電話の取りこぼしを減らす方法|原因の見つけ方と仕組みづくり
「電話を取りこぼしているのはわかっているけれど、どれくらい取りこぼしているのか、なぜ取りこぼしているのかはわからない」。電話対応の相談で、もっともよく聞く悩みの一つです。電話の取りこぼし対策を考えるとき、多くの会社は「もっと電話に出るように頑張る」という精神論や、「人を増やす」という大きな決断に向かいがちです。しかし、実際には、取りこぼしの原因を時間帯・人員・導線に分けて見える化し、それぞれに合った小さな仕組みを足していくほうが、無理なく確実に効果が出ます。
取りこぼした電話の向こうには、予約をしたかったお客様、困りごとを相談したかったお客様、注文を考えていたお客様がいます。電話がつながらなかったお客様が、もう一度かけ直してくれるとは限りません。別のお店や会社に電話をかけてしまうこともあるでしょう。電話の取りこぼしは、目に見えにくいけれど確実に起きている機会の損失です。
この記事では、電話の取りこぼしが起きる原因を整理したうえで、取りこぼしを見える化する方法、時間帯別の対策、人員配置と役割分担の見直し、コールバックとボイスメールの活用、そしてAIによる一次応答という選択肢まで、順を追って解説します。
電話の取りこぼしはなぜ起きるのか
電話の取りこぼしとは、かかってきた電話に誰も出られず、相手が用件を伝えられないまま終わってしまうことを指します。原因はさまざまですが、大きく三つに分けて考えると対策を立てやすくなります。

原因1:時間帯の問題
一つ目は、電話がかかってくる時間帯と、電話に出られる時間帯がずれていることです。たとえば、次のような状況が典型的です。
- 営業時間外(早朝、夜間、休日)に電話がかかってくる
- 昼休みや朝礼の時間など、全員が電話から離れる時間がある
- 開店直後やお昼どきなど、特定の時間帯に電話が集中する
- 月末や連休明けなど、特定の日に電話が増える
時間帯の問題は、電話に出る人の努力だけでは解決しにくいのが特徴です。営業時間外に電話に出るには、そのための体制が必要ですし、電話が集中する時間帯には、物理的に出られる本数に限りがあります。
原因2:人員と役割の問題
二つ目は、電話に出る人の数や役割分担の問題です。
- 電話に出る担当が決まっておらず、「誰かが出るだろう」と全員が思っている
- 電話に出る担当は決まっているが、その人がほかの業務で手が離せない
- 少人数のため、接客や作業と電話対応を同じ人が兼ねている
- 電話を受けても、担当者が不在で取り次げず、結局用件が伝わらない
人員の問題は、人を増やせば解決するように思えますが、実際には役割分担のあいまいさが原因になっていることも多くあります。誰がどの電話に出るのかを決めるだけで、取りこぼしが減ることも珍しくありません。
原因3:導線の問題
三つ目は、電話がかかってきてから担当者につながるまでの「導線」の問題です。
- 代表電話が一本しかなく、話し中で相手につながらない
- 転送の設定が古く、不在の人の電話に転送されている
- IVR(自動音声応答)のメニューが複雑で、相手が途中で切ってしまう
- 営業時間外の案内がなく、呼び出し音が鳴り続けるだけになっている
- 留守番電話はあるが、メッセージが確認されずに放置されている
導線の問題は、設定を見直すだけで改善できることが多い一方で、普段は気づきにくいのが難点です。自分の会社に外から電話をかけてみる機会は意外と少ないため、相手からどう見えているかを確認しないまま、問題が放置されがちです。
三つの原因は重なり合っている
実際の現場では、三つの原因が重なっていることがほとんどです。「お昼どき(時間帯)に、店長一人で接客しながら電話も受けていて(人員)、出られなかった電話は呼び出し音が鳴り続けるだけ(導線)」という具合です。どれか一つだけを直しても効果が限られるため、原因を分けて把握したうえで、組み合わせて対策を考えることが大切です。
取りこぼしがもたらす影響
対策の話に入る前に、電話の取りこぼしがどのような影響をもたらすのかを整理しておきましょう。影響を具体的に思い描けると、社内で対策の優先度を話し合うときにも役立ちます。
機会の損失
もっともわかりやすい影響は、機会の損失です。予約や注文、見積もりの依頼、新しいサービスの相談など、売上につながる電話を取りこぼせば、その機会はほかの会社に移ってしまうかもしれません。特に、はじめて電話をかけてきたお客様は、まだ自社との関係ができていないため、つながらなければ別の候補に電話をかける可能性が高いと考えられます。
