げと、名前の聞き取りに使う
呼ばれ方の別名たなか、田中部長相手が実際に口にする呼び方
所属営業部同じ名字の区別と、確認の案内に使う
転送先内線、ソフトフォン、携帯などどこにつなぐか
不在時の行き先本人のボイスメール、部署の窓口つながらなかったときの行き先
案内してよいかはい名前を電話で案内してよいかの確認

登録表の記入例

表示の名前読み別名所属転送先不在時の行き先案内してよいか
田中 太郎たなか たろうたなか営業部ソフトフォン本人のボイスメール/営業部の窓口はい
田中 花子たなか はなこ—経理部席の電話経理部の窓口はい
中田 一郎なかた いちろうなかだ技術部ソフトフォン技術部のボイスメールはい
山本 恵やまもと めぐみ以前の名字(本人の同意あり)総務部席の電話代表の窓口はい
東 健あずま けんひがし営業部ソフトフォン営業部の窓口はい

この例では、読み間違えやすい「中田」と「東」に、別の読みを別名として登録しています。案内してよいかの欄は、本人に確かめた結果を記録しておくためのものです。

読みの工夫

日本語の名前は、同じ漢字でも読みが違うことがよくあります。「中田」は「なかた」か「なかだ」か、「東」は「ひがし」か「あずま」か。読みを登録しておかないと、案内で名前を読み違えたり、電話をかけてきた人が話した名前を見つけられなかったりします。

読みを登録するときは、次の点に気をつけましょう。

同じ名字への対応

同じ名字の社員がいる場合は、候補を読み上げるときに所属や下の名前を添えて区別します。

田中という名前の担当者が二名おります。営業部の田中太郎は1を、経理部の田中花子は2を押してください。

候補が三人以上になる場合は、先に部署を選んでもらうほうが、案内が短く済むこともあります。部署を先に選ぶ流れの例は次のとおりです。

田中という名前の担当者が複数おります。営業部は1を、経理部は2を、技術部は3を押してください。

部署を選んでもらった後に、その部署の田中が一人であれば、そのまま確認の案内に進みます。部署の中にも同じ名字がいる場合は、下の名前で区別します。

呼ばれ方を登録する

社外の人が実際に口にする呼び方は、正式な名前と違うことがあります。たとえば、結婚などで名字が変わった社員を、取引先が以前の名字で呼ぶことがあります。本人の同意を得たうえで、以前の名字を別名として登録しておくと、取引先が迷わずに済みます。役職名をつけて呼ばれることが多い場合も、名前の部分で探せるようにしておきます。

外国の名前や長い名前

外国の名前は、社外の人がどのように発音するかが一定しないことがあります。よく使われる発音を、読みとして複数登録しておきましょう。名前が長い場合は、ふだん呼ばれている短い呼び方も登録します。

不在時の扱い

ダイヤル・バイ・ネームでつないだ相手が電話に出ないことは、珍しくありません。会議中、外出中、休暇中、ほかの電話に出ている。不在時の扱いを丁寧に設計しないと、「名前でつないだのに誰も出ない」という体験になり、結局は代表電話にかけ直されてしまいます。

入口のメニュー、名前の入力、候補の確認、転送、不在時の行き先の流れ
図1:名前で担当者につなぐ流れ

不在時の行き先の選択肢

  1. 本人のボイスメール:本人に直接用件を伝えたい電話に向いています。本人が確認しないと用件が止まるため、休暇中などは別の行き先にする工夫が必要です。
  2. 部署の窓口への転送:同じ部署の誰かが代わりに対応できる用件に向いています。
  3. 部署のボイスメール:部署内で確認の担当を決めておけば、本人が不在でも用件が止まりません。
  4. 折り返しの依頼:連絡先だけを残してもらい、本人か部署の担当が折り返します。
  5. 代表の窓口:最後の受け皿として、代表の窓口につなぎます。