信頼の低下
すでに取引のあるお客様にとっても、電話がつながらない経験は小さくない不満になります。困りごとを相談したいとき、急ぎの連絡をしたいときにつながらなければ、「この会社は頼りにならない」という印象を持たれかねません。一度の取りこぼしで関係が終わることは少なくても、繰り返されれば信頼は少しずつ損なわれていきます。
社内の負担の増加
取りこぼしは、社内の負担も増やします。つながらなかったお客様が何度もかけ直してくれば、そのたびに誰かが対応しなければなりません。折り返しの電話も、相手が出なければ何度もかけることになります。用件がわからないまま折り返すと、一件あたりの時間も長くなります。取りこぼしを減らすことは、お客様のためだけでなく、社内の働きやすさのためにも大切なのです。
見えにくいからこそ対策が後回しになる
こうした影響は、売上の数字やクレームのように目に見える形で現れにくいのが難しいところです。取りこぼした電話の向こうで何が起きていたのかは、多くの場合わかりません。だからこそ、次の章で紹介する見える化の取り組みが重要になります。
取りこぼしを見える化する方法
取りこぼしの対策を考える前に、まずは「どのくらい、いつ、なぜ取りこぼしているのか」を見える化しましょう。現状がわからないまま対策を打つと、効果があったのかどうかも判断できません。
着信履歴を集計する
もっとも手軽な方法は、電話機や電話サービスの着信履歴を集計することです。多くの電話サービスでは、着信の日時、応答したかどうか、通話時間などを記録しています。この記録を一定期間分集めて、次のような観点で整理します。
- 一日の着信件数と、そのうち応答できなかった件数
- 時間帯別・曜日別の着信件数と、応答できなかった件数
- 応答できなかった電話のうち、同じ番号からかけ直しがあった件数
- 営業時間外の着信件数
集計は、表計算ソフトで十分です。最初から細かく分析しようとせず、まずは「どの時間帯に取りこぼしが多いのか」がわかれば、対策の優先順位をつけられます。
応答率と放棄率を計算する
着信履歴が集まったら、応答率(かかってきた電話のうち、応答できた電話の割合)や放棄率(相手がつながる前に切ってしまった電話の割合)を計算してみましょう。計算の方法や注意点は、応答率と放棄率の計算方法で詳しく解説しています。
これらの指標を時間帯ごとに出してみると、「全体では悪くないが、特定の時間帯だけ極端に下がっている」といった傾向が見えてきます。対策を打つべき時間帯が、数字ではっきりします。
取りこぼした電話の「中身」を推測する
件数だけでなく、取りこぼした電話がどんな用件だったのかも推測してみましょう。かけ直してくれたお客様に用件を聞く、取りこぼした時間帯にかかってくる電話の傾向をスタッフに聞く、といった方法で、おおよその傾向はつかめます。
用件がわかれば、対策の選び方も変わります。営業時間を確認したいだけの電話なら自動の案内で十分ですし、予約の相談なら折り返しの仕組みが必要です。緊急の連絡が含まれているなら、確実に人につながる導線を優先しなければなりません。
自分で電話をかけてみる
数字の集計とあわせて、ぜひ試してほしいのが、自分の会社に外から電話をかけてみることです。営業時間内、昼休み、営業時間外、休日など、時間帯を変えて何度かかけてみると、お客様からどう見えているかがよくわかります。
呼び出し音が何回鳴ってから出るのか、出られないときはどうなるのか、営業時間外には何が流れるのか。実際に体験してみると、「これではかけ直してもらえないかもしれない」と気づく場面がきっとあるはずです。
時間帯別の対策
取りこぼしの傾向が見えてきたら、時間帯ごとに対策を考えます。ここでは、取りこぼしが起きやすい代表的な時間帯ごとに、打ち手を紹介します。
営業時間外の対策
営業時間外の電話は、出られないこと自体は仕方がありません。大切なのは、「出られない」ことを相手にきちんと伝え、用件を受け取る手段を用意することです。
まず、営業時間外には時間外であることを伝えるアナウンスを流しましょう。呼び出し音が鳴り続けるだけだと、相手は「今日は休みなのか」「たまたま出られないのか」がわからず、何度もかけ直したり、あきらめたりしてしまいます。アナウンスでは、営業時間と、次に電話がつながる時間を伝えます。