コールバックとボイスメールの設計は、IVRのコールバックとボイスメール活用法で詳しく解説しています。

不在時の案内の例

ただいま、営業部の田中は電話に出ることができません。田中へのメッセージをお残しの場合は1を、営業部のほかの担当者におつなぎする場合は2を、代表の窓口へは0を押してください。

不在時の選択肢を示すことで、電話をかけてきた人は、用件に合った方法を自分で選べます。選択肢は三つまでに絞り、0番で代表の窓口に戻れるようにしておくと迷いにくくなります。

呼び出す時間の長さ

相手を何秒呼び出したら不在とみなすかも決めておきます。短すぎると、相手が電話に手を伸ばしている間に切り替わってしまい、長すぎると、電話をかけてきた人を待たせます。ソフトフォンで受ける社員と、席の電話で受ける社員とでは、出るまでの時間が違うこともあります。実際に試して、自社に合う長さを決めましょう。

長期の不在と退職

長期の休暇や休職、退職の場合は、通常の不在とは別の扱いが必要です。

IVRとの組み合わせ

ダイヤル・バイ・ネームは、IVRのメニューの一つとして組み込むのが一般的です。代表電話の入口で、名前がわかる人と、わからない人を分けるのが基本の形です。

入口のメニューの例

お電話ありがとうございます。〇〇株式会社でございます。担当者のお名前がわかる方は1を、製品やサービスについてのお問い合わせは2を、ご請求やお支払いについては3を、その他のご用件は0を押してください。

1を押した人はダイヤル・バイ・ネームへ、2と3は担当の部署のキューへ、0は代表の窓口へつなぎます。

組み合わせのポイント

メニュー全体の設計

ダイヤル・バイ・ネームを加えると、IVRのメニューの選択肢が一つ増えます。選択肢が多くなりすぎないよう、メニュー全体を見直しましょう。メニューの組み立て方はIVRメニュー設計のコツで、メニューでよく起きる失敗はIVRでよくある失敗で紹介しています。

名前でつながった電話の受け方

ダイヤル・バイ・ネームでつながった電話は、受付を通らずに直接届きます。受けた社員は、相手が誰なのか、何の用件なのかを、電話に出た時点では知りません。社内で受け方をそろえておくと、相手に不安を与えずに済みます。

名乗り方

はい、〇〇株式会社営業部の田中でございます。

代表電話からの取り次ぎでは「お電話代わりました」と出ることが多いですが、直接つながった電話では、会社名と部署名から名乗ると、相手は正しい相手につながったことを確認できます。

用件が担当外だったとき

名前で直接つながっても、用件が自分の担当ではないことがあります。その場合は、用件を聞いたうえで担当者に引き継ぎ、相手に同じ説明を繰り返させないようにします。引き継ぎ先の担当者が不在であれば、折り返しの約束をして、引き継ぎ先に用件を伝えます。

不在時のメッセージの確認

本人のボイスメールに届いたメッセージは、本人が確認しない限り止まってしまいます。確認するタイミング(たとえば朝と昼休み明け)を決め、外出や休暇の前には、不在時の行き先を変えたかを確認する習慣をつけましょう。

自動の聞き取りと組み合わせる

名前の聞き取りに、音声AIなどの自動の仕組みを使う方法もあります。「営業の田中さんをお願いします」のように、名前と部署をまとめて話してもらい、候補を確認してから転送します。不在のときは、自動の仕組みが用件と連絡先を聞き取って記録し、本人や部署に渡す、という組み合わせも考えられます。いずれの場合も、聞き取りの誤りは起こりうるため、転送の前の確認と、見つからないときの逃げ道は欠かせません。仕組みの違いはIVRと音声AIエージェントの違いで整理しています。

名前を案内することへの配慮

ダイヤル・バイ・ネームでは、電話をかけてきた人に、社員の名前と所属を読み上げます。便利な反面、社員の情報を外部に伝えることになるため、次の点に配慮しましょう。

※この章は一般的な考え方の整理であり、法的助言ではありません。個人情報の扱いは、社内の規程や専門家の助言にあわせて判断してください。公的な情報は個人情報保護委員会のウェブサイトで確認できます。