そのうえで、ボイスメールやコールバックの依頼など、用件を残してもらう手段を用意します。メッセージを残してもらえれば、翌営業日に折り返すことができます。夜間や休日の電話対応については、営業時間外の電話対応ガイドでさらに詳しく解説しています。
昼休み・会議などの「全員不在」の時間帯
昼休みや朝礼、会議など、全員が電話から離れる時間帯は、意外と取りこぼしの原因になっています。この時間帯は、営業時間内なのでお客様は「つながるはず」と思ってかけてきます。
対策としては、昼休みを交代制にして電話番を残す方法がもっとも確実ですが、少人数の会社では難しいこともあります。その場合は、昼休みの時間帯だけ、時間外と同じようにアナウンスとボイスメールに切り替える設定が有効です。営業時間のルールに「昼休み」を加えておけば、毎日手作業で切り替える必要もありません。
電話が集中する時間帯
開店直後、お昼どき、夕方など、電話が集中する時間帯は、どれだけ頑張っても出られる本数に限りがあります。この時間帯の対策は、「出る本数を増やす」か「出なくても済む電話を減らす」かの二つの方向で考えます。
出る本数を増やすには、その時間帯だけ電話に出る人を増やす、あるいは電話に出る担当をはっきり決めて、ほかの業務を一時的に外す、といった方法があります。
出なくても済む電話を減らすには、営業時間や所在地などのよくある質問を、IVR(自動音声応答)の案内やWebサイトで解決できるようにする方法があります。IVRで「営業時間とアクセスのご案内は2を」といった選択肢を用意すれば、その電話には人が出る必要がなくなります。IVRの基本はIVR(自動音声応答)とは?で解説しています。
さらに、混雑時には「このままお待ちいただくか、折り返しをご希望の方は1を押してください」と案内し、コールバックの依頼を受け付ける方法もあります。相手は待たずに済み、会社側は手が空いたときに順番に折り返せます。
特定の日に電話が増える場合
月末、連休明け、キャンペーンの開始日など、特定の日に電話が増えることがわかっている場合は、事前に備えられます。その日だけ電話に出る人を増やす、よくある質問への答えを事前にWebサイトやメッセージで伝えておく、混雑時の案内をその日だけ切り替える、といった準備が考えられます。
電話が増える日を予測するには、過去の着信履歴が役に立ちます。見える化の段階で曜日別・日付別の件数を出しておくと、こうした傾向にも気づきやすくなります。より本格的な予測の考え方は、WFM(ワークフォースマネジメント)とはで紹介しています。
人員配置と役割分担の見直し
時間帯の対策とあわせて、電話に出る人の配置と役割分担も見直しましょう。人を増やさなくても、役割をはっきりさせるだけで取りこぼしが減ることがあります。
「誰が出るか」を決める
複数の人がいる職場で意外と多いのが、「誰かが出るだろう」と全員が思っていて、結局誰も出ないという状態です。電話が鳴ったときに最初に出る人、その人が出られないときに出る人、という順番を決めておくだけで、この状態は防げます。
順番は、時間帯ごとに決めておくとより確実です。午前は〇〇さん、午後は△△さん、といった具合に、担当を明確にしておきましょう。
電話を受けた後の流れを決める
電話に出ても、担当者が不在で用件が伝わらなければ、取りこぼしと同じ結果になります。電話を受けた人が、用件をどこに記録し、誰にどう伝えるのかを決めておきましょう。
メモを紙で渡す、チャットで共有する、顧客管理の仕組みに記録する、など方法はさまざまですが、大切なのは「記録が一か所に集まり、担当者が必ず確認する」状態を作ることです。伝言が担当者に届かず、折り返しが漏れてしまう、という事態を防げます。
電話に出る人の負担を減らす
電話に出る担当を決めると、その人に負担が集中しがちです。担当者が本来の業務と電話対応の板挟みにならないよう、電話の件数そのものを減らす工夫も同時に考えましょう。
たとえば、IVRで用件ごとに振り分ければ、担当の電話は担当者に直接つながり、取り次ぎの負担が減ります。よくある質問を自動の案内やWebサイトで解決できれば、電話の件数自体が減ります。少人数の会社で電話対応を効率化する考え方は、中小企業の電話対応を効率化する方法で詳しく紹介しています。
転送先と不在時の設定を確認する
人の配置が変わったときに見落としがちなのが、転送先の設定です。異動や退職で担当が変わったのに、転送先が古いままになっていると、電話は誰も出ない番号に転送され続けます。担当が変わったら転送先も変える、というルールを決め、定期的に設定を確認しましょう。
取りこぼしを減らす電話の受け方の工夫
設定や仕組みに加えて、電話の受け方そのものを少し工夫するだけでも、取りこぼしは減らせます。
一つ目は、通話を必要以上に長くしないことです。一件の通話が長引くと、その間にかかってきた電話には出られません。用件を確認したら要点をまとめ、詳しい説明が必要な場合は資料の送付や折り返しを提案するなど、通話を短くまとめる工夫が、ほかのお客様の電話を受ける余裕につながります。
二つ目は、保留の時間を短くすることです。担当者を探すために長く保留にしている間も、電話の回線はふさがっています。担当者がすぐに見つからない場合は、折り返しを約束していったん電話を終える判断も必要です。
三つ目は、電話を受けたその場で記録を残すことです。あとでまとめて記録しようとすると、次の電話が来て忘れてしまったり、内容があいまいになったりします。その場で要点だけでも残しておけば、引き継ぎの漏れを防げます。通話の記録を自動で残し、要点をまとめてくれる仕組みがあれば、この負担はさらに軽くなります。
コールバックとボイスメールの活用
電話に出られない状況をゼロにすることはできません。だからこそ、出られなかったときに用件を受け取る「受け皿」を用意しておくことが、取りこぼし対策の要になります。代表的な受け皿が、コールバックとボイスメールです。

ボイスメールの使いどころ
ボイスメールは、相手に用件を録音してもらう仕組みです。営業時間外や昼休み、電話が集中してどうしても出られないときの受け皿として使います。
ボイスメールを効果的に使うポイントは、案内の仕方にあります。「発信音のあとにメッセージをどうぞ」だけでは、何を話せばよいのか迷って切ってしまう人もいます。「お名前、ご連絡先、ご用件をお話しください。翌営業日に担当者からご連絡します」のように、話してほしい内容と、その後の対応を具体的に伝えると、メッセージを残してもらいやすくなります。
そして何より大切なのが、残されたメッセージを確実に確認し、折り返すことです。メッセージが放置されれば、お客様の信頼を損ないます。確認する担当者と頻度、折り返しの期限を決めておきましょう。録音を文字に起こす機能があれば、一件ずつ再生しなくても内容を把握でき、確認の負担が減ります。
コールバックの使いどころ
コールバックは、相手に電話を切ってもらい、会社側からあとで折り返す仕組みです。電話が混み合っていて待ち時間が長くなりそうなときに、「このままお待ちいただくか、折り返しをご希望の方は1を押してください」と案内して、折り返しの依頼を受け付けます。
相手は電話口で待ち続ける必要がなくなり、会社側は手が空いたときに順番に折り返せます。待ちきれずに電話を切られてしまうことを防げるため、混雑時の取りこぼし対策として効果的です。
コールバックを使う場合も、折り返しの約束を守ることが前提です。依頼の一覧を誰が確認し、どの順番で、いつまでに折り返すのかを決めておきましょう。
どちらをどこで使うか
ボイスメールとコールバックは、似ているようで役割が少し違います。ボイスメールは相手が用件を自分の言葉で残せるため、用件の内容を事前に把握できます。コールバックは、相手の操作が簡単で、録音に抵抗がある人にも使ってもらいやすいのが利点です。
一般的には、営業時間外にはボイスメール、営業時間内の混雑時にはコールバック、という使い分けがわかりやすいでしょう。両方を選択肢として用意し、相手に選んでもらう方法もあります。詳しい設計はIVRのコールバックとボイスメール活用法で解説しています。
折り返しの質を上げる
受け皿を用意したら、折り返しの質にも気を配りましょう。折り返しの電話で、「先ほどはお電話に出られず申し訳ありませんでした。〇〇の件でお電話をいただいたと伺っています」と、用件を把握したうえで話を始められれば、相手の印象は大きく変わります。
そのためには、ボイスメールの内容やコールバックの依頼内容が、折り返す担当者にきちんと伝わっている必要があります。通話の記録や要約を一か所にまとめておく仕組みは、ここでも役に立ちます。
AIによる一次応答という選択肢
ここまでの対策に加えて、近年選択肢に加わってきたのが、AIによる一次応答です。電話に出られないときに、AIが代わりに応答し、よくある質問に答えたり、用件を聞き取って記録したりする仕組みです。
ボイスメールとの違い
AIによる一次応答と、ボイスメールの大きな違いは、相手と「会話」ができることです。ボイスメールは相手が一方的に録音するだけですが、AIは相手の話を聞いて質問を返したり、営業時間などの簡単な質問にその場で答えたりできます。