登録の範囲を決める

全社員を登録する必要はありません。社外からの指名の電話を受ける可能性がある社員に絞る、本人が希望しない場合は登録しない、という方針も考えられます。登録の範囲は、社内で方針を決め、社員に説明しておきましょう。

候補の読み上げ方を工夫する

名前の一部だけで候補をたくさん読み上げると、社内の名簿を外部に読み上げるのと同じことになります。候補を読み上げるのは、ある程度名前が絞り込めた場合だけにする、候補が多すぎる場合は部署を先に選んでもらう、などの工夫で、読み上げる範囲を小さくできます。

迷惑な電話への備え

名前で直接つながる仕組みは、営業の電話などが社員に直接届きやすくなる面もあります。気になる場合は、不在時の行き先を部署の窓口にする、知らない相手からの電話は部署の窓口で受ける運用にする、などの対策を検討しましょう。

ダイヤルバイネームを導入する手順

ステップ1:取り次ぎの記録を取る

前に紹介した記録表で、一週間ほど指名の電話を記録します。指名される社員の顔ぶれもわかるため、登録の範囲を決める材料になります。記録の担当者には、相手が名前をどう呼んでいたか(名字だけか、役職をつけていたか)もメモしてもらうと、別名の登録に役立ちます。

ステップ2:登録の範囲と方針を決める

誰を登録するか、名前を案内してよいかを本人に確かめるか、不在時の行き先をどうするか、を決めます。

ステップ3:登録表を作る

登録する社員ごとに、表示の名前、読み、別名、所属、転送先、不在時の行き先を表にまとめます。読みは本人に確かめます。

ステップ4:案内の文章を書く

入口のメニュー、候補の確認、同じ名字の区別、不在時、見つからなかったときの案内を書きます。

申し訳ございません。お名前が見つかりませんでした。もう一度お名前をお話しいただくか、0を押して代表の窓口におつなぎください。

ステップ5:テストする

登録した全員について、名前で呼び出してつながるかを確認するのが理想です。人数が多い場合は、次のような名前を優先して試します。

テストは、名前を知らない社外の人の立場で行うと、案内のわかりにくさにも気づけます。

ステップ6:社内に知らせる

ダイヤル・バイ・ネームを始めることを社内に知らせ、電話に出る方法、不在時のメッセージの確認方法、登録内容の変更を届け出る方法を伝えます。社外にも、取引先への案内やメールの署名で、名前で呼び出せることを伝えると、代表電話の取り次ぎが減りやすくなります。

在宅勤務・外出先との組み合わせ

社員が事務所の外で働くことが増えると、代表電話の取り次ぎはさらに難しくなります。席にいない社員に取り次ぐには、携帯電話に連絡するか、伝言を残すしかないからです。

ダイヤル・バイ・ネームの転送先を、席の電話だけでなく、ブラウザのソフトフォンなど、社員が場所を問わずに受けられる電話にしておくと、在宅勤務や外出中でも名前でつながるようになります。このとき、次の点を決めておきましょう。

場所を問わずにつながることは便利ですが、社員がいつでも電話に追われる状態にならないよう、つながる時間とつながらない時間の線引きを設けることが大切です。

案内の文章のひな形

ダイヤル・バイ・ネームで使う案内の文章を、場面ごとにまとめました。自社の名前や番号に書き換えて使ってください。

名前の入力を促す

担当者のお名前を、名字と名前でお話しください。内線番号がおわかりの場合は、番号を押してください。

候補が一人のとき

営業部の田中太郎におつなぎします。よろしければ1を、違う場合は2を押してください。

候補が複数のとき

田中という名前の担当者が二名おります。営業部の田中太郎は1を、経理部の田中花子は2を、どちらでもない場合は0を押してください。

呼び出し中

ただいまお呼び出ししております。そのまま少々お待ちください。

見つからなかったとき(一回目)

申し訳ございません。お名前が見つかりませんでした。もう一度、名字と名前でお話しください。

見つからなかったとき(二回目)

申し訳ございません。代表の窓口におつなぎします。

案内の文章は、実際に声に出して読み、長すぎないか、聞き取りにくい言葉がないかを確認します。録音で作るか、音声合成で作るかの判断は、IVR音声ガイダンスの作り方で解説します。

運用のルール

導入した後は、登録の内容を最新に保つことが何より大切です。登録が古くなると、退職した社員の名前でつながらない、異動した社員が前の部署として案内される、といった問題が起きます。

登録を更新するタイミング

定期的な確認

月に一度など、決まった時期に、登録表と社員名簿を突き合わせます。退職者が残っていないか、新しく入った社員が漏れていないかを確認します。人事の担当と電話の設定の担当が別の場合は、人事の手続きの連絡が、電話の設定の担当にも届くようにしておきましょう。

使われ方を見る

ダイヤル・バイ・ネームの入口が選ばれた回数、名前が見つからなかった回数、不在で別の行き先に回った回数などを、記録から確かめます。見つからなかった名前が多ければ、別名の登録が足りない可能性があります。不在が多い社員は、不在時の行き先を見直すきっかけになります。

導入から一か月後の振り返り

導入から一か月ほどたったら、次の点を振り返り、設定と運用を見直します。

社員と取引先の両方の声を聞くことで、仕組みの便利さと、社員の働きやすさの両方を保てます。

組織別の使い方の例

社員五十人ほどの商社

取引先からの指名の電話が多く、営業担当は外出が多い組織です。ダイヤル・バイ・ネームを入口のメニューの一番目に置き、営業担当はソフトフォンで外出先でも電話を受けられるようにします。不在時は、本人のボイスメールと、営業部の窓口への転送を選べるようにします。代表電話の担当者は、名前がわからない電話と、新規の問い合わせに集中できます。

会計事務所・法律事務所

顧問先や依頼者が、担当者の名前を知っている電話が中心です。担当者は打ち合わせや外出で不在のことが多いため、不在時は事務所の窓口につなぎ、事務の担当者が予定を確認して折り返しを手配します。相談の内容にかかわる情報が含まれやすいため、本人のボイスメールに詳しい内容を残してもらうかどうかは、事務所の方針にあわせて決めます。

複数の拠点がある会社

本社と支店で代表番号が分かれている場合でも、ダイヤル・バイ・ネームで全拠点の社員を登録しておけば、どの代表番号にかけても名前で担当者につながります。同じ名字の社員が拠点ごとにいる場合は、候補の確認で拠点名も添えて区別します。

学校・教育機関

保護者が担任の先生の名前を知っていても、授業中は電話に出られません。名前で直接つなぐより、職員室の窓口で受け、伝言を預かる運用のほうが合う場合もあります。ダイヤル・バイ・ネームを使う場合は、不在時の行き先を職員室の窓口にしておくと、用件が止まりません。

医療機関・介護事業所

医師や看護師、ケアマネジャーなど、職種ごとに担当がはっきりしている職場です。ただし、診療中やケアの最中は電話に出られないことが多いため、名前で直接つなぐより、職種や部署の窓口で受けて伝言を預かる運用が合う場合が多いでしょう。ダイヤル・バイ・ネームを使う場合は、関係機関など、担当者と直接やり取りする相手に限って案内する、という方法も考えられます。

ソフトウェア・IT企業

社員の多くが在宅勤務や外出で、席の電話をほとんど使わない職場です。代表電話を受ける人がいないことも多いため、ダイヤル・バイ・ネームの転送先をソフトフォンにし、不在時は部署のボイスメールにつなぐ設計が向いています。取引先には、メールの署名で名前での呼び出しを案内しておきます。