録音に抵抗があってボイスメールを残さずに切ってしまう人でも、相手が話しかけてくれれば用件を伝えやすくなります。また、「営業時間は何時までですか」といった質問なら、その場で答えて電話を終えられるため、折り返しの件数そのものを減らすこともできます。
AIに任せる範囲を決める
AIによる一次応答を取りこぼし対策として使う場合は、AIに任せる範囲をはっきり決めておくことが大切です。よくある質問への回答と、用件の聞き取りと記録にとどめ、予約や契約の確定、専門的な判断は人が行う、という線引きが基本です。
AIが「ご予約を承りました」と確定を伝えてしまうと、実際の空き状況と食い違ったときにトラブルになります。「ご希望を承りました。担当者が確認のうえご連絡します」と伝え、確定はスタッフが行う流れにしておきましょう。AIに任せるべきでない場面については、AI電話受付にできないことで詳しく解説しています。
小さく始める
AIによる一次応答は、最初からすべての電話に使う必要はありません。営業時間外だけ、あるいはスタッフが一定時間出られなかった電話だけをAIが受ける、といった形で小さく始めると、日中の業務への影響を抑えながら効果を確認できます。AI電話受付の全体像はAI電話受付とは?をご覧ください。
業種ごとに見る取りこぼしの起きやすい場面
取りこぼしが起きやすい場面は、業種によって特徴があります。自社に近い業種の傾向を知っておくと、対策の優先順位をつけやすくなります。
店舗で接客しながら電話を受ける業種
飲食店、美容室、サロン、小売店など、店舗で接客しながら電話を受ける業種では、目の前のお客様への対応中に電話が鳴ることが取りこぼしの最大の原因です。接客を中断して電話に出れば目の前のお客様を待たせ、出なければ電話のお客様を逃してしまう、という板挟みが毎日のように起きます。
この業種では、混雑する時間帯に電話を自動の案内やコールバックの受付に切り替える、予約の相談だけはスタッフにつなぎ、それ以外は自動で案内する、といった工夫が効果的です。業種別の考え方は飲食店のガイドでも紹介しています。
現場に出ることが多い業種
工務店、リフォーム、設備修理、不動産など、スタッフが現場に出ることが多い業種では、事務所に誰もいない時間帯が取りこぼしの原因になります。事務所の電話を携帯電話に転送している場合も、作業中や運転中は出られません。
この業種では、緊急の連絡と、それ以外の連絡を分けることが大切です。IVRで緊急の連絡だけを担当者の携帯電話に転送し、それ以外はボイスメールやAIによるボイスメールで受け付ければ、作業を中断する回数を減らしながら、緊急の連絡は確実に受けられます。
予約制で、診療や施術中は手が離せない業種
歯科医院、クリニック、整体院など、予約制で診療や施術を行う業種では、受付スタッフが患者さんの対応をしている間や、診療時間外に電話が集中します。予約の変更やキャンセルの電話が多いのも特徴です。
この業種では、診療時間や休診日の案内を自動化し、予約の変更やキャンセルの希望は聞き取って記録しておき、受付スタッフが手の空いたときに確認して対応する、という流れが考えられます。医療機関での電話対応については、歯科医院の電話対応をAIで効率化する方法でも詳しく紹介しています。
少人数の事務所
士業の事務所や小規模なオフィスなど、少人数の事務所では、来客対応や外出、会議で全員が電話に出られない時間帯が生まれがちです。代表電話にかかってくる営業電話への対応に時間を取られることもあります。
この業種では、IVRで用件を振り分けて、相談の受付と、依頼中の案件に関する連絡を分けるとともに、出られなかった電話は用件を記録して折り返す仕組みを用意するのが基本です。営業電話への対応については、企業の迷惑電話対策も参考にしてください。
対策を定着させる改善サイクル
取りこぼし対策は、一度設定したら終わりではありません。電話の傾向は季節や事業の状況によって変わりますし、対策の効果も時間が経つと薄れることがあります。定期的に振り返り、改善を続けるサイクルを作りましょう。
月に一度、数字を見る
見える化の段階で集計した数字を、月に一度は見直しましょう。着信件数、応答できなかった件数、時間帯別の傾向、ボイスメールやコールバックの件数、折り返しまでにかかった時間などです。前の月と比べて、改善しているのか、悪化しているのかを確認します。