よくある失敗

失敗1:退職した社員が登録に残っている

起きること:取引先が退職した社員の名前を話すと、つながらない内線に転送され、呼び出し音が鳴り続ける。

対処:人事の手続きと同じ日に登録を変更する手順を決めます。退職後しばらくは、後任や部署の窓口につなぐ設定にしておくと、取引先を困らせずに済みます。

失敗2:読みが登録されていない、または誤っている

起きること:案内で名前を読み違える。電話をかけてきた人が話した名前が見つからない。

対処:登録の前に本人に読みを確認します。読み間違えやすい名前は、よく使われる別の読みも登録します。

失敗3:転送の前の確認がない

起きること:名前の聞き取りの誤りで、違う社員に電話がつながる。受けた社員が改めて取り次ぐことになる。

対処:転送の前に「〇〇部の〇〇におつなぎしますか」と確認する手順を必ず入れます。

失敗4:不在時の行き先が本人のボイスメールだけ

起きること:休暇中の社員のボイスメールにメッセージがたまり、用件が何日も止まる。

対処:不在時の選択肢に、部署の窓口や代表の窓口を加えます。長期の休暇の間は、不在時の行き先を代わりの担当者に変えます。

失敗5:見つからないときに同じ案内を繰り返す

起きること:名前が見つからないたびに「もう一度お話しください」が繰り返され、電話をかけてきた人が抜け出せなくなる。

対処:再入力は一回までにし、それでも見つからなければ代表の窓口につなぎます。案内の中で、0番でいつでも代表の窓口に移れることを伝えておきます。

失敗6:入口のメニューの後ろのほうに置いている

起きること:名前を知っている取引先が、用件のメニューをすべて聞いてからでないと名前の入口に進めない。

対処:名前の入口を、メニューの最初のほうに置きます。内線番号をいつでも押せるようにしておくのも効果的です。

失敗7:転送先が古い

起きること:席の移動やソフトフォンへの切り替えの後も、転送先が前の電話のままになっていて、誰も出ない。

対処:転送先の変更も、登録の更新のタイミングに含めます。月に一度の突き合わせで、転送先も確かめます。

失敗8:社員が仕組みのことを知らない

起きること:名前でつながった電話に出た社員が、代表電話からの取り次ぎだと思い込み、相手の用件を聞き直したり、受付に問い合わせたりする。

対処:導入の前に、名前で直接つながる電話があること、出るときの名乗り方、不在時のメッセージの確認方法を社内に伝えます。

AI-SNS.IO Callで設定する場合

AI-SNS.IO Callでは、名前で担当者を呼び出すディレクトリを、IVRのメニューや営業時間のルール、キューごとのボイスメール、メニューからの折り返しの依頼と組み合わせて設定できます。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。社員がブラウザのソフトフォンで電話を受けられるようにすれば、事務所の外にいてもつながる先が広がります。設定の手順は使い方ガイドを、現在利用できる機能は機能一覧をご覧ください。

表示の名前、読み、別名、所属、転送先、不在時の行き先の役割
図2:登録する項目

代表電話の担当者の役割はどう変わるか

ダイヤル・バイ・ネームを導入しても、代表電話の担当者の仕事がなくなるわけではありません。役割が変わる、と考えるのが正確です。

導入前導入後
指名の電話を一件ずつ取り次ぐ名前がわからない電話、新規の問い合わせに集中する
不在の社員の伝言をメモにして渡す部署の窓口に回ってきた不在時の電話に対応する
社員の席や予定を確認する登録の内容が最新かを確認する
—見つからなかった名前や、不在時の電話の傾向を見て、設定の改善を提案する

取り次ぎから解放された時間は、初めて電話をかけてきた人への丁寧な対応や、問い合わせの内容に応じた案内に使えます。代表電話は、会社の第一印象を決める窓口です。仕組みに任せる部分と、人が対応する部分を分けることで、どちらの質も高めやすくなります。

取引先への案内の例

ダイヤル・バイ・ネームを始めたら、取引先にも知らせておくと、使ってもらいやすくなります。メールの署名や、取引先へのお知らせに、次のような一文を添えます。

弊社代表番号にお電話いただき、音声案内で1を押したあと担当者の名前をお話しいただくと、担当者に直接おつなぎします。内線番号がおわかりの場合は、音声案内の途中でも番号を押していただけます。

担当者ごとの内線番号を名刺に載せている場合は、内線番号でつながることもあわせて伝えると、慣れた取引先はさらに早くつながります。

よくある質問

ダイヤル・バイ・ネームとは何ですか?