折り返しの漏れを確認する
受け皿を用意しても、折り返しが漏れていては意味がありません。ボイスメールやコールバックの依頼のうち、折り返しが済んでいないものがないかを定期的に確認しましょう。折り返しの漏れが多い場合は、確認の担当や頻度を見直す必要があります。
スタッフの声を聞く
電話に出ているスタッフは、数字には表れない問題に気づいていることがあります。「この時間帯は毎日電話が重なる」「この用件の電話はいつも答えに困る」「折り返しの記録が見づらい」といった声を定期的に集め、対策の見直しに活かしましょう。
小さく試して、効果を確認する
新しい対策を試すときは、一度にたくさんのことを変えず、一つずつ試して効果を確認するのがおすすめです。昼休みの時間帯だけボイスメールに切り替える、混雑時だけコールバックの案内を流す、といった小さな変更から始めれば、何が効いたのかがわかりやすくなります。
指標の見方については、コールセンターのKPI一覧で基本的な考え方をまとめています。
電話以外の窓口も整える
電話の取りこぼしを減らすには、電話そのものの対策に加えて、電話以外の窓口を整えることも効果的です。お客様が電話をかける理由の中には、「ほかに方法がわからないから電話した」というものも含まれているからです。
Webサイトで解決できることを増やす
営業時間、定休日、所在地、アクセス、料金の目安、よくある質問など、Webサイトを見れば解決できる情報を整えておくと、それを確認するためだけの電話が減ります。電話の内容を記録していくと、「Webサイトに書いてあるのに電話で聞かれる」質問も見つかるはずです。その場合は、Webサイトのどこに書いてあるのかがわかりにくい可能性があるため、トップページから見つけやすい場所に置くなどの工夫を考えましょう。
メッセージで受け付けられる用件を案内する
予約の変更や簡単な問い合わせなど、急ぎではない用件は、メールやメッセージアプリで受け付けるのも一つの方法です。電話のアナウンスやWebサイトで「予約の変更はメッセージでも受け付けています」と案内しておけば、電話に集中していた用件を分散できます。LINE公式アカウントでの問い合わせ対応については、LINE公式アカウントで問い合わせ対応する方法で解説しています。
窓口を増やしたら、受信箱をまとめる
ただし、窓口を増やすと、今度はそれぞれの窓口を確認する手間が増えます。電話、メール、メッセージの問い合わせがばらばらに届くと、確認漏れが起きやすくなります。複数の窓口を一つの受信箱と顧客の履歴にまとめる考え方は、オムニチャネル問い合わせ対応とはで紹介しています。
窓口を整えることは、電話をなくすことではありません。電話でなければならない用件を電話で確実に受けられるように、それ以外の用件を適切な窓口に振り分けることが目的です。
取りこぼし対策のチェックリスト
ここまでの内容を、すぐに使えるチェックリストとしてまとめます。自社の状況と照らし合わせて、できていない項目から手をつけてみてください。
見える化
- 着信履歴を一定期間分集計し、応答できなかった件数を把握している
- 時間帯別・曜日別の着信件数と取りこぼしの傾向を把握している
- 自社に外から電話をかけて、相手からの見え方を確認したことがある
時間帯
- 営業時間外には、時間外であることと営業時間を伝えるアナウンスが流れる
- 昼休みなど全員が不在になる時間帯の扱いが決まっている
- 祝日や年末年始などの特別な日の設定を、事前に済ませている
- 電話が集中する時間帯に、よくある質問を自動で案内できる
人員と役割
- 電話に最初に出る人と、その人が出られないときに出る人が決まっている
- 電話を受けた後の記録と共有の方法が決まっている
- 転送先の設定が、現在の担当者になっている
受け皿
- 出られなかった電話の受け皿として、ボイスメールやコールバックを用意している
- ボイスメールの案内で、話してほしい内容と折り返しの予定を伝えている
- 受け皿に残った依頼を確認する担当者と頻度、折り返しの期限が決まっている
改善
- 月に一度、取りこぼしの数字と折り返しの漏れを確認している
- 電話に出ているスタッフの声を定期的に集めている
すべてを一度に整える必要はありません。チェックがつかなかった項目のうち、取りこぼしの多い時間帯に関わるものから優先して取り組むと、効果を実感しやすくなります。
四週間で進める取りこぼし対策の計画例
「何から始めればよいかわからない」という方のために、四週間で取りこぼし対策を進める計画の例を紹介します。会社の規模や業種に合わせて、期間や内容は調整してください。
一週目:現状を知る
最初の一週間は、現状を知ることに集中します。着信履歴を集め、時間帯別・曜日別に応答できなかった件数を整理します。あわせて、営業時間内、昼休み、営業時間外のそれぞれで、自社に外から電話をかけてみましょう。電話に出ているスタッフに、困っていることや、取りこぼしが多いと感じる時間帯を聞いておくことも大切です。
この週のゴールは、「取りこぼしが多い時間帯」と「その原因として考えられること」を一枚の紙にまとめることです。
二週目:すぐできる設定を直す
二週目は、設定を見直すだけでできる対策から手をつけます。営業時間外のアナウンスがなければ用意する、昼休みの扱いを決める、転送先が古くなっていないかを確認する、ボイスメールの案内文を見直す、といった作業です。どれも大きな費用や準備がいらず、すぐに効果が出やすい対策です。
あわせて、電話に出る順番と、電話を受けた後の記録の方法を決め、スタッフに共有します。
三週目:受け皿と振り分けを整える
三週目は、出られなかった電話の受け皿と、用件の振り分けを整えます。混雑する時間帯のコールバックの案内、IVRでのよくある質問の案内、緊急の連絡の転送先など、一週目で見えた課題に合わせて対策を選びます。受け皿に残った依頼を誰がいつ確認し、いつまでに折り返すのかも、この週に決めておきましょう。
必要に応じて、AIによる一次応答を営業時間外だけで試してみるのもよいでしょう。
四週目:効果を確認して次の手を決める
四週目は、二週目と三週目の対策の効果を確認します。一週目と同じ方法で着信履歴を集計し、取りこぼしの件数や時間帯の傾向がどう変わったかを比べます。折り返しの漏れがないか、スタッフの負担がどう変わったかも確認しましょう。
効果が出た対策は続け、効果が薄かった対策は原因を考えて見直します。そして、次の四週間で取り組む課題を一つ決めて、改善のサイクルを回していきます。
AI-SNS.IO Callでできること
私たちAI-SNS.IOのCallでは、この記事で紹介した取りこぼし対策の多くを、一つの管理画面で設定できます。日本の電話番号の提供は準備中です。現在はデモで着信をシミュレーションして体験できます。曜日・時間帯ごとの営業時間ルール、IVR(自動音声応答)による用件の振り分け、キューごとのボイスメール、IVRメニューからのコールバック依頼、通話履歴とAIによる通話要約の確認などです。AIエージェントには、ファイルやWebサイト、Q&Aなどのナレッジを登録し、プレイグラウンドで応答を試せます。
各機能の提供状況はCallの機能一覧で、設定の手順はCallの使い方ガイドでご確認いただけます。まずは月額0円から始めるから、自社の営業時間ルールやIVRのメニューを組み立ててみてください。
「電話の取りこぼしを減らす方法|原因の見つけ方と仕組みづくり」の続きとして、製品全体はAI-SNS.IO Callのトップで確認でき、アカウント登録は月額0円から始めるから進められます。
小さな会社のIVR導入もあわせてご覧ください(電話の取りこぼしを減らす方法|原因の見つけ方と仕組みづくりからの関連案内)。
まとめ
電話の取りこぼしは、時間帯・人員・導線という三つの原因が重なって起きています。対策の第一歩は、着信履歴の集計や自社への試し電話で、どのくらい、いつ、なぜ取りこぼしているのかを見える化することです。
そのうえで、営業時間外のアナウンスとボイスメール、昼休みの扱い、混雑時のコールバックといった時間帯別の対策、電話に出る順番と記録の流れを決める役割分担の見直し、そして出られなかった電話の受け皿づくりを組み合わせていきます。AIによる一次応答は、よくある質問への回答と用件の聞き取りを担う新しい受け皿として、小さく試してみる価値があります。
取りこぼしをゼロにすることは難しくても、「出られなかったけれど、用件はきちんと受け取り、約束どおりに折り返す」状態を作ることはできます。その積み重ねが、お客様の信頼につながっていきます。
取りこぼし対策は、特別なシステムを入れることから始まるわけではありません。今日かかってきた電話の記録を一枚の表にまとめ、明日の昼休みの電話をどう受けるかを決める。そうした小さな一歩の積み重ねが、お客様から見て「いつ電話してもきちんと対応してくれる会社」という印象をつくっていきます。
よくある質問
電話の取りこぼしとは何ですか?