電話をかけてきた人が、話したい相手の名前を入力したり話したりすると、電話の仕組みがその人を探して電話をつなぐ機能です。代表電話での取り次ぎを、人の代わりに仕組みが行います。

何人くらいの会社から役立ちますか?

人数だけでは決まりません。代表電話にかかる指名の電話の多さと、受付の担当者の負担で判断します。社員が数人で、隣の人に声をかければ済む場合は、必要性は低いでしょう。指名の電話が多く、受付の担当者が別の仕事を兼ねている場合は、少人数でも役立つことがあります。

日本語の名前でも使えますか?

使えます。ただし、日本語の名前はボタンで文字を入力する方式とは相性があまりよくないため、名前を声で話す方式や、内線番号の入力と組み合わせるのが現実的です。読みの登録が欠かせません。

名前の聞き取りを間違えたらどうなりますか?

転送の前に「〇〇部の〇〇におつなぎしますか」と確認する手順を入れておけば、電話をかけてきた人が誤りに気づいて、言い直したり、代表の窓口に移ったりできます。確認の手順は必ず入れましょう。

同じ名字の社員がいる場合はどうすればよいですか?

候補を読み上げるときに、所属や下の名前を添えて区別します。候補が三人以上になる場合は、先に部署を選んでもらう方法も検討します。

全社員を登録する必要がありますか?

ありません。社外からの指名の電話を受ける可能性がある社員に絞る、本人が希望しない場合は登録しない、といった方針も考えられます。登録の範囲は、社内で方針を決めて説明しておきましょう。

相手が不在のときはどうなりますか?

設定によって、本人のボイスメール、部署の窓口、部署のボイスメール、折り返しの依頼、代表の窓口などにつなぎます。本人のボイスメールだけにすると、休暇中に用件が止まるため、部署の窓口などの選択肢も加えておくのがおすすめです。

退職した社員の名前で電話がかかってきたら?

登録を削除するだけでは、取引先が困ってしまいます。退職後しばらくは、後任の担当や部署の窓口につなぐ設定にしておく方法があります。案内の内容は、社内のルールにあわせて決めましょう。

営業時間外も使えるようにすべきですか?

社員が営業時間外に電話を受けない場合は、時間外の案内とボイスメールに切り替えるほうが、社員の負担を守れます。時間外も担当者と直接話したい取引先が多い場合は、本人のボイスメールにつなぐ設定が考えられます。

営業の電話が社員に直接届くようになりませんか?

名前で直接つながる仕組みのため、その可能性はあります。気になる場合は、不在時の行き先を部署の窓口にする、知らない相手からの電話は部署の窓口で受ける運用にする、などの対策を検討しましょう。

内線番号の入力とは何が違いますか?

内線番号の入力は、相手の番号を知っている人しか使えませんが、確実につながります。ダイヤル・バイ・ネームは、番号を知らなくても名前でつながります。両方を用意して、番号を知っている人は番号で、知らない人は名前で進めるようにするのがおすすめです。

まとめ

ダイヤル・バイ・ネームは、代表電話での取り次ぎを仕組みに任せ、受付の担当者の負担を減らす機能です。

まずは一週間、代表電話の指名の電話を記録して、取り次ぎの負担を確認するところから始めてみてください。名前で担当者を呼び出すディレクトリ、IVRのメニュー、営業時間のルールは、AI-SNS.IO Callで組み立てられます。アカウント登録から試してみましょう。IVRの基本はIVRとは、案内の作り方はIVR音声ガイダンスの作り方、自動応答の全体像はAI電話受付とはをご覧ください。

IVRメニューと営業時間ルールを、Callで設計してみる

デモコンソールでは、着信をシミュレーションで体験できます。

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