かかってきた電話に誰も出られず、相手が用件を伝えられないまま終わってしまうことです。呼び出し音が鳴り続けて切られる場合のほか、IVRのメニューの途中で切られる場合や、留守番電話に残されたメッセージが確認されずに放置される場合も、実質的には取りこぼしと同じ結果になります。
電話の取りこぼしの原因を調べるにはどうすればよいですか?
まずは電話機や電話サービスの着信履歴を一定期間分集計し、時間帯別・曜日別に応答できなかった件数を確認します。あわせて、自社に外から電話をかけて、出られないときにどうなるのかを体験してみると、数字だけではわからない導線の問題に気づけます。
人を増やさずに取りこぼしを減らす方法はありますか?
あります。電話に出る順番を決める、昼休みの時間帯だけボイスメールに切り替える、IVRでよくある質問を自動で案内する、混雑時にコールバックの依頼を受け付ける、といった方法は、人を増やさずに取り組めます。役割分担があいまいなことが原因の場合は、担当を決めるだけでも効果があります。
ボイスメールとコールバックはどう使い分ければよいですか?
一般的には、営業時間外にはボイスメール、営業時間内の混雑時にはコールバックという使い分けがわかりやすいでしょう。ボイスメールは用件を事前に把握でき、コールバックは操作が簡単で録音に抵抗がある人にも使ってもらいやすいのが利点です。両方を選択肢として用意する方法もあります。
営業時間外の電話には出なくても問題ありませんか?
営業時間外の電話に出られないこと自体は仕方がありませんが、呼び出し音が鳴り続けるだけの状態は避けたいところです。時間外であることと営業時間を伝えるアナウンスを流し、ボイスメールなどで用件を残してもらえるようにしておけば、翌営業日に折り返すことができます。
取りこぼした電話にはどのように折り返せばよいですか?
着信履歴やボイスメールの内容を確認し、できるだけ早く折り返します。折り返しの際は、出られなかったことへのお詫びとともに、把握している用件を伝えてから話を始めると、相手に同じ説明を繰り返させずに済みます。用件がわからない場合は、丁寧に用件を伺いましょう。
AIによる一次応答は取りこぼし対策になりますか?
なります。AIが出られなかった電話に応答し、よくある質問に答えたり、用件を聞き取って記録したりすることで、録音に抵抗があってボイスメールを残さない人の用件も受け取りやすくなります。ただし、予約や契約の確定、専門的な判断は人が行うように範囲を決めておくことが大切です。
取りこぼし対策の効果はどのように確かめればよいですか?
対策の前後で、時間帯別の応答できなかった件数、応答率や放棄率、ボイスメールやコールバックの件数、折り返しまでにかかった時間などを比べます。一度にたくさんの対策を変えず、一つずつ試して効果を確かめると、何が効いたのかがわかりやすくなります。
少人数の店舗でもできる取りこぼし対策はありますか?
あります。混雑する時間帯だけ電話を自動の案内やコールバックの受付に切り替える、営業時間や場所などのよくある質問をIVRの案内で完結させる、予約の相談だけはスタッフにつなぐ、といった方法は、少人数の店舗でも取り入れやすい対策です。まずは取りこぼしの多い時間帯を一つ選んで試してみましょう。
取りこぼしを減らすために、まず何から始めればよいですか?
最初の一歩としておすすめなのは、自社の着信履歴を一週間分集めて、時間帯ごとに応答できなかった件数を数えることと、営業時間内・昼休み・営業時間外にそれぞれ自社へ電話をかけてみることです。この二つで、取りこぼしの多い時間帯と、出られなかったときに相手にどう見えているかがわかります。そのうえで、営業時間外のアナウンスやボイスメールの案内など、設定の見直しだけでできる対策から始めると、無理なく効果を確かめられます。
取りこぼしを完全になくすことはできますか?
電話に出られない状況を完全になくすことは、どれだけ体制を整えても難しいのが実情です。目指したいのは、出られなかった電話でも用件を受け取り、約束どおりに折り返せる状態を作ることです。時間外のアナウンス、ボイスメールやコールバック、AIによる聞き取りといった受け皿を用意し、その確認と折り返しの担当を決めておけば、「つながらなかったまま終わる電話」は大きく減らせます。



